このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

麦野「さよならロマンス」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/24(木) 22:01:09.81 ID:6Z1ZnqRE0
浜面だったら大丈夫だよ。
 
        ケンカしても殺し合っても、最後は許してくれるから。
 
                      だから、大丈夫なんだよ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1359032469
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:04:52.65 ID:6Z1ZnqRE0
……………………

…………

……



彼女が目をパリチと開けると落ち着いた色合いをした木目の天井が視界を埋める。

何か嫌な夢を見ていた気がした。

ベッドの中の彼女はこのまま二度寝という気分でもないらしく

黒いカーテンを開けて眼下に学園都市を見下ろす。

薄暗い部屋に日差しが舞い込み、光にだんだん慣れだした目が街の輪郭を捉えだした。

ごてごてと、あるいは理路整然とも見える、ビルだの研究施設だの学校だの道路だの。

誰かが意図をもって配置したとしか思えない不思議な街をぼやっとした頭でくるっと一周。

色とりどり学生服に身を包んだ若者たちが慌ただしく目的地に向かっている様が見えた。

それもそのはず、ここは230万もの学生を抱える学園都市。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:06:38.04 ID:6Z1ZnqRE0
麦野「……はぁ」


ため息ひとつ。

これはおそらく昨日の一件のせいだろうと、彼女は自分の胸に手を当てた。

かつて仲間だった存在。

それに化けた敵。

一瞬たりとも動揺しなかった、といえば嘘になる。

焦り、苛立ち、後悔。

そのあとやってきた怒りと、恐ろしい程に冷酷な自分。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:07:17.29 ID:6Z1ZnqRE0


ピ。


ピ。


ピ。


ピ。

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:08:51.56 ID:6Z1ZnqRE0
一定のリズムを刻むそれは、生身の人間が発するそれとは縁遠いデジタルなメロディ。

周囲の人間は決して聞き取る事はできないが、己が耳にははっきりと見えている。

かつて、とある人物と生死をかけた戦いをした結果、こうなってしまった。

その過程で大切なものをいくつも失ってしまった。

もう二度と取り戻せない、大切なものも。


麦野「……ふあぁ」


あくびをひとつ。

かつて抱えていた問題。

決して忘れる事はできないだろう。

忘れたくても忘れられない

だからこそ抱えて生きる。



そこで彼女はくるりと窓から部屋の中に視線を戻した。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:09:38.46 ID:6Z1ZnqRE0


麦野「さーて」


麦野「……ところで、なんでアタシはこんなところで裸で寝ているんだろうかねぇ」


7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:10:10.70 ID:6Z1ZnqRE0
目下、彼女の抱える問題は

その透き通るような白い肌を大胆にさらけ出している己の体にあった。


麦野「とりあえず、この横で寝てるやつを締め上げて吐かせようかね」


ぐうぐう

ぐうぐう

う〜ん

ぐへへ、バニーガールさいこ〜

ぐへへへ…………

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:10:44.27 ID:6Z1ZnqRE0
麦野「締め上げるって言ったけど却下だわ、5秒でコロス、ごーよーんさーんにー」


浜面「はっ?! 何かとてつもない程に身の危険を感じる?!」


麦野「いー……、おめでとう浜面。とりあえず素晴らしい朝を迎えられた事にお互い感謝しようじゃないか」


浜面「……麦野?」


麦野「そーだよ、アタシだよ」


浜面「なんでお前が俺の部屋に…………? って、あれ、ここどこだ。俺の部屋じゃないぞ」


麦野「何ボケかましてるんだよ、それはこっちのセリフだっつーの」


浜面「は? は? …………つーかよ、麦野……サン」


麦野「ん?」


浜面「と……とりあえず、服……着てくれないか……?」


麦野「アタシはセクシー担当だからいいんだよ」


浜面「よかねぇよ!」


麦野「それとも」


浜面「……っ?」


麦野「こんな機械の体は、嫌か?」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:11:36.41 ID:6Z1ZnqRE0
ピ。

ピ。

ピ。

ピ。

ピ。

ピ。

ピ。

ピ。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:12:32.34 ID:6Z1ZnqRE0
浜面「ハナシをスリかえてんじゃねえ……イヤとかイイとかの問題じゃねえし、風邪ひかれたらコッチが困るってんだよ」

ほら、とりあえずこれこれ羽織っとけ。

純白のシーツを投げる。

麦野はそれを受け取ると

麦野「あ、そ。せっかく出血大サービスだったのに」

浜面「俺はバニーちゃん意外に欲情しないの」


機会は風邪をひかない。

これで麦野は問答に満足したらしい。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:13:18.27 ID:6Z1ZnqRE0
麦野「はいはい、はいはい。それはそれは良い夢見てたのね。寝言でバニーバニー煩かったわ」

浜面「男のロマンだからな」

麦野「ロマンス?」

浜面「浪漫だっての」

麦野「そんなもんかね、くっだらない浪漫もあったもんだ」

浜面「いいの、男はバカなの。そんなもんなの」

麦野「あーはいはい、男はバカばっかりって事で。でさ」

浜面「あん?」

麦野「とりあえず、これ。どうすんのこの状況」

浜面「ああ……とりあえず、えっと。朝メシにするか?」

麦野「ったくマイペースなんだから……まあいいか、そのうちなんか思い出すだろ」

浜面「お、冷蔵庫発見、中身は……ミネラルウォーターしかねえな、おいどうする?」

麦野「朝はコーヒーしか飲まないから別に」

浜面「そんなんで栄養大丈夫なのかよ……ったくこれだから現代人は……」

麦野「ほれ」

ぽよん。

冷蔵庫の中身を見るために屈んだ浜面の頭の上に何か、そう、とても柔らかい2つの何かが乗る。

浜面「……」

麦野「栄養、あるだろ?」

浜面「……はい」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/24(木) 22:14:05.10 ID:6Z1ZnqRE0
>>10

☓機会
○機械

とりあえず今日はここまで
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 22:50:05.19 ID:g6JYZcIC0
むぎのんのん!
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 23:44:14.30 ID:4X467F0xo
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/24(木) 23:58:30.52 ID:OEykf/Zp0
まーた浜麦か…大好物だぜ
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/25(金) 23:44:32.74 ID:u8vw2/IH0
>>10

☓意外
○以外
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/25(金) 23:46:38.44 ID:u8vw2/IH0
◇ ◇ ◇ ◇


平日だというのにずいぶん周回遅れの朝を過ごしてるもんだと、浜面は我が事ながら若干のため息混じり。

朝食を何にするかでひと通りの応酬を繰り広げた二人は結局ミネラルウォーターでコーヒーを淹れることで妥協したらしく、浜面はドリップコーヒーの封を切りながら甘栗色のロングヘアーを見遣る。


ふわり。


何気なく髪をかきあげる仕草も写真に切り取って飾ればきっと美麗に映るんだろうなと、空きっ腹の頭でぼんやり考えていた。

ポットが鳴り、お湯を注ぐ、あとは待つだけ。

木目の部屋にコーヒー農園の豊満な香りが漂ってきたら、はい、できあがり。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/25(金) 23:47:51.99 ID:u8vw2/IH0
麦野「……50点」

浜面「あん?」

麦野「だから、50点だっつってんの」

浜面「何が」

麦野「このコーヒー」

浜面「おいおい……コーヒーなんか全部一緒だろ、インスタントだし」

麦野「アタシはちょこっとだけミルク入れるのよ。多すぎず少なすぎず、軽く色が変わるくらい。テストに出るから覚えとけ」

浜面「んなもんこの部屋にゃあない」

麦野「はぁ……、あんたさ、何のために使いっ走りやってるわけ? 近所の店までひとっ走りいくくらいの男気見せてくれてもいいんじゃない?」

浜面「使いっ走りに男気を求めるってそれどうなの?!」

麦野「ま、いいから。次から気をつけて」

浜面「へーへー、わーったよ」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/25(金) 23:48:28.98 ID:u8vw2/IH0
いつもの二人の掛け合い。

言葉こそトゲのあるように見えるが当人同士はどこ吹く風、特に気にしていない様子でコーヒーカップを傾ける。


浜面「で、ここどこよ」

麦野「さあ」

浜面「さあ、って」

麦野「知らないし、どうやって来たかも覚えてない」

浜面「数ある隠れ家のうちの一つか? とてもじゃないけど安物のアパートの一室にゃ見えないぜ」

麦野「さあ」

浜面「さあ、って」

麦野「こういう場所の管理はアタシの管轄外だ、いつも電話の女が状況に応じて隠れ家を提供してくれてたから、どこに何があるのかなんてわかんないし」

浜面「さいですか」

麦野「まーいーんじゃなーい、べつに追われてるわけでもないんだしのんびりすればー」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/25(金) 23:49:20.96 ID:u8vw2/IH0
ぐでん。

テーブルの上に両手を投げ出して伏せる麦野。



浜面「いきなりだらけすぎだろ……」

麦野「たまにはこういうのもいいじゃない……それとも」

浜面「ん」

麦野「滝壺と一緒が良かった?」

浜面「……バカ言ってねーで飲み終わったんならそれ食器片付けるぞ」

麦野「イヤ、答えてくれるまでコップ離さないから」

浜面「お前は小学生か! わがままいうんじゃありません!」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/25(金) 23:52:56.39 ID:u8vw2/IH0
麦野「で、どうなの? 愛する女と密室で一夜を過ごすんだから当然そっちのが良いよね、ヤりたい放題じゃん?」

