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上条「神殺し?」セリカ「幻想殺し?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :黒エウ娘 :2011/10/20(木) 21:44:02.16 ID:peOKA87AO
「とある魔術の禁書目録」とエウシュリーより発売している18禁RPG「戦女神」シリーズのクロスオーバーSSです。
エロ無しバトル多めの予定。予定は未定ですが(笑)

禁書は非売品以外は全巻読破済み、戦女神は無印以外プレイ済み。
クロスさせる都合上、設定を結構無理やり解釈してるので原作ファン(特に戦女神ファンの方)は不快に思うかも知れませんが多めに見て下さい。

なるべく禁書だけ知っていれば楽しめるように書くけど、気になったら是非戦女神をプレイしてみて下さい。エロシーンがあるだけでその辺のRPGよりやりこめるゲームです。

質問や意見はどしどしお願いします(設定に関してはGoogle先生の活用をオススメします)。
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2 :黒エウ娘 [sage]:2011/10/20(木) 21:48:12.72 ID:peOKA87AO
地球では無い世界、ディル・リフィーナ、その片隅の小さな村―北華鏡という―の裏手にある遺跡。
いや、どちらかと言えば廃墟という表現が似合う砦跡に3つの人影があった。

「セリカ様、本当に行くのですか?」

「気持ちはわかるけど、大人しくしてたっていいじゃない」

「……」

セリカと呼ばれた人物はおし黙って、腰の剣を抜いた。
洗練された意匠の鞘から出てきたのは、不釣り合いに錆び付いた剣だった。
ジャリ、という音が淡く反響する。
3 :黒エウ娘 [sage]:2011/10/20(木) 21:57:11.92 ID:peOKA87AO
「っ、あー、そうなんだよねえ……」

青みがかった短髪のメイドは諦めたように呟いて、目を閉じ、壁に背を預けた。

「お前たち使徒の事は大事に思っている」

セリカが口を開く。
中性的な容姿だが、声はれっきとした男性のものだ。
彼はかつて女神の体を奪った神殺しである。そのため神に等しい魔翌力や魔法耐性をその身に宿す。
体が男性なのは性魔術で維持しているからで、魔翌力が切れ女性に戻ってしまうと歩く事もままならない。

「だが、ハイシェラは唯一無二の相棒だ。俺は、あいつをどうしても取り戻したい」
4 :黒エウ娘 saga忘れた [saga]:2011/10/20(木) 22:00:57.51 ID:peOKA87AO
「っ、あー、そうなんだよねえ……」

青みがかった短髪のメイドは諦めたように呟いて、目を閉じ、壁に背を預けた。

「お前たち使徒の事は大事に思っている」

セリカが口を開く。
中性的な容姿だが、声はれっきとした男性のものだ。
彼はかつて女神の体を奪った神殺しである。
体が男性なのは性魔術によって維持しているからで、魔力が切れて女性に戻ってしまうと歩く事もままならない。

「だが、ハイシェラは唯一無二の相棒だ。俺は、あいつをどうしても取り戻したい」

彼は錆びた剣を見つめながらそう言った。
5 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/20(木) 22:08:23.56 ID:peOKA87AO
「ですが……」

金髪の、美しいメイドは難色を示す。

「エクリア」

「は、はい」

「転移魔法陣の起動を頼む」

反論は無視して静かに、だが有無を言わさない口調でセリカは第一使徒、エクリアに命じた。

「わかりました……我が主セリカ・シルフィルの名の下に、エクリア・フェミリンスが命ず」

中央の柱から部屋中に刻まれた魔法陣に光が満たされていく。

「役割は門、性質は時。汝その力を解放し我らを遥か昔へと運ばん」

エクリアから注がれる魔力に反応して光が一際強くなる。
彼女がぶつぶつと何か呟くと、光の色は赤、紫、緑と明滅を繰り返しながら変わっていく。
しばらく変色を繰り返して光は青色で安定した。
6 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/20(木) 22:12:48.36 ID:peOKA87AO
「これで大丈夫なのか?」

「ええ、消滅していなかった文献の記録と、過去のハイシェラ様の発言を統合した時代へ飛ぶように設定できたはずです」

「はずって……」

「マリーニャ」

「は、はい!?」

「別に無理強いはしない。不安なら残れ」

「え、いや、別にそういうつもりじゃ。むしろ危険は望むところですし」

怒られると思い身構えた第二使徒マリーニャ。
思いがけず優しい言葉をかけられたからか、ガッツポーズなどして挙動不審である。

「セリカ様、それと一点だけよろしいですか」

「どうした」
7 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/20(木) 22:40:38.77 ID:peOKA87AO
「転移魔法陣ですが、私が設定したのとほぼ同じ設定で飛んだ形跡があります」

「ふむ……」

「それで飛んだ奴がハイシェラ様を消したって事ですか」

「おそらくはそうね。それにセリカ様の力を借りられる私ならともかく、ここまで緻密な設定ができて強大な魔力を持つ者となると……」

「まーたアビルース? ホンっト粘着ですね」

マリーニャの口から嘆息がもれる。

「アビルース……どこかで聞いた名前だな」

「思い出さなくて結構です」
「思い出さないでいいです」

「そうか」

2人の使徒に同時に突っ込まれ、セリカは少し怯んだ。
8 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/20(木) 22:41:59.13 ID:peOKA87AO
「転移魔法陣ですが、私が設定したのとほぼ同じ設定で飛んだ形跡があります」

「ふむ……」

「それで飛んだ奴がハイシェラ様を消したって事ですか」

「おそらくはそうね。それにセリカ様の力を借りられる私ならともかく、ここまで緻密な設定ができて強大な魔力を持つ者となると……」

「まーたアビルース? ホンっト粘着ですね」

マリーニャの口から嘆息がもれる。

「アビルース……どこかで聞いた名前だな」

「思い出さなくて結構です」
「思い出さないでいいです」

「そうか」

2人の使徒に同時に突っ込まれ、セリカは少し怯んだ。
9 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/20(木) 22:42:58.30 ID:peOKA87AO
「転移魔法陣ですが、私が設定したのとほぼ同じ設定で飛んだ形跡があります」

「ふむ……」

「それで飛んだ奴がハイシェラ様を消したって事ですか」

「おそらくはそうね。それにセリカ様の力を借りられる私ならともかく、ここまで緻密な設定ができて強大な魔力を持つ者となると……」

「まーたアビルース? ホンっト粘着ですね」

マリーニャの口から嘆息がもれる。

「アビルース……どこかで聞いた名前だな」

「思い出さなくて結構です」
「思い出さないでいいです」

「そうか」

2人の使徒に同時に突っ込まれ、セリカは少し怯んだ。
10 :黒エウ娘 :2011/10/20(木) 22:46:11.70 ID:peOKA87AO
うあ、連投してしまったorz

なんか重いのでもう少し投下したら今日はおしまいにします。
11 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/20(木) 22:50:15.22 ID:peOKA87AO
「でもシュリたちには悪いですね。セリカ様を独占しちゃってるみたいで」

「仕方ないでしょ、時空間転移となると3人が限界なのよ」

シュリというのはセリカの第三使徒、エクリア達の同僚(?)の事だ。

「わかってますよ」

「……ではいくとするか」

深緑の外套を揺らし、セリカが中央の柱へ向かう。

「え、あ、ちょっとセリカ様!」

無愛想な主はエクリアの制止を聞かず、あっという間に光に吸い込まれていった。

「あー、いっちゃいましたね」

「全く、同時に入らないと到着点の座標がずれるのに……」

「あ、あっはははは……」

ため息をつくエクリアと、乾いた笑い声を出すマリーニャ。

「……エクリアさん、あたしたちは一緒にいきましょう」

「当然よ。セリカ様は現地で探すわ」

「了解です」

エクリアとマリーニャは軽く目線を合わせると、同時に光へ飛び込んだ。
その直後、魔力を使い果たした転移陣から徐々に輝きが失われていく。
一分程後には大魔術が行われた形跡は全く無くなり、元通りの廃墟だけが存在していた。
12 :黒エウ娘 :2011/10/20(木) 22:52:47.45 ID:peOKA87AO
神殺しと幻想殺し。
災いを呼ぶ二人。
魔剣と拳が交差する時、物語は始まる。
13 :黒エウ娘 [sage]:2011/10/20(木) 23:00:29.61 ID:peOKA87AO
プロローグ終了です。
やっぱりちょっとわかりづらいかしら?
明日から上条さんも登場しますよ。

では
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 23:20:19.94 ID:RRVn8zqW0
期待
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 12:28:55.48 ID:GQkvVEaE0
エウ物か〜懐かしいな〜
16 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 13:18:03.16 ID:mmS34bQAO
レスがついて嬉しいんだぜ。
少し投下します。
17 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 13:19:06.68 ID:mmS34bQAO
東京都西部、200万人の学生を抱える研究の町、学園都市。
その第七学区に今日もとある少年の叫び声が響く。

「不幸だあー!」

土曜日の朝から元気に叫んでいるツンツン頭の少年は上条当麻と言う。右手にあらゆる異能を打ち消す力を宿すが、そのせいで幸運も打ち消しているらしい。

「とうま、五月蝿いんだよ。今良いところなんだから静かにして欲しいかも」

テレビアニメを見ながら返事をした銀髪シスターはインデックス。十万三千冊の魔導書を一字一句記憶する「禁書目録」であり、食欲魔神である。(以上駆け足の説明)
18 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 13:19:54.43 ID:mmS34bQAO
「インデックス! 上条さんは早急にバイトをしなくてはなりません!」

「い、いきなりどうしたの?」

「どうしたの、じゃねーよ! 最近のお前の食いっぷりが異常すぎてどう計算しても月末まで保たないの!」

学園都市の学生には家族からの仕送りの他、適宜奨学金が給付されるので本来金欠になることは有り得ない。
だが諸事情から上条宅に居候しているインデックスは学生ではない。日本人ですらない。
祖国も何故か仕送りをしてくれないので常に食費が二倍になってしまい必然的に上条は年中金欠なのだ。
19 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 13:20:23.58 ID:mmS34bQAO
「それは困るかも」

「と、言うわけだから面接行ってくる。留守番してるか、退屈なら小萌先生のとこに行ってくれ」

矢継ぎ早に言うなり上条は靴をはき、玄関から出てしまう。この間僅か五秒。

「え、ちょ、とうま!? とうまーっ!」

インデックスの声をバタン、とドアが遮った。

「さて、まずは求人情報っと……」

寮を出て携帯を操作する。見た目はボロだが中身は学園都市製のハイテクケータイ……のはずだ。
学園都市内求人サイトを検索し、第七学区をクリック。適当にスクロールしていく。
20 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 13:21:01.20 ID:mmS34bQAO
(コンビニは……コストパフォーマンスが悪いな。飲食店は俺の体質からして無理。だーっ、じゃあどこで働けば良いんだっての)

画面を見ながら凄まじい百面相を披露する上条だったが、ある欄を見て動きが止まる。

(1日研究所の事務手伝い、時給……五千円!?)

