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水前寺「SOS団……か」 - 製作速報VIP(クリエイター) 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/02/27(土) 20:36:11.79 ID:ELZqmoDO
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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2 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 20:50:50.02 ID:ELZqmoDO
北校に入学してから約1ヶ月が経ったある日。水前寺は校門でバニーガール姿をした2人組がビラを配っているのを見付けた
「なっ、何だありゃ!?」
 我が目を疑った。1人はロリ巨乳。もう1人はスタイル抜群な美人。「風紀もクソも無いな」、と水前寺は呟きつつ、ビラを受け取った
「何々?我がSOS団では―――」
ビラに書かれている事を読み終わった彼は久し振りにあのセリフを吐きたくなった

 「おっくれてるぅーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
3 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 21:00:28.67 ID:ELZqmoDO
水前寺の周りに居る人間がドン退きした。しかし彼はそんな事は気にせず独り言を続けた
「ありえん!宇宙人!?超能力者!?そんな者は存在しないのだよ、SOS団の諸君!!」
ビラをグシャグシャに丸めた
「しかし未来人については未だ取材はしていなかったな」
丸めたビラを元に広げ、再びそれを見た
「SOS団……か」
この団長の発想は悪くない。むしろ評価をしてやりたい
「少し覗いてみるか」
4 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 21:15:46.13 ID:ELZqmoDO
北校に入学してから水前寺は新聞部に入部した。中学の頃も新聞部だったがゲリラ部だった。掲載については普通ならば許されないが、教師は黙認してくれていた。流石に高校でそのような事をすると後々面倒な事になるので、北校に新聞部が存在しているのはありがたかった。勿論、直ぐ様入部した
しかし、やる気の無い部員と年に片手で数えられる回数しか発行しない風習に耐えられず、新聞部を改革しようとしたが逆に腫れ物扱いをされた
「なんつーベタな展開だよ」
そして水前寺は幽霊部員となった

そんな中でのSOS団と出会い
期待せずにはいられなかった
5 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 21:30:10.43 ID:ELZqmoDO
ビラに宇宙人云々なかったの思い出した
吊りてぇ……


翌日の放課後
水前寺はSOS団のある文芸部室の前に居た
「大分遅くなったな」
新聞部の退部手続きをとっていたら夕日の綺麗な時間になってしまった。しかし後悔はしていない。許容の範囲内である
「たのもーーーーーー!!」
勢いよく扉を開けた
「は!?」
目の前には昨日バニーガール姿でビラを配っていたスタイルの良い方が居た
6 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 21:42:39.62 ID:ELZqmoDO
「SOS団とやらはここであっているかね?」
水前寺は目を点にしている目の前の少女に尋ねた
「え、ええ。そうよ。あなたまさか―――」
グシャグシャのビラを見せる水前寺
「君達と少し語りたくて参上した」
「キョン―――!」
キョンと呼ばれた男があんぐりと口を開けていた。奥に居る単髪の少女は特に興味が無さそうだった
「座礁じゃなかったわ!!」
座礁……?
「兎に角、座った座った!」
「おおっと」
水前寺はバニーガールのスタイルの良い方に背中を押され、キョンと呼ばれた男の対面に座った
「あなた、名前と学年は?」
「水前寺邦博。1年生です」
「あら、同い年ね。年上かと思った」
7 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 22:04:57.03 ID:ELZqmoDO
ビラの内容については脳内変換して下さい


「団員の紹介しとくわね。私が団長の涼宮ハルヒ。こっちのマヌケ顔がキョン。そっちで本を読んでるのが有希。あと今居ないけどみくるちゃん」
1人だけ鹿っぽいのが混じっているぞ、と水前寺は内心で突っ込んでおいた
「で、あんたはどんな体験をしたの?」
「その前に君達が追い求めているモノを具体的に知りたい。この文章では抽象的過ぎる」
ビラを指差しながら水前寺は言った
「良いわ。私達は宇宙人、未来人、異世界人、超能力者、又はそれらに準ずるものを探しているの」
「おくれているな」
ぼそりと呟く水前寺
「……え?」
「おくれている。宇宙人、超能力はこの世にはない」
「あんた、何を言って―――」
「但し、未来人と異世界人については未だノーマークであった」
8 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 22:16:02.03 ID:ELZqmoDO
「ちょっとあんた、何勝手に話してるの?」
涼宮は少しお怒りの様だった
「あ、ああ。済まない。既に終わった話だからな。興味ないんだよ」
「終わった……?」
「ああ。終わったんだ」
水前寺は過去に取材した記事の話をした
幽霊の出ると言われていた女子便所に女装して侵入した事
学校の放送室を乗っ取って念力を生徒に送った事
卒業アルバムに潜む心霊写真を探していた事
UFOを探していたらいつの間にか記憶を飛ばされていた事
ミステリーサークルをでっち上げようとした事
「以上だ」
9 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 22:28:59.78 ID:ELZqmoDO
「1つ質問良いか?」
キョンは挙手をした
「おう」
「UFO探しの記憶が飛んだってのは本当なのか?」
「ああ。どうしても思い出せんのだ。何かを見たのかもしれない。しかしそれが何かが思い出せない」
水前寺はやれやれのポーズをした
「宇宙人に捕まって記憶を消されたんだわ、絶対!!」
涼宮は楽しそうに言った
「ありえん」
「絶対そうよ!!」
「好きにしろ」
水前寺の中では既に宇宙人だのUFO云々は終わった話なのでとことん興味がない
「これは調べる価値があるわ。有力な情報だったわ」
「そうか。ところで―――」
水前寺は入部届けを出して涼宮に尋ねた
「これはどうすれば良い?」
10 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 22:42:21.04 ID:ELZqmoDO
水前寺はSOS団の意志を半分試していた。この団で自分は求めている物を求められるか、と言う名目の元で。残り半分は興味本意。駄目だったら既に立ち去っている。新聞部についてはいつかは辞めるつもりであったので、それが早まっただけである
「あんたのその行動力を評価して我がSOS団は歓迎してあげるわ」
涼宮は入部届を受け取った
「本当は正式な部じゃないからこんなもの要らないのよね」
大方、そんなもんだろうと水前寺は思っていた。正式な文芸部員は有希と呼ばれたあの少女だろう
「長門有希」
こちらの視線に気付いたのか長門はフルネームを教えてくれた
「それじゃ今日は遅いから解散」
そう言って涼宮はご機嫌な様子で帰っていった
11 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 23:22:02.75 ID:ELZqmoDO
キョンは水前寺に尋ねた
「本当に良いのか?こんな訳の解らん団体に入って」
「良いから入った。それだけの事だ」
キョンは納得したかの様に返事をして立ち上がった
「俺達も帰るとするか。よろしくな、水前寺」
「共に仲良くやっていこう、キョン特派員」
そう言って右手を出す水前寺
「特派員?」
「ああ。これから共に取材へ行くのだからな」
何言ってんだ、こいつ。キョンはそう思った。水前寺は呑み込めないキョンを放って続けた
「同じジャーナリストとしてだな―――」
「待て待て。いつからここは新聞部になった?」
「新聞ではない。SOS団の機関紙を作るんだよ」
「その地点でジャーナリストじゃないぞ」
「気分の問題だ」
「気分って、あんた……」
「それでは」
そして水前寺は物言いたげなキョンを無視して帰った

水前寺の新たな生活の幕開けであった
12 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/27(土) 23:59:47.79 ID:ELZqmoDO
その夜
水前寺はスーパーカブで公園の近くを通った時に見覚えのある2人組を見付けた
「キョン特派員と長門君でないか」
自転車を押しているキョンと手ぶらの長門がどこかに向かって歩いていた
「逢い引きか?逢い引きか!?」
水前寺はカブ降りてエンジンを切った。静に2人の後をつける事にした。しかし
「……」
「どうした長門?」
長門は水前寺の居る方を見た
「……ん?」
キョンもそちらを向いた
「あ、お前……」
直ぐにバレた。隠れる等の抵抗は止した方が良いと水前寺は判断した
「やぁ、キョン特派員に長門君。こんな夜に何を何をしているのかね」
飽くまでも自然体を装う
「もしや逢い引きか?」
「ちょっ、いや抵抗は、そんなんじゃないぞ」
「……」
絶対零度の様な長門の瞳が水前寺を捉えたまま離れなかった
「それよりお前もなんでそんなもんに乗ってるんだ?」
13 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 00:24:03.67 ID:6mxNm6DO
キョンの質問に対して水前寺は堂々と答えた
「愛車だ!!!!」
「免許は?」
「想像に任せる」
……さいですか。お巡りさん、ここに無免許の高校がいるのですが―――
「さらばだ」
水前寺はカブに股がりエンジンを掛けた
「待って」
そう言ったのは長門だった「話がある」
「……?」
水前寺は再びエンジンを切り、カブを降りた
「来て」
「……??」
助けを求めるかの如くキョンを見た
「さぁ?」
「ふむ……」
水前寺は素直に付いて行く事にした

しばらくすると高級そうなマンションに着いた。水前寺とキョンは適当に“足”を停めた
あれから会話は零である。2人はパンドラの箱を開けたくない気持ち一心だった
長門の部屋に到着した。適当に2人は炬燵に座り、お茶を入れている長門を待つ
「……」
「……」
「……」
14 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 01:04:07.46 ID:6mxNm6DO
長門が湯飲みと急須を持ってきて座った。そこでやっと会話が再開された。キョンが
「あー……、家の人は?」
と長門に尋ねた
「居ない」
「居ないのは解るが―――」
以後の会話を水前寺は黙って聞いた。下宿中の高校生と勝手に解釈したのはここだけの話である。途中でお茶を汲んで貰ったので飲んだ。むしろ飲ませた。「うまれる……」、とキョン。「地味に旨いな」と水前寺。
限界に達したキョンは長門に自分達を呼んだ訳を訊いた。対して水前寺はまた黙って2人の会話を聞くしかなかった。2人の会話に入る余地がなかったからだ。流石に長門が“自分は宇宙人”と“キョンと水前寺がイレギュラー因子”だと言った時はどちらも「なんじゃそりゃ」とは突っ込んでおいたが、構わず長門は続けた。キョンでさえ何も言えてなかった
「―――それが私がここに居る理由、貴方達が居る理由」
「待ってくれ。正直言おう。さっぱり解らない」
「難しい日本語並べたら良いものじゃないぞ長門君、応答したまえ」
「信じて」
水前寺は少し考えた。その間のキョンと長門が会話は聞き流した
15 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 01:29:50.57 ID:6mxNm6DO
自分の中で意見が纏まらない。UFOは居なかった。従って宇宙人も居る筈がない。既に結論が出ている題材だ。実に下らない。下らな過ぎる。なのに何故ここで俺は蒸し返そうとしている。目の前に宇宙人が居るからか?そいつの話を信じているからか?信じる理由もないのに
「―――よくよく考えたら、アホらしい話だ」
天井を見つめる
「付き合いきれん」
隣のキョンも同様の意見だった
宇宙人は居ない。今更その概念を覆す事はしない。したくもない。ヘドが出る
「帰ろうぜ」
水前寺はそう言って立ち上がった。キョンも立ち上がり、長門の部屋を後にした
16 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 01:40:07.50 ID:6mxNm6DO
カブに股がった水前寺はキョンに尋ねた
「キョン特派員、君はどう思っているのかね?」
「お前と同じだアホらしい話だ」
「有機生命体の進化がどうのとか、結局は監視されているみたいな気分だ」
「済まん、キョン特派員。有機生命体の進化って何だ?」
「……聞いてなかったのか?」
「ああ。俺の中で宇宙人は居ないってのが覆りそうになっていたから抑えていたのだ」
「中2病かよ……」
「好きに言え」
キョンは水前寺が聞き流した辺りを大まかに説明した。俺達は選ばれたのだの危機が迫るだので水前寺は
「長門君の方が十分中2病でないか」
と大笑いした
「そんなにおかしいか?」
「類は友を呼ぶってやつだ」
「……?」
17 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 10:57:25.60 ID:6mxNm6DO
翌日
水前寺が部室に行くとホモっぽい男がSOS団に加わっていた
「謎の転校生、古泉一樹君よ!!」
「どうも初めまして」
「水前寺だ」
軽く挨拶を済ませた水前寺は椅子に座り自前のノートPCを広げた

この日は特に何をする事もなく終わった
18 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 11:13:40.89 ID:6mxNm6DO
また翌日
水前寺が部室へ向かうとその前でキョンが外に出ていた。理由を聞くと朝比奈が涼宮によって生着替えをさせられているらしい
しばらくして中に入る許可が出たので2人は入室した
「やっぱり萌と言ったらメイドでしょ。学園ストーリーに1人は居るでしょ」
「どこにそんな学園があるのだ涼宮君、応答せよ」
「さて記念に写真でも―――」
涼宮はどこからともなくデジカメを取り出した。「なんだ、今日からSOS団はコスプレサークルにでもなったのか」と水前寺が尋ねたが彼女は聞く気ゼロであった。途中でキョンへカメラマンが代わった。涼宮は嫌がる朝比奈の衣装をはだけさせたり等をした
「うわっ、なんですかこれは!?」
古泉が来た
「コスプレ撮影会だ」
水前寺は自信満々の笑みで答えた
「良いから止めろ!!」
キョンが悲痛の叫びを放った。彼はなんとか涼宮を制し、コスプレ撮影会を終わらせた
すると涼宮が今度はこんな事を言い出した
「それでは第1回SOS団ミーティングを始めます!!」
19 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 11:33:54.32 ID:6mxNm6DO
「今まで私達は色々やってきました」
涼宮は演説よろしく、ビラ配り、HP作りでSOS団の知名度が鯰の鯉のぼりと言った。「鰻の滝登りだ」とキョン
更に涼宮は続ける。メールが来なければ奇怪に対する悩みを相談にくる者が来ない。例外としては体験談を話してくれた水前寺のみだと嘆いた。だから今度は待ってばかりでなく、自ら探し出そうと言い出した。この世の不思議を
「皆で取材に向かうと言うのか、涼宮君?」
「取材って言葉に何か引っ掛かるけど―――まぁ良いわ。自分の足で求めに行くのよ」
ニタリと笑う水前寺。「そうとなれば善は急げだ。早速未来人について情報を集める」そう言って彼は嵐の様に去っていった
「あ、ちょっと―――もう。キョン後で水前寺に連絡しといて」
「何を」
涼宮は土曜の不思議探索の要項を言った
20 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 13:00:32.44 ID:6mxNm6DO
土曜日
「もう揃っているようだな」
オンボロの軽トラに乗っている水前寺。運転しているのは当然彼である。
公園の出入り口付近で一旦止まり、
「おーーい」
クラクションを鳴らし、涼宮達に向かって手を降った。すると驚いた顔の5人が寄ってきた
「遅い、罰金!!」
涼宮の一番開口はそれだった
「仕方が無いのだ。タダで置ける駐車場が無い」
「……失礼ですが、免許の方は―――」
と古泉は小声で訊いてきた
「想像に任せる」
「解りました」
21 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 13:12:51.92 ID:6mxNm6DO
喫茶店
涼宮は二手に分かれて不思議を探すと言い出した。それを決めるクジの結果
「俺とキョン特派員。それに朝比奈君だな」
「あんた達真面目にしなさいよ」
「勿論だ涼宮君。既に未来人に関しての資料は膨大な数になった。後は現地における取材とどこまで潜入でき―――」
「良いからさっさと行きなさい!それに未来人だけじゃなくて他の不思議も―――」
「興味はない。良いか涼宮君。未来人と言うのはタイムパラドックスを起こすか起きないかのギリギリのラインで存在しているのだ。より慎重に取材ゆ行わないと未来が大きく変わって―――」
「宇宙人だってどんな格好で潜入しているか解らないわ。超能力者も然り。あんたの取材が本物なら未来人だけとは言わず見付か―――」
「宇宙人!?超能力者!?そんなものは存在しない。時代は未来人だ―――」
お互いの意見は聞く気無しの様である
22 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 13:18:44.83 ID:6mxNm6DO
再び公園
2人の熱い議論は両者が「話すだけ無駄である!!」「それはこっちのセリフよ!!」と意見が纏まり、一時休戦になった
「マジで真面目にしなさいよ!特にキョン!!」
「俺!?」
「みくるちゃんとデートしようと思って水前寺を放つんじゃないわよ」
涼宮のセリフに対し水前寺が「俺は犬か猫なのか!?」
「うっさい。兎に角、ふざけんじゃないわよ!!フンッ」
23 :ELZqmoDO [sage]:2010/02/28(日) 19:35:01.46 ID:6mxNm6DO
涼宮、長門、古泉組と別れた水前寺達は顔を見合わせて
「さて。これからどうするのかね、キョン特派員」
「お前、さっき情報収集がどうのとか言ってなかったか?ならそっちにいきたいんだが……」
「嘘だ」
「はぁ?」
「嘘800。本気で信じていたのかね、キョン特派員」
あんぐりと口を開けるキョン。水前寺は「はっはっはっ、青いぞ、青すぎる。青菜より青いぞ」