浜面「俺と滝壺は健全なの、そういう事はしないの」

麦野「はぁ? なにあんた、まだ童貞?」

浜面「どどどどどどどどど、どうていちゃうわ!!」

麦野「あー……ハイハイ、わかったそれ以上言わなくていいから……なんだかこっちが惨めな気持ちになるじゃない」

浜面「うううううるせー、バカヤローコノヤロー」

麦野「っていうかさ」

浜面「……んだよ」

麦野「アンタらマジで何もないの?」

浜面「キスくらいしたさ!」

麦野「そっから先は?」

浜面「手をつないだりとか……」

麦野「それで?」

浜面「一緒に日光浴したり……? フレメアと海鳥連れて公園に遊びに行ったり……? フレメアを歯医者に連れてってそれで……、あれ……?」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/25(金) 23:55:23.40 ID:u8vw2/IH0
麦野「……」

浜面「……」

麦野「…………」

浜面「…………」

麦野「……あのさ、それって」

浜面「…………あんだよ」

麦野「それって……本当に恋人同士なのか?」

浜面「……さあ」

麦野「さあ、って……」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/25(金) 23:56:23.79 ID:u8vw2/IH0



だったら、アタシにもまだ可能性残ってるわけだよね。



とは言えない程度には乙女な麦野さんなのでした。


24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/26(土) 00:04:49.70 ID:sl0ZK/ID0
浜面さん
お願いだから爆発してください
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/26(土) 00:06:41.13 ID:wkwyDxXM0


椅子に座りながら白い灰になって

燃えたよ……燃え尽きた。

とか、ぶつぶつ言っている浜面を尻目に麦野は思案する。

自分という人間はおそらく愛というものを知らない。

きっとそれは時間をかけて親や恋人から教わったり学んだりするものなのだろうけれど、

これまで生憎そういった存在は自分とは無縁だった。

知らないが故に知ろうとするのは人間の性だろう。

いつだったか絹旗に連れられて行った映画館で見た男女二人のロマンス劇では四六時中お互いの事に触れてなきゃイヤ!という二人が世界の危機を救うという馬鹿馬鹿しいストーリーだった。

けれど、たぶんそれだってきっとひとつの愛の形だと麦野は思う。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/26(土) 00:16:37.53 ID:wkwyDxXM0
学園都市に7人しかいないレベル5の第四位。

それが自分だった。

それだけがかつての自分だった。

強大で絶対的な能力を行使する事でしか自己を表現できない。

気に入らないものは全て焼きつくす、そんなチカラ。

けれどその自己表現の方程式は、学園都市に無数と居る無能力者のスキルアウトによって破られる事になる。

「楽勝だ、超能力者」

ひとりの女の子を守ると言い出したくせに、泣き・喚き・逃げ惑ってばかり。

諦めの悪さだけが取り柄の様な人間から発せられたその一言で、麦野のアイデンティティは瓦解した。

気がつけば超能力者である自分は地に伏し。

両の足で立っていたのは無能力者。

ヒエラルキーがひっくりかえった。

あの日きっと自分は死んだのだろう。

それまでの麦野沈利は。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/26(土) 00:19:32.77 ID:wkwyDxXM0

だったら、それからの麦野沈利は?

あの日の自分が今の自分を見たら一体どう思うんだろうね。

でも、いや、だからこそ。

自分を選ばなかった男を想い続けることだって、きっと。

と思えば思うほど。

目の前の不安定な天秤は期待の方面にぐらりと傾くわけで。


麦野「恋人っていうより、それって保護者と子供?」


少しくらいは意地悪を言っても良いような気がしている麦野さんなのでした。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/26(土) 00:22:57.72 ID:wkwyDxXM0
今日はここまで、誤字脱字多くてすんません
とりあえず大体二年ぶりのSSですので多目に見てやってください
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/26(土) 08:46:06.85 ID:kheH6/Uro
乙でした
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/26(土) 12:34:45.05 ID:JcPg8o7oo
乙ー
ちなみに前書いたSSって何?
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 20:11:24.55 ID:wkwyDxXM0
>>30
それは書き終わった後にでも……
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 20:11:59.99 ID:wkwyDxXM0
浜面「うるせー……、とりあえずここ出るぞ」

麦野「うーわー、急に話題変えたな」

浜面「急も何もいつまでもここに居るわけにはいかないだろ」

麦野「そうかしら? アタシはいつまでも居てもいいけれど」

浜面「お前は良くても俺はだめなの」

麦野「浜面が良くなくてもアタシはいいもーん」

浜面「……お前時々小学生になるよな」

麦野「どういうところが?」

浜面「そんなところがだよ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 20:12:31.57 ID:wkwyDxXM0
麦野「へー」

浜面「あんだよ」

麦野「よく見てんじゃん、アタシの事」

浜面「たりめーだろ」

麦野「……ふーん」

浜面「なんてったって我らがアイテムのリーダー様だからな」

麦野「なーんだ、……つまんない」

浜面「お前がつまんなくても俺は一向に困らないからそれでいいの」

麦野「ちっ」

浜面「はいはい、舌打ちしないの。美人が台無しだぞ」

麦野「……よく言うわ」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 20:12:57.44 ID:wkwyDxXM0
浜面「で、満場一致でここから出て行くことで良いな」

麦野「はんたーい」

浜面「はんたいのさんせいだ」

麦野「それってどっちなの?」

浜面「言葉遊びはお終いって事だよ、行くぞ」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 20:19:05.28 ID:wkwyDxXM0
独特の木の香りが漂うこの部屋ともお別れだ。

さよならを告げる代わりに浜面はドアを開ける。

続いて麦野も部屋を出る、日の光が眩しい。

テレビが言うには本日は晴れ、風も穏やかで絶好の洗濯日和になるでしょうとの事だ。

きっと世界のどこかでメイドが嬉々として洗濯物をかけているに違いない。

そんな世界が意外と近所に存在していたりするのがここ学園都市なのだが。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 20:30:50.37 ID:wkwyDxXM0
浜面「さっきGPSで確認したけど、ここは第七学区の西端らしい」

麦野「ふーん。で、ここからどうするの?」

浜面「アテもないし、一度家に戻る。お前は?」

麦野「浜面の家はアタシの家でもあるわけだから、エスコートくらいしたらどうなの?」

浜面「俺は英国紳士じゃあないんだけどな」

麦野「いいから、ほら」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 20:31:36.40 ID:wkwyDxXM0
そう言って麦野は左手を差し出す。


浜面「……?」

麦野「目の調子が良くないのよ、遠近感が狂ってて一人じゃ歩けそうもない」

浜面「ちょ……? それ、大丈夫なのかよ」

麦野「家に機材があるから、それでセルフチェックする。だからそれまで頼むわ」

浜面「背負うか?」

麦野「気持ちはありがたいけど、それは人目につくから」

浜面「でも」

麦野「いいの、いつも移動は車だから。たまには歩く事も大事だし」

浜面「まぁ、そりゃそうだな」

麦野「それで、してくれるの? してくれないの?」

浜面「任されたよ」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/26(土) 20:32:24.76 ID:wkwyDxXM0


己が出した左手ではなく、右手を取った浜面を見た麦野は


なんだかんだで、満足してしまうのでした。

39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/26(土) 20:35:26.85 ID:wkwyDxXM0
とりあえず今日はここまでで
亀並みのスローペースですんません
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/26(土) 21:36:03.46 ID:TiRpxUiB0


期待してまっせ
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 00:00:08.02 ID:NVbL30d1o
乙でした
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 00:09:36.63 ID:pMnxp6Vz0

好きな雰囲気だ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/27(日) 21:17:46.87 ID:6W74IVrb0
◇ ◇ ◇ ◇






絹旗「超疲れましたーーーーーーッ!!!!!!」





44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:18:59.52 ID:6W74IVrb0
私って超甲斐甲斐しい!素敵!誰か超褒めて!と顔に書いてあるのは絹旗最愛。

ヒッチャカメッチャカに散らかった部屋を、結局丸一日かけて片付けてしまった。

もちろん予てから楽しみにしていた一端覧祭はとうの昔に終わっているのだが、彼女は今この部屋が綺麗になった達成感だけでお腹がいっぱいといった様子だ。

絹旗「あー……今年も一端覧祭、超行けなかったなぁ……」

しゅん、としょげる絹旗。

それというのも誰かさんが(能力を行使して)盛大に部屋を散らかした(ふっ飛ばした)からなのだが。

起こってしまった事は気にしない、器の大きさこそいい女の証だと己に言い聞かせて未だ帰らぬ主を待っていた。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:28:24.71 ID:6W74IVrb0
昨年までなら、と絹旗は思う。

暗部組織に属していた自分はきっと祭りに参加するという選択肢すら与えられていなかったのだろう。

光あるところまた闇もあり。

学園都市も例外ではなく、自分もかつては「暗闇の五月計画」で学園都市第一位である一方通行の精神性・演算方法の一部を意図的に植え付けるという実験のモルモットにされていた。

このようなダーティな実験ばかりが日夜繰り返されている、わけではなく。

当然、世界に誇るべき技術も多数ある、かつて完全な未来予測を行なっていたという樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)などはそれの代表的なものだろう。

だからこそ、と言うべきだろうか。その技術は往々にして標的にされる。

自分はかつて暗部組織の一員として、学園都市を狙う敵(内部であれ外部であれ)を幾度と無く排除してきた。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:29:23.25 ID:6W74IVrb0
例えば。

火は大変便利なもので、料理や発電などもはや人間の生活には欠かすことができないものになっている。

反面、使い方を誤ってしまえば火事が起こってしまう。

悪意を持った人間が、他人を傷つける事もできるだろう。

いつだっただろうか。

技術そのものには善悪はなく、要はそれを使う側の問題だ。

と、どこかの少年が言っていた事を思い出す。

自分の能力もきっとそれと同じだ。

窒素装甲は守るためにあるもの。

では何から誰を守るのか……、そんな事をぼやっと考えていると、
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:31:06.97 ID:6W74IVrb0
浜面「おーっす、ただいま。ってうわ?! なんじゃこりゃ、部屋がめっちゃ綺麗に?!」