怪しいと思う気持ちと破格の給与への欲望が上条の中でせめぎ合い、

ポチッ

あっさりと欲望が勝った。

(面接は今日の午後、仕事は明日か。随分急だけど宿題なんて元々やってないし、問題ないな。とりあえずゲーセンで時間潰すか)
21 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 13:22:41.50 ID:mmS34bQAO
ふんふふーん、と鼻歌を歌いながら軽やかに歩いていると

パフッ

と上条の顔面が柔らかな感触に包まれた。
22 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 13:23:21.57 ID:mmS34bQAO
少し前。
神殺しことセリカ・シルフィルは音もなく学園都市に降り立った。

「思ったよりもあっさりしているな」

応える声はない。
誰にともなく呟いて気づく、相棒の不在。
軽く舌打ち、拳を握りしめる。

(とりあえず現状を確認しよう)

辺りを見回す。
自分がいるのは林の中。だがすぐ先にはベンチのある広場。

(庭園か……それにしては人が多いな)

しかもよくわからない創造魔獣(掃除ロボットのことです)が動き回り、人々の手にも見慣れぬ魔具が例外なく握られている。
話したりしている所を見るに通信装置か。
(どうやら俺はとんでもない所に来たらしい)

内心戦々恐々しながらも腹をくくったセリカは林から一歩踏み出した。

「ちぇいさー!」

年端もいかない少女が公共物を蹴飛ばしている。
やっぱり来なければ良かったかな、とちょっぴり思うセリカだった。
23 :黒エウ娘 [sage]:2011/10/21(金) 13:24:32.48 ID:mmS34bQAO
昼休み終わるんでここまでです。
(´∀`*)ノシ
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/21(金) 14:12:24.21 ID:5dizUQPAO
ちょうど今veritaやってるわ
もう何十周しただろうか
とりあえず期待
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2011/10/21(金) 19:20:37.20 ID:fcEiX6lv0
エウシェリー好きなんで期待
26 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:18:01.27 ID:mmS34bQAO
続き投下します。
私もVERITAは最近ガイドブックも買ったので、まだまだ楽しんでます。
27 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:23:26.96 ID:mmS34bQAO
マリーニャと共に学園都市に到着したエクリアは、セリカ同様のカルチャーショックを味わいながら(マリーニャは割と楽しんでいるようだが)ぶらぶらと街を歩いていた。

「いやー、文献にはありましたけど、これが古代の科学ってやつですか。凄いですね」

「そうね、正直予想以上だわ」

「なんかお土産に買えないですかね。あーでもお金がないか、言葉は通じるみたいなんですけどね」

「随分気楽なのね、マリーニャ」

「すいません、でも血筋のせいかワクワクしてきちゃいまして」

「盗賊一家だものね」

「 義 賊 で す ! 」

と、緊張感ゼロで姦しくやりながら歩いていた2人だったが、

パフッ

とよそ見していたマリーニャ(の胸)が少年に衝突した。

「おっと」

バランスを崩す少年をギュッと抱き留める。
おかげで彼は転ばずにすんだが、思春期の男子にとって色々ヤバい状況である。

「いやあ、危ない危ない。お姉さんがいて良かったねえ」

「んー! んー!」

「マリーニャ、窒息するわよ」

「おっと、ごめんね」

パッと手を離す。
少年は凄まじいキレでバックステップすると、すぐさま土下座の体勢に移行。
28 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:23:55.69 ID:mmS34bQAO
「すいませんでした!」

「え、何が?」

「いや、その、えと……あれ、怒ってらっしゃらない?」

「うん、まあとりあえず顔を上げなよ。随分注目されちゃってるし」

顔を上げた少年が見回すと、確かに道行く人々の視線は明らかに自分たちに集中している。

(というか俺の土下座よりも美人メイド2人という状況に注目してるのではなかろうか)

「あ、そうだ君さあ」

「はい、なんでせふか?」

「ちょっと観光案内頼んでも良いかな?」

「マリーニャ!」

「別にいいじゃないですか」
29 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:24:21.59 ID:mmS34bQAO
「まあいいのかしら……」

「あのー」

「あーごめんね、そんなわけだから案内頼んでもいいかな?」

「あ、それは全然構わないですけど、とりあえずどこか落ち着ける所へ行きましょう」

「おっけー。ほら、エクリアさんも」

「ええ、それでは行きましょうか」
30 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:34:32.05 ID:mmS34bQAO
「と、言うわけだ。俺はバイトの面接なんで頼んだぞ、御坂」

「え、ちょま」

「じゃなー」

「じゃなー、じゃない! 人を家に呼びつけといて何平然と走り去ろうとしてんのよ!」

所は移って上条宅。
美人メイド2人を連れ帰り、とうまがいつも通りなんだよと頭をかじられ、自己紹介を済ませたものの気づけば面接の時間が迫っていた。
困った上条はインデックスに案内させるのも不安なので目についた御坂美琴に連絡。
五分もかからず家に来てくれたので説明はインデックスに任せてダッシュで出かけようとしている(今ココ!
31 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:35:17.87 ID:mmS34bQAO
「すまん、本当にヤバいから後はよろしくな。美琴」

「美琴って、いきなり……あ、こら!」

無視して上条は走り去っていった。

「ったくもう……で?」

「何かな、短髪」

「いや、ほら説明してよ。いきなり呼び出されてわけわからないのよ」

「呼び出されてすぐ来るような尻軽に教えることは無いかも」

「し、尻軽!?」

「あのー」

「あ、そうよ! なんでこんな綺麗なメイドさんが2人もいるのよ!」

「私もわからないんだよ。とうまが連れてきたの」

「えっとですね」

「大体ね、私が尻軽ならあんたは発情期よ!」

「は、発情なんてしてないんだよ! 短髪こそ調子に乗って、何が、でも今度は1人じゃない(キリッ なのかな?」

「ちょ、あんた、どこでそれ」

「いんたあねっとに書いてあったってあいさが言ってたんだよ」

「ちょっと2人とも落ち着きなって」

「「外野は黙ってて!」なんだよ!」

全く会話に入れないマリーニャはエクリアを見つめた。

(エクリアさん)

(何よ)

(頼みました)

(えー)

銀髪シスターと短髪少女はまだ口論を続けている。
32 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:35:49.83 ID:mmS34bQAO
エクリアはしばらく考えこんだ後、2人に向かって手をかざし、ぶつぶつと何かを呟いた。
刹那、インデックスと美琴の体が光の輪で拘束される。

「わ、なにこれ!?」

「拘束魔術……旧約聖書の応用みたいだけど見たこと無い方式なんだよ」

「申し訳ありません。話が進まないので手荒な事をさせてもらいました」

軽くパニックな美琴とは対照的にインデックスは仕事モードに入る。

「それで? 魔術師が何の用なのかな? 私やとうまを利用するつもりなら協力はできないんだよ」
33 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:36:38.60 ID:mmS34bQAO
インデックスは精一杯眉根を寄せて凄む。
その間にも魔導書図書館の知識を応用して正体不明の魔術を解析していく。
対するエクリアの表情には困惑の色が見える。

「上条さんやあなたを利用、とはどういう事でしょうか?」

「とぼけたって無駄なんだよ。魔術師が危険を冒して学園都市に来る理由なんてそれくらいしか無いんだから」

「ちょっと魔術って何よ? お得意のオカルト?」

「短髪は先入観を捨てて状況を観測するべきかも」
34 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:40:36.92 ID:mmS34bQAO
冷静に突っ込まれ美琴は静かになる。
インデックスとエクリアは睨み合いを続けている。
張り詰めた空気を破ったのはマリーニャだった。

「エクリアさん、いっそ全部話しちゃいません?」

返事は無い。だが彼女は続きを促されたと判断する事にした。

「この時代に魔術は無いって話でしたけど、見たところシスターさんは魔術を知ってるみたいですしそっちの子もこの街に詳しいんですよね? だったら協力してもらった方が合理的ですよ」

しばしの沈黙。やがてエクリアは大きなため息をつくと、拘束魔術を解除した。
35 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:41:03.77 ID:mmS34bQAO
「それでは、自己紹介もすんだところで本題ね。あたしたちは君らにとっては未来から来ました!」

数分後、美琴に買いに行かせた飲み物をめいめい手に取り、ちゃぶ台を囲んでの女子会(?)が始まっていた。

「それで、ある人?というか魔神?を探しているんだけど」

「ちょっとストップ!」

たまらず美琴が突っ込む。

「未来って……未来!?」

「うん、そうよ」

「随分あっさりしてるんだよ」

「ああ、私の自分だけの現実(パーソナルリアリティ)が崩れていく……」

能力者的には一大事である。
36 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:42:09.21 ID:mmS34bQAO
「信じられないのも無理ないわ。でも事実よ」

「そーそー。だからさらっと流してもらえれば」

さらーっと芸人のようなジェスチャー(ボイス有り)をとるマリーニャを無視してエクリアが続ける。

「私とマリーニャ、それとセリカ様、というのは私たちの主ね、その3人がこの時代に来たのにはある目的があるの」

「目的、ですか」

「ええ」

一呼吸おいてエクリアは順序立てて説明を始めた。
自分たちが住む世界は何度も文明が滅んだ後の世界だということ。
神殺しセリカのこと。
魔神ハイシェラのこと。
ハイシェラはセリカに敗れて魔剣になったこと。
そしてハイシェラは機工女神という、人間に改造された存在だということ。

「でも、セリカ様の魔剣に宿って何百年と過ごしてきたハイシェラ様がいきなりいなくなった、というより消滅したのよ」

ひとしきり説明を終えるとエクリアは言葉を切る。

「あたしたちは歴史が変わったからだと睨んでる」

「ちょっと待つんだよ」

マリーニャの発言に、スープカレーを飲んでいたインデックスの耳がびくりと動く。
37 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:42:43.57 ID:mmS34bQAO
「人格を持つ魔剣が本当に存在すると仮定して、魔剣が持つ神性や魔性を無くす方法なんていくらでもあるかも。代表的なものだとグラムの伝承にあるように単純に粉々にしちゃえば良い。英霊クラスの職人と全ての破片が揃わなくちゃ力を取り戻す事はできないんだよ」

それなのに何故歴史改変を根拠にするのかな、とインデックスは言う。

「まずハイシェラ様が宿っていた剣はバラバラにされていない」

その疑問にはエクリアが答えた。

「というより、物理的にも魔術的にもハイシェラ様にダメージを与える方法は無いの。本人の耐性が強いし、持ち手は神の力を持つセリカ様だから並大抵の呪いは通用しないわ」

「ついでにあたしたち使徒が常に敵には注意してるし、攻撃された気配も全く無かったんだよね」

学園都市製ゲテモノドリンクを飲みつつなんか変わった味だねえ、などと美琴とだべっていたマリーニャも話に加わる。

「あと、ぶっちゃけた話最大の根拠があって」

勿体付けるように卓を見渡してから
38 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:43:21.47 ID:mmS34bQAO
「セリカ様の周囲にいた者の記憶以外、ハイシェラ様の存在を示す物が全て消滅してるのよ」

決定的な理由を口にした。
39 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/21(金) 22:53:48.93 ID:mmS34bQAO
とりあえず一区切り。
次回からバトルです!

書きためはそれなりにありますが、あんまり調子に乗るとすぐストック切れるし推敲もしたいのでマターリやりたいと思ってます。

いくつか言い訳です。

まず、冒頭の転移魔法陣ですが時間を飛べるという描写は無いです。
しかも原作では何人でも通れるし閉じる事も無かったり。
キャラ数を抑える事情です。シュリファンの方すみません。シュリ、出てきません(苦笑)

もう一つ。このSSではエウ作品の舞台を地球のなれの果てとしています。これは公式ではぼかされている所なので一応断っておきます。

意見や質問あればどうぞ。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/22(土) 02:03:34.97 ID:4Debdz/30
バトルwwktk
41 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 09:46:20.22 ID:q+IhdBHAO
続き投下します
42 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 09:51:08.09 ID:q+IhdBHAO
神殺し。
古代の女神アストライアの体を奪ったせいで古神からは同朋殺しとして恨まれ、魔族からは神核をもった体を狙われ、現神勢力からは脅威とみなされ追われる存在。
しかしセリカは今までその全てを時に1人で、時に使徒たちの力を借りて凌いできた。
まさに百戦錬磨、そんな彼は今

(……迷った……か?)