と言う訳で3人は適当に歩いた。ロクに会話をする事もなく、淡々と。気が付くと桜並木がある川沿いに来ていた
なんとなく話し辛い空気が漂っていたが、朝比奈の一言でそれは和らぐ事になった
「私、こうして男の人と況してやこんな形で出歩いた事が無いのです」
「へ、へぇ。甚だ以外ですね―――」
楽しそうに会話をする2人を見て水前寺はタイミングを伺った。脱け出す事を告げる要項を
「……キョン特派員」
「……何だ?」
「それと朝比奈君」
「はい……?」
「俺はこのまま抜けさせて貰う。涼宮君には適当に誤魔化しておいてくれ」
「お、おい!?それは不味いだろ」
「ではっ」
「まっ、待って下さい!!」
立ち去ろうとする彼を強く止めたのは朝比奈だった
「お2人に話したい事があります。せめてそれだけでも……」
決心をした顔の中に潜む不安。流石にそんな朝比奈の姿を見た水前寺は断れなかった
「……良いだろう」
24 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/01(月) 00:17:42.23 ID:.8FTtADO
朝比奈は自分は未来人だと言った。時間と言うのはアニメのように1つ1つがコマの様に流れていて、自分はその間にある小さな気にもならない埃だと称した。余程の事が無い限りタイムパラドックスは起きないらしい
全てを聞き終えた水前寺は考えながら朝比奈に尋ねた
「長門君もそうであったが、朝比奈君は何故俺達に正体を明かしたのかね?」
「それはお2人が涼宮さんに選ばれた人だからです」
「……長門君もそう言ってていたな」
「無理に信じなくても良いんです。唯、これから起こる事を考えたら言っておいた方が―――」
「後々楽。って訳か」
「―――はい」
キョンは信じる信じないは後で決めると言った。全て保留。朝比奈もそれで納得した
ちなみに実年齢については
「禁則事項です」
と明かしてくれなった
25 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/01(月) 00:31:38.41 ID:.8FTtADO
喫茶店に戻る途中、キョンと水前寺はヒソヒソと会話をしながら歩いた
「ところで水前寺、1つ質問してもいいか?」
「何かね、キョン特派員?」
「朝比奈さんが『自分は未来人です』って言った時何も反応しなかったよな?」
「……?それが何かあるのね」
「いや、いつものノリとテンションが高くなると思っていたんだがな。『未来人居たぞーー!!』みたいな」
キョンは万歳のポーズをとった
「それが無くて逆にどうしたのかなぁって」
「俺のキャラをどう思っているのか一度ゆっくり話す必要があるなぁ、キョン特派員。……まぁそれは後にして。―――朝比奈君の言葉が信じるに事足りなかった。それだけだ」
26 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/01(月) 00:39:59.14 ID:.8FTtADO
「今後俺がどう判断するかは、これから彼女達の行動次第だ。結果的には俺も保留。流石に2日連続で別々の人物から普通の人間じゃないのを明かされたら考える」
「そうか。―――もう1つ聞きたいんだが、未来人についての情報収集はどこまでが嘘なんだ?」
立ち止まる水前寺
「そう思った根拠は?」
「喫茶店でお前と涼宮が言い合っている間、お前のセリフの中で朝比奈さんが何度かビクビク反応してたんだ」
「なかなか鋭いでないか、キョン特派員。見直したぞ」
「そりゃどうも」
27 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/01(月) 01:01:00.96 ID:.8FTtADO
「嘘の部分は資料のが膨大にあると取材をすべき場所があるの2つだ」
「殆んどじゃねえが」
「嘘と言うのは飽くまでも結果論だ。弁解させて貰うと1つには、資料の大半が日本語以外の物が多く、解読が出来ていない。従って現地点ではそれらはタダの紙屑同然」
水前寺はピースを作り、
「2つには取材ポイントが少なすぎる。解読が進んでも、取材すべき場所を資料に沿って理論的に考え、その地の謂われについて調べなければならないので時間がかかる。」
次にスリーピースを作る
「3つには涼宮君に対して言ったあれらは『あながち嘘ではない』と言う虚栄心を張っただけだ」
「どうしてそんな事を―――」
「我ながら大人げないとは感じてはいる。唯、求めている物が違うせいか、変なライバル意識が出てしまったのだ」
「……」
「反省はしている。済まなかった」

「キョンく〜ん、水前寺く〜ん。涼宮さんに起こられちゃいますよぉ〜」
遠くで叫んだ朝比奈を合図に2人は再び歩み始めた
28 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/03(水) 20:43:39.85 ID:tCkNEUDO
集合場所に到着する前に水前寺はキョンと朝比奈と別れた。そそくさと駐車へ行き、軽トラに乗った。料金を払い後は帰宅するのみ
帰宅してからはからは浅羽直之と他愛もない会話をし、また会う事を約束して終わった。ちなみに、SOS団に入った事は言わなかった。自分自身、なにをしていくかが決まってなかったからだ
夜からは資料の解読を進め、日曜もそれに費やして終わった
「我ながら、充実しているのかしてないのやら。よくわからん生活になりそうだ」
29 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/03(水) 20:47:48.37 ID:tCkNEUDO
月曜の放課後
水前寺は部室から出ていくキョンと古泉と遭遇した
「キョン特派員に古泉一樹でないか。丁度良い、2人に話をしたい事がある」
それに対しキョンが
「奇遇だな。俺もお前に用事があった」
水前寺はニヤリと笑い、2人の後を憑いていった
30 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/03(水) 20:53:33.32 ID:tCkNEUDO
中庭。3人は飲み物を手にし、適当なテーブルに座った
「さて、先ずはキョン特派員に質問をしよう。涼宮君は望の者を見付ける事は出来たのかね?」
「さっぱりだ。俺に八つ当たりと反省会の予定をぶつけて帰った」
「ほぅ、隣に宇宙人それに謎の転校生以上に不思議な力を持った少年がが居たのに、か」
そう言って水前寺は古泉の方を見た。少し驚いた顔をしてキョンもそれに習った
「奇遇2つ目だな、水前寺。丁度俺もそう思っていた所だ」
31 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/03(水) 21:08:02.22 ID:tCkNEUDO
スマイルを崩さない古泉
「『お前も』と言うからにはお二方から何らかのアプローチがあったのでしょう。そして“部長”さんもなんらかの絡みがあった」
眉をピクリと動かす水前寺
「“それ”がお前の力か?」
「順を追って説明しましょう。その方が理解もしやすい。先ずお二方は涼宮さんについてどこまでご存知でしょうか?」
「タダもんじゃないってとこ位か」とキョン。「混沌の渦の中心」と水前寺
「それなら話しは簡単です。その通りなのでね。特に水前寺さんはいい線を言ってますね」
「誉めても何も出てこないぞ、古泉一樹。それよりも正体を明かしてもらおうでないか」
「お察しの通り、超能力者です。そう呼んだ方が良いでしょう」
超能力……か。水前寺は小さく呟いた。以前の活動で超能力は無いと決まってからノンタッチだった。今更ながら掘り下げる気にもならない。しかし目の前の少年は自らを超能力者と名乗った。長門の話を聞いていた時の気分になった
32 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/03(水) 21:14:39.54 ID:tCkNEUDO
水前寺は古泉が話した事を要約してみた
転校の予定は無かった
長門と朝比奈が涼宮と結託するとは思わなかった
詳しい事は「百聞は一見にしかず」の元、後日説明する。この点は長門と違い、超能力について信じるに価する手がかりとなりそうである
古泉に属する『機関』とやらに超能力者がわんさか居る。水前寺を“部長”と皮肉めいて呼んだのは『機関』の情報力の産物らしい
33 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/03(水) 21:26:18.91 ID:tCkNEUDO
『機関』はハルヒを神扱いしている。そして監視をしている
望みを叶える力がどうの
3年前に何かあったらしい
『機関』は世界が崩壊しないように影の努力を行っているらしい
当然ハルヒは自分にそんな力があるのは知らない
「触らぬ神に祟り無しか」
「知らぬが仏」
34 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/03(水) 21:38:16.93 ID:tCkNEUDO
超能力とやらが発揮できるのは幾つかの条件が重なる事が必要らしい
「都合の悪い能力だな」
「いずれお見せします」
話しはこれでお開きになった
補足としては、古泉はキョンは「至って普通の人間」と称したのに対し、水前寺には
「先程も経歴について語りましたが、涼宮さんが2人居るような感覚です。中学生にしてはすばぬけた行動力。そして偏差値の高さ。ある意味、全てにおいて涼宮さんよりは上手です」
「大きな違いは『力』を持って居ない、ってことろだな古泉特派員」
「おや、僕も太陽系電波新聞の仲間入りですか」
「どちらかと言えば君の属している機関の方が頼りになるな」
「んふ、ぬか喜びとはよく言ったものですね」
35 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/03(水) 21:54:20.13 ID:tCkNEUDO
古泉はニコニコスマイルで
「では、これにて失礼します」
と言って帰っていった

「俺も帰る」
水前寺はコーヒーの入っていた紙コップを屑籠に投げ入れながら
「そう言えばハルヒの奴カンカンだったぞ」
「構わん。はいそうですか、と言える程俺は人間が出来ちゃいない。俺は俺のやりたい事をする。飽くまでも涼宮君とは似ているだけで俺は涼宮君ではない」
「……」
「意識の違いだ。俺はやりたい事がある。この集団ならやれるかもしれない。そう思って入った。それに対し君は無理矢理引きずり込まれた。それでも拒む事は出来た。でもしない。……何故か」
無言のキョン。それでも水前寺は続けた。ニヤリと笑い
「君は求めているベクトルが無いからだ。しかし引っ張ってくれている人が居る。だから居られる、続けられる」
じっと水前寺を見つめるキョンが口を開きかけた。しかし
「と、まぁ。キョン特派員がSOS団にいる理由は俺の妄想だ。なんだっけ、ダルデレキャラか。良いセンスだと思うぞ」
ズテンとキョンは新喜劇宜しく転んだ
「誰がダルデレだ!?」
36 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/03(水) 22:00:17.04 ID:tCkNEUDO
「ところでキョン特派員」
「何だ?」
「俺はいつかはマジレスをし始めたんだ?」
「知らん……」
キョンは肩の力を抜いて諦めのポーズをした
「支離滅裂になってしまったようたから俺はここでまでだ。出直してこよう」
ではっ。そう言って水前寺は去って行った
「……ホント、ノリの解らん奴だ。急に何かを説きだしたし」
水前寺邦博。扱いにくい奴である。キョンは古泉の涼宮が2人居る様だと言う言葉を思い出した
「退屈しないな」
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/06(土) 17:17:57.05 ID:/3cuT.DO
その翌日の放課後
部室に行く途中で水前寺は朝比奈と会った
「あ、こんにちは」
「おす」と短く挨拶をして、しばらくは無言で歩いた
「この前の件なんだが」
「は、はい!」
すこしテンパる朝比奈
「君が未来人と言うのに関しては信じるに事足りないが、ある条件下で信じてみようと思うのだ。これは長門君、古泉特派員、それに涼宮君にも言えるのだが、―――君達はただ者ではない。その正体の可能性として未来人、宇宙人、超能力者、そして神様、創造主或いはそれらに準ずるもの。少し特殊な人間として扱う」
「……はい」
「結果としては差別的な扱いかもしれないが、勘違いはしないでくれたまえ。俺は今まで通り接する」
「はい。解りました」
朝比奈は笑顔で答えた
「あと、もう1つ要求するのだが、その特殊な何か事をする時は一声かけてくれたまえ。見届けて―――」
水前寺はデジカメと『太陽系電波新聞』の腕章をどっからともなく取りだし
「―――取材を敢行する」
さすがに少し引いた朝比奈は「出来る範囲でお願いね」と念を押しといた
38 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/06(土) 17:37:25.25 ID:/3cuT.DO
部室前に到着した水前寺は扉を開けようとしたが
「おっと」
無言のまま涼宮が飛び出てきた
「……済まない」
涼宮は少し水前寺を見つめたが、何も言わずそのまま帰っていった
「……なんだってんだ、一体?」
「……なんでしょう」
怯えたかのように朝比奈は水前寺の制服を掴んでいた
それを見たキョンが少しムッとしていたのに気付いた水前寺は後で「天然キャラに何を求めているのかね?」と背中をバシバシ叩いて言った
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/03/06(土) 23:39:35.96 ID:23KzMtQo
あなたはそこらの職人よりよっぽどいい
俺、ROM専なんだが(ここの奴等はだいたいそうだが)支援するよ
しょっぱなから見てた
40 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/09(火) 22:49:34.99 ID:886WkgDO
団長の居ないSOS団はとても静かである
特段と居づらい訳ではないが、キョンは話題を探そうとケータイの時計を見ながら思った
「そう言えば―――」
「時にキョン特派員」
閃いた瞬間、水前寺と同時に喋っていた
「…………はは」
「…………ふっ」
一瞬流れた沈黙
「涼宮君の機嫌が悪いのは俺のせいか?」
案の定だな、とキョンは思った。沈黙から間髪入れず水前寺は喋ると彼は不思議と解っていた。涼宮とは似て非なる者と言ってる割には五分五分である
「なんでそう思った?」
「素直な奴ではないからな。直接口では言わず行動で示すタイプはあんなもんだ」
41 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/09(火) 22:57:51.60 ID:886WkgDO
「まるで何か知った様な意見だな」
キョンは皮肉のつもりで言った
「少なくとも、俺は涼宮君が素直な所を全く見た事がない。キョン特派員はどうなのかね?」
ごもっともな意見だった。が、
「さっきは素直だったぞ」
「さっきは?」
キョンは水前寺が来る前に起きた出来事を簡単に説明した。涼宮が勝手にSOS団の公式HPへ掲載した朝比奈の写真。個人情報云々の説教
「ほぉ……、珍しい事が重なったな」
重なったと言うのは長々と強く説教をしたキョンと納得した涼宮の事である
42 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/09(火) 23:03:47.25 ID:886WkgDO
キョン自身もあんなに説教をしたのは初めてである
「全く、何をしでかすか今後も目が離せん」
「はっはっはっ。今回で少しは良い薬になっただろう」
ニヤリと不敵に笑う水前寺
「その含みのある笑いはなんだ?」
「いいや。特筆すべき事ではない」
「それが回収されない伏線に繋がるのをお前は知っているのか?」
「そこは君の技量だろう。最も、ここでは回収されないのが普通なんだがね」
43 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/09(火) 23:12:13.91 ID:886WkgDO
「ならば回収してやろう」
本日二度目の強く出る
「ふっ。大層おモテになってるそうだな」
水前寺はキョンのフルネームを皮肉たっぷりで言った
「……っ、なっ!?」
「今朝見てしまったんだよなぁ。“君の下駄箱に封筒を入れた女生徒の姿”をな」
水前寺曰く、下駄箱入れの昇降口でキョロキョロと不審な動きをする人物を追いかけていたら行き着いたらしい
「なんつぅーか、そこで潜入スキル発揮してどうする」
「スニーキングはスクープ記事の第一歩だ、キョン特派員」
44 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/09(火) 23:26:37.64 ID:886WkgDO
動揺を隠せないキョンは水前寺に、手紙を下駄箱に入れた女生徒の特徴を求めた
「こう言ったイベントは会うまでの妄想を楽しむのが通だ」
主人公補正の塊に言ってやれ
「にしても下駄箱にラウ゛レターなんぞ化石みたいな事をするな。空から女の子が降ってくるボーイミーツガール並みに」
「人はそれをベタと呼ぶんだ」
「似たようなもんだ。何れにせよ、もうこの手の出会いから物語を始めるまは忘れた頃にでもないな」
そこまで意見出来るお前が凄いとキョンは思った。よくよく考えると、こいつの頭は勉強的には激しかった気がする。噂では中学生の地点で偏差値が80越えが当たり前。とてもそういう風には見えない性格と行動はどこで靴を履き違えたのかが気になって仕方がないキョンであった
45 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/09(火) 23:33:23.52 ID:886WkgDO
水前寺とごちゃごちゃ話していたら丁度良い時間になった。更にそこで
「バイトがありますんで」
と古泉が顔だけ出して帰っていった。それから少しして
「あいつホストか何かか?」
「ぜってぇーねぇーよ!!」
水前寺はキョンに真顔で訊いた