麦野「ただいまー」

主が帰ってきたので、ソファからゆっくりと起き上がった。

小走りで駆け寄り、手をひろげる。

絹旗「超おかえりなさい!」

浜面「ぶは?!」

絹旗「ったく……いつまで留守番させてりゃ超気がすむんですか。そんなんだから超浜面とか言われるんですよ?」

浜面「低姿勢からのタックル……こりゃ本場のNFLでも通用するぜ……」

絹旗「もっぺんくらわしてやろうか超このやろう、です」

浜面「ちょーッ?! 冗談ですから絹旗さん!! 部屋の掃除ありがとうございましたーーーッ!!! 留守を任せられるのは絹旗さんでけです!!」

絹旗「ふん、超わかればいいんですよ。わかれば」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:32:13.62 ID:6W74IVrb0



自分の背丈では、守れる範囲はあまりにも小さいかもしれない。



けれどこの家くらいなら、たぶん守れる気がしている絹旗さんなのでした。


49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:45:38.58 ID:6W74IVrb0
◇ ◇ ◇ ◇


絹旗「で、浜面」

浜面「なんだよ」

絹旗「せっかく帰ってきてくれたところ超悪いですけど、ちょっと頼まれてくれませんか?」

浜面「どうした?」

絹旗「フレメアと滝壺さんが今日の晩御飯の食材を買いに行ってくれてるんですけどね、帰りが超遅いんですよ」

浜面「フレメアと滝壺が?」

絹旗「ええ、3時に出て行ったんですけどね」

浜面「もう5時……か、たしかにちょっと遅いわな」

絹旗「地下にいるのか携帯電話も繋がらなくて、探してきてもらってもいいですか?」

浜面「わかった、任せとけ」

絹旗「超お願いします」

浜面「それじゃ行ってくるぞ」

麦野「はいなー、アタシはメンテでもしてるから」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:50:39.07 ID:6W74IVrb0
麦野「ったく滝壺の事になると行動も早いんだからさー」

絹旗「超嫉妬ですか? 麦野」

麦野「はっ、誰が」

絹旗「そんな強気な態度取っても超バレバレですよ」

麦野「そーかよ、……で絹旗ちゃんよぉ」

絹旗「はい」

麦野「例の件、ビンゴだ」

絹旗「……ということは昨晩帰ってこなかったのって」

麦野「ああ」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:52:01.25 ID:6W74IVrb0







麦野「やっと、 あ の ク ソ ッ タ レ の尻尾を掴んだぞ」





52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:53:54.86 ID:6W74IVrb0
とりあえず今日はここまでで、
星野のスローガーブ並の更新速度ですんません
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/27(日) 21:55:12.85 ID:6W74IVrb0
>>52
ガーブってなんだ
カーブでした
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 18:04:16.16 ID:zjJDMCuIO
おつー
いやぁ面白い
続きに期待
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/28(月) 21:48:06.01 ID:UBmOFamR0
今日もぼちぼち投下していきます。

>>54
ありがとうございます。

56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 21:49:10.25 ID:UBmOFamR0
◇ ◇ ◇ ◇





にゃーん。



57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 21:50:55.60 ID:UBmOFamR0
フレメア「にゃあにゃあ! 次は大体あっち行こう!」

滝壺「フーレーメーアー、待ってよー」

フレメア「あ! やっぱりこっち!」

色とりどりのデコレーションがなされた第七学区最大級のショッピングモールの地下に滝壺理后とフレメア・セイヴェルンの二人は居た。

目的のものはとっくの昔に買い終えているのだが、さっきからフレメアがこの調子で目を離していると勝手にトテトテ走っていってしまうので、

保護者である滝壺はしかたなくその後ろをついていっている。

のだが。

元気いっぱい! というお年ごろのフレメアの縦横無尽な動きに、普段からあまり体を動かさない滝壺はすでに疲労困憊といった感じだ。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 21:55:13.05 ID:UBmOFamR0
滝壺「もー、フレメアったら」

フレメア「にゃあ!? あれなにー?!」

実はこの建物、地上から見下ろすとそれほど大きくない様に見えるが、多様化する学生の需要に応えるために毎年の様に増改築が行われているらしい。

その矛先はずばり「地下」

広さを求めて下へ下へと根を貼るように掘り進めていった結果、地底人もびっくりな地下要塞が完成してしまったというわけだ。

以前このショッピングモールを貸しきって鬼ごっこ大会を主催した学生サークルがあったそうだが、あまりに広すぎて鬼が参加者を発見することすらできなかったという笑い話すらある程だ。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 21:56:26.58 ID:UBmOFamR0
滝壺「もー、フレメアったら」

フレメア「にゃあ!? あれなにー?!」

実はこの建物、地上から見下ろすとそれほど大きくない様に見えるが、多様化する学生の需要に応えるために毎年の様に増改築が行われているらしい。

その矛先はずばり「地下」

広さを求めて下へ下へと根を貼るように掘り進めていった結果、地底人もびっくりな地下要塞が完成してしまったというわけだ。

以前このショッピングモールを貸しきって鬼ごっこ大会を主催した学生サークルがあったそうだが、あまりに広すぎて鬼が参加者を発見することすらできなかったという笑い話すらある程だ。

で、あるからして。

フレメア「大体、ここはかくれんぼにうってつけの場所なのだッ! あのちびすけとおねーちゃんも今度つれてきてやろう、にゃあ!」

滝壺「かくれんぼよりAIM拡散力場浴がしたい……」

「あのちびすけ」と呼ばれた誰かさんがどこかで盛大なくしゃみをしたそうだが、それはまた別のハナシ。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:13:10.39 ID:UBmOFamR0
さて。

時計は5時、そろそろ帰らないと同居人たちがお腹をすかせて待っているだろう。

滝壺「フレメア」

フレメア「んー? なにー?」

滝壺「そろそろ家に帰ろう」

フレメア「やだーっ! まだ居るもん!」

この困った子を家に連れ帰るにはどうしたらいいだろうか。

迷った挙句、滝壺は学園都市にまつわる噂話をすることにした。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:15:15.25 ID:UBmOFamR0
>>58は無かった事に……
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:16:09.65 ID:UBmOFamR0
滝壺「いうことを聞かない悪い子は『黒い清掃車』につれてかれちゃうんだよ」

フレメア「ふーん、大体そんなのウソだった知ってるし!」

滝壺「じゃあこれは知ってる? 悪い子を夜な夜なマンホールの中に閉じ込めて回る『実験体五〇二号』」

フレメア「ふ、ふーん……」

滝壺「まだあるよ。悪いことをした子供を道路の標識に変えてしまう『人骨色のタイル』」

フレメア「にゃあ……」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:17:32.92 ID:UBmOFamR0
滝壺「最後はね、お腹を空かせている悪い子が、良い香りに誘われて入った部屋で自分が料理されてしまうの。木目のテーブルの上に自分が食材にされて並べられちゃう『木目のレストラン』」

フレメア「……くすん、フレメア、良い子にする」

滝壺「うん、そうだね」

フレメア「良い子にしてれば、だいたい大丈夫?」

滝壺「大丈夫」

フレメア「ほんと?」

滝壺「私も、はまづらも、むぎのもきぬはたもあなたを守るから」

フレメア「……にゃあ」

滝壺「だから、大丈夫」

フレメア「ありがとう」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:18:38.70 ID:UBmOFamR0
フレメアの小さな体を抱く、ほのかなぬくもりが伝わってくる。

滝壺「ごめんね」

フレメア「どうして謝るの?」

滝壺「怖い話をしちゃったから」

フレメア「にゃあ、大体気にしてないから! 落ち込むことないよ!」

滝壺「そう」

フレメア「だからおうちに帰ろう、理后お姉ちゃん」

滝壺「うん、そうだね」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:28:07.98 ID:UBmOFamR0
────────

────

──


五時を告げる鐘が鳴り終わり、良い子は家に帰る時間となった。

今日はシチューを作ると決めているのだ。

さて、帰って晩御飯の支度をしなくては。

と思って振り返った滝壺は、ざわりとした違和感に苛まれる。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:29:34.12 ID:UBmOFamR0
滝壺「……?」

フレメア「どうしたの?」



しん、と静まり返った空間。

鐘が鳴る以前の騒がしい声はどこへやら。

いつの間にかこの空間から二人を除いた人間が居なくなっていた。

まるで何者かの意志によってそうされたかのように。



滝壺「何か、おかしい」

フレメア「……にゃあ?」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:38:02.01 ID:UBmOFamR0
集中する。

周囲に視線を投げる。

茶色のタイル、観葉植物、流行しているファッションブランドのテナント。

非常口、階段、エスカレーター、白いベンチ、噴水、LEDライト。

ぐるっと一周して、視界の端に人影を捉えた気がした。

滝壺「ッ?! 誰ッ?!」

咄嗟にフレメアを庇いつつ叫ぶ。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:50:13.42 ID:UBmOFamR0



返事はない。

不気味に静まり返った空間。



滝壺「まさか……『神隠し』……?」

フレメア「『神隠し』?」

『神隠し』

さっきフレメアには話さなかった学園都市にまつわる噂話。

日々更新される噂話のニューカマー。

人間が消える。

それだけの事。

一切の仕組みが謎、誰が関わっているのかも、何を目的にしているのかも。

ただ忽然と「人間が消える」

まるで、最初から何も無かったように。

だから『神隠し』
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:53:42.67 ID:UBmOFamR0
家を出る時に絹旗から注意するように言われていたのだ。

「変な事があったらすぐに超連絡してください」

ただ悲しいかな、ここは携帯電話の圏外。

いや……、神隠しを行うために圏外に設定された場所?

つまり、そう仕向けた誰かが居る?