迷子になっていた。

(ハイシェラを改造する儀式を行っているなら魔力の気配を辿れるかと思ったのだが……)
43 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 09:53:33.81 ID:q+IhdBHAO
庭園(公園)を抜け出したセリカは微かな魔力を感じた。
行く当ても無いので取り敢えず気配を辿ってみたのだが、たどり着いたのは建設途中で放り出されたような廃ビルだった。
魔力の反応は濃くなっているものの、魔神クラスには程遠い。

(はずれか)

セリカは踵を返す。だがその時

「いやぁぁぁぁぁー!」

女の叫び声がした。発生源は眼前の建物。

(きな臭いな……)

セリカは肩に背負った皮袋から予備の剣を取り出す。
するりと鞘から抜くと、刀身自体が淡赤色にゆらめいた。
レティヤミルバ、炎自体に質量を与え、刀身に固定化した業物である。
錆び付いたハイシェラの残滓を皮袋にしまうと、セリカは感触を確かめるように軽く剣を振るう。
ビュンッビュンッと空気を裂く音がする。

「む?」

剣先に違和感を感じ、思わず声が出た。
もう一度、今度はゆっくりと紅蓮の剣を動かしていく。
やはり絡みつくような違和感がある。
試しに歩を進めると前に進みたくなくなる強制力を感じた。

(人払いか。小賢しい。これでは何かやっていますと言っているような物だ)

それも良からぬ事をな、と考えながらセリカは剣を構える。先程の試し振りとは違う、本気の構え。
44 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 09:58:42.92 ID:q+IhdBHAO
「はぁっ!」

紫電一閃。
気合いと共に叩き込まれる高速剣術。
飛燕剣という流派の奥義である。
一の型、身妖舞。速さに優れるが低威力の技だ。
しかし低威力とは言え人払いの結界を壊すには充分だった。
十文字の斬撃の跡に聖炎が走り、パキィインと魔術の破壊された音がする。

(別に助ける義理も無いが)

セリカは神の体を得た代償として感情の起伏が殆ど無い。
そのため行動原理は全て気まぐれである。

(だが、何故だか行かなければならない気がする)

珍しく突き動かされるような衝動を感じ、彼は鞘に剣を収め廃ビル内へ踏み込んだ。
45 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 09:59:43.47 ID:q+IhdBHAO
「いやぁぁぁぁぁー!」

佐天涙子は後悔していた。どうして自分は路地裏ショートカットを試みたのかと。
この日佐天は、幻想御手事件を通じて知り合った友人である(少なくとも佐天は友人以上には思っていない。念のため)重福省帆に誘われ、買い物に出かけていた。
彼女が時折見せる熱っぽい視線は気になったが基本的には楽しい時間が過ごせた。
軽くお茶をした後は、お互いの寮が逆方向だったのでその場でお開きとなった。
その後路地裏に入りしばらく歩いた。それが良くなかった。
急に目の前が暗くなり気を失った。
46 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 10:00:15.99 ID:q+IhdBHAO
最後に佐天さん、と叫ぶ重福の声が聞こえたような気がするが、記憶は混濁しており定かではない。

(以上回想終わり……じゃないってば、よくわからないけどこのままじゃヤバい)

佐天の前には凄まじい光景が広がっていた。
埃っぽい廃ビルのワンフロア一杯に赤い塗料(ペンキ……と思いたいが鉄の匂いがする……)で、RPGに出てくるような巨大な魔法陣が描かれている。
それだけなら良い。
しかし異様なのは巨大な魔法陣の四方に小さな魔法陣があり、全裸の少女が1人ずつ寝かされている事だ。
47 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 10:02:19.86 ID:q+IhdBHAO
その上少女達はそれぞれ右手、左手、右足、左足に釘を打たれ床に固定されているように見えた。
かなりの大怪我なのに全員が安らかな表情をしているのが逆に不気味だった。

(もしかしたら死んでるのかな……)

確かめようと佐天は立ち上がり、そこで自分が生まれたままの姿だと気づいた。
よく見れば自分の周りにも円と怪しげな呪文が刻まれている。
再び四方を見渡す。
横たえられた少女達と自分の距離は、どの方向を見ても同じである。
佐天の脳裏に嫌な考えが浮かぶ。

(右手、右足、左手、左足ときて中央でしょ……冗談じゃないって!)
48 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 10:02:50.20 ID:q+IhdBHAO
心臓か女の部分だと思った。
前者はもってのほか、後者なら釘を使われない可能性もあるが最悪な事には違いない。
下を向いた拍子に薄く毛の生えた陰部が目に入る。

「おぇぇえっ、くっ、げほっ、うぇっ」

嫌な想像をしてしまい胃の内容物が逆流した。
思わずしゃがみこみ、汚い床に吐瀉物を撒き散らしてしまう。
最悪の気分だ。
それでもどうにか空元気を出して再び立ち上がる。

(とにかく逃げよう。考えるのは後でいいじゃん!)

佐天が円から踏み出そうとしたその時、階下から激しい音が聞こえてきた。
49 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 10:05:28.34 ID:q+IhdBHAO
ビル内に踏み込むと、チクリと刺すような痛みを感じた。

(探知結界か、ご苦労な事だな)

程なくして若い男が槍を構えて飛び出して来る。

「誰だ、お前は!」

「セリカ・シルフィル、旅の剣士だ。こちらも1つ聞きたいのだが構わないか?」

「旅の剣士だと?ふざけてるのか、話すことなど無い!」

気配を感じ辺りを見渡すと、5人の男がめいめい武器を手にセリカを包囲していた。

「この短時間で展開できるとは、なかなか優秀な集団だな」

「五月蝿い! 結界を突破したならお前は魔術師だろう。この場で死んでもらう」
50 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 10:06:15.03 ID:q+IhdBHAO
男が槍を構えるとその穂先が眩いばかりの輝きを放つ。

「lucis913!我が神槍、ブリューナクを受けよ!」

槍から高密度の光塊が放たれる。

ブリューナクとはケルト神話の太陽神ルーが持つ槍の事だ。
ルーはかのフラガラックなど数多くの武器を持っていたが、この槍は彼の二つ名の由来にもなっている。
投げると五色の光となり敵に必ず命中する。それがオリジナルのブリューナクである。
故に誰が呼んだか長腕のルー。
男の持つ槍は名前を冠したレプリカにすぎない。
しかし偶像崇拝の理論に基づき練り上げられた一撃には、必中の効果がある。
51 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 10:14:34.52 ID:q+IhdBHAO
人1人爆散させるには充分すぎるエネルギーがセリカに炸裂し、圧縮された光が文字通り溢れ出す。
だが

「その程度で神槍とは、笑わせる」

光の奔流が止まると、そこには無傷のセリカが立っていた。

「な、馬鹿な、どうして当たっていない!」

必中の属性を持つブリューナク、仮に即死はせずとも傷1つ無いのは異常だ。
しかしセリカは事も無げに言い放つ。

「当たる前に斬った」

「なん…だと……」

槍の男はもう一度ブリューナクを放つ。
今度は斬られた事をはっきり確認できた。

「ふ、ふざけるなよ!」

男は自棄になったようにブリューナクを連発する。
しかし只の剣では切るどころか触れるだけで蒸発する攻撃を、セリカは全て切り裂いていく。
52 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 10:16:06.66 ID:q+IhdBHAO
「くっ、お前たちも呆けてないでやれ!」

槍の男の怒声で我に帰ったのか、他の魔術師も術式による攻撃を開始。
弾数が多くなってくると流石のセリカも捌ききれず、少しずつダメージを負うようになってきた。

(なるべく殺したく無かったんだがな)

セリカは無言で剣を平青眼に構えた。

「そろそろ限界じゃないのか! さっさと楽になったらどうだ!」
53 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 10:30:26.87 ID:q+IhdBHAO
槍の男が特大のブリューナクを放つ。

「悪いが―」

ファサッ

鳥が羽ばたくような音がした。
次の瞬間男たちの首は胴体に別れを告げ、床に接吻する事になった。
飛燕剣三の型、紅燐剣。360度全方位の敵に剣戟を食らわす技である。

「―俺はまだ死ぬ気はないのでな」

聞く者はいない。
男たちの死を確認すると、セリカはゆっくり階段を登っていった。
54 :黒エウ娘 [sage]:2011/10/22(土) 10:32:05.33 ID:q+IhdBHAO
とりあえずお終い。
予想以上に書きためが無くなるのが早いわ……

セリカ様の戦いは書いてて楽しいです。
55 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 23:20:46.97 ID:q+IhdBHAO
物音や怒声はしばらくするとパタリと止んだ。
佐天は訝しんだがこれはチャンスと思い走り出して

ビリビリビリビリ

「ぐぁぁぁぁあ!」

全身の細胞1つ1つに電極を挿したかのような激しい痛みに襲われ、思わず足を引っ込める。
どうやら逃亡対策はなされていたらしい。無理に逃げても痛みでショック死するだろう。

(うう、死にたくないよぉ……御坂さん、白井さん、初春、誰でもいいから助けて!)

その時、ゆっくりと階段を上ってくる足音がした。
56 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 23:23:37.35 ID:q+IhdBHAO
物音や怒声はしばらくするとパタリと止んだ。
佐天は訝しんだがこれはチャンスと思い走り出して

ビリビリビリビリ

「ぐぁぁぁぁあ!」

全身の細胞1つ1つに電極を挿したかのような激しい痛みに襲われ、思わず足を引っ込める。
どうやら逃亡対策はなされていたらしい。無理に逃げても痛みでショック死するだろう。

(うう、死にたくないよぉ……御坂さん、白井さん、初春、誰でもいいから助けて!)

その時、ゆっくりと階段を上ってくる足音がした。
57 :黒エウ娘 連投しちゃったorz [saga]:2011/10/22(土) 23:33:07.37 ID:q+IhdBHAO
重福省帆は焦っていた。
佐天と別れた後、携帯電話を店に置き忘れた事に気づいた。
慌てて道を引き返したので、あっという間に到着。
既にテーブルは片付けられていたが、店員に忘れ物をした旨を伝えるとすぐに目的は達成できた。

走って疲れたのでゆっくり帰路につく。
飲食店ではディナータイムの仕込みが始まっているのだろう。街には良い匂いが漂い始めている。
特に用事も無いので真っ直ぐ帰るつもりだった。彼女をみかけるまでは。

(佐天さん……?)

確信は持てなかった。
彼女は100メートル程先を歩いていたし、すぐに道を曲がってしまったからだ。
58 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 23:41:31.58 ID:q+IhdBHAO
(気のせいかな)

こんな遅くまでふらふらしてるはずないし、人違いだろう。
帰ろう、重福は再び寮に足を向ける。
一瞬、視界の端を黒い影がよぎった気がした。
しかも影は佐天と思われる女性が入っていった路地に入っていったように見えた。

(やっぱり心配です)

重福は全力で走り出した。
59 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 23:48:41.85 ID:q+IhdBHAO
「はぁ、はぁ、佐天さん! 佐天さん!」

路地裏に入ると、息を整える事もせず佐天を呼ぶ。
まだそれ程時間はたっていない。無事なら返事をしてくれるはずだ。
しかし、返事は無い。
重福の胸の奥で、ぼんやりとした不安が明確な形を成していくようだった。

(こういう時はアンチスキルだっけ、ジャッジメントだっけ?)

携帯を取り出すが、手が震えて上手く打鍵できない。
なんとかアンチスキルの番号を入力したその時である。

ガツン、と

重福の側頭部に衝撃が走る。気絶はしなかったものの、地に手をついてしまう。

(な、に今の、誰もいないのに)

とにかく危機だ。
すぐさま重福は視覚障害を発動。
周辺の人間に視認されなくなる、学園都市でも珍しい能力だ。
幻想御手使用時に比べて効力は下がっているが、あれから自分なりに研鑽(という名のストーキング)を積んだので判定は強能力者(level3)になっている。
60 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 23:54:10.58 ID:q+IhdBHAO
敵が何者かはわからないが、とりあえず重福を視認できなくなったのは間違いない。

(今のうちに表通りへ出よう。それで早く、アンチスキルに連絡しないと)

ふらつく四肢に活をいれると、クラウチングスタートの要領でダッシュする。
短く見えた路地裏がひどく長く感じる。

(あと5メートル……!)