長門が本を閉じて立ち上がったのを合図に朝比奈が「着替えるから先に帰ってて」と言った。水前寺とキョンはそそくさと部室から出たて階段を下った
「良いか?絶対に憑いてくんなよ?」
「野暮な事はしない」
それだけ会話を交わし2人は別れた
46 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/09(火) 23:46:42.49 ID:886WkgDO
「―――と言って今回は引き下がる俺ではい」
太陽系電波新聞の腕章に小型のデジカメ。無意味なヘッドセット。潜入する気満々である
「一年五組の教室に入室を確認」
独り言を言いながらキョンが入っていった出入口に張り込む
「キョン特派員が朝倉涼子と接触」
中から聞こえる会話に耳を傾け集中した
「―――とがあるの。……涼宮さんの事についてね。どう思ってる?」
涼宮君……だと?はて、なんで彼女の名が出るのやら
「別に」と答えるキョン
「人間ってさ、よくやらずに後悔するよりやって後悔する方が良いって言うよね?。これはどうおもう?」
……今度は話題が飛躍したぞ、朝倉君
「よく言うかは知らないが、言葉通りの意味だろうよ」
「じゃあさ、例え話なんだけど―――」
47 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/09(火) 23:59:57.88 ID:886WkgDO
朝倉はキョンに現状維持だとじり貧、もうどうすれば良いか解らない、キョンはどうするかと訊いた。しかしキョンは何の事かさっぱりのようである。それに対し朝倉はとりあえずなんでも良いから変えたいと答えた
水前寺は「興味深い」と朝倉の言葉を高速で書いていった
朝倉は更に続けた。上層部が堅い連中。でも現場は呑気にはしていられない。お陰でどんどん良くない方向に行く。だったらいっそ現場の独断で変革を進めても良いだろう
「最初のフリはこれに繋がるって訳か」
水前寺はふとペンを止めた
「…………っ!」
考えるより身体が先に動いた
「キョン特派員ーーー!!」
48 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/10(水) 00:09:34.89 ID:1.4coEDO
水前寺の勘は正しかった
朝倉の計算は間違っていた
「なんなの!?」
「大丈夫かね、キョン特派員!!」
キョンは理解が出来なかった
朝倉に『貴方を殺して涼宮ハルヒの出方を見る』みたいな事を言われた瞬間、彼女が突っ込んできた。ここまでは覚えている。あとはこの現状から答えを導くしかない
武術っぽい構えをする水前寺とその傍らで転がっている朝倉
なんだ簡単じゃないか
水前寺が俺と朝倉の割って入り、危害を加えようとする彼女を投げ飛ばしてくれたと言う以外どう言えと
49 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/10(水) 00:22:13.09 ID:1.4coEDO
「良いわ。貴方も殺してあげる。とても興味深い対象だしね。元々別の方法で現状打破も考えていたけどこれも悪くないわ」
立ち上がる朝倉。再び構える水前寺は小声でキョンに
「ゆっくりと教室を出て教員を呼んで来い」
腰が抜けたのか、尻餅を引き摺りながら後退した
「冗談にしては笑えないぞ、朝倉君?」
「あら?冗談に見えたのかしら」
「最近のツンデレってのは過激なのかね?いや、この場合ヤンデレか」
「……そう」
再びナイフを構える朝倉は興味を失った子供の様な切り替えだった
「水前寺!!」
なんとか教室の外に出れたキョンは彼の名を呼んだ
「おう、頼んだぞ!」
「何言ってんだ!?にげ―――」
水前寺がキョンの声を聞けたのはここまでだった
50 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/10(水) 00:33:40.24 ID:1.4coEDO
「あーあ、残念。逃げられちゃった」
「その割には残念そうでないな」
ニヤリとまた不敵な笑いをする水前寺
「ま、予定が入れ替わった程度だから十分補正は可能よ。キョン君には別の方向で現状打破して貰うわ」
朝倉は正直な所、水前寺が何を考えているのかは解らなかった。過去の経歴は調べたが、一部で有機生命体がかけられる代物ではないものらしき意図的なプロテクトがあった。そして彼の更なる過去についても資料があったが余計理解が出来なくなった
前世は椎茸
51 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/10(水) 00:43:08.53 ID:1.4coEDO
「そうか。俺は貧乏クジか……」
「結果的には、ね。あそこで飛び出して来なかったらもっと違ったかもしれないのに」
「かもな。―――ならば冥土の土産に1つ頼みたいのだが良いか?」
「何かしら?」
「この教室のタネを教えてくれ。急に出入口が壁になったり空間がねじ曲げられてるような感覚に陥ったり、正直付いていけんのだ」
水前寺はこうした会話の最中でも彼の現状打破を考えていた。さて、どうしたものだか
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/10(水) 18:03:04.79 ID:3tSMMTco
部長かっこいいよね…
53 :ELZqmoDO [saga]:2010/03/11(木) 12:51:15.34 ID:JXnmwIDO
一番単純なのは朝倉をノックアウト
「凄いわね、空間の変化に気付くんだ」
「まぁな」
そうなればナイフのアドバンテージをどう埋めるかが問題である
「良いわ、教えてあげる。この教室内は私の制御下にあるの」
「制御?」
「情報操作って言えば解るかな」
「……成る程」
これだけの説明で水前寺は十分理解できた
「つまり固有結界か」
「は???」
「自分だけの現実」
「……何が言いたいの?」
「いや、独り言だ。気にするな」
疑問符だらけの朝倉はナイフを水前寺に向けて
「そう。じゃあ死んで」
言うやいな、彼女は一直線に走った
「くそっ」と水前寺は呟きナイフを紙一重で交わした。それと同時に朝倉の腕を掴み、後は頭で考えず身体に染み着いた動きと形で朝倉を投げる体勢に入った
「よいしょっと」
しかしまるで見透かされたかの如く、あっさりと流された
「それは柔道の一種かしら?」
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/11(木) 13:25:50.76 ID:gVbUstso
改行すると読みやすくなるかな
それは勝手だけどね
55 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/12(金) 22:16:53.11 ID:CKnXTgDO
水前寺はすぐに構え直し、次なる攻撃に備えた
「少なくとも純粋な格闘技をした事はないな」
「…………本当に鬱陶しいイレギュラー因子ね」
朝倉の目がすわった
「……それはどうも」
「…………」
再び対峙する2人はそのまま動かず、相手の出方をみた。これにより水前寺は頭の中で対処法を全力で考える時間が出来た

一体どれ位の時間がたったのだろうか。2人は構え直しはするものの、先に出ようとはしなかった。ここまで会話無し。実際は5分も経っていないが一時間以上が過ぎたような感覚に水前寺は陥った。更に考えるのが段々面倒になってきた。どう考えても勝ち目が見付からないのである。多少の怪我を負わせても、それが解放の切っ掛けになるかと問えば、否。
従って、現在の彼の結論は延命程度の足掻きをする
この場においてヒーローなど居ない。少なくともこの時の水前寺は既に希望を持っていなかった
56 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/12(金) 22:27:10.26 ID:CKnXTgDO
そんな中、やっとと言うべきか、沈黙の空気を破ったのは溜め息をついた朝倉だった
「1つこっちからも質問して良いかな?」
「俺の持てる情報内でならな」
「ありがとう」
朝倉はニコリと笑った
「去年の夏はどう過ごしたの?」
「殿山で潜入取材だ」
「何を探しに?」
「……UFOだ」
険しい表情になる水前寺
「そう。で、見付かったの?」
「…………。見付かっていない」
「ホントに?」
「ああ。厳密に言うと覚えていないのだ。何をしていたのか、何を覚えてないのかも解らん。気が付いたら―――」
水前寺が続ける言葉を朝倉は先に言った
「田圃のど真ん中に立っていた。それも降臨したかの如く」
「……知っているのに何故聞く?」
「そうね。さっきも私言ったじゃない?鬱陶しいイレギュラー因子だって」
57 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/12(金) 22:48:58.92 ID:CKnXTgDO
朝倉は持っているナイフを見ながら言い続けた
「さっきから情報操作が上手くいかないのよ。この空間を維持するだけでもやっと。あ、このナイフは本物よ?」
「……何が言いたいのだ、朝倉君」
「つまりね、貴方のせいで上手く情報操作が出来ない上に、貴方に直接情報操作が出来ないから手をこまねいているの。その原因を知りたくて今の質問をしたの」
例の夏休みの件である
「結果、その原因は貴方の記憶喪失中の出来事にあったって事」
水前寺はさっぱり理解できなかった。オブラートに包んでいるのやら焦らしているのやら。早く真実を伝えて欲しかった
58 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/13(土) 13:30:44.37 ID:HZlJwsDO
「俺の記憶喪失の原因…………」
「貴方はね―――」

―――UFOに拐われたの

「…………」
真面目な顔して何を言うかと思えば
「ギャクか?ギャグなのか!?」
「誰も笑いをとろうとはしてないわよ」
ニコリと笑う朝倉は水前寺の方を見直した
「1つの可能性として語っただけよ」
しかし今の水前寺は半分納得がいった。記憶がハッキリした時、彼は田圃のど真ん中にそこまでの足跡もなく立っていたのだ。まるで空から舞い降りたかの如く。関係各者は首を捻り過ぎて筋を違えた位である
59 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/13(土) 13:31:42.04 ID:HZlJwsDO
「確かに俺は何をかを見た。何を見たのかは覚えていない。何を見に行ったのかも覚えていない。だからそれが朝倉君の結論に至るかは不明だが―――」
水前寺は息を吸い、一間いた
「今の俺には信じるに事足りるかもしれん」
「半信半疑ってところね」
そう言う事にしといてくれ
水前寺はしっしっと小さく手を振った
そしてその時

ガコンっ

2人の真ん中で大きな音と煙幕が発生した
「なっ、なんだこれは!?」
「……ちっ」
舌打ちをする朝倉
「…………」
煙幕が晴れた先には
「長門君……!?」
長門有希が立っていた
60 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 11:28:36.87 ID:qjGmjsDO
長門は朝倉を見据えたまま淡々と喋った
「一つ一つのプログラムが甘い。だから私の侵入を許す」
「……そうね。甘かったわ。イレギュラー因子が居なかったらそれは解らないけど」
「それでも甘い」
「あーあ。失敗しちゃった」
朝倉が残念そうに呟くと、突然彼女の体が発光しながら消滅を始めた
「なっ、何がどうなっているのかね?長門君!?」
「朝倉涼子の情報連結を解除した」
61 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 12:20:38.14 ID:qjGmjsDO
長門のセリフで水前寺はもう宇宙人に疑問を持つ事を辞めた。こいつら何でもありだな、と。ご都合主義とは彼女達の事を言うのだろう。水前寺はそう思いながら消え逝く朝倉を見た
「今回はこれだけで済んだけど、私のような連中は沢山居るわ」
「所謂、急進派って奴か」
「そうね。現状打破したくてしょうがないの」
朝倉は持っていたナイフを水前寺の足下に投げた
「せいぜい涼宮さんとお幸せにね。それは形見としてあげるわ」
「……ふっ」
水前寺はニヤリと笑い、それを拾い上げた。逆手に持ち変え、彼の基本的な“構え”を見せた
「鞘は自作だな」
62 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 13:43:45.58 ID:qjGmjsDO
朝倉の消滅後、長門は教室を元に戻した。再構築がどうのとか言っていたが、水前寺は聞き流した。そして彼は長門の左肩に右手を乗せて感謝の意を表した
「世話になった」
「……いい。彼女の暴走は私の不始末」
「手遅れに」
と、ここで水前寺は長門の眼鏡が無いのに気付いた
「彼女の領域へ侵入する際に物理的衝撃を併用した。おそらくその時に損失したと思われる」
「それなら―――」
水前寺は長門の正面に立ち、自らの伊達眼鏡を彼女に掛けさせた
「眼鏡属性ってのは大切だぞ」
「……貴方は―――」
「気にするな。予備は幾らでもある」
63 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 13:51:00.64 ID:qjGmjsDO
普通であれば伊達なのに何故予備を持っているのかと突っ込みが入るが、
「……そう」
相手が相手なので入る訳がなかった
「―――1つ貴方に尋ねたい」
「何かね?」
「眼鏡属性って何?」
水前寺はニヤリと得意の不敵な笑みを浮かべ、
「涼宮君にでも尋ねたまえ」
「……そう」
それだけで十分だったようである
64 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 13:59:03.19 ID:qjGmjsDO
水前寺は自分の顔を長門の顔に近付け、「似合っているぞ」と呟き、彼女の肩をトントンと叩いた

ガラリ
突然教室のドアが開き、
「WAWAWA忘れ物〜」
このクラスの住民らしき男子生徒が入ってきた
「WAWAWA―――っWA!?」
男子生徒は顔の近い2人を見て何を思ったのか
「っ、ごゆっくりぃぃぃーーーーーー」
回れ右をして物凄い勢いで走り去った
「……」
「何かね、今のは……」
そこでまた別の人物が教室に入ってきた
「おい、さっき谷口が―――」
キョンも2人の姿を見て無言になった
「ごゆっくり」
戸を閉められた
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/14(日) 18:15:47.83 ID:7RpY0/Yo
まだやってんの?
66 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 19:30:22.12 ID:qjGmjsDO


麓の自転車小屋までの帰路
キョンは教室から逃げた後の事を軽く話した
「職員室に行くと途中で長門に会ってな。すると長門が『任せて』って言って教室の前で訳の分からない言語を喋り始めたんだ。その後教室の扉に突っ込んでいったと思ったら消えた。谷口が来たのは5分位経ってたからだ」
キョンは谷口が来た際は隠れていたと言った。話が終わり、「成る程」と水前寺は呟いたがそれから彼は無言のままだった
そのまま自転車小屋に到着し、後は各々の帰路についた

翌日。放課後の部室で長門から「朝倉涼子を転校扱いにした」と言う旨を聞いた
67 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 19:52:04.90 ID:qjGmjsDO
切りが良いのでここで要望通り改行の際は一行開けて綴ります

書き溜めらしい書き溜めも無くなったし

しかしこんな誰得スレをよく見付けましたね

お兄さん褒めてあげるよ




自主休日なのはSOS団であって、文芸部員である長門は居る筈である

そう思った水前寺はいつも通り扉を開けた訳だが、そこには案の定彼女が居た

朝倉を転校扱いがどうのと言ったのは水前寺が荷物を置き、団長席に座ってPCのスイッチを投入してからである

「消滅した朝倉涼子の扱いは転校が一番自然と判断した」

「急すぎて不自然と捉えた人間の内、一番ややこしい行動を起こす人物が居ると思うのだが」

「想定の範囲内」

水前寺は今頃時間の無駄な事をしているキョンを想像し、1人苦笑していた
68 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 20:08:44.72 ID:qjGmjsDO
PCが立ち上がり、ウイルス対策ソフトが起動した辺りで長門は本を閉じた

いつもの活動終了合図を聞いた水前寺は「戸締まりは任せろ」と言って手だけを長門に見せて振った

「……」

せっせと長門は荷物を纏めて部室から出ていった


それから水前寺は下校時刻までネットサーフィンをしていた

何かを考えした訳でもなく、自分の知りたい情報を漠然と探し続けた

そしてある記事を見て手が止まった

それは3年前の物だったが、とても興味深った

中学校のグラウンドに描かれた奇怪な文字

「私はここに居る、ってか……」

水前寺はそこに描かれた文字を見て解釈した

「そう言えばいつぞやの浅羽特派員も同じ様な事をしていたな」

あの時はでっかいでっかいよかったマークだったが、その時の水前寺は既にUFOに関する事柄は興味を無くしていた
69 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 20:23:36.16 ID:qjGmjsDO
後に水前寺は暇潰しがてら、浅羽から地上絵の資料を見せて貰うのだが、その中に今見ている記事があったのを覚えていたのだ

そして丁寧にも『私はここに居る』と言うメモ書きの様なタイトルが振ってあるのも覚えていた

「空に還っていった伊里屋特派員にはぴったりだったのに、浅羽特派員は残念な事をしたな」

ガチャ

苦笑していた水前寺は突然開いた部室の扉にビクリと反応した

「どうも、こんばんは」

「なんだ古泉特派員かね」

「これから時間は宜しいですか?」

含みのある笑みを浮かべる古泉

「まぁ、空いてはいる」

「ではご同行をお願いできますか?付いてきて頂きたい所がありました」

水前寺は二つ返事で了承し、古泉の後を追い掛けた
70 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 20:35:33.66 ID:qjGmjsDO
黒塗りのセダンに乗り込んだ水前寺は古泉から放課後のキョンと涼宮の行動を聴いた

聴き終えた水前寺は

「長門君と仲良く同じマンションに済んでいた訳か」

苦笑いをしながら喋った

それに対して古泉が

「そう言えば涼宮さんが長門さんの眼鏡が貴方と同じ物と気付いていましたが本当に貴方と同じものですか?」

「ああ。昨日あげたからな」

「理由は問いませんが、なかなか粋なことをしますね」

それを粋と称すのかと言う突っ込みを古泉は待っていたが、水前寺はニヤリとお馴染みとなった不敵な笑みを浮かべ無言で流した
71 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 20:49:51.66 ID:qjGmjsDO
「これは手厳しい」

古泉は困ったように笑い、窓の外を見た

「―――っと、済みません。少し寄り道します」

そう言うとクルマは住宅街の中で止まり、古泉だけが降りてどこかに行ってしまった


しばらくするとキョンを連れて戻ってきた

「なっ、お前!!」

「これはこれは放課後デートを楽しんでいたキョン特派員でないか。元気にしているのかね」

皮肉たっぷりの水前寺にキョンは苦い顔をする

「好きでやっている訳じゃない」

そう言いながらキョンは水前寺の隣に座った

「好きでないとやっとられんぞ、キョン特派員。俺だったら断る」

「断る力と付いていく力を考えると後者が楽だ」

「はっはっはっ。成る程。ご苦労であった」

高笑いする水前寺はキョンの背中をバシバシ叩いた

そんな2人のやりとりを助手席に座って見ていた古泉は

「それでは出発します」
72 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 21:30:29.98 ID:qjGmjsDO
古泉は例の超能力を見せる為に2人を呼んだらしい

丁度良い具合に条件が重なったらしい

「超能力……か」

ある意味、定義が難しい力だと水前寺は思った

魔術や霊能力もある種の超能力である

ある知人が『常識的な事を非常識的な方法で行うのが魔術』と言っていたが、解りやすく言ってくれたものだ

もし古泉が『非常識的な事を非常識的な事』を成し遂げたら「魔法使いめ」と皮肉を込めて言ってやろう、そう思いながら水前寺は「人間原理がどうの」とかを話しているキョンと古泉の会話を聞き流した

ちなみに古泉が「涼宮さんによって世界が創られた」と言った辺りの話題も聞き流した

この世に神は降臨していない

もし涼宮に力があるとしたらそれは


魔法だ


それも質の悪い事に無自覚で願望を実現している

いつか異端審問が来そうだ

巻き込まれませんように
73 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 21:42:12.31 ID:qjGmjsDO
クルマが下道に降りてしばらくするとある駅の近くで止まった

水前寺はビルの上を見上げ、

「なんや、[ピーーー]駅付近かいな。またえれぇとこまで連れてこさされたもんや」

「その似非な[ピーーー]弁辞めろ、腹が立つ」

「ジョークだ」

ニヤリと笑う水前寺

キョンはもう突っ込まんぞと思いながら古泉の後を追った

「あ、マクド」
74 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 21:52:09.51 ID:qjGmjsDO
キョンに殴られた水前寺は大人しく2人に付いていった

そして交差点のど真ん中で3人は止まった

古泉は引き返すのは今の内と言ったが、水前寺とキョンは今更退けないと返した

「では目を閉じてください」

指示に従い目を閉じる

古泉に手を引かれ歩いたらふと意識と言うか感覚と言うか何かが、ふっ、と抜けた

直後

「もう結構です」

目をあけたら元の自分に戻ったが、世界がセピア色に包まれていた

古泉はそれを閉鎖空間と称した

空間と言った地点で次元を割った感覚がしなくなった

むしろ固有結界に近いと水前寺は思った
75 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 22:05:02.33 ID:qjGmjsDO
古泉は水前寺が先程から的外れな事を考えている事に逆に称賛を送った