滝壺「だったら、ここから出れば……」

あるいは、助けを呼ぶことも叶うかもしれない。

行動の指針は決まった。

此処を突破する。

彼女の行動は早かった。

フレメアを抱きかかえると、低い姿勢のまま駆け出す。

70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:55:54.57 ID:UBmOFamR0
どんな高位能力者が相手でも、この子だけは守る。

だって、そう約束したから。

影が動く気配。

それに合わせて能力追跡を発動。

基本的にこれは探索を行うものだが、

応用によっては相手の自分だけの現実を歪める事ができる。






──え、これは……?





71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:56:55.14 ID:UBmOFamR0
次の瞬間、

   ・・・・・・
滝壺は目を覚ました。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/28(月) 22:57:49.38 ID:UBmOFamR0
とりあえず今日はここまでで、
相変わらず投稿ミスが無くなりません、ほんとすんません
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 23:37:45.31 ID:3vWOjbOl0
面白い
支援
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 23:46:07.81 ID:ANbhP75C0
久々に禁書ssで読む気になった
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 09:02:25.55 ID:L8e3URXWo
乙でした
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/29(火) 21:26:08.50 ID:u4in3mWW0
投下します
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:27:33.72 ID:u4in3mWW0
────────

────

──




浮かんでいるのか、

それとも、

沈んでいるのか。

ふわふわする。

とても暖かい。

何か大きなものに包まれている、そんな感覚。

私はその何かに全幅の信頼を寄せて身を預けている。

気張らなくてもいい、着飾らなくてもいい。

空気が心地いい。

ああ。

きっといま言葉で表現するのなら、私は幸せなんだろう。

だから、

この幸せを邪魔する者に対しては、きっと私、鬼になるだろう。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:29:22.36 ID:u4in3mWW0
滝壺「……」


滝壺「……」


滝壺「……?」


滝壺「……ふえ?」


浜面「お、やっと起きたか?」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:38:05.47 ID:u4in3mWW0
上から降り注ぐのは聞き慣れた人の声。

間違えるはずがない、これは、

滝壺「……うん?」

浜面「いきなりベンチで寝てるからびっくりしたぜ」

滝壺「えっと……、ひざ枕?」

浜面「起きて最初に言うセリフがそれですか滝壺さん?!」

滝壺「……じゃあ、づら枕?」

浜面「それはそれでなんかイヤあああああああああ!!
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:39:03.03 ID:u4in3mWW0
滝壺「私……寝てたの?」

浜面「おう、気持ちよさそうに寝てたからな。いつものあれか?」

滝壺「あれ?」

浜面「日光よ……じゃなかったな」

滝壺「AIM拡散力場浴、ここは人がたくさん集まるから心地いいよ」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:39:45.74 ID:u4in3mWW0
浜面「その感覚がわからんのでコメントし難いな」

滝壺「ねえ、はまづら」 

浜面「ん?」

滝壺「私、寝てたの?」

浜面「寝てたっつーか、この迷子センターで横になってたな」

滝壺「……ここで?」

浜面「よほど疲れたんだろうな、フレメアも一緒にほら」

指差す方向を見る。

柔らかな曲線が特徴的な木製ベッドで眠るフレメアがそこに。
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:50:49.51 ID:u4in3mWW0
浜面「ったく子供はのんきでいいよなー」

滝壺「そう?」

浜面「二人がなっかなか帰ってこないから心配したんだぜ?」

滝壺「心配?」

浜面「ま。大方フレメアがあっちこっち連れ回したんだろうけどさ」

滝壺「ふふ、そうだね」

浜面「……しっかし、フレメア起きないな」

滝壺「起きないね」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:52:10.79 ID:u4in3mWW0
浜面「ぐーすか寝てるな」

滝壺「ぐーすか寝てるね」

浜面「気持ちよさそうに寝てるな」

滝壺「気持ちよさそうに寝てるね」

浜面「だからって一緒に寝てるやつがあるか」

ぺし。

軽くでこぴんをひとつ。

ほんのりおでこが赤くなる。
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:55:10.15 ID:u4in3mWW0
滝壺「……いたい」

浜面「寝覚めのマークだ、わっはっは」

滝壺「……仕返し」

浜面「え? ちょちょちょちょっと?! 目が本気なんですけど滝壺さん?!」

滝壺「だいじょうぶだよはまづら、一瞬で終わるから」

浜面「絶対一瞬で終わらないですよね?! っていうかある意味、文字通り本当に終わりそうなんですけれど!?」

滝壺「大丈夫、そんな弱気なはまづらを私は応援してる」

浜面「応援するのかデコピンするのかどっちか一個にしてくれええええええええええ!!」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:56:27.33 ID:u4in3mWW0





フレメア「にゃーーー!! 大体うるさーーーいッッ!!」




86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 21:59:01.23 ID:u4in3mWW0
フレメア「人がせっかく気持ちよく寝てたのに! ぷんぷん!」

浜面「ご、ごめんなさい……」

フレメア「まったく、こーきょーのばではぎょーぎよくしないといけないんだぞ!」

浜面「は、はい。おっしゃるとおりです」

フレメア「わかればいいのだよわかれば、えっへん」

浜面「……最近オレ……こんな役回りばっかりだよな……、いや……今に始まったわけじゃない気が……?」

フレメア「にゃあにゃあ! 何をぶつぶつ言っているのだ!」

浜面「……ナンデモアリマセーン」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:04:16.61 ID:u4in3mWW0
滝壺「ふたりとも」

フレメア「にゃ?」

滝壺「そろそろ帰ろう?」

浜面「おっと、そうだな。そうだった、もうハラへって死にそうだぜ、早く晩御飯にしよう」

フレメア「おなかすいたー!」

浜面「っと、先行くなっておい! また迷子になるぞー!」

フレメア「迷子になんかなってないもん!」

浜面「はぁ? 我が物顔で迷子センターで寝てたくせに何言ってんだよ」

フレメア「う? と、とにかく迷子になんてなってないんだから!」

浜面「はっはーん?」

フレメア「ほ、ほんとだもん」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:06:23.34 ID:u4in3mWW0
浜面「それじゃあここからの帰り道、一人で大丈夫だなあ?」

フレメア「う……」

浜面「大人なフレメアだったらこれくらい楽勝だよなあ?」

フレメア「うう……」

浜面「なー?」

フレメア「うー……」

浜面「どうしたどうしたー?」

フレメア「フレメア、一人は……もう嫌……、かも……」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:07:11.89 ID:u4in3mWW0
浜面「……っ」

フレメア「一人は……嫌……」

浜面「ごめ、俺、そんなつもりじゃ」

フレメア「ふぇ……ふええぇぇえええん……」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:14:32.31 ID:u4in3mWW0
滝壺「いじめ、かっこわるい」

浜面「……はい」

滝壺「そんなはまづらは、応援できないかも」

浜面「……返す言葉もねぇ」

滝壺「フレメア、おいで?」

フレメア「……理后お姉ちゃん、くすん」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:16:25.59 ID:u4in3mWW0
滝壺はフレメアの背中に手を回す。

彼女がいつも着ているのピンク色のジャージから

やわらかなぬくもりが伝わる。

こわいのこわいのとんでいけー。

こわいのこわいのとんでいけー。

傍から見ているとなんてほほえましい光景だろうか。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:20:20.11 ID:u4in3mWW0
滝壺「ほら、こわくないよ」

フレメア「……うん」

滝壺「ほらほら、怖くないよ」

フレメア「うんっ」

滝壺「もう、大丈夫?」

フレメア「うん!」

滝壺「そう、良かった。ねえ? フレメア」

フレメア「うん?」

滝壺「……だめだよ」

フレメア「え、なに?」

滝壺「だ か ら 、 は ま づ ら の 前 で 嘘 泣 き な ん か し ち ゃ だ め だ よ ?」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:21:46.27 ID:u4in3mWW0
ぞくり。

耳元で告げられた言葉の意味を考えるより先に、

フレメアの背中に電撃が走る。

氷よりも冷たい声。

刺すように刺さる視線。

なんだろうこれは。

さっきまでの優しい声音はいったい何処へ?
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:26:24.39 ID:u4in3mWW0
きっとそれは子供心だったのだろうし、

きっとそれ以上の意味なんてなかっただろう。

にゃあにゃあ、騙されたなはまづらっ!!

というネタバラシと共に終わっていた話だったかもしれない。

けれども、それは起こってしまった。

押してはいけないボタンをフレメアは押してしまった。

滝壺「わかった?」

だからこそ、次の選択肢を間違ってはいけない。

フレメア「は、い……」

滝壺「ん、よろしい」

彼が絡んだ時の彼女は文字通りの本気なのだから。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:33:45.04 ID:u4in3mWW0
浜面「ごめんな、フレメア」

フレメア「ん、大体気にしてないから、もういいよ」

浜面「でも……俺……」

滝壺「大丈夫だよ、ね?」

フレメア「うん!」

浜面「そうか?」

フレメア「もっちろん!」

浜面「はぁー……じゃあ気を取り戻して、帰るか、家に」

滝壺「おー」

フレメア「かえるー!」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:34:44.51 ID:u4in3mWW0
浜面「ちなみに、今夜の献立は?」

滝壺「んー……? この食材だから……、カレーにしようかな」

浜面「お、いいね。カレーは大好物だぜ」

フレメア「カレーすきー!」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 22:40:27.74 ID:u4in3mWW0
とりあえず今日はここまでで、
カレーが好きです。
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage ]:2013/01/30(水) 00:49:24.30 ID:MeYCrM+5o
滝壷が怖すぎてなんかのフラグな気がしてきたよ乙
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 13:05:39.22 ID:Zq1BEQAIO
おつー
こうして子供は成長していくってわけよ
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/30(水) 21:37:13.35 ID:OUnJ7fku0
────────

────

──
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:38:21.23 ID:OUnJ7fku0
麦野「と、いうわけ」