少し安堵した次の瞬間顔面に衝撃が走る。
見えない何かに前進を阻まれたのだと気づいた時には既に彼女は組み伏せられていた。
いや、何かというのは最早適切ではない。
目には見えないものの、人間の手の形を重福は感じていた。
61 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/22(土) 23:57:08.22 ID:q+IhdBHAO
「アンジェリカの指輪。その原典に限りなく近いレプリカです。広域向けの人払いとは訳が違う」

ぺっと何かを吐き出すと共に30歳代前半の男性が姿を現す。
仕立ての良いスーツを身につけ、髪は丁寧に撫でつけられている。
首から下げられたチェーンにはネックレスのように指輪が通されているが、指輪の表面は液体で濡れている。おそらく先ほど吐き出したのはこの指輪なのだろう。

「いや! 離して!」

重福はもがく。しかし男の腕力はかなり強く、とくに鍛えてもいない彼女の力ではびくともしない。
気が動転し、能力が解けた事にも構わず助けて、と叫び声をあげまくる。
62 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 00:04:09.08 ID:aGtdakdAO
「無駄ですよ」

しかし、誰もそれに気づかない。
いや、この通りには誰もいない。

「既にここ一帯には人払いのルーンをばらまいてあります。残念ですが助けはこないでしょう」

「佐天さん、を、どうした、んですかっ!」

押さえ込まれ、呼吸もままならない状態で、それでも彼女が気にしたのは友の事だった。

「佐天? ああ、さっきこの路地に入った娘ですか。人払いが全く効いていないものだから驚いて捕まえました。だけど彼女は思わぬ『拾いもの』でしたね」

クククっと引き笑いする男は心底不気味だった。

「しかしあなたにも人払いは効いていない。彼女のような特別品でも無さそうですし、その隠れる能力によるものですかね」

原理としては局所的な人払いですかね、などと男は呟いている。
63 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 00:13:28.41 ID:aGtdakdAO
「まああなたに関しては些細な問題です。学園都市の能力者に人払いと同じ効果を持つ者がいるとは予想外でしたが、確か能力は一人一つなのでしょう?」

「だったら、どうだ、って言うんですか?」

何、簡単な事ですよ、男は髪を書き上げると心底大したこと無さそうに言った。

「あなたは私に攻撃する事も、私の攻撃を防ぐ事もできないという事です」

「な、それって、どういう」

「まだ喋れるとは、見た目よりタフなお嬢さんですね」

良いですか、と諭すように男は言葉を紡いだ。

「私たちは魔術師。学園都市とは相容れない……まあ能力者です。あなたはそんな私たちに深く関わってしまったんです」
64 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 00:15:32.30 ID:aGtdakdAO
男の表情から笑みが消えた。

「死ぬしか無いでしょう」

背筋が粟立つような冷たい声だった。
魔術師というのが何かは理解できなかったが、真っ当な存在でない事は確かだ。
左手だけで重福を抑えつつ、男は懐に右手をやった。
取り出されたのは無骨な拳銃。
ああ、自分は今から死ぬのか。
痛いのはいやだけどエンドルフィンだかなんかで最後は楽に行けるって聞いた事がある。
いや、即死なら関係ないのか。
こんな時に限って下らない考えが去来する。

「佐天、さん……ごめ、なさ……」

「おいテメェ、いたいけな女の子に何やってるのかにゃーん?」
65 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 00:20:44.83 ID:aGtdakdAO
眠いんで今日はお終いです。
本格的に始まったらレスが皆無になっててワロタwww
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/23(日) 12:37:12.92 ID:BXQzMy0AO


安心してくれ

俺は楽しませてもらっているぞ
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/23(日) 14:54:56.87 ID:4oxr17IAO

俺も見てるぞ

これの時期は戦女神IIの後?
68 :黒エウ娘 :2011/10/23(日) 18:20:01.17 ID:aGtdakdAO
>>66
ありがとうございます!
なんか愚痴っぽくなっちゃってごめんなさいです。

>>67
そのつもりです。
まあアビルースは悪運の強い奴ですんで(笑)

それでは開始します。
69 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 18:22:05.60 ID:aGtdakdAO
割り込んできた声。
魔術師は手を止め声の主を見る。
人払いは完璧だった。同業者ですら突破は困難だったはずだ。
なのに何で。
何でこの女は平然と立っている?

「チッ、『仕事』は引退したってのに。面倒くさいのはいくらでも涌くもんね」

女が歩いてくる。
花柄のワンピースにカーディガンを合わせた清楚な出で立ちで。
しゃなりしゃなりと、ウェーブのかかった髪をゆらしながら。
70 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 18:22:57.83 ID:aGtdakdAO
「私が言えた義理じゃないかも知れんが、テメェは分かってんのか?やっていいこと悪いこと。」

上品な所作と荒々しい口調のギャップが、言い知れない威圧感を放っている。
しかし突然の侵入者に驚きはしたが、魔術師も余裕を崩さない。

「おや、人払いが効かないとは、貴女も幻覚系の能力者ですか。フフ、学園都市は退屈しませんねえ」

「あぁん?人払い?幻覚系?訳わからんこと言ってんじゃないわよ」

魔術師の表情が引き締まる。幻覚系で無ければ攻撃手段を持つ能力者かも知れない。
71 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 18:24:41.06 ID:aGtdakdAO
アンジェリカの指輪にはもう一つの効果があるが、それはまだとっておきたかった。

「おや、ではどうしてここに入れたのですか?」

内心焦りながらも極めて冷静に、相手の手札を探る。

「入れた入れないって、そもそもここは公共道路だろうが……まあなんかねー、片目でだけこの路地の中を認識できたのよねー。あ、目じゃなくて義眼だけど」

女は人差し指でトントンとこめかみに触れる。
72 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 18:26:14.42 ID:aGtdakdAO
「義眼にしか映らないってのも妙だから気になっちゃって。てへっ☆」

学園都市製の義眼は最新鋭のカメラにより、肉眼以上によく見えるという。
そもそも人払いは人間の意識に訴えるものなので、機械を通した場合効かない可能性も否めない。

(マズいな……)

組み伏せている少女を殺害するのは簡単だ。
だが眼前の謎の女がどんな能力者か全くわからない。
少し調べた程度だが大能力者(level4)以上だと苦戦は免れないだろう。

「とりあえずその子から銃を下ろしなさい」

「下ろさないと言ったら?」

「あぁ?」

そんなの決まってるでしょ、女がふふっと笑った次の瞬間、莫大な殺気が溢れ出す。
73 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 18:27:58.32 ID:aGtdakdAO
「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」
74 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 19:12:45.36 ID:aGtdakdAO
女の顔がにぃっと歪む。とても楽しそうに。
女の名は麦野沈利。
学園都市200万人の頂点、七人の超能力者(level5)が第四位の「原子崩し(メルトダウナー)」。
相対する男が魔術師だろうがなんだろうが関係ない。
悪人かどうかでさえさほど問題ではない。
殺す理由ができた。それで十分に十全だ。

「少しは楽しませろよぉ。最近平和で退屈してたんだ」

挨拶代わりに原子崩しの光線を一発見舞う。
当たれば人体など欠片も残さない一撃。
男は組み伏せた少女からとっさに手を離し、横っ飛びにかわした。
75 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 19:24:32.80 ID:aGtdakdAO
ズガンと、男の立っていた位置を通過した光線が後ろのビルを貫通する。
建物自体と、配管やデスクといった備品の残骸、それらが纏めて削り取られた。
まるでクッキーの生地を型抜きしたようだ。

(この威力は、マズいですね)

魔術師は首に下げた指輪を口に含む。するとたちまち彼の姿は背景に溶けていった。

「人質より自分を優先するのは正しい判断。そこそこ修羅場はくぐってるみたいね」

つーか今度は義眼でも見えないわ、と独りごちた麦野は能力を背後に噴射。一瞬で重福の元へ到着する。

「立てる?」

「あ、あの、助けてくれてあり」

「お礼には早いわ。あいつはまだこの辺にいる」

それで立てるの、と麦野は繰り返す。
76 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 19:25:43.20 ID:aGtdakdAO
「は、はい。なんとか」

「そう、じゃあ手近なアンチスキルの詰め所……じゃダメね。この近くにある個室サロンわかる?」

「は、はい」

「おーけー、じゃあそこの受付で『麦野沈利』って名前出せば私がとってる部屋に行けるわ。そこにいるアホ面の男に事情話してかくまってもらいなさい」

「わかりました。でもあの」

「いいから早く行け。ちんたらしてんじゃないわよ」

「は、はい。あの、どうかご無事で!」

視覚障害を発動させて重福が走り去っていく。
それを見送った麦野は誰にともなく口を開く。
77 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 19:37:26.98 ID:aGtdakdAO
「随分紳士なのね。マンコが濡れちゃいそうだわ」

「品性の無い女性は好きませんねえ。ま、あなたを倒してから始末するだけの事ですよ」

と、彼女の周囲全方向から返答。
空間全体から声が発せられているかのような奇妙な現象だった。

「しかし言葉遣いの割には優しいのですねえ」

「優しい、優しいねぇ。あの子を逃がしたのはどっちかと言えば私自身のためだから違うんじゃないかしら」

「あなた自身のため?」

「そうよ、私の能力って加減が効かないからさぁ」

誰かを守るのには向かないのよね、と呟きながら麦野は上着のポケットに手を入れる。

「だから、ね」

細い指から数枚のカードが放られる。
麦野は生身の方の目を閉じると義眼に集中した。

「やっと全力が出せるってんだよおぉぉぉぉ!」

荒々しい吠吼。
どこかの電撃姫のようにピンと指をはじくと、極太の原子崩しが空中のカードに発射される。
カードにあたった光線は四方八方に軌道を変え、猛烈な弾幕と化した。
当然麦野自身にも流れ弾が飛んでくるが、原子崩しを円盤状に展開し防御する。
78 :黒エウ娘 :2011/10/23(日) 19:40:42.95 ID:aGtdakdAO
書きためが切れました\(^o^)/
キリが悪すぎるのでもう少し即興で書いたら終了します。
79 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/23(日) 19:53:23.18 ID:aGtdakdAO
「あっはははははは! あー、やっぱ全力で撃つと気持ちいいわー!」

狂ったように嗤いながら原子崩しを乱射する。
病的な白い光が周囲に溢れ、建造物が破壊されていく。

「あはははははは! おいどうしたよ、始末するんだろ? この私を。隠れてばっかいないで出てこいよ!……もっとも、既に死んでるかも知れないけどな!」

麦野が撃つのをやめると徐々に視界が元に戻る。
しかし

「ふーん。全部かわしたか、それともそういう力なのか。よく分からないけど面白いわね。あんた」

「お褒めに与り光栄ですよ」

魔術師は無傷でそこにいた。
80 :黒エウ娘 :2011/10/23(日) 19:56:53.70 ID:aGtdakdAO
今日はこれで終わります。
麦のん可愛いよ麦のん。
次は3日後くらいになりますのでどうそよろしく!
81 :黒エウ娘 [sage]:2011/10/24(月) 13:42:51.98 ID:jBIXTjBAO
お昼休みに新宿のトレーダーで戦女神無印をゲットしちゃいました!
プレイするのはいつになるかわからないですが嬉しいです〜☆

……すみません。更新では無いです。
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/25(火) 19:56:15.64 ID:4xu0ZJJ30
そういえば、無印はリメイクする可能性もあるって組長がいってたな
83 :黒エウ娘 :2011/10/26(水) 07:31:09.16 ID:nVp+HgyAO
20時頃に再開します
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/26(水) 09:41:37.35 ID:8FXVQSEV0
舞ってる
85 :黒エウ娘 :2011/10/26(水) 20:01:40.05 ID:nVp+HgyAO
舞っててくれた人に感謝。
それじゃあはっじまーるよー
86 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:02:12.16 ID:nVp+HgyAO
完全に殺すつもりで撃ったのに敵は無傷。
かつての麦野なら激昂している局面で、しかし彼女は冷静さを保っていた。

『その無駄な勝利宣言(こだわり)が、決定的な隙になるっつってんだよ。』

『楽勝だ、超能力者(level5)』

大嫌いな、けれども大好きな馬鹿野郎の声が頭に響く。
あの時言われた事、因縁に決着をつけてからは忘れた時は無い。
87 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:02:50.08 ID:nVp+HgyAO
(別に残機1でも勝てばいい。そのためには……まず奴が何をしたのか確かめる)

戦闘開始時はハイになって自分の視界まで潰してしまったが、もうあんなめちゃくちゃな戦いはしない。

(私だって成長してんのよ……はーまづらぁ)

どこかで見てくれている気がして、想い人を心中で呼ぶと幾分か思考がはっきりしてきた。
負けたくない、認められたい、その高いプライドこそが麦野沈利の強さの源である。
88 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:05:06.84 ID:nVp+HgyAO
キッと男を睨みつけると、ノーモーションでビームを二発。
無論当たるとは思っていない、言わば捨て石の一手。
だがビームが男に命中しようかという時、信じられない現象が起きた。

(曲げられた、のか?)