「貴方が体験した日常と非日常の隙間を今度ゆっくり聞かせてください」

「君のところの報告書で十分だろう、古泉特派員」

「いえいえ、所詮第三者がはしょって書いた紙ですから。詳しく聴きたいのですよ」

「……今度な」

そんな話をしながら3人はあるビルの屋上に到着した

「―――始まったようです」

古泉が向いた方向には

「デイタラボッチ!?」

水前寺の声には焦りがあった

「似て非なるものです」

飽くまでも冷静な古泉

「確かにダイタラボッチっぽいな」

水前寺の例えに同意するキョン

「ここは妖怪横丁なのか」

「お前、いつかはボケ要因になったんだ?」

「率直な感想を言ったまでだ。それがボケにつながると考えるとは。流石突っ込みのキョン特派員」

んな称号要らねぇよ
76 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 23:13:50.94 ID:qjGmjsDO
古泉はダイタラボッチ―――もとい、神人を涼宮のストレスが顕現したものだと言った

「なんだ、やはり固有結界で破壊衝動に駆られているだけでないか」

「それも似て非なる物です。本当に貴方は例えが的確ですね」

的確とは褒めすぎだとキョンは不服そうに2人を見た

そして古泉は同志と呼んだ仲間の後を追った、赤く発光した玉となり

それらを水前寺とキョンはポケーっとして見ていた

ほんの数分で古泉達は神人を倒し、再び水前寺とキョンの間に降り立った

「お待たせしました」

この後、ちょっとしたスペクタクルがあるらしい

閉鎖空間の崩壊

水前寺は些か納得しなかったが、普通の人間はその姿が面白いのだろう

「全く、魔術になんか手ぇ出すんじゃなかったな」

2人に聞こえないよう呟き、崩壊を見届けた


無駄な知識のせいで素直に受け入られないのがここにきて弊害が出るとはな

そんな事を思いながら水前寺は帰りのクルマの中で溜め息を吐いた

古泉とキョンは話をまた聞き流していた

これ以上、日常を壊したくない

悪夢であった秋の出来事が鮮明に脳裏で映し出される

「どうしてこうなったのやら」

自分の取材活動を唯唯怨むだけであった
77 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 23:24:56.18 ID:qjGmjsDO
去年の秋に魔術はあると確証した

しかしそこまで至ったのはまた他の話である

この場において魔術は場違い

しかし考えずにはいられない

水前寺の中で小さな―――でも大きな責め合いが起こる

「じゃあな、また明日」

キョンがそう言ってクルマから降りたところで水前寺は意識を取り戻した

「ご苦労である」

クルマは再び動き始め学校へ

「―――古泉特派員、1つ良いかね?」

「何でしょう?」

「俺は……」

言いかけて辞めた

「やはり、何でもない」

「そうですか」

それからは沈黙が訪れた


学校に到着するまで終始2人は無言だった

「着きました」

古泉はそう言ってクルマから降りた

水前寺もクルマから降り、身体を伸ばした
78 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 23:35:48.44 ID:qjGmjsDO
「済みませんがこれから僕は独り言を言うのですが、よろしいですか?」

「好きにしろ」

「はい、では―――」

水前寺は自転車に跨がった

「SOS団の広報である水前寺邦博には多くの情報統制がひかれており、その経歴を調べるのは困難でした」

俺、広報なのか……

「しかし機関は総力を上げて情報収集をしました。そしてその中でとても興味深い物が出てきました」

「……」

「水前寺邦博は魔術が使える」

間をおく古泉に

「―――涼宮が望んだからか?」

水前寺は問うた

「十中八九そうでしょう。涼宮さんは魔術師も居る。それを望んだ結果、貴方は関東の[ピーーー]県からわざわざ来る事となった」
79 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/14(日) 23:46:02.98 ID:qjGmjsDO
「偏差値80越えの貴方なら北校の合格なんか造作も無い事でしょう」

「……」

「少し前に言った事を訂正します。水前寺邦博がSOS団に居るのは必然である」

再び沈黙が訪れた

「……」

「……っと、済みません。途中から独り言に論議していただいて」

「……そうか」

「貴方と彼は本当に興味深い観察対象です。方や極々平凡な男子高校生。方や裏で暗躍し続けている男子高校生。これが全て涼宮さんが―――」

ここで水前寺は古泉の言葉を遮った

「神は居ない」

「……」

「それに俺の過去の話しはここでは関係ない。スレ違だ。帰れ」

「―――解りました」

そう言うと古泉は再びクルマに乗り込み去っていった

水前寺も下宿先へ自転車を向けて漕ぎ始めた
80 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/15(月) 00:11:10.94 ID:okiHHgDO
帰宅してからは殆んど何も考えず水前寺は過ごしていた

飯は普段は自炊をしているが、今日はスーパーの値引き品

食後、宿題も漠然としながらテキトーに終らせ、風呂に入り、直ぐ就寝に入った
「そう言えば涼宮君が入団当時に俺の記憶喪失は宇宙人のせいだって言ってたな……」

意識が眠りに持っていかれる前にふとそんな事を呟いた

「ガチ、かよ……」

しかしそれは涼宮に言われた事なので納得がいかなかった

当時の事を、後になって出てきた人物に物語を後付けさるのが癪にきてならなかった

俺の過去を絶対に否定はさせない

そんな事を思いながら水前寺の意識は睡眠に持っていかれた

草木も眠るナンの刻

水前寺は一本の電話に起こされた

着信、涼宮ハルヒ君

「……何かね、涼宮君?」

「聞いたわよ部長!!」

テンションの高い涼宮

「何をだ?主語を言いたまえ」

「あんたのしていた数々の取材よ!いやこの場合伝説よ!!」

「入部当初にも言わなかったか、俺?」
81 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/15(月) 00:27:53.34 ID:okiHHgDO
ここまで来て今更ですが、改行の際に一行開けるスタイルにします




電話先で興奮をする涼宮のテンションに水前寺は付いていけない。先程まで寝ていたと言うのもあるが、話題自体もどうでも良かった。早く切りたい

「あんた1つ私に言ってない事あるでしょ?」

……魔術か!?水前寺は焦ったが声は飽くまでも冷静に保ち

「―――ソースは?」

一瞬詰まる涼宮

「ええっとね、名前名前……。あんたの後輩のハトバ君だっけ?」

俺の知人にテトラポットは居ないが……

「浅羽特派員か?」

「そう、それ」
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/15(月) 16:36:34.93 ID:eyNuEdUo
ホントに自己満足で構成されてんな
つまんね
83 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/15(月) 17:41:15.02 ID:okiHHgDO
どうやって浅羽の事を調べたのかを訊いてもはぐらかされるだけだろう。水前寺はそう思い、涼宮が続けて喋るのを聞いていた

「謎の転校生、伊里屋加奈。夏休み明けに転入して冬の前に転出。もう超不思議じゃないの!!」

「……浅羽特派員からそれは聞いてくれ。俺はあまり絡みがなかったからな」

「うん、聞いたわよ」

…………

「で、何が言いたかったんだ?」

「それだけ」

愕然とした。下らん事で電話してきてそれかい

「強いて言うなら。水―――前寺特派員、弛んどるぞーーーー!!」

それ、俺のセリフ

「じゃあね、お休み」

涼宮は言いたい事だけ言って切った

「なんつー女だ」

その後、覚醒した脳を押さえるのに水前寺は2時間程かかった。クソ喰らえ
84 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/15(月) 21:21:38.10 ID:okiHHgDO
翌日の朝

昇降口で欠伸を噛み締めな水前寺。下履きを上履きに履き替えていところでキョンがコソコソと来て

「昼休みに部室に来てくれ」

そう言って早々と去っていった

「メールをすれば良いものを」

なんて思いながら水前寺は自分のクラスへ向けて足を運んだ。そして教室に到着する手前で長門とすれ違った。その際に

「気を付けて」

長門が水前寺にだけ聞こえるように呟いた

「……何の伏線だ」

聞き返そうにも既に彼女は居なかった

「―――そう言えば俺の眼鏡を未だかけているんだな」

早く再構成すれば良いのに。今日はヤケに突っ込みが多いのに気付いた水前寺は気を取り直す為に睡眠授業を決行した。教師からは何も言われなかったのは奇跡か偶然か。これにより水前寺は昼休みまでにハルヒに叩き起こされた分を取り戻す事が出来た
85 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/15(月) 21:37:31.48 ID:okiHHgDO
キョンの指示通り、昼休みは部室へ足を運んだ。不思議人間会議でもするのかと思いながら購買のパンとムサシノ牛乳を携えて長期戦に備えた

ガチャ

勢い良く扉を開けた。放課後なら朝比奈の生着替えを目撃してしまうので控え目に開けるが、どうせ昼の部室は長門しか居ないので無遠慮に彼は開けている

しかし今回は違った。長門ではなく他の人物

「……誰かね?」

「こんにちは水前寺君」

とてもグラマーな方が居た

「会いたかった……」

だから誰かね、君は?水前寺はなんとなく朝比奈みくるの身内か誰かだろうなぁと思っていたが

「私は朝比奈みくる本人です」

もっと未来から来た朝比奈みくるだった。「……そうか」と水前寺は素っ気なく答えた。今更驚く気にもならないし、早く飯を食べたい気持ちもあった。牛乳が生温くなる

「あ、信じてないでしょ?」

上目使い且つ、少し不服そうな顔で朝比奈は水前寺の顔を覗き込んだ。それに対し彼はこう言った

「合言葉は?」
86 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/15(月) 21:59:04.66 ID:okiHHgDO
水前寺はニヤリと得意の不敵な笑みを浮かべた

「え?合……言葉??」

「君の実年齢だ」

「え、あ。そうか」

何かを思い出したかの様に朝比奈は

「禁則事項です」

と決めポーズをした


なにやらしたんだろう、と水前寺は無意味な行動に若干後悔をしつつ、自分の定位置へ座った

「本題に移ります」

朝比奈(大)は真面目な顔をして彼の目の前に座って向き合った

「これから貴方かキョン君は少し困った事に遭遇するかもしれません。その時にこの言葉を思い出して欲しいのです」

白雪姫。7人のドワーフ君が活躍する話しだと水前寺は認識しているが大方合っているらしい

「その側には涼宮さんが居る筈です。でも涼宮さんはそれを困った状態と認識しないかもしれません。だから覚えていて欲しいのです。白雪姫を」

「―――この事は既にキョン特派員に伝えているのかね?」

「はい。でもキョン君には貴方の名前は出してません。詳しい事は禁則事項なので言えませんが、事態が急変したので」

「未来が変わっている、ってか?」

朝比奈(大)は強く頷いた
87 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/15(月) 22:20:30.87 ID:okiHHgDO
「はっはっはっ、上等だ」

水前寺の笑みが更に深くなり、高々と笑う声が響いた

「正直な話、未来が変わろうと俺には関係ない。俺の未来は俺が作る。もしそれが決まっているのなら俺はその幻想を―――」

水前寺がSOS団入団時に描いていた未来人探索の目的はそれである。未来人から未来の情報を仕入れ、未来をぶっこわす。そうすれば世界はどうなるか。彼はそれが知りたかった。今となっては明後日の方向に向かって走っていたが、ここにきて軌道修正があり万々歳であった

「そう言うと思ってました」

しかし水前寺はこの地点では未だ気付いていない事があった。後になり彼は酷く後悔をし、現在の取材活動が未来人でなくなった大きな理由となった

「でも覚えていていて欲しいの」

朝比奈みくる(大)がここに居る意義が大きなヒントである

「私が言った事を」
88 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/15(月) 22:54:57.96 ID:okiHHgDO
「話は以上です」

朝比奈(大)はそう言って立ち上がり、部室の扉へ向かった

「そうそう、私とはあまり仲良くしないでね。私はここの時代の人間じゃないから」

“私”とは朝比奈(小)の事である

「心得ておこう」

元より、水前寺は仲良くなれないと思っていた。逆にこんなヒネクレ者の相手をせずに、キョンと仲良くした方が良いと思う

「じゃあ、またね」

朝比奈(大)は扉を開き、去っていった。それと入れ換わりに長門が入ってきた

「……」

「さ、昼食の時間だ」

水前寺はパンと結局生温くなったムサシノ牛乳を食した


その後、腹を下したのはまた別の話である
89 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/15(月) 23:15:57.17 ID:okiHHgDO
放課後になり、水前寺は腹を押さえながら部室に向かった。実に不覚

カチャ

静かに扉を開けて入室

「あ、こんにちは」

メイド姿の朝比奈が笑顔で出迎えてくれた。長門は相変わらず本を読んでいる

「お茶用意しますね」

「済まんが、腹を下しているから遠慮しておく」

ゴロゴロと音を奏でる腹の対策を講じるべく、水前寺はネットで手軽な応急処置を探す事にした。従って団長席に座りPCを立ち上げた

「……う〜む。サッパリだ」

「何が解らないのですか?」

「牛乳で腹下した時の治めか方を探しているのだが見付からんのだ」

「そうなんですか……。―――ええっと、そのぉ。一番良いのは全部出すのが良いと思いますが」

「出し切った」

出し切った筈なのにゴロゴロと響く腹

「解りました。私がお手伝いします!」

「……はぁ!?何を言っているのかね、朝比奈君。これは俺の不注意だ。巻き込まれる必要はない!」

「水前寺君は安静にして、後は私に任せて下さい!!」

なんだこのマウスの取り合いは。水前寺は朝比奈にマウスを取られまいと必死で抵抗するが、彼女は身体を密着させてあらゆる所を当てながらマウスを奪おうとした。なかなか嬉しい状況だが、段々腹に響き出した

「貸して下さいって」

よく見ると朝比奈はどことなく楽しそうにしていた。仲良くするなって言われたばっかりなのに
90 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 00:03:03.84 ID:aG8Z2wDO
「何やってるのあんた達」

気が付いたら涼宮が扉の所に立っていた

「ひっ!?」

びくつく朝比奈はそそそっと水前寺から離れた。「正露丸を探していた」と水前寺は言ったがスルーされ、

「何?あんたメイド萌えだったの?」

「興味深い対象ではある」

「難しい事言って誤魔化す訳?甚だしさにも程があるわよ」

それを着せたのは誰なんだか。水前寺は半ば呆れながら立ち上がり、涼宮に近付いた

「……何よ?」

「ワールドカップ」

「はあ!?」

「W.C」

言わすと知れた―――つまりトイレてある。あながち間違ってはいないが、そんな間違いをするのもおかしい。水前寺はフラッと涼宮の脇をすり抜け、そのまま用を達に行った
91 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 00:03:55.77 ID:aG8Z2wDO
ゴロゴロ鳴る腹はようやく落ち着きを取り戻した。帰ったら粥決定だ。そんな事を思いながら水前寺は部室に戻った

「どうも、こんにちわ」

扉を開けるとスマイル面の古泉が出迎えた

「……今日は仮想パーティーか?」

いつぞのバニー姿の涼宮が朝比奈の髪を結わえているのを見て水前寺は言ったが

「それは僕が入室時に一番開口で言いました」

二番煎じだった様だ

「じゃあ映画の撮影か?」

どこからともなくビデオカメラを取り出し、レンズを光らせた

「余計な入知恵をするなよ」

この突っ込みはキョンである。水前寺の不適な笑みをジト目で見る。それに対し

「他人の言う事に涼宮君が肯定すると思っているのかね?」

と水前寺はカメラをどこかに仕舞いやれやれのポーズをとった。どさくさに紛れてちらりと涼宮の方を見たが、彼女は口をヘの字にしたまま無言で朝比奈の髪を弄り続けていた
92 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 00:07:57.95 ID:aG8Z2wDO
キョンは少し小声になり

「それを元にアカデミー賞狙いかねん」

「ふっ。流石だなキョン特派員。そこまで今後を予想するとは。未来視の能力でもあるのかね?」

「ねーよ」とキョンは短く答えながらオセロを引っ張り出してきた。それに反応したの古泉で、「お手柔らかに」と言って駒を並べた。長門はと言うと相変わらず読書である

「帰るか……」

腹痛の件もあるので水前寺は早く引き上げたかった。思ったら吉日、スクールバックを回収し

「ご苦労である」

ビシッと右手を上げ、そう言って部室を飛び出した。涼宮は何かを叫んで言ったが、明確な言葉は彼には解らなかった

今日ばかりは勘弁願いたい
93 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 00:08:26.70 ID:aG8Z2wDO
その晩、午前0時頃

風呂上がりのボーッとした脳で無心に水前寺はネットサーフィンをしていた。それと別のウィンドウには文章のデータがあるが、それ全く手付かずだった

『未来人は果たしているか』

未来人は居た。涼宮ハルヒの願望によって

「いかん。今日は辞めだ」

全てのウィンドウを閉じてPCの電源を落とした

何も思い付かなかった。こんな他力本願で生まれた結果で記事が書ける訳がない。第一、涼宮君は団員の正体に気付いていない。従ってこんなでっち上げな記事を書いても仕方がない

「常識と願望のせめぎあい……、か」

水前寺の中で涼宮に対する評価は下っていた。極端な話、常識が邪魔する位ならハナからそんな願望を抱くなと言ってやりたい
94 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 00:10:59.32 ID:aG8Z2wDO
水前寺と涼宮の違いはそこである

片や絶対にあると信じて取材に駆ける人間と、片やそんな者は居る訳がないと探索する人間

しかしそれは大きな隔たりとは思わなかった。少し変えれば水前寺側と同じ意見になる筈である。どうやってそこまで持って行くかが問題だが、絶対的に不可能ではないと水前寺は思った

「何か良い案は無いかね、浅羽特派員」

ふと遠き故郷で受験勉強に勤しむ後輩を思う。須藤特派員は……「ばっかみたい」そう言いそうだ

予め敷いておいた布団に潜り、色々と思考しながら眠りに就いた




翌日から水前寺はSOS団に顔を出さなくなった

無意味に時を過すより、考える時間が欲しかった
95 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 18:54:58.07 ID:aG8Z2wDO
とは言ったものの、それが3日程続くと夜な夜な涼宮から電話がかかってきた