絹旗「なるほ、……ど……」

麦野「ん、どしたの? 固まっちゃって」

絹旗「と、と、年頃の男女が……お、お、起きたら裸ってそれどういう事ですかーッ!!!???」

麦野「落ち着けよ☓☓じゃあるまいし、いつもの口癖がどっかいってるぞ」

絹旗「私は麦野と違って超純白なんです!!」

麦野「あーはいはい」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:47:26.71 ID:OUnJ7fku0
絹旗「はー……、あのですね麦野。わかってます? それ滝壺さんにバレたら超恐ろしい事になりますよ?」

麦野「こういうのは男に非があるって相場は決まってるもんだから大丈夫だろ。アタシだって何も好き好んで浜面と一夜を過ごしたわけじゃないし、仕事だからしょうがなかったんだからさ」

絹旗「嬉しそうな顔で言っても超説得力ないですよ」

麦野「あ、そ」

絹旗「それで、結局真相は超何だったんですか?」

麦野「ああ、右目を録画モードにして昨日一晩中放置してたんだ」

絹旗「そんな事できるなんてもうすっかり超サイボーグですね」

麦野「次言ったら☓☓な」

絹旗「軽いアメリカンジョークじゃないですか、サラっと超おっかない事言わないでくださいよ」

麦野「気が短いんだよ、アタシは」

絹旗「私は気が短くて器の大きな麦野が超好きですよ」

麦野「あっそ」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:53:19.80 ID:OUnJ7fku0
麦野「とりあえず、パソコンに転送したからこれ見て」

絹旗「うわ、浜面超アホ面で寝てますよ」

麦野「……あ、ここじゃない、もうちょっと後」

絹旗「……これも超仕事ですか?」

麦野「何が起こるかわからなかったからチェックしとくに越したことはないだろ」

絹旗「とか言いながらどうせこれパスワードかけて超保存してるんでしょ」

麦野「当たり前だろ、仕事だからな」

絹旗「あ、……そ」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:59:23.58 ID:OUnJ7fku0
麦野「で、とりあえずこのまま数時間何も変化無いわけだけど、見続けるか?」

絹旗「このまま浜面を何時間も眺め続けるのは超アレですね」

麦野「アレだろ」

絹旗「なんていうか……超やばいですね」

麦野「そうだろ、やばいだろ」

絹旗「もう超やだこの人」

麦野「あん? なんか言ったか」

絹旗「イエ、ナンデモ」

麦野「で、このまま36倍にして進めるけど、結論から言えば外観上の変化点は無し」

絹旗「変化なし? え、でも」

麦野「そう、でも失ってる。家につくまでの浜面との会話で確認した、間違いない」

絹旗「……そうですか、麦野も?」

麦野「アタシはこの映像があるから『ああ、そういう事だったんだな』って理解したけど、おそらく浜面は無理、きっと失ってるか別の何かで補填されてる」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 22:16:23.59 ID:OUnJ7fku0
麦野「たまたま、右目の調子が悪くて色々いじっててこの映像を見つけたんだ。戦慄したよ、このアタシが出し抜かれたんだからな。寝て起きたらなんでそこで眠っていたのかキレーに忘れてたよ」

絹旗「超やっかいですね……記憶を奪われたり改竄されたり……、そんな能力聞いたことないですよ」

麦野「いや、心当たりはある」

絹旗「本当ですか?」

麦野「第五位、学園都市最高の精神操作能力者」

絹旗「第五位……? 常盤台の?」

麦野「そういえばあいつも常盤台だったか……」

絹旗「目撃情報も無し、ただの噂を捜査しろなんて最初に言われた時は雲を掴む話かと思いましたが、ここにきて超ビッグネームの登場ですか……先が超思いやられます……」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 22:34:17.05 ID:OUnJ7fku0
麦野「アタシを含めて超能力者はどいつもこいつも似たようなクソッタレだからな」

絹旗「そこで自分を含めるんですか」

麦野「否定はできないし、自分だけの現実が強固ってことは、それだけ社会の仕組みから外れる事だから」

絹旗「そーですか……。……で、どうします? 超カチコミますか?」

麦野「この調子だと正面から言ってもかわされるのがオチだろうな、今はまだその時期じゃない……それにこれはただの記憶操作ってだけで、あいつのやり口とは違う気もする」

絹旗「と、いうと?」

麦野「あいつは能力を行使するときに媒体としてリモコンを使ってるはずなんだ、けど今回それらしいものは見かけなかった。まぁ、それが媒体なのか増幅装置なのかはわからないけどさ」

絹旗「媒体無しで能力を超行使できるんじゃ?」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 22:37:16.96 ID:OUnJ7fku0
麦野「さあ、そこまではわからんよ。けど失ってる、少なくとも昨日から今日にかけての数時間分の記憶がアタシには無い、この映像との整合性が取れない。本当にこれをアタシが撮ったのか覚えてない、まぁ、十中八九アタシが撮影したんだろうけどさ」

絹旗「記憶に超ございません! ってセリフを素で使うなんて……ッッ!!」

麦野「実際撮った覚えが無いんだからしょーがないだろ」

絹旗「でましたー、超開き直り。盗人猛々しいとはこのことですよ」

麦野「それにしても」

絹旗「はい?」

麦野「なんでこいつ、……手ェ出してこなかったんだろうな」

絹旗「さ、さあ……?」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 22:40:20.38 ID:OUnJ7fku0
麦野「そんなに魅力ないかなぁ……」

絹旗「はぁ……浜面って超罪な男ですね」

麦野「そう?」

絹旗「超思いますよ」

麦野「ふーん……?」

絹旗「な、なんですか」

麦野「きーぬはたぁ」

絹旗「はい?」

麦野「あんたがどうしようとあんたの勝手だけどさ、我慢はよくないぞ」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 22:42:46.27 ID:OUnJ7fku0
絹旗「……なんのことでしょう」

麦野「ま、それならそれでいいけどさ」

絹旗「そんなことより、私が調べても糸口さえ掴めなかったのに、麦野にバトンタッチした途端にこれだから超滅入りますよ」

麦野「まー、こう見えてもスタイルも抜群で? 頭脳明晰で? セクシー担当で最近は料理の練習もしてるし? これくらいは当・然かなって」

絹旗「誰に向かって超自慢してんですか」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 22:51:03.73 ID:OUnJ7fku0
麦野「まーとりあえず、事件解決に向けて一歩前進って事で」

絹旗「あともう少し情報が欲しいですね」

麦野「そーだな」

絹旗「あの、……麦野?」

麦野「ん?」

絹旗「なんていうか、超怒ってないんですか?」

麦野「怒る?」

絹旗「はい、昔の麦野だったら誰が犯人かなんて関係なく、片っ端から文字通り超ぶっとばしていくって感じだったじゃないですか」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 22:53:50.69 ID:OUnJ7fku0
麦野「ああ……、そういうこと」

絹旗「はい」

麦野「意外と冷静だよ、アタシ自身はね」

絹旗「そうなんですか」

麦野「でも、……ダメだなあ」

絹旗「?」

麦野「ああ……ダメだ」

麦野「アタシ一人だけならともかく、浜面も標的にしやがったからな。このクソッタレは……」

麦野「だから」

麦野「だからさ」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 22:54:16.86 ID:OUnJ7fku0





麦野「見つけ次第、ブ・チ・コ・ロ・シ・カ・ク・テ・イね」




113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 22:58:16.07 ID:OUnJ7fku0
とりあえず今日はここまでで、
>>99
フレンダが好きです
アイテムはもーっと好きです
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 23:58:20.30 ID:t+TcKEbV0
乙  略奪愛って麦野に似合う
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 01:05:23.19 ID:ztXlK8kIO
乙でした
浜面が麦野の弱点と考える連中はみんなおんなじ目にあいそうだw
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 07:48:42.70 ID:TPd6vLYJo
乙でした
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 13:39:22.11 ID:p/IdClxIO

ヒロインは浜面
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 20:34:19.13 ID:mU8LgiKK0
つくづく浜面には女難の相が出てるな。
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/31(木) 21:11:43.86 ID:nhmCXa1L0
乙ありです。

今日も亀並のスピードで投下します。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/31(木) 21:15:15.04 ID:nhmCXa1L0
◇ ◇ ◇ ◇


フレメア曰く「はまづら団」

学園都市でも指折りの旧暗部組織・アイテムの新名称にしては随分間抜けなネーミング……というと約一名から非難を受けてしまうだろうか。

フレメア曰く「はまづら団のリーダーはフレメア、下っ端がはまづら、あといっぱい」らしい。

はまづら団というネーミングなのにリーダーじゃなくて下っ端というところが彼の立ち位置という事だそうで。

フレメア曰く「はまづら団のかつどーもくひょーは、大体毎日がにゃあにゃあ!」

にゃあにゃあ即ち楽しけりゃいいだろ的なノリで。

とにかく、そういう事らしい。

フレメア=セイヴェルン、浜面仕上、滝壺理后、麦野沈利、絹旗最愛、黒夜海鳥。

の、六人に加えて

フレメア曰く「あとあと、おねーちゃんとちびすけも!」らしい。

さて、その「はまづら団」の面々は食卓を囲んでカレーに舌鼓を打っていた。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 21:40:53.63 ID:nhmCXa1L0
時刻を同じくして。




上条「はぁ……どうしてこうも上条さんの食卓は慎ましいのでしょうか……」

禁書「慎ましくてもささやかな幸せを謳歌することが大切なんだよ」

上条「そのささやかな幸せを謳歌するために上条さんの財布がどんどん薄くなっていくんですが、その点につきましてはインデックスさんはどうお考えであられるわけで?」

禁書「ご飯が美味しい季節なんだよ! とうまはわたしが餓死してもいいっていうの?!」

上条「どうして……どうして三食+食後のデザートまで食べて飢え死にするんですか?! 矛盾してる!! 絶対矛盾してる!!」

禁書「もー、とうま、お客さんの前でうるさいんだよ。はやく食べないとアップルパイが冷めちゃうかも」

上条「ひ、開き直ったッ?!」

禁書「ね、あたなもおいしいものは好きだよね?」

フロイライン=クロイトゥーネ「……」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 21:42:41.28 ID:nhmCXa1L0
禁書「……?」

フロイライン・クロイトゥーネ「ス、き?」

禁書「うんうん、食べる事は素敵な事なんだよ。ほら、どーぞ」

フロイライン=クロイトゥーネ「……」

禁書「どうかな」

フロイライン=クロイトゥーネ「……」

禁書「……んー?」



フロイライン・クロイトゥーネ「おいしい……」




禁書「ふふふふ。食は文化を超えるんだよ、おいしさの前では皆平等だって思うな」

上条「こら、意味不明な事吹き込んでるんじゃありません」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/31(木) 21:49:45.09 ID:oK38pkB70
更新キテルー!
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 22:00:11.09 ID:nhmCXa1L0
別の場所で。



一方通行「てめェ……俺の唐揚げ勝手にとるンじゃねェっつってんだろ!!!