男に向かって直進していた光線が、突然にゅうっと軌道を変えたのだ。
標的を見失った原子崩しの光はまたも建造物をえぐり取る。

「どうしました?もう終わりですか?」

「舐めんじゃないわよ。誰に言ってやがる」

(とは言えヤバいわ。こっちの攻撃が無効化されてる事は間違いない)
89 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:06:19.05 ID:nVp+HgyAO
「残念ですが、あなたのお名前を聞いた覚えがないので分かりかねます」

男はその場から動かず、芝居がかった動作で残念そうなアピール。

「よろしければ、お名前を伺っても?」

「はっ、敵に教える名なんて無いわよ。というかまず自分が名乗るのが筋だろうが」

刺々しい言葉の応酬の最中にも、第四位の頭脳はこの敵を打ち破る最適解を逆算している。

(可能性としては念動力の壁や偏光能力……兎に角情報が足りない。虎穴に入らずんばなんとやらよね)
90 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:07:42.87 ID:nVp+HgyAO
男の返答を待たず原子崩しをジェットのように噴射。
前方に円盤状のフィールドを展開し空気抵抗を和らげつつ、特攻をかける。
だがそれでも男は動かない。

(もらった……!)

原子崩しを纏った体当たりが決まる、しかし手応えは全くない。
惰性で直進した麦野は振り返り、そこで自らがあらぬ方向へ進んでいた事に気づいた。
91 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:08:46.09 ID:nVp+HgyAO
(やはり光の軌道をずらしてると考えるべきね。そういやトリックとか言うチンピラの噂を聞いた事があるわ)

最初の乱射をかわされたのは解せないが、自分の狙いが初めから逸らされていたとすれば先程の奇妙な現象にも納得がいく。

「話の途中で危ないじゃないですか……ん、これはマズいですね」

「何がだ。一人で納得してんじゃねえぞ」

男は麦野を一瞥する。その顔は名残惜しそうだった。

「儀式の準備をしていた仲間がやられてしまいました。必要な物を回収しないといけませんので、これで失礼しますよ」

男は指輪を口に含む。
92 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:09:17.14 ID:nVp+HgyAO
「あ、てめぇ、逃げるんじゃないわよ!」

ふふふふふ、と空間全体から笑い声がする。

「私の名はパイモン。力を失った魔神といった所です。機会があればまたお会いしましょう……」

声が止む。
腹立ち紛れに原子崩しを数発発射するが手応えは無かった。

「パイモンって言ったか……忘れないわよ」

立ち尽くす麦野。いつしか周囲一帯を支配していた不可視化のような力も消え去っていた。
93 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:09:55.56 ID:nVp+HgyAO
アンチスキルのパトカーのサイレンが迫ってくる。

(っつか、ちょっと派手に壊しすぎたかしらね……)

被害を金額に換算しかけて鳥肌がたった。

(よし、逃げよう)

面倒なのに捕まるのはごめんである。
麦野は個室サロンに向かって走り出した。
94 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:10:55.70 ID:nVp+HgyAO
「む?」

魔術師を蹴散らして上階へ移動したセリカは、その惨状に思わず眉をひそめた。

(生贄の儀式魔法か)

魔術に疎い彼には詳しい内容はさっぱりだが、何らかの大魔術の為だということはわかった。

「あ、あの、下で何かあったんですか……?」

ぺたぺたと魔法陣を調べていたセリカは顔を上げる。

「生き残りか。運が良いな」

魔法陣に夢中で気がつかなかったが、中央の小円に捧げられていた少女が起き上がっていた。

「え、いや、あのですね」
95 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:11:41.44 ID:nVp+HgyAO
「ここの魔術師なら俺が片付けた」

少女の様子を確かめる為に魔法陣の中心へ歩いていく。
ちらと見ただけだが、四方に安置された少女達は既に事切れているようだった。

「え、片付けたって事は……助けに来てくれたんですか?」

少女の声には明らかな期待の色が含まれている。

「まあ成り行きだが、助けてほしければ助けよう」

「是非! よろしくお願いします!」

この状況でやけに明るいと思ったが、しかしその膝はぷるぷると震えているのに気付く。
96 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:13:04.28 ID:nVp+HgyAO
「そこからは出れないのか?」

「はい、出ようとしたんですけど、ビリビリって」

「ふむ」

おもむろにしゃがみこんで少女の周りに刻まれた呪印を調べていく。

「ひゃっ、い、いきなり」

「どうした?」

「わぁっ! 顔上げないで下さいよ!」

セリカが視線を下ろすと目の前には健康的な引き締まった太ももが、というよりその付け根があった。
申し訳程度に片手で隠しているが茂みの全てを覆う事はできていない。

「恥ずかしかったか」

「そりゃ、まあ……」

すまないな、とセリカは立ち上がる。
97 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:14:00.70 ID:nVp+HgyAO
「少ししゃがんでいてくれ」

「あ、はい」

少女は素直に従う。
セリカは呼吸を整えると剣の柄に手をかけた。

(この程度の結界なら真面目に解くより切り裂いた方が早い)

ふっと息を吐くなり一閃。
真紅の火炎剣が結界を破壊し、キュィィンと音が鳴る。

「完了だ。もう出れるぞ」

「え、ホントですか?」

おそるおそる右足を伸ばす少女。つま先が小円から出ても問題は無いようだ。

「やった! ああ〜良かったぁ」

今度は安堵からかへなへなと座り込んでしまう。
剣を鞘に収めると、セリカはやれやれと嘆息した。
98 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:17:54.48 ID:nVp+HgyAO
深緑の外套をさっと脱いで投げ渡す。

「とりあえず移動だ。上着だけだが、無いよりはましだろう」

「あ、ありがとうございます! えっと……」

「どうした?」

「お名前、聞いてなかったなあ、と」

にへらっと少女が笑う。
その瞬間、猛烈な既視感がセリカを襲う。

『セリカ』

『セリカ』

目の前の少女と似たような長髪の女性の姿が脳裏に閃く。

(ルナ=クリア……だったか?誰だ……もう1人は……思い出せない……)
99 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:19:38.05 ID:nVp+HgyAO
「あ、いきなり失礼でしたね。あたしは佐天涙子です」

沈黙を拒否と受け取ったのか、少女、涙子は慌てて名乗った。

「気にしないでくれ、少し考え事をしていただけだ。俺はセリカ・シルフィル」

「セリカさんですね。助けて下さってありがとうございました!」

「まあ、偶然通りがかったのでな。それより奴らに仲間がいないとも限らん。すぐに脱出するぞ」

「はい!」

2人は小走りで広間を横切り、階段を下りていった。
100 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:20:57.36 ID:nVp+HgyAO
しばらく後

「ふん、セリカ・シルフィルですか」

スーツ姿の魔術師、パイモンが姿を現す。
決して弱くない手練れ五人を容易く始末し、結界を刀の一振りで破壊したセリカという男。

「悔しいですが今の私ではかないません。女神の寄代、ひとまず預けておきますよ」

手早く少女の死体を回収すると、どう考えても入りきるサイズではない小さめのスーツケースに詰め込んでいく。
四人全てを回収するとパイモンは指輪を口に含み姿を消した。
101 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:23:10.83 ID:nVp+HgyAO
「何とか間に合ったー」

上条当麻は第十九学区にある研究所にやってきていた。
埃臭い小じんまりしたロビーには、既に十数人のバイト希望と思われる学生が待機している。

「お、上やんじゃないか」

「土御門! お前もバイトか?」

「まあそんなとこだにゃー」

「そうか。しっかし上条さんも第十九学区に来るのは初めてですよ」

第十九学区と言えば寂れている事で有名だ。
建設途中の建物が放置され、さながらゴーストタウンの様相を呈したこの学区に外からやってくる物好きはほとんどいない。
102 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:23:55.52 ID:nVp+HgyAO
「俺もだぜい。この辺には『仕事』でも入った事はないにゃー」

青いサングラスの奥の目が細くなる。
軽い口調で言っているが土御門の言う『仕事』が危険な事であるのは上条も知っていた。

「お前、まだ危ない事してんのか」

「必要とあらばな。ってか、上やんには言われたくないぜよ」

戦争が終わり、学園都市の暗部は解体されたと聞いた。少なくとも一方通行はそう言っていた。

「そういう問題じゃねえだろ!」
103 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:24:32.77 ID:nVp+HgyAO
「落ち着け上やん。今は情報を流すくらいしかしてねえよ」

それより、と声をひそめる。

「ここで会ったのも何かの縁、協力してくれ」

「何に協力しろってんだ」

「す、すみません、面接でいらした方は全員お入り下さい」

鼠色の白衣を着た猫背の小男が奥の扉を開けて現れた。

「後で話す。今は面接に集中だぜい」

「ああ、わかった」

2人は一瞬にして緊張を解くと、他の学生達と共に面接に向かった。
104 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:25:10.31 ID:nVp+HgyAO
「で、何に協力すればいいんだ」

「まあまあ焦るなって。そろそろ女性陣が出てくる頃だにゃー」

通された部屋で上条達は男女に分けられ、別々に集団面接を行った。
IDを確認すればわかる程度の情報を聞かれただけだったので、別段好感触とかは無い。
ちなみに面接官は小男と皺だらけの老人だったのだが、終始小男が喋り老人は威圧感を放つのみだった。
105 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:25:41.79 ID:nVp+HgyAO
成績の悪い上条としては面接に通ったのか激しく不安なのだが、土御門曰わく

「あの面接の仕方は身分的にわけありがいないか確かめてただけ」

との事。良いのか悪いのか全くわからない。

「おい土御門、そろそろ話してくれても」

「お待たせ、土御門。それと……あら? あなたは」
106 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/26(水) 20:27:51.87 ID:nVp+HgyAO
「え? えっと……どこかでお会いしましたっけ?」

声をかけてきたのはどえらい美人だった。
浅葱色のデニムのショートパンツとボーダーのロングTシャツ。
緑色のサスペンダーがアクセントとなり活動的な印象をうける。
鳥打ち帽からはみ出たポニーテールはつややかだった。
そしてサスペンダーにより強調されたおっp(以下自重)

「ひゅう、馬子にも衣装だにゃー。結標はやっぱサラシまくのよしなって」
107 :黒エウ娘 :2011/10/26(水) 20:38:50.96 ID:nVp+HgyAO
すげー半端ですが以上になります。
3日書きためて20レス分かぁ。ゴールは遠いよ。