「涼宮君か……」

パソコン机から降り、畳の上で振動しているケータイを見て呟く。無視しても何度もかけてくるだろう

「……何かね?」

仕方がないので出た

「ちょっとあんたどーいうつもりよ!!」

音割れで殆んど聞き取れなかった

「電話越しに叫んでも音量は一定だぞ、涼宮君」

「気持ちの問題よ!こっちは頭に来てるんだから!無断欠席の理由を聴こうかしら」

「……資料の整理だ。入手する速度に解読する速度が追い付かんのだ」

嘘。本当はそんな事は一切していない

「……そう」

さっきまでの勢いはどこに行ったのやら。涼宮の口調が急に大人しくなった

「明日は出る」

「……解った。絶対来なさいよ」

「ほいほい」と水前寺は生返事をして切ろうとした。しかし

「―――ねぇ、部長」

更に落ち着いた声で涼宮が喋った
96 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 18:55:40.21 ID:aG8Z2wDO
「あんたは自分がこの世でどんだけちっぽけな人間なんだ、って思った事ある」

「生憎、無いな」

「そう」

沈黙

切るには十分な理由だった。水前寺は「では」と言って切った

「人の事は言えんが、自分勝手な団長だ」

丁度電池切れになったケータイを充電器にかけてパソコンの机の上へ置いた。そしてパソコンに向かい直した

「……どうしたものかね」

ボーッとディスプレイを眺める

水前寺は再びケータイを握りメールを打った。相手は浅羽直之である

『取材が他力本願で完了して逆に記事が書けん』

鈍感な浅羽に通じるかは解らないが送ってみた。すると殆んど直ぐに返信が来た

『部長らしくないですね。他力本願と、執筆に行き詰まるなんて。今まででっち上げの1つや2つは簡単にしてたのに』

これを浅羽の声で脳内再生すると笑いが込み上げてきた。何と無くだが、元気が出た。そんな気がした
97 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 18:56:18.43 ID:aG8Z2wDO
翌日の朝。自転車小屋を出れば超ハイキングコースとなる坂道。本来ならそこを歩くべきである。しかし今日の水前寺はスーパーカブでそこを駆け上がっていた。私服かつフルフェイスのヘルメットなので気付く者は今のところ零

「よう、キョン特派員に涼宮君」

団長と平団員のコンビを見付けた。「うおぃ!?」とキョンはリアクションをとったが

「あ、あんた何乗って来てるのよ!?」

と、涼宮はまともな質問をした

「細かい事を気にしてはいけない」

水前寺の返答はそれだけだった。再びカブのアクセルを全開にして駆け上がっていった
98 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 18:57:15.81 ID:aG8Z2wDO
昼休みになると水前寺は購買でパンを買い、そのまま部室へ行った

扉を開くと相変わらず長門が読書をしていた。コイツは本当に授業に出ているのだろうか

「長門君、何か面白い本は無いのかね?」

ふと長門がどんなジャンルを読んでいるのかが気になった

「……読む?」

「ああ。たまには不変的な活字を読みたい」

「……そう」

長門は持っていた本を閉じて水前寺に差し出した

「未だ途中でないのかね、長門君」

「良い。読み返していただけ」

「そうか」

水前寺はそれを受け取り、タイトルを見た

『夜魔』

怪異か……。面白いのか?

「……ユニーク」
99 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 18:57:56.36 ID:aG8Z2wDO
「ではしばらく借りる」

水前寺はそう言って本を脇に抱えた

「時に長門君」

「……何?」

本棚に手を伸ばす長門

「メガネの再構築はしないのかね?」

「……しない」

「ずり落ちて不便そうだが」

「……いい」

「……ふむ」

水前寺は本を取り出した長門を正面から覗き込んだ

「鼻パッドを調整すればマシになりそうだな」

「……出来る?」

「出来るが……。もしかして気に入ったのかね?」

「……」

長門はコクンと頷いた

「何やってるのあんた達?」

デジャウ゛だデジャウ゛だ。水前寺はそう思いながら扉の開いた方を見た

「部長、もしかして有希にヤラシイ事しようとした訳じゃ無いわよね?」

「どこぞの企画物じゃあるまい」

具体的には言わなかったが、勿論AV的な意味である
100 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 18:58:38.94 ID:aG8Z2wDO
「そう言えばあんた達、同じ眼鏡かけてるよね?何なの?お揃いなの?」

「さてな」

適当に誤魔化す

「特に有希。何を思ってそんな趣味の悪い四角眼鏡なの?」

「……」

無言で長門は水前寺を見た

「長門君。質問されているのは君だ」

「……」

それでも水前寺を見続ける長門

「もう良いわ」

涼宮はそう言って持っていた紙袋を置いた。恐らく、涼宮の怒り係数は相当高いだろう

「借りるぞ、長門君」

水前寺は長門から眼鏡を取り、どこからともなくラジペンを取り出した。しかしそんな2人を他所に涼宮は

「着替えるから」

「ん?」と水前寺。作業に入っているため聞き流した

「着替えるから」

2度目は強く言われた

「着替えれば良いでないか」

体育の着替えで彼女は男子の残っている教室でも平気で行う。そんな噂を水前寺は聞いていた

「出てけ!!」
101 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/20(土) 18:59:32.00 ID:aG8Z2wDO
水前寺は涼宮の蹴りと拳をかわしながら退室した。眼鏡とラジペンをもったまま廊下の壁際に座った。長門も何を思ったのか憑いて来た。逆を言えば尋ねながら作業が出来るので好都合ではある


「どうかね?」

長門に眼鏡を渡しては調整をしてを繰り返す水前寺

「……良い」

やっとポジションが決まり、終わった。それと同時に涼宮が

「入って良いわよ、有希」

と扉越しに言った。再び2人は部室に入ったがそこには

「ちょっとキツイかな」

メイド服姿の涼宮が居た。朝比奈のとはまた別タイプで、体のラインがタイトに出ている物だった。一瞬水前寺は唖然としたが

「涼宮君」

「何よ?」

「グッジョブだ」

ニヤリと笑い親指を立てる水前寺。眼鏡が一瞬光ったのは気のせいである

「こっ、このド変態!!」

顔を真っ赤にして叫ぶ涼宮は、体だけをそっぽに向け顔だけを水前寺の方へ残した

「おいおい、その突っ込みは俺が常に下心満載の主人公だったら納得できるが、生憎俺は下心が無いのは勿論、メイド萌えではない。従って効果は薄いぞ、涼宮君」

やれやれと水前寺は古泉のポーズを真似た
102 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 15:25:33.96 ID:/y9NjwDO
涼宮はそのまま顔もそっぽに向けて

「兎に角、変な目で見るな、変態!!」

へいへいと水前寺は生返事をして席に座った。購買で買ったパンの袋を開き少し遅い昼食をとった

「あ、一口頂戴」

涼宮は水前寺に向き直りそう言った

「断る」

電光石火の如く平らげる水前寺

「なによ、ケチ」

「君の一口は容赦無さそうなんでね」

図星だったのか涼宮は再びそっぽを向いて「流石にそんなさもしい事はしないわ」と説得力の無い言葉を並べた

「大体、弁当はどうしたのかね?本来ならば既に食べていると見たが、違ったのか?」

「んとー……、食べた」

変な間があったぞ

「いちいち気にしすぎよ。だから男子ってのは―――」

水前寺はまた説得力の無い言葉を並べる涼宮は流す事にした。無駄に疲れる
103 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 15:26:03.16 ID:/y9NjwDO
「さて、戻るか」

昼食を終えた水前寺はそう言って立ち上がり、涼宮の方を見た

「ん?何?」

「急用を思い出した。今日の放課後は出れそうにない」

「……嘘っぽい」

「なら言い方を変えよう。急に思い付いた事がある。それを実行したい」

「明日にしなさい。今日はミーティングの予定」

「それは昨日の地点では聞いていない」

「聞いてなくてもあるの」

「そうなると団長自身の問題になる。伝達ミス。従って団長が責務を果たしていない事になる」

「屁理屈こねて逃れようとするなんて丸で子供ね」

水前寺はやれやれと溜め息を吐いた。団長のくせに丸で責任を感じていない

「自分勝手なのも十分子供じみている」

カチンと来た涼宮は叫んで

「だっ、団長命令よ!!」

と言ったが

「黙れ小僧」


……………………


水前寺の演技のかかったセリフに唖然とした

「済まん、流してくれ」

水前寺はブルーの3本線のかかったこめかみを押さえて言った

「兎に角、来ないと死刑だから!!」
104 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 15:26:32.53 ID:/y9NjwDO
放課後

嫌だと思いつつも、結局水前寺は部室へ足を運んだ

「よーっす」

部室の扉を開いた

「……」

部室の扉を閉めた。入室はせずに、そのまま

「何故長門君はメイド服を来ているのだろう」

真面目に考えたが思い付かなかった。仕方が無いのでもう一度開けた

「長門君」

水前寺の方を向き、首をかしげる長門

「グッジョブだ」

「……ユニーク」

長門は胸元のリボンを見ながら言った。昼間の涼宮が着けていなかったアイテムである

「こんにちは〜、ってはわわ!?」

朝比奈も来たが、長門の姿を見て吃驚だった

「うぃーっす」

キョンも登場

「って、なんですと!?」

朝比奈と同様のリアクションだった
105 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 15:27:01.26 ID:/y9NjwDO
廊下でボケッとする訳にもいかないので、3人はとりあえず入室した。それに遅れる事数秒後。古泉が来た

「こんにちは。おや?長門さん……」

「古泉、やり直しだ」

「え?」

「いや、何でもない」

キョンは小さ過ぎるリアクションに却下を下したが、聞き返されたのでそれ以上は望まない事にした

「古泉特派員。現状の空気を読める男と俺は信じていた。なのに―――」

「はぁ……」

水前寺の言葉は続かなかった。続けるく事無く、彼は団長席のパソコンを立ち上げた

「あのぉ……」

恐る恐る尋ねる古泉

「質問は受け付けないぞ古泉特派員」

しばらくの間、古泉は腑に落ちないわだかまりがウヨウヨと泳ぐ感覚の中で過ごす事になった
106 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 15:28:03.97 ID:/y9NjwDO
朝比奈の着替えが終わるまで男性陣は外で待機。その間に涼宮が来て、これでメンバー全員集合となった

「どうぞぉ〜」と言う合図と共に3人は再び部室に戻り、各自席に着いた。ちなみに水前寺は団長席に座ろうとしたが、既に涼宮が居たので諦めた

「ハルヒ、長門が来ているのはお前が用意したものか?」

「そうよ」と涼宮は短く返事をした。キョン他にも何か言いたげだったが、

「それではこれよりSOS団ミーティングを始めます!!」

団長席で立ち上がり、高々と宣言した涼宮を見て諦めた様だ

「前回の不思議探索の結果は不発に終わり、とても残念でした。後日団長自らもう一度見落しがないか調べましたが、これも残念な事に何もありませんでした。しかしこれだけで諦めるSOS団ではありません。不思議をとことん追求する為に次回の計画を立てています」

一度話を区切り、一同を涼宮は見渡して何が解ったのか、大きく頷いた

「次の不思議探索は今度の土曜に前回と同様のスケジュールで行います」

「はーい、団長ー」

水前寺は挙手をした
107 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 15:28:44.70 ID:/y9NjwDO
面倒なので水前寺は欠席をしようと思い、「私用で休む」と言ったが却下された。絶対やすんでやる

「以上です。以後は各自自主活動とします」

話が終るとキョンと古泉はオセロを始め、朝比奈はまた涼宮に髪を弄ばれていた

「……飲んで」

長門が朝比奈の代わりと言わんばかりにお茶を水前寺の前に持ってきた

「おう」

水前寺は短く答え、それに口をつけた

「……美味しい?」

「悪くない」

「……未だ飲む?」

「結構だ。もうじき帰る」

そう言いながら水前寺はちらりと涼宮を見た。徹底的に無視をしてるかのように彼女は一心に作業をしていた

「……貴方は―――」

「……何かね?」

長門に向き直る

「眼鏡をかけない方が良い」

「何故かね?」

「……」

長門は無言で涼宮の方を向いた。水前寺もそれに習った

「……何よ」

涼宮は不機嫌そうに、朝比奈は「ひっ!?」と怯えて固まってしまった

「意見を求められているのではないかね?」

「好きになさい」と涼宮はそう言い放ち、朝比奈の髪弄りを再開した
108 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 15:29:35.58 ID:/y9NjwDO
水前寺は長門のリクエストに答えて眼鏡を外し、

「どうかね?」

キリッとしてみせた

「……グッジョブ」

長門君なりのギャグなのだろうか?

試しに「俺は眼鏡っ娘辞めた方が良いのかね?」と涼宮と朝比奈の方を向いて尋ねてみた

すると2人の顔が少し赤くなり涼宮はそっぽを向いて

「無くても良いならそうしなさい!」

と言ったのに対し朝比奈は

「カッコイイ……」

の一言だった

そう言えば浅羽特派員に、部長の素性を知らない年下の女の子が顔に騙されて貴重な紙を叶いもしないラブレターに変えて資源の無駄にしている、とひがまれた事があるのを思い出した。水前寺としては全くそんな自覚は無いので逆に面倒な話である。むしろ普通かそれ以下と思っている

北校入学当初も同級生、歳上からもアプローチがあったが、勿論全部断った。今思うとどいつもコイツも面食いだったって訳か。そんな事を思いながら水前寺はキョンと古泉の方を向く

「おや、これは妬けてしまいますね」

古泉は相変わらずニコニコスマイル顔で言った。キョンは「そのまま取っとけ」と水前寺から眼鏡を奪った。そしてその眼鏡をかけて「どうだ?」と尋ねて涼宮と古泉の方へ順番に顔を向けた

「ネクラっぽい」

涼宮の一言で一掃されて外し、持ち主へ返した

「水前寺、お前はこれをかけ続けるべきた」

そう言われた水前寺は不敵な笑みを浮かべ「当然」と言いながら眼鏡をかけた
109 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 18:57:50.79 ID:/y9NjwDO
荷物をまとめ終えた水前寺は鞄を持ち上げ、

「ご苦労である」

と言って部室を後にした。後にトイレで私服に着替え、昇降口へ行き自分の靴箱の扉を開いた

「噂をすればなんとやら、かね?」

封筒があった。ご丁寧にも『水前寺邦博様へ(ハート)』と書かれていた

「浅羽特派員。また貴重な資源が使われたぞ」

いつも通り、鞄にそれを仕舞い込んだ。今日はもう家で読む事にした。待ち合わせが今日ならば運がなかったと思え

校舎を出て愛車の元へ行っき、チョークをしてエンジンをかけた

「ん?」

ヘルメットを被った所で前から来る女の子に気付いた

「こんにちは、水前寺さん」

「……誰かね?」

「その様子だと手紙を読んでないみたいですね」

ああ、あのハートマークの奴か。名前は確か……

「喜緑江美里です。念のため来ていて良かった。待ち惚けするところでした」

「運が良かったな」

「はい」

ニコリと笑う喜緑

「用件を訊こう」

「はい。涼宮さんの事についてですが、1つお話があります」

また涼宮君かね

「本来なら長門さんが言う筈なのですが、色々とありまして代わりに私が言う事になったのです」

「……そうか」

「それではお伝えします―――」
110 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 19:02:45.41 ID:/y9NjwDO
水前寺は一旦カブのエンジンを切った

「―――私達は貴方の事を信じています。良い方向へきっと向かう筈です。涼宮さんが飽きないように、お願いします」

「……そうか」

再びカブに火を入れる。チョークはしなかった。暖気は十分である。愛車に股がり、ギアを入れた

「わざわざご苦労である」

「はい。それと―――」

「ん?」

「私が表に出るのは滅多にありませんので」

人指し指を口に当てて喜緑は言った

「覚えておこう」

水前寺はアクセルを一気に開き颯爽と去っていった


帰宅後はいつも通り晩飯、風呂、宿題の順で過ごした。パソコンの電源を入れるか悩んだが、入れる事にした

立ち上がってからは未来人に関する資料を1つのフォルダにまとめる作業を続けた。気が付くと日付が変わる頃だった

「寝るか」

作業にも飽きたので寝る事にした
111 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 19:44:40.13 ID:/y9NjwDO
睡眠時、人間にはレム睡眠とノンレム睡眠がある。前者は身体は寝ているが脳が覚醒している状態。後者は脳も身体も寝ている状態である。夢を見るのは前者の状態だが、これが酷くなると所謂金縛りだ

水前寺はそんな事を思いつつ、目の前にある光景を見渡す

「俺、寝てたよな?」

夢にしてはかなりリアルである。加えて隣で伸びている涼宮

「……閉鎖空間」

セピア色のかかった空。いや灰色か?