番外個体「ん? これがあなたの唐揚げっていつ決めたの? 一つの皿に盛ってあるんだからミサカのものでも別によくない?」

一方通行「ケンカ売ってンのか!! それは俺が食べるって決めてたンだよ!!!」

黄泉川「諦めるじゃんよ一方通行、まだおかわりもあるんだし。カリカリすんなじゃん」

一方通行「悪かったなオイ、短気でよォ……」

打ち止め「でもでも、もっと食べて体重をつけてくれないとちょっと心配かもってミサカはミサカはモヤシ体型のあなたの事を心配してみたり」

芳川「あら一方通行、筋トレするなら良いマシーンがあるわよ?」

一方通行「て、てめェら……」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 22:05:06.92 ID:nhmCXa1L0
また別の場所で





白井「まぁお姉さま!! またこんな時間まで外をほっつき歩いて!!」

御坂「ちょ……黒子?!」

白井「たとえ寮監の目は誤魔化せたとしても、この白井黒子の目は誤魔化せないですわよ!」

御坂「あー……はいはい、わかったからそこどいて」

白井「くぅ……この一見すると冷たい態度……身にしみるッ!!」

御坂「はぁ……阿呆かアンタは」

白井「お姉さま! もっと黒子を罵ってくださいまし!!」

御坂「やかましい!!」

白井「ああっ!! 今夜も痺れゆく〜〜〜!!」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 22:06:48.47 ID:AVrwqi6H0
白垣根君は出るのか!?(期待のまなざし)
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 22:24:07.99 ID:nhmCXa1L0
どこかの廃墟ビル。






垣根『ここは見覚えのある場所です』

心理定規「……」

垣根『こんばんは、お嬢さん。こんな夜中に一人歩きですか?』

心理掌握「……違う? いや、……でも」

垣根『あなたは私をご存知なのですか?』

心理定規「……」

垣根『あなたは、私を、ご存知なのですか?』

心理掌握「知らなければ、これから知っていけばいいわ。幸い時間はたっぷりあるんだし」

垣根『そうですね、私もそう思います』




今宵も夜が更けていく。
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 22:30:41.81 ID:nhmCXa1L0
例えばそれは。

今夜の献立がシチューからカレーに変わったこととか。

団員名簿から「はまづら団のマークをしたカブトムシ」の事が抜けていたりだとか。

そういった些細な変化。

本当に気をつけていなければ誰も気にしない何か。

だけども確実に事態は進行していた。

ひっそりと、ひっそりと。
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 22:33:28.98 ID:nhmCXa1L0
色々考えてたら力尽きたので今日はここまでで、
>>117
その発想は無かった
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 22:47:33.63 ID:1bpdpA450
乙です

面白いので次の投下も期待して舞ってる
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 22:52:10.58 ID:nhmCXa1L0
>>130
ひっそり美しい舞いを期待してます
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 01:38:43.18 ID:ZCKJ6Hnm0
>>127では、垣根、食蜂、メジャーハートの三人が一緒にいるということ?
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 10:40:21.87 ID:wB41cUWG0
心理2人が姉妹設定のSS思い出した
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/02(土) 22:30:38.98 ID:QfWjaykR0
翌朝。




絹旗「超おはようございます」

浜面「ん、おはよう」

絹旗「あの……浜面」

浜面「んー、なんだー?」

絹旗「何を超いじってるんですか?」

浜面「見てわからんか」

絹旗「超バカですか? 見てわからないから超質問してるんじゃないですか」

浜面「拳銃」

絹旗「まーた物騒なものを」

浜面「……と、思わせておいて、それっぽいライターを作ってる」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 22:43:19.33 ID:QfWjaykR0
絹旗「タバコでも超吸う気ですか浜面、煙がモクいのは超イヤなんですけれど」

浜面「趣味だ趣味、この前ネットオークションで売りに出したら結構高値が付いたんでな、それの第二弾。なんつーか、趣味と実益?」

絹旗「スキルの使い方、超間違ってますよ」

浜面「いーんだよ、俺が楽しけりゃ」

絹旗「ふーん」

浜面「あんだよ」

絹旗「ところでさっきから超静かですね、今日皆さんは?」

浜面「麦野も黒夜も俺が起きた時にはどっか行っちまってたな、滝壺とフレメアは第六学区で友達と遊ぶってさ」

絹旗「なんだ、私が起きるの超最後だったんですね」

浜面「ここんとこいつも早起きだったのにな」

絹旗「……ところで、朝ごはんは?」

浜面「今日の当番は俺だからな、そこに作りおきしてあるから適当に温めて食べてくれ」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 22:46:37.90 ID:QfWjaykR0
絹旗「超ごちそうさまでした」

浜面「あいよ、食器は水につけといてくれ」

絹旗「……なんていうか、居候の身として言うのも超アレなんですけど」

浜面「ん」

絹旗「すっかり超主夫ですよね、浜面」

浜面「ぶっ?! 誰が主夫だ誰が!!」

絹旗「だって……」

浜面「そりゃあ……資金は麦野とか皆にも色々だしてもらってるけどよ……、一応ここは俺の家なわけでして。家長として色々苦労してるっていうか……その……」

絹旗「女5人も侍らしといて言う事がそれですか、超女々しいですね浜面」

浜面「うるせーやい」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 22:55:10.35 ID:QfWjaykR0
絹旗「はぁ……よく滝壺さんが超怒らなかったですね」

浜面「あいつも面倒見が良いからな、ほっとけないんだろ、そういうとこ」

絹旗「超そんなもんですかね……」

浜面「そんなもんだろ、たぶん」

絹旗「私が彼女だったら二人の愛の巣に別の女が居るだけで超吐き気がしますけどね」

浜面「そいつはB級映画の見過ぎだろ」

絹旗「浜面には超言われたくありませんよ……っと、久々になんもやることないし映画でも見てきましょうかね」

浜面「おー、行ってこい行ってこい」

絹旗「何いってんですか、浜面も超一緒に行くんですよ」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 22:59:50.46 ID:QfWjaykR0
◇ ◇ ◇ ◇


浜面「………………」

絹旗「〜〜♪」

浜面「…………」

絹旗「〜〜〜〜♪」

浜面「……」

絹旗「〜〜〜〜〜〜♪」

浜面「あ、あのさ」

絹旗「はい、超なんですか? 今とっても気分が良いんですけれど」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 23:03:22.10 ID:QfWjaykR0
◇ ◇ ◇ ◇


浜面「………………」

絹旗「〜〜♪」

浜面「…………」

絹旗「〜〜〜〜♪」

浜面「……」

絹旗「〜〜〜〜〜〜♪」

浜面「あ、あのさ」

絹旗「はい、超なんですか? 今とっても気分が良いんですけれど」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 23:14:19.76 ID:QfWjaykR0
浜面「今の映画……、その、なんていうか」

絹旗「超おもしろかったじゃないですか、主人公とヒロインのチョイスとか超渋いですよ」

浜面「は、はあ……?」

絹旗「若いころからクリーンなイメージと人気だけでやってきて、一夜のスキャンダルで全てを失った俳優。山ほどの不倫報道を抱える女優。く〜、低予算映画にありがちな超落ち目のチョイス、超しびれます」

浜面「お前のツボがわからんよ……」

絹旗「それに敵のロボットも超ひどかったですね、あれならまだ90年台のCGロボットの方がまだ超マシなレベルですよ」

浜面「半分くらいの役者、基本棒読みだったな」

絹旗「何言ってんですか、そんなの超気にしてたらB級映画は見れないですよ。ただただ笑いを提供してくれるこの素晴らしい存在に超感謝するべきです」

浜面「さ、さいですか」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 23:17:20.08 ID:QfWjaykR0
────────

────

──


御坂「さて……行くか」

白井「お待ちを!」

御坂「く、黒子?! いつの間に……ひゃあ?!」

白井「ああっ、お姉さま! 今日もお美しやあああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

御坂「ゴ○ブ○かアンタは!」

ごつん。

特大のげんこつが一発、白井の頭にヒットする。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 23:18:37.05 ID:QfWjaykR0
白井「ごほん、今日はどちらまで?」

御坂「どこだって良いでしょう?」

白井「まーたあの殿方のところですか? 昨日も帰りが遅かったのに……はぁ、お姉さまには黒子という存在がありますのに……嘆かわしい……」

御坂「勝手に妄想してんじゃないわよ、なんでわたしがあんなやつのところに」

白井「はて、あんなやつとはどんなやつの事でしょう? 私はただ殿方と言っただけですのに、やはり特定の誰かにお会いになられるわけでッ?!」

御坂「か〜〜〜!! うるさいったらもう!!」

白井「怒ったお姉さまも素敵ですッッ!!」


痺れながらのた打ち回る白井黒子は、

それでも幸せに頬を緩ませるのでした。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 23:40:02.63 ID:QfWjaykR0
御坂「(……ああもうっ、なんでわたしがこんなこと!)」