お詫びが一つ。
重福さんの能力をニコニコ大百科に倣い「視覚障害」としていましたが、「視覚阻害」が正しいそうです。以後気をつけます。

以下原作未プレイフォロー。
ただの名無しモブがまさかのパイモン(戦女神VERITAに登場)でした。当然ながらはるか昔の世界なのでセリカ達との面識はありません。
本来は魔神である彼ですが、訳あって現在のスペックは普通の魔術師レベルです。禁書キャラで言うとステイルくらい。
戦女神キャラなのに禁書の理論で戦う変な奴に仕上がってます。
108 :黒エウ娘 :2011/10/26(水) 20:41:14.38 ID:nVp+HgyAO
あ、あと投稿ペースはこんなもんで良いでしょうか?
もうちょっと書きためた方が良いとか、そういう意見ありましたらお願いします。
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/27(木) 11:25:35.69 ID:qsGj3piWo
投下ペースはこれくらいでいいと思うよ
ディルリフィーナ世界のエウは全部やってるけど禁書はあんまり詳しくないんでキャラを把握するのが大変だ・・・
禁書世界=イアス=ステリナで機工女神を作ったって設定でいいのかな
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/27(木) 11:28:55.87 ID:07Apkyav0
かきかたなどは、おすきにどぞ〜

三神戦争のときに機工女神によって、二つの世界が融合するまえのイアス=ステリナが舞台というこでおけ?
ハイシェラって、エリュアに縁があるんだっけ?
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/27(木) 11:38:23.37 ID:qsGj3piWo
VERITAでそんな発言があったね>エリュア=ハイシェラ
ハイシェラは出身はネイ=ステリナの魔族なのにイアス=ステリナで改造され、機工女神の能力を得たチート魔神だし
干渉するにはイアス=ステリナに流れ着いて改造される前になんとかするしかない気がする・・・
ということは禁書の時代の直後にディル=リフィーナができたってことなのかね
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/27(木) 12:13:31.77 ID:nr9UqQbD0
イアス=ステリナで機工女神の誕生→機工女神による、ネイ=ステリナへの干渉→ネイ=ステリナとイアス=ステリナの融合によりディル=リフィーナ誕生→三神戦争勃発

だから、このSSの設定だと、禁書世界ではもう機工女神は、活動中ってことになり
メギドの炎で神さえ、焼き尽くす世界=禁書世界というこになる
113 :黒エウ娘 :2011/10/27(木) 12:43:27.78 ID:ilX7A4YAO
レスありがとうございます!
議論とかしてもらえると何というかグッと来ますね。

それでは投稿ペースは大体3日おきを目処にします。投稿日の朝に報告入れます。

設定についてですが、ネタバレになっちゃうのであまり詳しくは話せません。
言える範囲では禁書世界をイアス=ステリナ、禁書世界で使う天使の力(テレズマ、魔術や超能力の元となるエネルギー)を引っ張り出してきてる世界を……という解釈をしとります。
また、向こう側では実体を持つ物(大天使など)が禁書世界に引っ張り出されると……。

辻褄は何とか合うはずなので、続きをお楽しみにして下さいませ!
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/27(木) 12:50:37.73 ID:M+nponav0
舞ってる
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/10/27(木) 21:46:18.25 ID:DWtLKFAqo
エウシュリーファンの俺歓喜
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/27(木) 23:05:27.97 ID:atNuPwL2o
セリカがボケ老人すぎて毎回ハイシェラさんを忘れられてカワイソス
117 :黒エウ娘 :2011/10/29(土) 19:04:22.48 ID:1JhRvdzAO
予想外にエウシュリーファンが多くて嬉しい限りです。期待に添えるよう頑張っちゃうんだぜ。

明日の夕方頃投下予定です。
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/29(土) 19:46:38.76 ID:oYeRWfMgo
ZEROやり直しながら待ってる
119 :黒エウ娘 :2011/10/30(日) 19:13:40.06 ID:V3BwUOlAO
投下します。
日常パートはノリで書けず、少なめですが許して下さい。
120 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:14:36.58 ID:V3BwUOlAO
「何よ失礼ね。変装してこいって言われたからちょっとイメチェンしてみただけよ?」

「ええっと、結標さんと言いますと確か一方通行にボコボコにされた……」

「その認識はどうかと思うけど正解ね」

結標は力無く微笑んだ。

「仲間はこれで揃ったのか?」

「いや、あと1人」

「お久しぶりですね。少年」

背後からの声に上条は振り返る。
そこにいたのはお人形のような美少女だった。
121 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:15:11.38 ID:V3BwUOlAO
豊かな黒髪はいわゆる姫カットに揃えられ、人懐っこそうな大きな目が一層際だつようだ。ヘッドセットの小さな帽子も可愛らしい。
身に着けているのはゴシックロリータのドレスで、小柄でありながら出るところは出ているその肢体を包みながらも惜しみなく(ry

「カミやん、そいつはレッサーぜよ」

「…………えぇぇ」

「な、何ですかその心底残念そうなリアクションは! 少しメイクしてメッシュを染め直しただけですよ!?」
122 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:16:01.13 ID:V3BwUOlAO
ロシアでの、悪い方向に積極的なアピールを思い出してげんなりする上条。
対するレッサーは見た目だけなら最高なのになあ、などと言われ嬉しいやら悔しいやら。

「さて、立ち話もなんだしファミレスでも行くぜよ」

「はいはい、じゃあ飛ばすわよ」

「了解です」

「あれ、待てよこの流れは……」

ベルトに挿していた軍用懐中電灯を一振りすると、一同の姿は音もなく消え去った。
結標淡希の能力「座標移動(ムーブポイント)」が発動したのである。
……1人を除いて。
123 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:17:05.21 ID:V3BwUOlAO
(ああそうか、そうですか、そういうことですか! よーし、人もいないし全力でいくぞ。せーの)

「不幸だあぁぁぁぁぁぁぁ!」

その絶叫はさながらテ○ガレックスのようだったとアレイスター・クロウリーは語る。

「いや、本当にね、滞空回線がダウンしちゃいましてね。私も散々女子学生の着替えシーンなど覗いてきましたがあんなのは初めてですよ」

「君は統Qkつ理事長をやvmた方がいEんじゃないか? あぁ、ヘッダが足りない……」

結局土御門からのメールを頼りにファミレスにたどり着くのだが、それはもうちょっと後の話である。
124 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:18:33.57 ID:V3BwUOlAO
「どうしてこうなった……」

「それはこちらのセリフですのよ、お姉さま」

上条が路頭に迷っている頃、御坂美琴ご一行は風紀委員第一七七支部に拘束されていた。

「全く、メールを見るなり寮を飛び出して。挙げ句の果てに不法侵入者と仲良くショッピングとは恐れ入りましたの」

「だってこれはあいつに頼まれ」

「まーたあの類人猿ですの? これは一度痛い目に逢わせないといけませんわね……」

ふふふふ、と不気味な笑い声を捻り出しながら自分だけの現実に入り込んだツインテールは白井黒子。
125 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:20:35.27 ID:V3BwUOlAO
常盤台の超電磁砲(レールガン)こと御坂美琴のルームメイトにして無二のパートナー。
空間移動能力をもつ大能力者(level4)であり、学園都市の学生で構成される治安維持組織、風紀委員(ジャッジメント)に所属するバリバリの武闘派でもある。

「お菓子はもっと無いのかな?」

「まだまだ沢山余ってるからどうぞー」

「いやぁ、インデックスちゃんはよく食べるねえ……」

こじんまりとした応接スペースには美琴を除いた同行者が座り、暴食シスターが賞味期限切れ寸前の菓子を平らげている。
126 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:21:18.41 ID:V3BwUOlAO
「初春さん、その子さっきお昼食べたばかりだからあんまり構わないで大丈夫よ」

「いいえ御坂さん、日持ちしないお菓子ばかり貰うので困ってたんです。むしろありがたいのでじゃんじゃん食わせます」

甘ったるい声が返ってくる。
頭に花飾りを載せた少女は初春飾利。黒子と同じく風紀委員だがこちらは電子戦のエキスパートだ。

「あー、それは良いんだけどさ。あたしたちのあいでぃー? ってのは大丈夫そうなわけ?」

目の前に広がる糖分地獄とそれを処理するインデックスに辟易した様子でマリーニャがぼやく。
127 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:22:23.03 ID:V3BwUOlAO
「あ、それなんですけど、エクリアさんとマリーニャさん、お二人の臨時IDの申請は既に出されてるみたいです」

「とりあえず問題は無いのですね、よかった」

「それは良かったけど、申請って誰から出てるのよ?」

「ちょっと待って下さいね……えっと」

美琴の質問を受けてカタカタとキーボードを叩き始める初春。

「出ました! えーと、統括理事会ってありますね」

「ふーん、とりあえず学園都市にとって招かれざる客ってわけじゃないのね」

統括理事会が事態を把握している事はそれほど驚きではない。
128 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:22:59.56 ID:V3BwUOlAO
至る所に監視カメラはあるし、統括理事長は極小の微粒子型デバイスで学園都市全域を監視しているという噂まである。
何よりここは学園都市。何があっても不思議ではないのだ。

「なんだっていいよ、とにかく動ければそれで」

「IDの発行があるので、30分ほど待って下さいね」

「はーい」

「承知しました」

「ところでお姉さま。エクリアさんとマリーニャさん、でしたっけ? お二人とはどういった御関係ですの?」

むくっと机から起き上がると黒子がそう言った。

「え? そうね……」

ちらっと来訪者二人を見る。
129 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:24:10.83 ID:V3BwUOlAO
「大丈夫ですよ。美琴がそう判断するなら」

「ま、別に隠すことでも無いですし」

エクリアは微笑し、マリーニャはあっはっはと笑った。

「そ、そう?」

「お姉さま、わたくしとお姉さまの間に隠し事は無しですの」

「わかったわかった。じゃあ話してもらえます?」

「ええ」

エクリアは美琴とインデックスに語った事をもう一度話した。

「それで、ハイシェラ様を救うために私たちはやってきたという訳です」
130 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:24:58.30 ID:V3BwUOlAO
「ねえ黒子、ちゃんと理解できた?」

「無理ですの……大体魔術なんてゲームやおとぎ話にしか出てこない物だと思ってましたし」

すかさず、魔術はあるんだよ!えくりあ、やってみせるんだよ!とインデックスが噛みつき、エクリアは氷の塊を出現させては消す事を繰り返している。

「あっはは……それよりタイムスリップの方が私としては驚きですけどねー。もうどこから突っ込めばいいのやら」

「本当にそうよね。私も未だに納得出来てないもん」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/30(日) 19:41:00.08 ID:BomoETex0
舞ってた
132 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 19:41:10.27 ID:V3BwUOlAO
「何でも良いから話して下さい」

「私からもお願いするんだよ」

「ええ、それでは話しますが」

こほん、と咳払い。

「ハイシェラ様は機工女神の塔と呼ばれる地で改造されたそうです。以上」

「……え?」

「そのくらいしか記録が残って無かったんです!」

「あー、まあそういう事なのよ。あたしたちの時代なら塔なんてバンバン建ってる物じゃないから楽観視してたんだけどねー」

「塔、というか高い建物ならいっぱいありますわね」

「だてに最先端都市じゃないですからねー。あ、すあま食べますか?」

「もらうんだよ!」
133 :黒エウ娘 :2011/10/30(日) 19:44:06.28 ID:V3BwUOlAO
前回とは一転、ギャグテイストの日常パートでした。もうちょっと続いたら美琴チームも動かそうと思います。
申し訳ないですが今日はこの辺で。

>>131
ありがとうございます。励みになります。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/30(日) 20:30:15.51 ID:6gPw3ZSI0
おつ
そういえば、いまこの世界には、アストライアの身体が二つ存在してるのか
135 :黒エウ娘 [saga]:2011/10/30(日) 23:55:43.01 ID:V3BwUOlAO
>>132の前に挿入するはずの文入れ忘れたorz
以下追補修正。>>132はスルーして下さい。