「涼宮君、起きたまえ」

とりあえず彼女を起こす事にした。頬っぺたをプニプニとつつく。なかなか面白い表情をするのでしばらく遊んでいた

「ん……、んぁ……」

やっと目覚めた様である

「おはよう、涼宮君。さて現在は何時か解る―――」

「ちょっ!?え!!??」

困惑する涼宮

「どこよここ!?なんであんたが居るの!?」

「知らん」

異世界に飛ばされたと言ったら閉じ込められそうなので辞めといた
112 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 19:45:06.81 ID:/y9NjwDO
「学校よね、ここ」

「そのようだ」

とりあえず、ここから抜け出そうと2人は校門へ向かった。しかし

「あたっ」

水前寺は見えない壁にぶつかった

「痛っ」

同時に涼宮もぶつかった

「いつつつ。…………ふむ」

水前寺がそれを触ると触れた所から波紋が広がった

「何か解ったの?」

「可能性を確かめてみる。済まんが下がって後ろを向いてくろないかね?」

「う、うん」

指示に従う涼宮を確めて水前寺はライダーがよく着けている革手袋を装着した

「切り裂けっ」

腕で空を切り、真空の波動を繰り出す魔術。回りからは厨二病と称されるが、その気になればコンクリートや金属は勿論、人体を真っ二つにする事も出来る

「無理か」

しかしその波動は壁に吸収された

「何したの、あんた?」

いつの間にか涼宮が隣に居た

「厨二病」

水前寺は一言そう言って諦めた

「ちょっと、待ちなさい!!」

「校舎へ行くぞ」
113 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 19:45:40.36 ID:/y9NjwDO
職員室へ行き、外部との連絡を試みた

「駄目だ。呼び出し音もせん」

水前寺は受話器を置いて考え込む

「電気が生きてる分マシか……」

涼宮は先程から黙って水前寺の左の二の腕を文字通り掴んでいた

「……怖いのかね?」

「だっ、誰が!んな訳無いでしょ!?」

水前寺は苦笑いをして「とりあえず、部室へ行こう」と言った


部室に着いた2人は言葉を交わす事無く自分の定位置に座った

「ホント、なんであんたと2人っ切りなのよ」

「なんだ、キョン特派員が良かったのかね?それとも古泉特派員か?」

「古泉君なら打破してくれそうね」

「……かもしれんな」

再び訪れる沈黙。2、3分そうしていると涼宮が突然

「ちょっと調べてくる。あんたはここに居て」

そう言って部室を飛び出した
114 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 19:49:26.71 ID:/y9NjwDO
ふと窓の外を見ると見覚えのある赤玉が現れた。念の為―――いや、偶然にも懐にあった朝倉から預ったナイフを構えてそちらへ向かう。窓を開けて一番開口、

「よう、超能力者」

「どうも、こんばんは」

古泉だった。赤玉は彼のシルエットに徐々に変形していった

「何がどうなっているのかね、古泉特派員」

「予め言っておきます。涼宮さんが世界を見放しました」

「マヂか……?」

「えらく大マヂです」

水前寺は米噛みをおさえながら

「悪夢だ。……済まんが古泉特派員、俺の下宿先に突入して良いから俺を叩き起こしてくれ。そうすれば世界は元に戻る筈だ」

それを聞いた古泉は「ジョークにしては重いです」と答えた

「それでは本題に入ります時間も少ないのでね」

水前寺は黙って頷いた

「我々としては一刻も早くお2人が帰ってくる事を望んでいます。神が居なくなった世界がどうなるかも解りません」

「無理だったらどうすれば良いのかね?俺はずっとこのままなのか?」

「アダムとイウ゛で―――」

「さて、飛び降りようか」

窓枠に足をかけた

「早まらないで下さい!」

水前寺はそこに股がったまま、肩を落とした

「そんなに嫌ですか?」

「涼宮君の私情に人生を左右されたくない」

「……僕としてはとても魅力的な人で良いと思いますが」

「なら変われ。今直ぐ譲ってやる」

水前寺は心からそう思っている
115 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 19:50:34.11 ID:/y9NjwDO
はははっと古泉は笑った

「僕では役不足です。涼宮さんは僕を謎の転校生と言う部分しか見てませんから」
「もっと積極的にいけば良かったものを。もしかしたら変わってるかもしれんぞ」

「考えておきましょう」

段々古泉の姿が赤玉に戻りつつあった

「時間の様です。最後に伝言を。朝比奈みくるが『ごめんなさい。全ての原因は私にあります』と。長門さんは『団長席のパソコンの電源を点けるように』」

ついに赤玉の姿になり消え逝く古泉

「承知した」

「それではまた明日。無事を祈っています」

そう言って彼は完全に消滅した

「古泉特派員。君の死は無駄にしない」

いや、死んでないし

「要望通りPCの電源を、っと」

水前寺は身体を部屋に戻し、パソコンの電源スイッチを入れた。しかしそれはウンともスンとも言わなかった
116 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 20:13:13.40 ID:/y9NjwDO
何度かディスプレイと本体を叩いてみたが、ファンは回らなかった

「ん?」

しかしディスプレイをよく見るとにこんな文字が浮き上がっていた

『Yuki.N>見えてる?』

……全て読んだら爆発しそうな装置だな、長門特派員

『Yuki.N>そっちの時空間とは未だ完全に絶たれてはいない。でも時間の問題。そうなれば最後』

何とかしたいが、手詰まりなんだ

『Yuki.N>方法は無い。情報統合思念体は失望している。進化の可能性は失われた涼宮ハルヒが無から情報を産み出す力を持っていた。それは情報統合思念体にも無い力』

長門君達も等価交換の法則で生きているのか

『Yuki.N>そう。従って涼宮ハルヒの力を解析すれば自立進化への糸口が掴めたかもしれない』

……残念だったな

『Yuki.N>貴方を信じる』
何を?

『Yuki.N>もう一度こちらへ回帰する事を。我々はそれを望んでいる。涼宮ハルヒは重要な観察対象。私と言う個体も貴方に戻って来て欲しいと思っている。』
任せとけ。飽くまでも序でだがな。あいつだけ取り残して帰ったら祟られそうだ

『Yuki.N>またお茶を』

朝比奈君に負けんものを頼むぞ

『Yuki.N>sleeping beauty』

なんだ、新手のビーストか?
以後、長門からのメッセージは無かった

「爆発はしないよな?」
117 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 20:28:01.71 ID:/y9NjwDO
一時はパソコンから離れた水前寺だが、爆発しそうな気配がないので団長席に座った

「テレポート系の魔術が使えれば良かったかもしれんが……」

生憎、水前寺はそう言った類いは習得していなかった

「……ん?」

ゴトンと言う音と共に照明が消えた。すると外で大きな光が発せられた

「……まさかな」

首だけをそちらに向ける水前寺

「デイタラボッチ……」

もとい、神人である

「部長!何か出た!」

出たじゃねぇ。お前が出したんだ。とは言えない

嬉しそうな顔をして戻って来た涼宮は窓の側へ行った
「何あれ?エイリアン!?怪物!?蜃気楼じゃないわよね!?」

「デイタラボッチだ」

「人類最古の古代兵器が復活したの!?」

あ?人機か?

「すごいわ!!」

…………、ヤバイ。直感でそう思った水前寺は涼宮の手を引いて部室から出た
118 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 20:40:06.75 ID:/y9NjwDO
建物に衝撃が走り、よろける2人

「あれさ、襲ってくると思う?」

「現に襲ってきたじゃないか。何を言っているのかね、君は」

「私はそんな悪い奴に思えないんだけど」

「俺は死にたくない」

再び涼宮の手を取り、水前寺は校舎の外へ急いだ。いざ外に出ると神人は大絶賛破壊活動中だった。涼宮は嬉しがっていたが水前寺は嬉しくない

「ったく。ここはヒーローの居ない閉鎖空間だぞ。どうしろと言うのかね」

そんな悪態を吐きながら水前寺は涼宮の手を今も引きながら走り続けた

「ちっ。元の世界に帰りたい」

「え?」と疑問符を浮かべる涼宮

「飯はねぇし、誰も居ねぇし、電気も使えそうに無くなった」

「どうにかなるわよ」

そのポジティブな思考を見習いたいもんだ。こんな状況で

「キョン達はどうする都合だ?SOS団は放置かね?」

「良いのよもう。私自信が楽しいから。もう不思議なんて探さなくて良いのよ」

どこまでも自己チューな奴だな。使い捨てか、あいつらは
119 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 21:03:38.22 ID:/y9NjwDO
「俺はこんな世界は真っ平御免だ。俺の知りたい事はこの世界には無い。こんな無機物な世界で俺は生きる気が起きん。何だかんだ言って、俺は今まで通り取材をしていきたい」

「何……言ってるの?」

「良いかね涼宮君。俺が知りたい事は未だ1つしか見付かっていないのだ!こんなんで納得なぞ出来ない」

「見付かるわよきっと。明日になってゆっくり探せば良いのよ」

「俺が言っているのは元の世界だ。ここの事じゃねぇ」

そろそろ息切れがしてきた。50mを5秒で走る水前寺にも限界はある。それを狙ったかのように涼宮は水前寺の手を振りほどいた

「なにそれ、はぁはぁ。意味解んない。はぁはぁ」

「はぁはぁ。んぁ?」

「あたしと目的は違っても行き着く所は同じだったんじゃないの!?不思議を見付け出して面白ろくするんじゃなかったの!?」

涼宮の感情と同様に荒れ狂う神人を水前寺は見た。いざという時の事を思い、ナイフをいつでも取り出せるよう、位置を確認した。果たして、切れるかは知らないが

「少し違うな、涼宮君。俺の目的は飽く無き探求による徹底調査。そしてそれをどう役立てるかだ。まぁ見付かれば面白いのは確かだろう。しかし俺は未だ見付けて逆に後悔しかしていないのだ」

驚いた顔の涼宮

「あんた、話が―――」

「謝っておく。隠していて済まなかった。本当は1つだけ見付け出して後悔して、でも役に立てているのがあるんだ」

水前寺は涼宮に歩み寄り、両肩に手を置いた

「魔術だ」
120 :ELZqmoDO [saga]:2010/03/21(日) 21:22:32.83 ID:/y9NjwDO
涼宮はキョトンとしていた

「あの時の……あれ?」

「ああ。厨二病のな。そうだ。あとは他力本願だが高校に入ってから結構見付かったものもあった。納得はいかなかったがな。そして思った。世界は涼宮君を中心に回っていたんだなっと。君は知らないかもしれないが、世界は良い方へ向かっていたのだ」

俯く涼宮に水前寺は更に続けた

「それを君は勿体無い事をした。俺は辛うじて魔術が使える分マシと思ったが恐らく、これもいつまで解らん。魔術ってのは基本的には魔族にお願いをして力を借りて発動するものだからな。それがこの世界じゃぁ断たれそうだ」

グラウンドに侵入してくる神人。2人はそちらを向き、後退りをした

「……涼宮君。俺が生きて帰ってきたら厨二病ちっくな数々の魔術を見せてやろう」

「え?」

死亡フラグが立った

「そしたらまたメイド服姿を見せてくれ」

「はあ!?」

「いつぞやの君はグッジョブだった!!」

「あんた何言って―――」

「メイド萌えになったかもしれん」

こんな時に何を言ってやがる。涼宮の目はそう訴えていたが水前寺からふざけている雰囲気は無かった
121 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 21:28:55.04 ID:/y9NjwDO
水前寺は涼宮と突き飛ばしてこう叫んだ

「生き残れ涼宮君!!そのまま走って逃げるんだ!!」

「えっ!?えっ!?」

「早く行くんだ!!」

「あんたはどうす―――」

「行けぇぇぇぇーーーー!!!!!!」

ナイフを構え、叫びながら水前寺は神人の足に突進した

「幸せでしたーーーーーーーーーーーー!!」

そこで意識が混濁した
122 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 21:35:56.65 ID:/y9NjwDO
ゴン

「んあぁぁぁ…………」

水前寺は鈍い音と後からきた激痛で目を覚ました

「……ぁぁぁぁぁ」

どうやら頭を柱にぶつけてしまったようだ

「…………なんつー夢だコノヤロウ。オチが厨二病過ぎて蕁麻疹が出たじゃないか」

後何か言った気がしたが……

「俺、メイド萌だっけ?」

それ以前にナントカ萌え自体興味は無い

「…………リアルな夢だったなぁ」
123 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 21:47:30.11 ID:/y9NjwDO
寝不足だ

水前寺は欠伸をしながらカブを流していた。あれから一睡もしていない。従ってどうせならと思い、いつもより早く身体を起こして家を出た

校門をくぐり、いつもの所に愛車を止めた。朝練をしている生徒達は幾人か居たが、校舎には居ないのでシンとしているそこは新鮮だった。教室に行ってもする事が無いので部室へ行く事にした

「あ、戸締りしてるよなぁ……」

部室の前に着いてから気が付いた

「ま、開いていればラッキーだ」

ガチャ

空いていた

「ひっ」

それと同時に中から小さな悲鳴が上がった

「どうやら部屋を間違えた様だ」

水前寺はそう言って静かに扉を閉めた
124 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 21:55:47.49 ID:/y9NjwDO
昼休み

水前寺は古泉と中庭のベンチに居た

「貴方には感謝すべきでしょうね。もっとも、この世界が昨日出来たのかもしれませんが」

「……かもしれん」

「兎に角、また会えて光栄です」

「ああ。古泉特派員の死は無駄にはせんかったぞ」

「……。はい?」

「何でもない。それより、バイトが増えてどうなんだ?嫌か?」

古泉は終始笑顔で喋っていた

「いいえ」

「ふっ」

水前寺はずっと不敵な笑みで終始喋っていた

「また放課後に」
125 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 22:03:48.35 ID:/y9NjwDO
古泉と別れた後、次は部室にお呼ばれをしていたのでそちらへ急いだ

「よっ」

長門は水前寺が来たのを確認すると

「貴方は2時間30分この世から消えていた」

「思ったより長かったな。ところで長門君。君みたいなインターフェースは地球上に幾ら居るのかね?」

「……結構」

「これでまた朝倉君のように襲って来る連中が名目として使いそうだな」

水前寺がそう言うと長門は眼鏡を取り外し、

「大丈夫。私がさせない」

「今度は未然にも防いでくれたまえ。命が足りそうにない」

長門はコクリと頷き、読書に戻った
126 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/21(日) 22:40:22.54 ID:/y9NjwDO
長門と話終えた水前寺は教室へ帰る途中でキョンと遭遇した

「よう、大変だったらしいな」

「お陰様でな」

やれやれのポーズをとる水前寺

「にしても、何故キョン特派員じゃなかったのかね?」

「古泉の言うところでの役不足って奴だろ」

「……不服だ」

「ま、ハルヒ係は任せたぞ。あいつは恋愛を一種の精神病と言っている。それがお前に当てはまるかは知らんが、仲良くやるんだな」

「……君はそれで良いのかね?」

「ああ。正直、俺はスリリングな日々を送りたくないからな。普通が一番」

「俺も涼宮君の私情で人生を狂わされたくない」

「お互い様だ。じゃ、引き継ぎはしたぞ。しっかりな」

ニヤリと笑い合う2人

「―――ところでキョン特派員。君は今の生活で十分かね」

「……ふっ。勿論だ。朝比奈さんが居て、長門が居て、古泉が居て。そしてハルヒとお前が居て。十分楽しいぜ。でもこれ以上は望みたくないがな」
127 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/22(月) 15:17:33.58 ID:4NH4cUDO
放課後

ガチャ

「うっす」

ホームルームが終わると水前寺は真っ直ぐ部室へ行った。自分が一番だろうと思い扉を開けたが

「おっと、失敬。間違えた」

と、直ぐに閉めて隣のコンピ研の扉をあけた。もちろんそこの住民は驚いた顔で部位外者を見た

「……おかしい」

また直ぐに閉めた

「デジャウ゛だ。今朝も涼宮君の際どいメイド服姿を見た気がした」

悩んだ水前寺はもう一度コンピ研の扉を開く

「君は何か様でもあるのか?」

部長氏が困り顔で尋ねた

「いや、確認をしているまでだ」

「?????」

水前寺はそっと扉を閉めてまた振り出しに戻った

「あ、水前寺君―――!」

そんな事をしている内に朝比奈が来た
128 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/22(月) 15:18:01.25 ID:4NH4cUDO
「よかったぁぁ」

朝比奈は水前寺の胸元に飛び付いて泣き始めた

「もう二度と会えなく、ひっく。戻ってこなくなるってひっく。思ってぇ〜」

「不祥、水前寺邦博。昨晩異世界の地より帰って参りました!」

敬礼をする水前寺。しかしそこで彼女は自分の行動に気付いたのか

「あっ!だっ、駄目でした。こんなところを涼宮さんに見付かったら―――」

「ふーん。あたしに見られたらどうなると思ってるの?みくるちゃん」

ひっく

いつの間にか涼宮は扉から顔だけを出しいて朝比奈に問うた

「とりあえず、積もる話は中で着替えながらしたまえ、朝比奈君」

脅える子羊の様な彼女の背中を押して部室へと導いた

「そうだ涼宮君」

「なっ、何よ?」

扉が閉まる直前に水前寺はこう言った

「グッジョブだ」
129 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/22(月) 15:18:27.25 ID:4NH4cUDO
朝比奈から着替え終わった合図があったので水前寺は部室へ入った。むしろようやく入れた

「今お茶入れますね」

ナース服姿の朝比奈がお茶を入れるのはいささかシュールだった

ちなみに現在涼宮は制服姿に戻っており、さっきまで着ていたメイド服はハンガーにかけられていた

理由は本人曰く

「間違えて買っちゃったのよ!着てから気付いたの!!」

朝着ていたのはなんだったのかね?と訊きたかったが、これ以上質問したら火を見そうなので辞めておいた

しばらくすると長門、キョン、古泉の順でやって来た
全員集合となったところで、何時もの日常が始まった

他愛もない会話にボードゲーム。退屈そうな団長の愚痴

二度と変えたくないそんな風景。水前寺はこれがこのまま続くとこの地点ではそう思っていた。この後再び彼自身に大きな動きがあるとも知らず




そして―――
130 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/22(月) 15:18:55.82 ID:4NH4cUDO
不思議探索の土曜日

偶然にも当日になって古泉、朝比奈、長門に急用が同時に出来てしまい参加出来なくなってしまった

水前寺も「あぁ?未来人に関するデータの消去が忙しいから無理だ」と言って切られ、それ以後はケータイの電源を切ったのか繋がらなかった

「絶対グルだ、あいつら」

集合時間の一時間前から公園に居るキョンは肩を落とした



実は前日にキョンは水前寺から

「キョン特派員、涼宮君とデートをしたまえ」

と言われたがまさか本当にそうなってしまうとは思いもしなかった。更に水前寺が言ったセリフには続きがある

「とりあえず、先ずは喫茶店でお茶をしながらSOS団の面子の正体を明かせる。俺も含めて貰って構わない。しっかり頼んだぞ」

この時のキョンは勿論全て聞き流していた。お前がしろよ、と思いながら
131 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/22(月) 15:19:22.92 ID:4NH4cUDO
と言う訳で、キョンは涼宮と合流後に駅前の喫茶店に入った。律儀にと言うべきか、水前寺に言われた通り涼宮に全てを明かした