食蜂操祈。

学園都市に数多く存在する精神系能力者の中でトップに位置する存在。

精神系というと、その多くは人を癒すセラピー的なものに応用利用されているが、

他人の精神に干渉して裏で犯罪に手を染めるものも少なからず居る。

いつも多くの取り巻きに囲まれて派閥争いだの何だのと因縁をつけてくるそいつが、最近なぜかその取り巻きを連れずに行動している事が多い。

精神干渉といっても機械の目までは誤魔化せない様で、その道のプロから「この人御坂さんのお知り合いですよね?」と映像を見せられた時から嫌な予感が御坂の胸中でざわついていた。

御坂「(……しょーじき、コイツが絡んでるとやっかい事が起きるってことしか想像できないのよね)」

白井を適当にあしらいつつ、食蜂の動向を探るべく御坂は部屋を出た。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 23:41:01.53 ID:QfWjaykR0
なぜ御坂は食蜂操祈に固執するのか。

他人が何とどう関わっていようが正直彼女には関係のない話だ。

しかし、自分自身がそうだったように。

他人だからどうでも良いのではなく、世の中にはそこに困っている人がいるからという理由で手を差し伸べるお馬鹿さんが居る事を身に沁みて美琴は理解している。

ただ、美琴はそこまでお人好しには成り切れない。

食蜂操祈がコソコソと何をしているかなんて興味はそれほどない、けれども

そこにもう一人、あの映像に写っていたのが彼女がよく知るツンツン頭の少年とあっては話は別だ。

二人は並んで同じ方向へと消えていった。

御坂「(……ったく、あのバカ……まーたろくでもないもんに関わってるんじゃないでしょうね。……ままままま、まさかででででデート……なんてわけ……ないわよね……)」

ぶんぶんと頭をふる。

そんなわけない、いや、でも、もしかしたら……?

ともかく、それを確かめない事には居ても立ってもいられない、そんな乙女な御坂さんなのでした。
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/02(土) 23:44:44.77 ID:QfWjaykR0
とりあえず今日はここまでで、
>>132
そのへんもまた、追々ということで……
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 01:09:13.28 ID:W1HJmiAIO
おつー
二重投稿がまるでそうは見えない絹旗の楽しみっぷりに癒された
好きな人とは二人っきり〜の映画館に2人でいくとか萌えるね
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/03(日) 01:15:24.22 ID:WeuTgclN0
>>146
毎度の事ながら投下するとなんかひとつやらかしてますね
反省orz
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 09:01:12.49 ID:0EBoc93R0
新約6巻の設定で書かれる長編は初めてなんじゃないか?
というわけで期待&乙。
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 10:28:49.60 ID:6p0NaF1m0
絹旗かわいい
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 22:11:22.01 ID:7DLJbkcG0
トールに写メ見せられてまんまと巻き込まれた時と
同じことになってんぞミコっちゃんw
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/04(月) 00:27:54.68 ID:NHS7YjdR0
◇ ◇ ◇ ◇



麦野「……」


麦野「……」


麦野「……、あのさ」


麦野「尾行してるつもりなんだったらとっくの昔にバレてるから出てきな?」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 00:40:28.48 ID:NHS7YjdR0
黒夜「へェ、いつからバレてたのか参考までに聞かせてもらえると嬉しいなァ」

麦野「んなの家出た時からに決まってんだろがボケ、こちとらこれでも第四位だっつの」

黒夜「ったく、窒素で包ンで足音消すなンて慣れねェ事するもンじゃねェな」

麦野「用事があるなら早くしろ、無いなら無いでさっさと消えな」

黒夜「おいおい……人がせっかく親切心でヒントをやろうってのにさァ」

麦野「は? オマエがアタシに?」

黒夜「浜面仕上はどうせ何も知らないンだろう?」

麦野「あ?」

黒夜「で、アンタは愛する人のために暗躍するべくこンな薄汚れた路地裏に来たわけだ、甲斐甲斐しいねェ」

麦野「今のアタシの気が長い、幸運に思うんだな。だがそれ以上からかうと☓☓☓に☓☓突っ込んでぶっ殺すぞクソガキ」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 00:41:48.50 ID:NHS7YjdR0
黒夜「やれやれ、手厳しいねェ」

麦野「たりめェだ、アタシはオマエを完全に信用したわけじゃない。浜面が連れてきたから仕方なく一緒に生活してやってるってだけの話だ」

黒夜「まァどうでもいいけどよォ、それよりも……匂わねェか?」

麦野「……クセえ、クセえと思ってたところだ」

黒夜「ひっはは。そうじゃなきゃ困る、原子崩し。新入生代表として先輩のカンが鈍ってなかった事を喜びに感じてるよ」

麦野「一つ確認するがオマエ、この件に絡んでいるのか?」

黒夜「イエス、と言ったら?」

麦野「ヤクがお望みならあの世まで飛んでいける素敵な自白剤を使う、オマエがドMだってんならその体に聞いてみるまでだ」

黒夜「素敵なお誘いだが今回はノータッチだァ、第四位が身内に居てるこの状況でコトを企てようなンざ考えもしないね」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 00:43:20.09 ID:NHS7YjdR0
麦野「……チッ」

黒夜「ところでさァ」

麦野「あァ?」

黒夜「私は別に三番目でも構わないからよォ」

麦野「いきなり何を」

黒夜「一番目は滝壺理后」

麦野「……?」

黒夜「だから、三番目でいいって話」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 00:46:46.96 ID:NHS7YjdR0
麦野「ああウゼェ、わっざわざ尾行までして言うことがそれか?」

黒夜「私が何をしようと私の勝手だ」

麦野「ああオマエの勝手だ。だから関係ない……とでも言うと思ったかクソッタレ。そもそも、あいつに手をあげておいてなんでオマエは勝手に許されてんだ? どうして当然の様に浜面の横に居る?」

黒夜「知らねェよ、あのお人好しの考えることは私の想像の外にある。それに、浜面に手をあげたってンならオマエも同罪だろォが、第四位」

麦野「オマエなんざ比でもねぇんだよ」

黒夜「ひっはは、言ってろ」

麦野「だいたい三番目って何だ、絹旗とアタシより後からやってきたくせに順番がおかしいだろ」

黒夜「はァ? おいおい……、原子崩しにはお似合いの順番じゃねえか。なァ第四位?」

麦野「……どういう意味だ」
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 00:48:30.36 ID:NHS7YjdR0
黒夜「浜面は今、絹旗ちゃンとデート中だそうだ。あれ? もしかして自分が二番目で絹旗ちゃンが三番目とでも思ってた? ひっはは、そもそもオマエが二番目なんて事はありえねェ話なンだよ年増サン?」


ぶちん。


麦野「てめっ……、コロス!!」

黒夜「私に手を上げるのはいいがよォ、浜面は何て言うかなァ?」

麦野「……くっ」

黒夜「ひっはは。そうだ、一つ言っとくがよォ」

麦野「……?」

黒夜「あいつと一夜を過ごしたのがアンタだけ、なんて思わないこった」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/04(月) 00:49:15.21 ID:gvrf1VFIO
この黒夜すげぇ心臓の持ち主だわw
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/04(月) 00:50:27.46 ID:gvrf1VFIO
いや、黒夜じゃない可能性もあるか
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 00:51:39.02 ID:NHS7YjdR0
とりあえず今日はここまでで、
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/04(月) 01:03:28.62 ID:SI3ycliwo


フレメア「私はだいたい四番目にゃあ!」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/04(月) 02:00:36.02 ID:xI1uVPjQ0
ロマンスなんて言葉久しぶりに聞いたな乙
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 14:36:42.31 ID:wqoKvh6d0
なにこの浜面ハーレム。
お願いですからもげてください。
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 21:42:58.56 ID:NHS7YjdR0
音もなく、

黒夜海鳥が立っていたすぐ横のコンクリート壁が溶けて消える。

焦げ臭い煙を上げつつ、ぱっくりと開いた口からは廃墟内部が露出していた。

一体どんな手品を使ったのか、などと今更言うまい。

学園都市に七人しか居ない超能力者のうちの第四位──原子崩し──その力が振るわれたのだ。

さっきの返答の代わりとしてはいささか大きすぎるだろうか。

煙が晴れるのを待つまでもなく麦野は二の矢、三の矢を放つ。

無言で、

無言で。

ただ、放つ。

真顔で、

無表情で。

ただ、放つ。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 21:45:08.45 ID:NHS7YjdR0
ひとつ。

ふたつ。

みっつ。

よっつ。

いつつ。

むっつ。

ななつ。

やっつ。

ここのつ。

十を数える直前、ふと手が止まる。

煙が晴れた向こうには、すでに影も形も無くなっていた。

麦野「……ちっ、逃げ足の早いやつ」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/04(月) 21:49:51.85 ID:NHS7YjdR0
まぁいい。

ちょうど今からそこに入ろうとしていたのだ、軽くドアをノックしたと思えば。

コツン。

コツン。

コツン。

コツン。

ヒールが地面を叩く音が反響する。

麦野「……私が四番目だ?」

麦野の右目には黒夜海鳥の勝ち誇った様な笑みが再生される。

全てを記憶したその瞳に映るのは、

麦野「クックック……あはは、ハッハハハハハハハ!!!!!」

麦野「バカを言ってくれる」

麦野「ハハッ、クククク……」

麦野「笑いを提供してくれてありがとう、黒夜海鳥。今なら絹旗のB級映画趣味も少しは理解できそうだ」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 21:58:46.55 ID:NHS7YjdR0
────────

────

──



ズウゥゥゥン……。

先ほどから数回、地鳴りのような音が時折響いてきた。

御坂「こんなときに地震……?」

にしては局地的すぎるか、と分析して目の前の事に集中する。

目下の目標はツンツン頭の少年こと上条当麻の動向を探る事。

ストーカーまがいの尾行を繰り返しているうちにこんな廃墟ビルが並ぶ学区の端までやってきてしまっていた。

御坂「(それにしても、こんな場所に一体何の用が……?)」

疑問は尽きない。

そもそも。

あのバカ! わたしという存在がありながら別の女とキャッキャウフフでよろしくやってるってどうなのよ!