「あ、そういえば聞きたかったんだけどいいかな?」

お菓子の山を一つ片付けたインデックスに目が集まる。

「なんでしょう?」

「えくりあは、はいしぇらっていう魔神が召喚されて改造される現場を抑えたいんだよね」

「ええ、そのつもりです」

「じゃあその場所の目星はついてるのかな?」

「あ、それは私も思った。どうなんですか?」

ようやく頭が痛い話題でなくなり、美琴も会話に加わってくる。

「一応ついてはいますが、この時代を目にして正直自信が持てなくなりました」

「何でも良いから話して下さい」

「私からもお願いするんだよ」

「ええ、それでは話しますが」

こほん、と咳払い。

「ハイシェラ様は機工女神の塔と呼ばれる地で改造されたそうです。以上」

「……え?」

「そのくらいしか記録が残って無かったんです!」

「あー、まあそういう事なのよ。あたしたちの時代なら塔なんてバンバン建ってる物じゃないから楽観視してたんだけどねー」

「塔、というか高い建物ならいっぱいありますわね」

「だてに最先端都市じゃないですからねー。あ、すあま食べますか?」

「もらうんだよ!」
136 :黒エウ娘 :2011/10/30(日) 23:58:47.96 ID:V3BwUOlAO
以上微修正でした。

>>134
んー、どうなんでしょうね?
佐天さんには無限の可能性があると思いますという事で(笑)
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/31(月) 00:06:12.75 ID:Ju3IGJ990
>>136
そういう、おもしろさはSSならでこそだよね
期待してる
138 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY :2011/11/02(水) 20:28:09.64 ID:OkF774mAO
なんかプロットいじってたら楽しくなってきて書きためができてないよ(;∀;)
明日更新します。時間は未定。

あと、酉つけてみました。
139 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 19:42:08.98 ID:b2EHbIDAO
重いけど投下します。
140 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 19:52:36.78 ID:b2EHbIDAO
「まったく……」

もはや別次元に胃袋があるのではないかという勢いで生菓子を消費するインデックスに美琴はため息をつく。

「あ、でも機工女神の塔、っていうくらいだから普通のビルというのは考えづらいですよね」

「そうですわね。でも初春、塔のような研究施設だけでも学園都市中に沢山ありますの」

「そっかぁ、良い考えだと思ったんですけど」

初春はうーん、と頭を抱え込んでしまう。

(確かに学園都市には沢山塔がある。だけど機工女神の塔なんて名前は聞いた事がない。つまり……)

美琴の脳裏に電撃が走る。
141 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 19:53:33.08 ID:b2EHbIDAO
「おい、白いの」

「む、何かな短髪?」

「一つ聞きたいんだけど、あんたたちの言う魔神とか天使ってこの世に呼び出せるものなの?」

インデックスはすあまに伸びた手を止めた。

「指向性を持ったテレズマの塊だから、呼び出すこと自体は可能かも。第三次世界大戦では右方のフィアンマという魔術師が大天使ガブリエルを不完全ながらも呼び出して手駒にしたんだよ」

ただし、と小さな口は続ける。

「召喚にはそれ相応の設備と魔術の実力はもちろん、特殊な触媒が必要になるんだよ」

「触媒って?」

「人間だよ」
142 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 19:54:14.34 ID:b2EHbIDAO
一瞬で場の空気が冷え込んだ。

「それは……生贄とか、そういうことですの?」

「必ずしも生贄とは限らないかな。フィアンマの場合はあくまでも触媒にしただけみたい。でもどちらにしても触媒には莫大なテレズマを詰め込める容量が必要なんだよ」

「そうですね。私どもの世界では魔神や天使が普通に暮らしていますが、彼らの魂とも言える神核はとても人間の肉体に詰め込める物ではありません」

まあまれにそれが可能な人間もいますが、とエクリアは付け足した。
143 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 19:54:50.64 ID:b2EHbIDAO
「つまり、エクリアさんの言う『それが可能な人間』が触媒には必要ってわけさ」

「そう、なんですの……」

インデックス、マリーニャは淡々としたものだが、魔術に疎い黒子と初春はすっかり意気消沈してしまっている。ショックを受けたのは美琴も同じだったが頭の中の仮説を検証するため気持ちを奮い立たせた。

「じゃあ次はエクリアさんに質問です」

「何でしょう?」

「機工女神というのはどのような存在ですか? なるべく詳しく教えて下さい」

「そうね……まず体は人工物でできているわ。材質は私たちにはよくわかりません」
144 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 19:55:37.85 ID:b2EHbIDAO
「ハイシェラ様は肉体を変化させたりできたとか聞いたけど、よくわかんないっすね」

「そうね。あとは……人工物でありながら自我や神核を備えているのが特徴ですね」

「そうですか、ありがとうございます」

「お姉さま、先ほどから一体なんですの?」

黒子は怪訝そうな表情だ。美琴はこれから話す内容を考えて少し深呼吸した。

「みんなに話すことがある」
145 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 19:56:45.46 ID:b2EHbIDAO
上条がやっとの思いでファミレスにたどり着くと、土御門たちは既に早めの夕飯を食べている所だった。

「お、カミやん遅かったにゃー。先にいただいてるぜい」

「お前絶対わかってたよな!」

「何のことだかさっぱりぜよ」

大袈裟に肩をすくめると金髪サングラスは和食御膳を食べる作業に復帰する。

「さっきはごめんね。でもどうして一緒に空間移動できなかったのかしら?」

「あーそれはですね……あ、隣座るぞ」

「どうぞ。ウェルカムです」

「それは?」
146 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 19:57:45.95 ID:b2EHbIDAO
西洋人らしく上品にスパゲティをすするレッサーの隣に座った上条は、結標に促されて口を開く。

「俺の右手には幻想殺し(イマジンブレイカー)っていう力が宿ってまして、異能の力に関わるものを全て無効化するんですよ」

「私の初代『鋼の手袋』もぶっこわされました!」

「そんなこともあったなあ」

笑い事じゃありません、とぽかぽか叩いてくるレッサーに上条はどこか遠い目である。

「つまり右手があわきんの座標移動をかき消したって事だにゃー」

「あわきん言うな」

「へぶっ」

巨乳お姉さん系女子高生の手刀がグラサン野郎にクリティカルヒット。

「ふーん、そっかそっか……じゃあ一方通行がよく言ってるヒーローって君の事? なんでも初めて殴られた相手だーって」

「ああ、多分それは俺っすね……」

上条はどうどう、とレッサーをなだめながら器用に会話を続けている。

「ふふっ、あいつを殴れる人なんてそうはいないものね。あ、あと敬語じゃなくて良いわよ」

「あ、そうか? じゃあ遠慮なく……ってかヒーローって、あいつも拘るなあ」
147 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 19:59:15.15 ID:b2EHbIDAO
二回も戦ってまだコンプレックスが拭えきれないらしい一方通行を思って、上条はため息をついた。

「よーし、じゃあぼちぼち作戦会議を始めるぜい。結構長くなるからカミやんもなんか頼んでおけ。奢るから」

「わかった」

メニューを広げる。男子高校生の性か肉にばかり目が行くのはご愛嬌だ。

「というかこんな衆人環視のもとで作戦会議って、今更だけど不用心じゃないの?」

「こういうとこの方が盗聴の危険は少ないし、敵襲がかかる事もないからかえって安全らしいぜい?」

「一理ありますけど、誰の意見です?」

「アイテム理論、ぜよ」

「アイテム、ああ第四位の。あのスイーツ(笑)どもなら言いそうねえ」

「結標さん、アイテムってなんです?」

「ふふっ、あなたみたいな可愛い子は知らなくていいことよ」

「すみませーん、ダブルサーロインステーキセットとドリンクバーお願いします」

「ちょ、カミやんそれ一番高いメニュー!?」
148 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 20:02:34.46 ID:b2EHbIDAO
セリカ・シルフィルは佐天涙子の自室で紅茶を飲んでいた。
壁を通してサーッと水音が聞こえる。

(茶やケーキを美味しいと思ったのは何年振りだろうか)

普段の彼は神の体に人間の魂が押されているため記憶が弱かったり、感情の起伏が乏しい。
そのためエクリアやマリーニャが腕を振るった料理も、それほど美味しいと感じる事は無かったりする。勿体無い奴である。

(何故だろう。ルイコといると心が豊かになるようだ)
149 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 20:03:19.56 ID:b2EHbIDAO
今湯浴みをしている少女のことを考える。
美しい黒髪、細くしなやかな肢体、そして見るものを惹きつける屈託の無い笑顔。

(俺は、彼女に惹かれているのか……)

「お待たせしましたー。シャワーだけですけどセリカさんもどうぞ!」

「ああ、ありがとう」

「いえいえ、セリカさんは命の恩人ですからね。あ、ケーキどうでした? 昨日焼いた余りなんですけど」

薄い部屋着を纏っただけの涙子は、心配そうに上目遣いで聞いてくる。

「とてもおいしかったぞ」

「本当ですか! 良かったぁ」
150 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 20:04:06.28 ID:b2EHbIDAO
すぐさま涙子は満面の笑みを浮かべる。
本当にころころと表情が変わる娘だな、とセリカは思った。

「あ、でも男の人用の服が無いや」

「少しの着替えなら持ってきているから、心配しなくてもいい」

「そうですか、それならよかっ、きゃあ!」

下を見ないで歩いていた涙子は、積み上がった教科書に躓いてしまう。
それをとっさに抱き留める。

「あ、あの、ありがとうございます……」

お姫様抱っこのような状態である。
必然的に密着し、顔も息がかかるくらいの距離まで近づく。
151 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 20:04:46.18 ID:b2EHbIDAO
「怪我はないか」

「は、はい、大丈夫、です」

その時佐天涙子は目の前の男に心を奪われていた。
女性と見紛うばかりの整った顔、抱き留められてわかったが意外にがっしりとした胸板、正直好みのど真ん中だ。
加えて彼は涙子にとってヒーローである。ドキドキするのも当然だろう。

「顔が赤いようだが」

コツンとおでことおでこが当たる。

「へっ? いやいや違う。違いますから!」

「確かに熱くはないな」

顔が離れる。涙子は残念そうに唇を尖らせた。

(って、何残念とか思ってんのあたし! しっかりしろよ佐天涙子!)
152 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 20:05:35.71 ID:b2EHbIDAO
「そろそろおろしてもいいか?」

涙子の心、セリカ知らず。無神経な言葉(涙子視点)に大切ななにかがキレた。

「嫌です」

「いや、だが」

「嫌な物は嫌なんです!」

ぶんぶんと駄々っ子のように首を振る。洗い立ての髪が、花の香りを振りまきながらセリカの顔面を連打した。

「そ、そこまで嫌なのか……」

(あ、どん引きさせちゃったかな……)

「なら仕方ないな」

ギュッと、支えられているような体勢から抱き直された。今度こそ本当のお姫様抱っこだ。
153 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 20:07:08.46 ID:b2EHbIDAO
「え、あ、あの」

「ルイコ」

「はい?」

「俺はお前が欲しい」

突然の告白に涙子の頭は何も考えられなくなる。
そんな彼女には構わずセリカは続ける。

「お前といるとどこか懐かしい気分になる」

「お前といると人間らしい感情が戻ってくる」

そして――

「お前と、一緒にいたいと俺は思っている」

もちろんお前が構わないならだが、と付け加える。
対する涙子はしばらく放心していたが、やがて決意のこもった視線をセリカに向けた。
154 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/03(木) 20:07:51.21 ID:b2EHbIDAO
「あたしは無能力者で何にもできないですよ。頭も良くないし、少し家事はできますけど、でも基本的にダメな女です」