「聞いて驚くなよ、ハルヒ。未来人、宇宙人、超能力者、魔術師が以外と近くに居たんだ」

そう言われた涼宮はふーんと言った感じで

「まさかと思うけど、古泉君や有希やみくるちゃん、それに部長って言うんじゃないでしょうね?」

「……あ、あー。なんと言うか、俺もそう言おうとしたんだ」

「へぇー」

ジト目が怖い

「長門はだな宇宙人なんだ。なんとか思念体のインターフェースらしい。そう、対有機生命体のだ」

「そう」

「朝比奈さんは簡単だ。未来から来たから未来人」

「……何年後から来たの?」

「それは……解らん。協定の都合上教えてくれなかった」

絶対納得してないなとキョンは思った

「あ、解った。古泉君は超能力者でしょ?そう言いたいんでしょ?」

笑顔の涼宮に彼は「そう、そうなんだ」と笑顔で返して頷いた

「で、部長は魔術師って訳ね?」

「よく解ったなぁ、ははは」

「でしょ?えへへ」
132 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/22(月) 15:21:41.46 ID:4NH4cUDO
『ふざけるな!!』

盗聴機がハルヒの声をモロに拾い、水前寺のイヤホンが音割れをした

「ったく。脳にも響いたぞ、涼宮君」

ちなみに盗聴機はキョンの靴に忍び込ませてある。前日の帰る直前に忍び込ませた。電源はボタン電池を並列化、電気供給回路の改造で最低でも今日の夕方までは安定した電波を発信する

本当は生体電池を使いたかったが、コストと仕組む時間の都合上やむを得ずボタン電池改造タイプにした

「……外に出たみたいだな」

ドタバタと言う音と、目視で涼宮が店の外に出たのを確認

「さて、今日はどこを探索するのやら」

水前寺は軽トラから降りて、支払いを済ませたキョンと涼宮の後を憑いて行った

探索は始まったばかりである




水前寺邦博と憂鬱
THE_END
133 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/22(月) 23:35:56.31 ID:4NH4cUDO
―――ある晩の事

水前寺は未来人に関する資料を全て破棄した。それも完全に消去をする方法で行った

理由は2つ

1つは季節と共に変わりゆく取材内容がその変わり目を迎えたから

もう1つは結果的に朝比奈(大)の望んでいたと思われる結末になったから

前者はいつもの事だが、今回は後者の要因で普段よりは早い時期での決断したと言っても過言ではない

「結局、朝比奈君に操られたって訳か……」

今回、涼宮と水前寺が閉鎖空間に閉じ込められた事件はそう言う事にる。未来人を見付けて未来を聞き出して未来を変えてやる筈が、既定通りと言うかレールの上を行ってしまった

水前寺はそれに納得がいかなかった。負けた気がした。しかしそれと同時に抗う事を諦めた。全ては既定の上。下手をすれば、そこの未来人が居るのもそうなる

「敵う訳がねぇ」

消去が終わると水前寺は直ぐにパソコンの電源を落とし、就寝に入った

しかし。彼は1つだけ決意をしていた。これが精一杯の抵抗

「絶対、未来への協力はしてやらんからな、朝比奈君」




to_be_contiuned
134 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/22(月) 23:43:40.19 ID:4NH4cUDO
一旦ここで一区切りです
誰も見てないと思うけど、見てた人はよく駄文に付き合ってくれました

今後の予定としては、伏線回収と伏線立てを交えながらまた綴っていきます
物語の展開の都合上、別スレにも行きます
その時はリンクします

それではまた後程
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/23(火) 13:27:47.13 ID:LhePrZgo
乙!

続き期待してます
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/03/23(火) 19:52:59.47 ID:A7V/u7wo
まずなぜ製作に建てたのか
137 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/24(水) 01:27:33.95 ID:jrj.72DO
関連スレ

水前寺「新たなJ・Dだと?」

http://orz.2ch.io/p/-/ex14.vip2ch.com/news4gep/1269269844/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269269844/

>>136
1つ、PCが壊れたので
1つ、PS3は打ち辛いので
1つ、保守が要らないので(但し、現在は怪我して休業中です
138 :ELZqmoDO [sage]:2010/03/26(金) 09:59:43.01 ID:CKRWNQDO
初夏の暑さと言うのは本番より体力を奪っていく感覚があるのは何故かと思いつつ、クーラーを全開にした軽トラで今日も水前寺は咎められる事無く通学をする。おまけ付きで
「あーもう、折角の華金なのにイライラする!!!」
水前寺の隣で涼宮はそんな初夏に文句を言う
「大声を上げないでくれたまえ。頭に響く」
「もっと強くならないの?このポンコツ」
水前寺の抗議は受け入れられず、今度の矛先はクーラーへ向いた
「文句を言うなら降りたまえ」
水前寺がそう言いと涼宮は急に大人しくなり、黙って窓の外を見つめる様になった
しばらくけたたましいエンジン音が車内を独占していたが、それに耐えられなくなったのか、涼宮はラジオのスイッチを押した。しかし音は出なかった
「何よこれ、壊れてるじゃないの!」
「壊れているぞ」
軽トラはお馴染みのハイキングコースに入った
「もうじきに着く。我慢をしたまえ」
不服そうな顔の涼宮
「はぁ……。退屈ね」
溜め息を吐いて水前寺を見る
「あんたはどうなの?楽しい?」
「良い意味での普遍で十分だ」
「……答えになってないわよ」
「それなりに謳歌しているさ」
「ふ〜ん。あたしは全然だけど」
これが何かのプロローグだったのだろうか。水前寺は後日、このやり取りを後悔する羽目になるのであった
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/04/27(火) 06:49:26.03 ID:XFjVa6AO
晒しage
140 :ELZqmoDO [sage]:2010/04/28(水) 02:18:49.46 ID:TAzRCcDO
翌日の不思議探索
今回の遅刻者はキョンとなて、奢りが決定した
勿論、未だ集合時間にはなっていない。一体何時に集合しているのだろう、と彼は思う
店に入り適当な席へ落ち着くと、涼宮は早速爪楊枝で即席籖を作った
「くじ引きするわよ。無印と赤と赤のシマシマがあるから」
お馴染みの班分けである。順に彼等はそれを引き、一喜一憂をする
「俺とキョン特派員か」
赤のシマシマを引き当てた2人は古泉を見てこう言う
「小泉特派員、デートではないぞ!」
「小泉、朝比奈さんに手ぇ出したら―――」
「安心して下さい。ありえませんので。それから、僕は総理ではありません」
文面にしないと解り辛いギャグである
「それじゃあ12時にここへ集合よ!」
涼宮はグラスに残ったジュースをストローで一気に吸い上げた。当然の事ながら最後はズズズー、と音が出る。飲み終わったら
「んじゃ、会計宜しく」
キョンに伝票を渡す
「あいよ」
そして彼女達は席を立ち、先に外へ出た
「やれやれ」
溜め息を吐きながら伝票を見た。遅れる度に支払いをしていたら絶対その内金欠になる。次こそは遅れない様にしないと
キョンが店の外に出るのと同時に、涼宮は活動開始の宣言をした
「良い?遅れたら罰金よ!!」
解散間際に涼宮はそう言い残し、長門を引っ張って行った
「これは、何としても最下位は避けたいな、キョン特派員」
「やれやれ」
少し憂鬱である
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/28(水) 23:29:59.76 ID:cJqDD0Uo
なんか文章へたくそだね。
地の文の構成に違和感がある。
誰の台詞か多少わかりずらい点がある。
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/29(木) 01:13:01.07 ID:ni1syoAO
前に指摘があったと思いますが、台詞と文の間を空けてみたらいかがか?
それで大分読み易くなり、印象も変わると思うのですが

文章の構成や展開はいいと思いますが、それでどこか排他的な感じがして、レスがつかないのだと思います

もう少し砕けて、読み手に心を開いてみては?
143 :ELZqmoDO [sage]:2010/04/29(木) 03:16:08.61 ID:JDrkIsDO
行間の事はガチで忘れてました
今手直しをしています

文章が下手なのは校閲を重ねて善処します(多分どうにもない
144 :ELZqmoDO [sage]:2010/04/29(木) 03:19:57.45 ID:JDrkIsDO
誤字訂正:校閲が云々(多分どうにもならない
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 01:20:36.80 ID:KChIr4ko
>>142
まず小説を読め
乱立しているSSモドキにとらわれすぎなんだよ。
俺はふつうに読めるけど。
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/04/30(金) 03:27:34.25 ID:ppgzWvE0
話の筋が面白ければ文章の巧拙なんて些細なことだけどなあ。
それで食ってくわけじゃなし。
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/05/02(日) 22:34:02.67 ID:SZnKQ4M0
水前寺って水前寺清子じゃなかったのか
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/04(火) 00:54:31.91 ID:l8WPzUDO
イリヤ、型月、禁書、夜魔、id?
なんか>>1と年が近い気がする。


クロスとしては筋も通ってたしよかったと思うけど、>>1に秋山的な書き方は向かないんじゃないかなぁ……一個人の感想です。
149 :ELZqmoDO [sage]:2010/05/04(火) 03:05:21.10 ID:Sf3xIUDO
どこかへ行くアテも無く、水前寺とキョンはぶらぶらと歩いていた
野郎2人で行く所なんざ知れているし、この場にそんなに数はない

最初はゲーセンに行こうと言う案が出たが、よくよく考えたら開店前である。仮に開いていたとしても、涼宮に見付かったら大目玉は間違い無しだ


どこに行くかを考えて歩いている内に、いつの間にか2人は桜並木のある川沿いに来ていた。丁度休憩に良いと思ったキョンは水前寺それを促した
承諾した水前寺は適当なベンチに腰をかけ、身体を伸ばした

しばらくは他愛もない世間話をしていた。それもしばらくするとネタが尽き、少しの間だけ沈黙が訪れた

しかしそれもキョンが直ぐに破った
「なぁ、水前寺。1つ訊いて良いか?」
「何かね?」
「古泉と話をした時に『世界を握る“鍵”』って言われた時、どう思ったんだ?」
水前寺は空を見上げ、少し考え込んだ

「俺自身の手で、世界を変える力の方が良かった」
「……お前らしい感想だな」
「だろう」

水前寺は顔を少しキョンの方へ向き直りながら言った
150 :ELZqmoDO [sage]:2010/05/04(火) 04:14:05.48 ID:Sf3xIUDO
秋山氏を目指そうとする猛者をむしろ知りたい……
会話文のみで話を展開させる事でさえ出来ない、そんな人間が書いている結果です

今後、文章をどうするか考える為に、少しROMってきます(プロットはメモ帳にて一応完成済
>>1の自己満足に耐えきれなかったら、いつでも見放して貰って結構です

唯、それでも見ていて下さる方が居るようなので、最善は尽します

最後になりますが、>>1が中坊の頃は電撃hpがとても高かったです
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/05/08(土) 19:34:45.01 ID:sXXCDbwo
深夜なったら読むから追いつく前に続き書いといてくれると良いな
152 :ELZqmoDO [sage]:2010/05/25(火) 16:54:54.24 ID:MOA9mUDO
誰も見てないけど>>1です
方針が決まりました
改行の度に1つ間を空ける事はせずに、普通に綴っていきます
制限に引っ掛かりまくるので
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/06/05(土) 17:49:57.31 ID:l58t.xY0
ktkr
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/06/05(土) 17:56:45.58 ID:l58t.xY0
ktkr
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/06/05(土) 18:05:42.41 ID:LoHECkg0
ktkr
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/06/05(土) 18:08:22.45 ID:GOEovOc0
ktkr
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/06/05(土) 18:18:53.70 ID:LoHECkg0
ktkr
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/06/05(土) 18:21:06.52 ID:l58t.xY0
ktkr
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/06/05(土) 19:04:53.22 ID:l58t.xYo
                   -―――- 、
              __ /        '⌒ト、
             ( ノ              ノ ヽ
                 ├ー─────〈     `、
                 |         │      !  <フ
              ,L__\____.∠ _,ト、      \    くI
              {从lx=ミl/ ヽx==ミ、:\     \_
          tュ   /:ハ{!トハ    ト心ハ : :\     ヽ \
             /:/ i}弋フ    V)フ ヽ: ∨\    i   |
            <フ  /:∧人"  △    ""ィヘ : ':、: \___l   |
            /ノ  |:.://⌒)゚下乏/⌒7)ハ: : :\ : : : : \_ノ
              //  __j:/弋_,厶'⌒∨ ⊆⊇ '; : ヽ : : : : : : : \
         /,{:|  /⌒ー'´  ..::::(⌒V/'  レイ:.}、: :\:\厂
            ̄|八_/'::C .::C .::C..::ムV^\   j:人\: :|\|
.                〃 ..::C .::C..:::::/ツ {   \   ヽj:/
            {{  .....::::::::.::::::ノツ、∧、   乙   }⌒二ニ丶
           ∧ヾッ、___:_:::イツ  仁ヘゝ=-、_ノ/ 人/\  `|
              Vヘーベ┴┴‐'´   |二ム \ ノ∨ ノ\_レー┘
            Vム=-ヘ ______人二ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/06/05(土) 19:13:33.71 ID:kw/BGtk0
ktkr
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sagesaga]:2010/06/05(土) 19:29:43.40 ID:kw/BGtk0
ktkr
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage11]:2010/06/05(土) 20:23:34.34 ID:m0L0f9s0
shien
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage8]:2010/06/05(土) 20:25:31.44 ID:iyZ4.Rs0
shien
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage42]:2010/06/05(土) 20:26:28.31 ID:neMYXmE0
shien
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage76]:2010/06/05(土) 20:30:07.92 ID:2D6xgBs0
shien
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage119]:2010/06/05(土) 20:32:21.22 ID:ANyQqso0
shien
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage120]:2010/06/05(土) 20:32:23.26 ID:HkXVgAc0
shien
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage121]:2010/06/05(土) 20:32:23.82 ID:ANyQqso0
shien
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage150]:2010/06/05(土) 20:34:40.47 ID:wC6xjt60
shien
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage160]:2010/06/05(土) 20:35:30.90 ID:f7pbbQ.0
shien
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage200]:2010/06/05(土) 20:38:08.21 ID:WYBJEf.0
shien
172 :ELZqmoDO [sage]:2010/06/08(火) 07:20:38.89 ID:b.So32DO
話しは数日前に戻る
水前寺は古泉とこんなやりとりをしいてた

「どうも、先程振りです」
SOS団の活動終了後に別れた筈のスマイル顔がそこに居た
「……今日はもう君の顔を見ようとは思わなかった」
「おや、これは手厳しい挨拶ですね」
「で、用件は何かね?わざわざ俺の下宿先に来る位だろうから、込み入った話しと見た。さあ、話したまえ」
部屋の鍵を明けながら、水前寺はビシッと指を差した
「いえ、そうでもないのですが、1つ貴方にお願いを持って参りました。ところで、普通に部屋に入ろうとしてませんか?それとも、台詞と行動が伴っていないとでも言いましょうか?」
「ん?あ、ああ。居たのかね」「ええ、先程から」
「早くしてくれないかね?雪見大福が解けてしまう」

水前寺は帰宅する前に、スーパーの特売でアイスを買い込んでいた。従って、彼の中ではこんな図が描かれている
雪見大福、複数の大なり、古泉。の図である
氷を入れておくべきであった、と後悔した
「解りました。では言いましょう」
古泉は咳払い後、少し間を置いてこう言った
「先日の一件で、貴方は『世界の運命を左右する“鍵”』となりました。従って、我々としては世界を良い方向へ導いて欲しい」
173 :ELZqmoDO [sage]:2010/06/10(木) 07:05:57.77 ID:LLXYykDO
それで一通りの台詞が終ったのか、古泉は口を閉じた
「……それが『機関』の総意なのかね?」
水前寺が小声で尋ねた
「はい」
古泉は短く、そして力強く返事をした。迷いの無い瞳が水前寺をしっかり捉えていた
沈黙が流れた。時間にすれば1分も経っていないが、水前寺は無駄に長く感じていた。このままでは雪見大福が解けてしまう
「……俺はてっきりキョン特派員が“鍵”だと思った」
なんとかして会話を終らせようと、先に水前寺は口を開いた。しかし内容は逆に引き延ばす物だと後から気付いた
「はい。『機関』も元々は彼が“鍵”だったと認識していました。しかし、状況が少しずつ変わっていっていたのは事実です」
「そうか……。なんと言うか、どっちだったんだろうな?」
「どっち、とは?」
水前寺の言う事が解らず聞き返す古泉
「俺がキョン特派員から“鍵”を奪ったのか、ハナから新参者の俺が持つ事になっていたのか」
174 :ELZqmoDO [sage]:2010/06/10(木) 07:07:35.29 ID:LLXYykDO
その問いに古泉は少し考え込み、
「これは僕個人の意見ですが、恐らく前者でしょう。奪ったと言うより、移ったと言う表現が似合いますね」「言葉の綾も鷹も俺はかけるつもりはない」
「それは済みません。それにしても一段と手厳しいコメントが多いですね」
そう言われた水前寺は、無言で中身の入ったレジ袋を突き出した
「……解りました。また日を改めて話しましょう。幾つか貴方からの意見を聞きたいので」
その日はこれで終了した。ちなみに、話しは未だに出来ていない


その後、雪見大福は迅速に冷凍庫へ入れた。夜食で引っ張り出した時はしっかり固まっていた。しかし案の定と言うか、食感が最悪だった
アイスが再結晶化した時に発生する、独特の感覚が来たのである。水前寺はこれを避けたかったのだ
175 :ELZqmoDO [sage]:2010/06/10(木) 07:08:09.80 ID:LLXYykDO
場面を元に戻す
「そんなやりとりをしていたのか」
水前寺から話を聞き終えたキョンそう言っては、少し考え込んだ
「俺の時とは大違いだな、古泉の奴」
「そうなのか?」
「ああ。さっきも言ったと思うが、俺も2、3日前位古泉と話した折りは実に短いやり取りだった」
キョンは水前寺に当時の状況を説明した
「昼休みに古泉に呼び出された思ったら、『鍵は部長になったから協力してくれ』って言われて終わり」
「……それが機関の答えなのかもしれんな」
「俺も次が体育で時間が無かったってのもあるがな。特にどうしてくれとは言われなかったし、俺もそんなのにならなくて済んで良かった」
キョンが言い終わると水前寺は苦笑いをしながら
「皮肉かね?」
「別に」
176 :ELZqmoDO [sage]:2010/06/10(木) 07:09:07.11 ID:LLXYykDO
話し込んでいると、いつの間にか集合するには少し遅い時間になっていた
2人は急いで駅前に戻る為にかなり走った。殆んど水前寺の独走状態で
喫茶店の前に到着した水前寺は、息を上げる様子もなく、こう呟いた
「お、一番乗りかね?」
未だSOS団の面子は見当たらない。店内も見たが、居る気配は無かった
「よし、一番乗りか?」
やっと追い付いたキョンは、息を切らしながら言った。水前寺は肯定の意を短く答えた
流石に、1日に2度も、防げる出費は避けたい。キョンの執念が勝った瞬間である
その後に涼宮、長門ペアが来て、最後に古泉と朝比奈が来た
「済みません、遅れてしまいました」
スマイル顔と困り顔を上手く掛け合わせた表情で、古泉は謝った
「ごめんなさい、涼宮さん」「良いわよ、2人とも。みくるちゃんもその靴じゃ走れないし、古泉君もちょんとエスコートしたみたいだし」
ここで水前寺とキョンはボヤく
「「あれ?何この扱いの差?」」
「何よ、文句があるなら言いなさいよ。内容によっては善処するわよ」
ジト目で2人を見る涼宮だが、ハナからそんな気はない。それも既に見越している水前寺とキョンも「いや、特に無い」と言っておいた
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/17(木) 23:52:51.28 ID:BUhsWS60
イリヤの水前寺?
178 :ELZqmoDO [sage]:2010/06/24(木) 21:47:19.26 ID:ZJgIH.DO
今日は全世界的にUFOの日です
179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/06/24(木) 23:48:20.81 ID:YgcYvHc0
>>178
続き期待してるぜ!