と大声で叫んで電撃の一発でも浴びせてやりたい衝動を必死に抑える。
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 22:52:35.95 ID:NHS7YjdR0
ひとつ。

ふたつ。

みっつ角を曲がってまた真っ直ぐ。

迷路のような通路を上条当麻と食蜂操祈は歩いて行く。

御坂は超電磁砲のスキルをフル活用し、一定の距離を保っていた。

時折二人の距離が近づいたり、親しげに話し合っている様子を見てはイラっとして壁を殴りたい衝動に駆られてしまう。

御坂「(なにイチャついてんのよ……!!)」

しかし、我慢ガマン。
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 22:54:58.81 ID:NHS7YjdR0
それにしても、随分と奥まで来たものだ。

御坂「(一体どこまで……?)」

ふと気がつけば広いホールの様な場所に出ていた。

いや……、これは……

御坂「(ひょっとして、誘い込まれた?)」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 23:07:15.96 ID:NHS7YjdR0
麦野「あーあーあーあーあー、クセエクセエと思ったら道理でクセエ訳だよ」

御坂「っ?!」

暗闇からの声に反応して振り返る。

おかしい、それまで気配をまるで感じなかったのに

御坂「(なんで……? まさか、嵌められた?!)」

麦野「こんなところにションベンくせぇガキが居やがった、あークセェクセェ。ガキはさっさと家に帰ってママのオッパイでも吸ってろ」

薄く笑う麦野に身構える御坂。

御坂「人の事をガキガキって……わたしはもう立派に中学生だ!!」

麦野「あ? ……んー? どっかで見た顔と思ったらオマエ、第三位だな?」

御坂「(こいつ……、あの時の……!)」

あの時御坂はとある研究施設でこの原子崩しの脅威に晒された。

冷静さを欠いていたのもあるし、連日連夜の疲れが蓄積していた事もあるかもしれないけれど、

とにかく、この能力者を前に美琴は逃げる事を強いられたのだった。

そして、なんの因果か己の前に再び立ちはだかるのか、この原子崩しの壁が。

ギリっ、奥歯に力がこもる。
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 23:14:15.93 ID:NHS7YjdR0
反面、麦野はゆるく髪をかきあげながら、

麦野「っかしいなー、アタシの見立てじゃオマエじゃなくて第五位が居るはずなんだけど……ま、いいや」

御坂「っ?! いま第五位ッツった?! あなた一体何を知ってるのよ! ここは何? 第五位はどこ?! あんたの目的は?!!」

まくし立てる。

原子崩しがこの件に関係しているか、核心に近い何かを知っている事は間違いない。

ならば聞き出すまで、知っている事の全てを。

麦野「キャンキャンうるさいガキだな……んな叫ばなくたって聞こえてるっての」

御坂「コトと次第によっちゃ……痛い目見てもらうから」

麦野「吠えるじゃねえか、ガキのくせに」

御坂「うるさい、ガキは余計だ」

麦野「いつまでも吠えてないでさっさとかかってこい。こっちはオマエにカリがあんだよ、たっかいたっかいカリがな」

御坂「……、こっちはこっちで聞きたいことが山ほどあんのよ。知ってる事全部吐いてもらうんだから」


超能力者同士が交差する時、物語は始まる。
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/04(月) 23:16:05.46 ID:NHS7YjdR0
始まるとか書いときながら今日はここまでで、
>>160
フレメアさんマジ天使
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/05(火) 00:19:36.68 ID:Db544Job0
乙です
美琴さん大丈夫だろうか
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/05(火) 00:54:16.75 ID:DSzxo/oY0
乙乙

あれだぞ黒夜、ハーレムに序列付けると大変な事になるんだぞ
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/05(火) 01:13:28.39 ID:0zzwUvLIO
おつー
新妻vs団地妻ファイ!
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/05(火) 08:39:10.61 ID:MYkBaLq7o
乙でした
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/05(火) 20:59:27.04 ID:5+jmRShG0
むぎのんもみこっちゃんもかわええのお。
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/06(水) 21:37:45.34 ID:v8OEigIZ0
────────

────

──


絹旗「ところで浜面」

浜面「ん」

絹旗「昨日の夜は一体どこで何をしてたんですか?」

浜面「何言ってんだ、昨日は家でガンライターいじってただろ?」

絹旗「………………………………………………………………」

浜面「どうした? 黙りこんで」

絹旗「いえ。……じゃあ、超例えばの話をしますけど」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/06(水) 21:44:12.26 ID:v8OEigIZ0
浜面「あん?」

絹旗「例えば、麦野とふたりきりで一緒に一晩を過ごしたとして、浜面は超どうしますか?」

浜面「ぶは?! なんて事聞きやがるんだお前は!」

絹旗「いいから、超教えてくださいよ」

浜面「だいたいだな……俺には滝壺という存在がだな……」

浜面「……で、あるからして……」

浜面「その……あのだな……」

絹旗「ハッキリしないですね、やっぱり浜面は超浜面です」

浜面「だいたい仮定からしておかしいだろ、なんで麦野とふたりきりで一晩よろしくやってるんだよ。どんな状況だそれ」

絹旗「………………………………………………………………」

浜面「だから黙るなってそこで、どうリアクションしたらいいかわかんねーだろーが」
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/06(水) 21:56:07.03 ID:v8OEigIZ0
絹旗「ほら、さっきの映画でも似たようなシーンあったじゃないですか」

浜面「ああ……あったな、そういえば」

絹旗「ピンク色の妄想がひょんな事から現実になってしまって超尻込みしている間に、結局朝になっちゃうっていう超阿呆な男ですよね」

浜面「ははは……なぜか他人ごとには思えない……」

絹旗「この際滝壺さんの事は一旦忘れて、超考えてみてくださいよ」

浜面「忘れられっかよ、滝壺は俺が守ると決めたんだ」

絹旗「………………………………………………………………それは忘れないんですね」

浜面「だからさっきから何を」

絹旗「いやー。ほら、据え膳食わぬは超なんとやらって言うじゃないですか」

浜面「そんな言葉どこで覚えてくるんですか絹旗さんッ?!」

絹旗「いいからッ!!!! いい加減、思い出してくださいよッッ!!!!!!」
 
浜面「っ……、絹旗?」
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/06(水) 22:03:00.29 ID:v8OEigIZ0
絹旗「私は、私はですね。浜面」

浜面「なんだ、よ」

絹旗「私には、わかるんですよ。そんな一夜に命をかける女の気持ちが」

浜面「……?」

絹旗「あるんですよ」

絹旗「男が簡単に忘れてしまう夜でも、女にとっては一生モノなんですよ」

絹旗「男には浪漫があるように、女にもね、あるんですよ」

絹旗「ロマンスってやつが」
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 22:03:29.01 ID:Jg0jEJSIO
なんや浜面おまえ絹旗にも手を出したんか!
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 22:10:22.52 ID:bNd1+8cQo
フレメアも時間の問題だな
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/06(水) 22:11:35.62 ID:v8OEigIZ0
──ザアァァァアア。

晩秋に差し掛かろうとする季節。

並木通りの風に揺られて木の葉たちが踊る。



ひっそりと。

それは徐々に記憶を蝕んでいく。

ひっそりと。

だけども確実に。
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/06(水) 22:31:46.51 ID:v8OEigIZ0
絹旗「……植物の香りなら、私には超効きませんよ」

心理掌握「あらぁ? どうしてなのかしら?」

絹旗「あなたに教えてやる義理がどこに超あるっていうんですか?」

心理掌握「ふふっ。それよりさっきのロマンスって言葉、私もあると思うなぁ〜素敵な言葉よねぇ。そこで寝てる男の子にも覚えてて欲しいわねぇ」

絹旗「どういうつもりか超知りませんが、私超怒ってますから」

心理掌握「こっわ〜い」

絹旗「浜面から奪ったもの、……返して貰いますよ」

心理掌握「さ〜ぁ? なんのことだかわっかんな〜い、あはっ」

絹旗「だったらその体に、直接超聞いてみるまでですッ!!」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/06(水) 22:34:37.02 ID:v8OEigIZ0
とりあえずここまでで、
>>174
新妻VS団地妻とか嫌な予感しかしない……恐ろしい
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 22:37:10.11 ID:Jg0jEJSIO
乙ー
浜面から奪ったもの……フレンダとの記憶か……
くそっ、心理掌握なんてやつだ!
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/08(金) 00:21:40.47 ID:CfD3TiDIO
やつはとんでもない物を盗んでいきました……貴方の心です……
うん、ぜんぜんロマンスじゃないねw
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/08(金) 21:46:40.97 ID:k9zE3rlP0
第二次暗部抗争が勃発しそうな雰囲気だな。
原因は痴情のもつれ。
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 00:46:07.19 ID:AtkgN0eIO
まだかな
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 01:00:58.27 ID:qHY42LIIO
まだだよ
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/19(火) 01:12:11.89 ID:MlKqR3Kl0
まだなのかな
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/20(水) 01:41:34.25 ID:sWUgtAHIO
まだこないね
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 00:00:09.44 ID:gKXzMgm+o
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 16:30:06.89 ID:M7HnRRcAo
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/20(水) 16:00:02.62 ID:C024TmXcO
待ってる
79.92 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)