それでも

「それでもよければ、よろしくお願いします」

言い切って、恥ずかしさから目を瞑る。

「ありがとう。こちらこそ、よろしく頼む」

どちらからともなく距離が狭まる。
2人の唇が重なるのはすぐだった。
155 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY :2011/11/03(木) 20:11:07.95 ID:b2EHbIDAO
今日はここまで。
この後なんですけどHシーンは書いた方が良いですかね?
話の展開上Hが必須になっちゃったんですが、事細かに書くか朝チュン的にぼかすか悩んでます。
良かったら意見を下さい。
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [sage]:2011/11/03(木) 23:54:08.58 ID:evbPgPCAO
朝チュンで
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(空) [sage]:2011/11/04(金) 13:40:02.35 ID:eX0jZVnV0
本能のおもむくままに書き続けてください
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/05(土) 03:18:56.82 ID:jPx2Cfvso
セリカさんは性魔術を極めてるから何でもできますね
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/06(日) 15:25:52.48 ID:02Evs+2AO
この唐突展開がエウらしいな。
160 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY :2011/11/07(月) 06:09:25.64 ID:/3Ydb1SAO
今週は厳しいです。
水曜か木曜に更新するかも。
161 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY :2011/11/13(日) 20:55:58.71 ID:4tA1MMsAO
禁書キャラを把握できないという意見が以前あったので知名度が低いと思われるキャラ紹介。
まずは禁書編。

佐天涙子
本作のメインヒロインです。
スピンオフの「超電磁砲」オリジナルキャラで御坂や黒子初春とは親友ですが原作には(出ていておかしくない時間軸でも)全く出てきません。
学園都市的には無能力者ですが魔術的にはすごい才能をひめてます(勿論このSS限定ですが)

重福省帆(じゅうふくみほ)
視覚阻害の能力者です。調べてみたら学園都市オンリーワンらしいです。
眉毛がハンパなく太く、そのせいで振られた事も(声は世界一可愛いのに)。
とある事件で御坂たちと出会い、その時優しくしてくれた佐天さんの事が大好きです。

麦野沈利(むぎのしずり)
みんな大好きヤンデレむぎのん。
学園都市第四位の超能力者で攻撃に特化しています。全身ビーム砲台と思って下さい。しかも格闘能力もかなり高いです。
改心した後は浜面一味の姉御かつセクシー担当として活躍中。

初春飾利(ういはるかざり)
おなじみ腹黒スーパーハカー。
後方支援では無類の心強さを発揮しますが、人命救助を第一に考えており必要とあらばスタントばりのアクションもこなす熱い娘です。

レッサー
イギリスの魔術結社予備軍「新たなる光」のメンバー。小柄な体躯に似合わない武闘派で、上条さん&オリアナ姐さん相手に互角の立ち回りを演じた事も。
ロシア編では上条ガール(ボンドガール的な意味で)をつとめました。
変装はシェリーに誂えてもらった本物のゴスロリ。

結標淡希(むすじめあわき)
滝壺と並ぶ最もlevel5に近いlevel4の1人。
周りにある物を自由自在に瞬間移動させる「座標移動」の能力者です。
高位能力者の宿命か暗部組織で土御門、一方通行らと組んでいましたが今はフリー。
変装は普通にオシャレしてみました。
162 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY :2011/11/13(日) 21:13:12.33 ID:4tA1MMsAO
戦女神編

セリカ・シルフィル
大地の女神アストライアを殺しその肉体を奪った神殺し……ですが戦女神ZEROをやると見方が180度変わること請け合いです。
特徴として、
凄腕の剣士
女顔
無口(癖で心中の呟き多し)
記憶力がもはやアルツハイマー
などがありますが、特筆すべきは
性魔術を極めている
事でしょう。
本来は神の力を保つために精気を補充する魔術ですが、要するにセックスなので極めている=プレイに習熟しているという事でして、気持ちいいほど精気補充率も上がるんだとか。
感情が無いとか言いつつ人助けする優しい奴です。

エクリア・フェミリンス
女神の子孫(アストライアとは無関係)という恵まれた魔術資質と軍人経験からセリカ最強の使徒と言われる女傑。
最初にセリカの使徒となっており、体の相性も最高。
生計を立てるためにメイドをやった経験から使用人としても一流の隙のない人物。真面目すぎるくらいか。
「戦女神」「幻燐の姫将軍」というエウシュリーの二大看板作品双方に登場しているので興味がある方は最寄りのPCゲームショップへ。

マリーニャ・クルップ
セリカ第二の使徒。魔術は使えないが白兵戦では無類の強さを発揮する怪力娘。盗賊の血筋でトレジャーハントも得意。
持ち前の明るさと高い家事スキルが売り。
163 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY :2011/11/13(日) 21:15:01.65 ID:4tA1MMsAO
以上。他に知りたいことあったら遠慮なくどうぞ。
先週は無理でしたが水曜には本編投下できると思います。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/14(月) 08:50:23.60 ID:8flE/L5po
佐天さん人気すぎて本編にちょくちょく顔を出すようになってるよ
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/14(月) 12:48:05.60 ID:dASVxFNAO
舞ってる。

>>164
挿し絵だけじゃないか?
特典SS除けば明文化されてないと思うが。
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/15(火) 04:47:00.89 ID:RkL5Ug8AO
>>162
アストライアは大地じゃなくて正義じゃなかったっけ?
妹のアイドスは慈愛だったし
アイドスと同化したセリカと戦う時そう言ってた気がしたけど
まあどうでもいいか
167 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/18(金) 17:57:11.94 ID:MvDgCQeAO
唇を触れ合わせるだけの、しかし長いキスだった。

「んんっ、ふぁあ」

涙子の桃色のそれから艶っぽい喘ぎが洩れる。頬は紅潮し、体温も高くなっているようだ。
何せ彼女は普通の中学生。こんなに近くに「男性」を感じるのは初めての事である。昔は弟と風呂に入った事もあるが、それはノーカンだろう。
体が熱い。心臓が異常な早さで拍動しているのがわかる。
だがキスの味などよくわからなかった。

「脱がすぞ」

「あ、じ、自分で脱げましゅっ」

噛んだ。
168 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/18(金) 17:57:43.08 ID:MvDgCQeAO
「そうか」

見かけによらず大きな手のひらが肩から離れる。一抹の寂寥感があったが待たせるのも悪いと思いTシャツを一気に脱いだ。

(そろそろまずいな)

クラシカルなデザインのブラウスのボタンに指をかけたセリカは自らの体の異変に気づいた。
ごく僅かではあるが胸が膨らんできている。
女神の体を使わせてもらう対価のようなもので、定期的に精気を補給しないとセリカは男性体を保っていることができない。その上女体化が進むと歩くこともままならなくなってしまうのだ。
169 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [saga]:2011/11/18(金) 17:58:14.15 ID:MvDgCQeAO
(性魔術を使うか)

これから戦闘が続く可能性を考えれば涙子に性魔術を使って精気を補給するべきだ。だが愛する女性――まして使徒ではない――に性魔術を使って良いものか。

「あの、服、脱ぎましたけど……」

セリカの思考はかぼそい声に中断された。
170 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [sage]:2011/11/23(水) 15:57:19.95 ID:OcxUkHpAO
結局性魔術は使う事にした。異様な親近感を感じ、向こうも好意をもってくれてはいる。
だが彼女はセリカにとっては遠い過去の存在。結ばれることは決して無い。
また、エクリアから受けた説明によると過去に重大な変動があると未来が変わってしまうという。
ハイシェラが消えたのと同様にセリカの存在が消えてしまう事も考えられる。
性魔術を使わなかった場合に涙子が孕む確率はゼロでは無い。そして神殺しの子という存在は確実に歴史に影響を与えるだろう。
171 :黒エウ娘 [saga]:2011/11/23(水) 15:57:49.40 ID:OcxUkHpAO
ドクッ、ドプドプッドクッ
三度目の精を放つ。それと同時に大量の魔力がセリカの体内に流れ込んでゆく。

「んっ、ちゅっ、ちゅるっ、ちゅっ、ちゅるるるっ」

絶頂に飲まれ半ば放心状態の涙子の唇を貪るように吸う。
息を吸う度に互いの体液と汗とが混じり合った濃厚な匂いが鼻腔を刺激する。

「んんんっ、ちゅっ、ちゅぱっ、ちゅぅぅぅ、ちゅっ、ちゅぱっ、はぁ、はぁ、はぁ」

口腔を舐めまわすようにたっぷりとキスを堪能すると、口を離す。そして硬さを失った肉棒を秘肉より引き抜いた。
172 :黒エウ娘 [saga]:2011/11/23(水) 15:58:20.88 ID:OcxUkHpAO
「あっ」

涙子は一瞬残念そうな顔をしたが、右手を己の股にやると割れ目からこぼれだしたセリカの精液をすくい取り、ぺろりと舐めた。

「うへぇ、結構苦いんですねえ、せーえきって」

「まあ、そうなんだろうな」
173 :黒エウ娘 [saga]:2011/11/23(水) 15:59:11.04 ID:OcxUkHpAO
気のない返事をしつつ窓に目をやる。カーテンは閉じており外には漆黒の闇があるのみ。神殺しはこれから幕を開けるだろう戦いに思いを馳せる。
まず第一にハイシェラの確保だ。そのためには地道に魔力痕をたどるより他無いだろう。せめてエクリア達と連絡をとりたい。だが残念なことに手段が無い。
まあ無い物ねだりしても仕方がない。セリカは思考を切り替えた。

(アビルース……か)

こちらに来てから不思議と思い出した人物。腐海の魔術師という通り名と強敵だということだけではあるけれど。
174 :黒エウ娘 [saga]:2011/11/23(水) 15:59:40.43 ID:OcxUkHpAO
もし奴と戦う事になればセリカ1人では厳しいだろう。

(そして涙子を狙う勢力……)

あの工房に仕掛けられた術式には全く見覚えが無かった。エクリアに聞かないとはっきりとはわからないが、恐らくセリカの時代には無いものだ。記憶の中のアビルースも使ってはいなかったように思う。
そして涙子は既に保護対象だ。見捨てる事はできない。

(となると2つの勢力を相手にする必要があるな)

拳をぐっと握りしめる。皮膚の内側に魔力が満ち満ちているのがわかる。

(まあ、誰が相手だろうと負ける義理はない、な)

胸の膨らみは既に消えていた。
175 :黒エウ娘 [sage]:2011/11/23(水) 16:08:02.15 ID:OcxUkHpAO
随分更新遅れてすいません。
微妙なラインでお茶を濁しました。本当はもうちょっとHシーン書いたんですが、冗長なかんじがしたので(苦笑)
エロゲーでもHシーン入ると割とクリック連打しちゃう人なんで許せ。

期待してた方いたらすみません。次回から平常運転に戻ります。
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 20:25:05.93 ID:qhcziBjIO
>>175
あなたとはいい酒が飲めそうだ、乙!
177 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY :2011/12/05(月) 23:02:08.84 ID:vEkqKROAO
生存報告。
随分間が開いてしまいましたが一応書いてますので量が溜まり次第投下するつもりです。
年末ということでリアルがキツく、年内に二回投下できるかどうかだと思います。

では。
178 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:41:54.83 ID:UktCsi8DO
舞ってる
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/19(木) 18:57:04.92 ID:np9Kgmu30
180 :黒エウ娘 ◆wPYcvVJLDY [sage]:2012/01/23(月) 11:44:49.82 ID:scdyVVIIo
待たせてすまない
ちょっとリアルがストレスフルなもので
でも絶対書く
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/01/23(月) 22:24:59.74 ID:MzkpFnMV0
舞ってる
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/30(月) 23:43:05.13 ID:5n9UU2Kk0
楽しみに待っています
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/03(金) 20:25:55.31 ID:tD+ab0fY0
支援
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/02/12(日) 03:32:59.09 ID:E8ZdoV3So
ん?
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/08(木) 12:27:33.92 ID:vjY0THPno
もうだめだ
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/15(木) 19:39:08.05 ID:QAJ5QFJc0
ああマーズテリアよ
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