あとそのセリフというか言葉をみるとイリヤが読みたくなる

180 :ELZqmoDO [sage]:2010/07/03(土) 09:34:59.15 ID:daWyQUDO
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今仕事が辛いので(人間関係的な意味で)執筆止まってます
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/03(土) 12:13:32.10 ID:XL6WerQ0
>>180
がんばれよ
せっかく面白いんだから

182 :ELZqmoDO [sage]:2010/07/07(水) 08:10:52.38 ID:.PKPywDO
さーさーのはーらーぷそてぃー

ちょっと過去に行ってJCの落書き手伝ってきます
183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/07(水) 14:06:46.05 ID:TvLpqf.0
おれはそろそろ夏休みの時期だから山籠りの準備をはじめるよ
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/18(日) 08:16:54.93 ID:JIhoGsDO
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今山籠りしてUFO探してます
それはさておき

執筆再開しました
しばしお待ちを
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/19(月) 16:49:12.59 ID:MlWDY4g0
がんばれ!

186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/25(日) 03:14:14.18 ID:nYKMmvI0
はやくこいよー
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/07/26(月) 23:46:58.60 ID:SyvESqM0
読んどるよ
188 :ELZqmoDO [sage]:2010/08/03(火) 08:13:10.03 ID:gnzsV2DO
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プロットが消えたのでてんやわんやしてます
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/03(火) 09:33:55.17 ID:QGgj8Qk0
>>188
そんなの本当は頭の中にあるんだろ?
早く続き読ませてよ
190 :ELZqmoDO [sage]:2010/08/17(火) 12:02:42.77 ID:8zb3kQDO
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プロットを再構成しました
書き溜め開始します
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/18(水) 15:18:08.05 ID:wxtho/.o
まってた!
がっつりガツガツやっちゃってくれ!
192 :ELZqmoDO [sage]:2010/08/27(金) 23:37:54.69 ID:QO87hcDO
SOS団御一行様は再び駅前の喫茶店に入り、午後の分のくじ引きをした。ちなみに、支払は約束通り最後の2人だが、実質的には古泉である。朝比奈の手持ちが少なかったのである

「お昼からの班別けするわよ!」
涼宮は爪楊枝で新たなクジを作り、腕をテーブルの真ん中に出した。今回は早い者勝ちと言う事で一斉に皆、クジを引いた
「……なんだ、またキョン特派員か」
印の無い爪楊枝を引いた水前寺
「ま、そんな事もあるさ」
同じく、印の無い爪楊枝を引いたキョン
他の班は涼宮と古泉、長門と朝比奈の組合せとなった。なんとなく涼宮は不満そうな顔をしているが、対称的に古泉はトレードマークのスマイル顔で「これはこれは」と呟いていた
全員が食べ終わると、涼宮は強い口調で
「良い?今度こそちゃんと見付けるのよ!!良いわね!?」
と言った後、残ってたジュースを一気に飲み干した。ズコーーーっとはしたない音を立てて
193 :ELZqmoDO [sage]:2010/08/27(金) 23:39:17.48 ID:QO87hcDO
店の外に出て、各方面に別れる際、水前寺とキョンは古泉の
「「頑張れよ、デート」」
肩にポンと手を置いて健闘を祈った。それを見た涼宮は顔を赤らめながら慌てて訂正を入れた
「でっ、デートじゃないわよ!!何意味を変えてんのよ!!」
「照れなくても良いぞ、涼宮君。世の中はイケメンが主導を握るんだからな。しっかりとエスコートして貰えよ。では、後程!」
水前寺は皮肉めいた口調で2人を送り出した。その言葉にキョンは、お前も十分モテる部類なんだけどなぁ、と心の中で突っ込んだ。忘れがちだが、水前寺はモテる設定である。しかし本人はそんな自覚もないし、紙と言う貴重な資源を彼宛に書いたラブレターの返事は常に否。勿体無いことをしている。キョンはつくづくそう思う
そしていざ、出発しようとすると
「解っていて言っているのですか?」
古泉は自分のケータイの振動を感じとり、小さく水前寺に耳打ちをした
「何の事かね?」
「…………。―――バイトです。普通は不思議探索中に入る事は無いのですが」
ちなみに古泉はマナーモード中でも機関からの連絡か解るように、機関用の振動機能を設定してある
「良いではないか。稼げる時に稼いどくもんだぞ」
194 :ELZqmoDO [sage]:2010/08/27(金) 23:40:33.24 ID:QO87hcDO
端からすれば非情な言い種かもしれないが、水前寺にとっては他人事。前も述べた通り、協力すると言う意思は示した覚えはないし、協力しないと返答をした記憶も無い
「てっきり、我々には協力して下さるのかと思っていました」
「俺ははっきり答えていない。君の勘違いだ」
「……貴方とはもう一度ゆっくり話しておきたいところです」
「……早く行きたまえ。涼宮君が待っているぞ」
水前寺は目線で方向を示した。その先には不審な距離で何してるのよ、と言わんばかりの涼宮が仁王立ちしていた
古泉は急いで彼女の元に行き、それを皮切りに、やっと長門&朝比奈ペア、水前寺&キョンペアは各々の目的地へ足を向ける事が出来た
195 :ELZqmoDO [sage]:2010/08/27(金) 23:41:55.02 ID:QO87hcDO
宛もなく行き着いた所は東中だった

水前寺とキョンは何と無く涼宮の母校に来たかった。ある意味、今の彼女が形成された地を見てみたいと言う好奇心からである
校門は部活をする生徒の為に開いていたが、流石に入る訳にはいかまい。かと言って、近くでマジマジと見ていたら通報されそうである
従って2人は1度、校門前で短時間眺めた後に離れようと言う計画を立てた
「……普通の中学だな」
校門の前に立って水前寺はそう言った。それに反応したキョンが
「普通……か。あいつが嫌いな言葉だな」
「激しく同意だ。眥を上げて口をへにした彼女の顔が思い立つ」
「奇遇だな。俺もその表情が思い浮かんだぞ。プラス仁王立ちでな」
この会話を本人が聞いたら恐らく締め上げられるだろう。物理的に
「とりあえず、離れようぜ。そろそろ不審な目で見られる」
キョンは一時撤収を促した。何やら教員らしき人物が近付いてきている
「把握した」
そそくさと撤退する。今のご時世、致し方が無い
196 :ELZqmoDO [sage]:2010/08/27(金) 23:44:22.34 ID:QO87hcDO
適当な所で2人は立ち止まった。少し遠くからだが東中の校舎は確認できる
「校庭に描かれたミステリーサークル……か」
ボソリとキョンが呟いた
「ん?何の話しかね?キョン特派員」
「あ?ああ、いやな。俺のクラスのほら、谷口って居るだろ?あいつが教えてくれたんだ。涼宮の武勇伝をな」
七夕の翌日に東中の校庭に出現した謎の奇怪文字。石灰―――ライン引きで描かれていたらしい
「で、その犯人は涼宮と言う事かね」
「ああ。本人が言ってるからそうなんだろう」
そう言えば浅羽特派員も似たような事をしていたな。でっかいでっかいよかったマークが地方新聞の一面を飾ったのは園原電波新聞部の伝説である。もしかしたら浅羽特派員と涼宮君が会話したら案外面白い内容になりそうだ
そんな事を思いつつ、水前寺は近くの自販機でお茶を買った。お〜い、お茶の濃い味である
「相変わらずしつこい苦さだ」
なら何故買ったし
キョンも適当なスポーツドリンクを買いった
「で、この後はどうするのかね、キョン特派員?」
「さぁな。……帰る位か。このままどっか寄っても時間が危なさそうだ」
「了解だ」
ちなみに、2人は水前寺の軽トラでここまで来ている。しかし道に迷いながら来たので、予想以上に時間がかかった。最終的には近くと思われた公園の前に、路駐をして歩いてここまで来たのである
そして、そのクルマを置いている所へ足を向けようとした瞬間、水前寺に戦慄が走った
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/28(土) 10:19:39.62 ID:L4NI1tMo
きてたー!
まってたぜ!
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/29(日) 14:57:45.72 ID:G5j2wyAo
まだか
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 00:28:59.56 ID:YOkb6hMo
ま だ か
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 01:23:34.65 ID:gDiXc.Ao
ま  だ  か
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 08:20:03.94 ID:zNZptYDO
生存報告

書き溜めは少しずつしています
と言うのも、乗っ取りで暴れいるので
202 :ELZqmoDO [sage]:2010/09/21(火) 23:25:30.05 ID:Yhm/5cDO
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乗っ取りを頑張ってます
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/25(土) 19:56:51.45 ID:sxDQBmI0
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
204 :ELZqmoDO [sage]:2010/10/11(月) 17:46:06.93 ID:zArmZ.DO
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痛車作るのに没頭してます
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/29(金) 21:57:20.75 ID:EMmAZHco
ts
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/06(土) 00:47:01.88 ID:Ki.6ZYDO
乗っ取りでの任が解かれたので、書き溜め開始と投下再開
痛車製作が展示に間に合わんけど
207 :ELZqmoDO [sage]:2010/11/23(火) 08:44:38.18 ID:qTnBtUDO
「こんにちは、鍵のお二人さん」
背後からかかる声。突然の気配に驚いたキョンだが、目の前で繰り広げられた光景にも驚いてしまった彼は後にこう語る。
俺が振り向くのより先に水前寺が振り向いたんだが、それと同時にあいつは背後に居た女の子を拘束したんだ。そのまま近くの壁へ、その娘を引き摺ってホールドアップって言うのか?それをして尋問を始めた。その間は10秒にも満たなかったと思う
「……どこから湧いてきた?」
「人を虫みたいに扱わないで下さい」
同い年、又はそれ以下の容姿をした女の子。
「突然気配もなく近寄られたらな。それともあれかね?そう言った専門の方」
他の気配に気付いた水前寺はそちらへ首だけを向け、目を細めた。
208 :ELZqmoDO [sage]:2010/11/23(火) 08:45:17.15 ID:qTnBtUDO
居たのは20歳位の男と、異様な雰囲気を醸し出す黒髪、ロングでゴスロリを来た少女。一言で表すと正に、異質。どうして、いつ、どのようしにてそこに現れたのか。水前寺には掴めなかった。いや、掴められる筈がない。
「だから言ったんだ。そいつは危険だって」
男が呆れた口調で言った。
「でも、これ位はしないと異質性は出せませんよ?結果はどうあれ」
少し起こった口調で答える女の子。どうやら逆にこれを狙っていたようだ。
「どこまでもプラス思考なやつだな。……僕は助けないぞ。自分でどうにかしろよ」
登場早々仲間割れかよ。そんな突っ込みを心の中でしつつ、水前寺は
「先ずは君達の正体から聞こうかね。どうやら俺とキョン特派員の素性はバレているみたいだからな」
男の方に問おた
「簡単に明かすと思っているのか?」
「明かさないならこの女をアメリカに売る」
「え?ええ!?」
ニタリと笑って答える水前寺。
「待って下さい!明かします!!明かしますから!!」
209 :ELZqmoDO [sage]:2010/11/23(火) 08:50:29.27 ID:qTnBtUDO
先ず、水前寺に捕まった女の子が、橘京子。ツインテールのよく似合う娘である。男は「名前など意味の無い記号だ」と答えたので、水前寺が「ウンコカレー」と命名したら
「藤原って事にしておいてくれ」
と、答えたので「カリー・ド・藤原か……」と水前寺は理解した
「カレーから離れろ」
そう言われた水前寺とキョンは走って彼から離れた
「何故離れた!?」
「いや、カレーから離れろって……」
「俺はカレーの化身じゃない!」
カレー未来人、藤原は度しがたい称号を手に入れたをどうやら彼のお昼ご飯はカレーだったらしく、漂うカレー臭が染み付いたと言ったが、余計なフォローだった
「涼宮君に献上しようかね、キョン特派員」
「また何で?」
「カレー人発見」
210 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/04(土) 11:54:56.77 ID:KBGEh.g0
                             ・・・
「ああああああああああああああ。。あああああああああ、ああああああああああ
211 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/04(土) 11:56:06.73 ID:KBGEh.g0
                                 ・ ・ ・
「ああああああああああああああ。。あああああああああ、ああああああああああ
212 :ELZqmoDO [sage]:2010/12/23(木) 08:42:46.91 ID:J3BU/MDO
生存報告

消失見てたら消失の話を綴りたくなって綴り始めました
213 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/27(月) 01:13:48.52 ID:lSUJV4Io
214 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/27(月) 15:10:27.77 ID:t3NSgNoo
短編ばっちこい
215 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/27(月) 21:17:07.41 ID:eqUPKgAO
誰だよ水前寺と思ったら後輩の妹とガチで殴りあった変態部長水前寺か
216 :ELZqmoDO [sage]:2011/01/07(金) 08:27:50.60 ID:ZGIHNoDO
話を戻そう。

もう1人の人物について。先程からずっと居たが、台詞がずっと「……」な上に、何等動く事も無かったので割愛されていたが、その異常―――いや異質な存在感を醸し出す『黒い』少女
「―――九曜」
透き通るような声質
「供養?」
名字にしては縁起が悪いと思う水前寺だが、それは同音異義語だ
「―――周防――――――九曜」
「九曜周防なのか周防九曜なのか解らんぞ、キョン特派員」
「俺的には後者だと思う」

確かに響きは後者の方が良いが。それを見かねた藤原は
「俺達は特に気にしてない。名前なんか記号でしかない、ってのが一番解りやすい奴だ」
と言って鼻で笑った。そこで再びあの話題が勃発
「まぁ、オムカリー以上に無頓着っぽいな」
「だからカレーから離れろ!!」
ダッシュで逃げる水前寺、キョン、橘、周防
「いい加減にしろ!ってか、お前等2人は関係ないだろう!!」
「いやぁ……何と無く」
「――――――安い―――ノリに――――――ノッた――――――だけ」
217 :ELZqmoDO [sage]:2011/01/07(金) 08:28:32.60 ID:ZGIHNoDO
いつまでも新喜劇のノリを保つ訳にもいかないので、とりあえず散った4人は
「集合!!」
と言った水前寺の所へ集まった。イライラが全開な藤原は1人来ず、そのままそっぽを向いて話しに加わるのを拒んだ。従って彼抜きとなるが、橘曰く「何もあの人から言われる内容は特にありません」との事らしい。水前寺としてもそろそろ相手をするのが面倒になったので、丁度良かった。
「いや、多分俺達の方が面倒な人間だと思うぞ」
ボソリと呟くキョン。

さて
先程の流れから話を切り換えるには少し時間を要したが、やっと本題に入る
「さて、先ずは君達の目的を問おうかね。わざわざそこの宇宙人に不可視なフィールドを張って貰ってコンタクトを取ろうとする位だ。涼宮君絡みかね?」
218 :ELZqmoDO [sage]:2011/02/12(土) 08:08:46.95 ID:G7jhQKzDO
生存報告

痛車じゃぱん出ます
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 20:53:17.52 ID:auqyZWafo
いつまでグダグダやるんだよ
220 :lain. [sage]:2011/04/05(火) 03:16:00.78 ID:???
以前SS速報板へのスレッド移転依頼をして頂きましたが、管理人が移転作業を放棄してしまったため、
作者の方ご自身でSS速報板にスレッドを立て直して頂きたく思います。
お手数をおかけしますが、どうかよろしくお願いいたします。

また今月中に返答が頂けない場合は、こちらのスレッドをHTML化の対象とさせて頂きます。
221 :ELZqmoDO [sage]:2011/04/12(火) 23:49:37.32 ID:yTNc3s5DO
もしもしなのでさっぱり……?
222 :lain. [sage]:2011/05/16(月) 01:46:07.76 ID:???
移転のための期間をこれ以上延ばすわけにもいきませんので、今月末にはこちらのスレッドをHTML化処理します。
反論は認めません。
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