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【改訂版】箒「もしも一夏が、私にぞっこんだったら!」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:10:06.31 ID:HuCDVKv10
その日は、夜風が気持ち良かった。
やっとムシムシした空気が無くなり、心地よい気候に移りつつある。
私は、部活動の後、虫の音を聞きながら月を愛でようと、IS学園の裏にある
雑木林奥の丘を目指した。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1368882606
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
もしもワンピースがアラバスタ編で完結してたら @ 2025/04/10(木) 04:05:42.93 ID:0BTpsf2AO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1744225542/
機動戦士Necoジークアクス @ 2025/04/09(水) 21:12:34.78 ID:7+Ev+rnRO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1744200754/
捨て猫 @ 2025/04/09(水) 18:03:41.50 ID:qlT5qs1WO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1744189421/
【シャニマス】ベジータ「ア、アルストロメリアだと………!」【ドラゴンボール】 @ 2025/04/08(火) 21:21:00.94 ID:ch+GxRTZo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1744114860/
どけ、馬鹿ども @ 2025/04/08(火) 17:50:19.05 ID:ZpOcDfR4O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1744102218/
=^・ω・^= ぬこ神社 Part127《ぬこみくじ・猫育成ゲーム》 @ 2025/04/08(火) 15:05:35.64 ID:ORnLfiWxO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1744092335/
”巨大”とは感動である @ 2025/04/08(火) 01:19:24.07 ID:lXIr96Fs0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1744042763/
イキスギ龍戦隊 トコロテンリュウチャーン @ 2025/04/07(月) 23:14:15.12 ID:Wirs8NLuo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1744035254/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:11:12.96 ID:HuCDVKv10
箒「……?」
箒「なんだこれは?」
箒「…………」
箒「……どう見ても電話ボックスだが」
箒「何故、こんな所に?」
箒「…………」
箒「……そういえば幼い頃見ていたアニメに、こんな道具があったな」 クスッ
キィ…… パタン ……ガチャ
箒「もしも一夏が、私にぞっこんだったら!」
箒「……なんてn」
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリンッ!!
箒「……!?」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:11:44.85 ID:HuCDVKv10
バッ…… バタンッ!!
箒「くっ……なんなんだ!?」
箒「………………」
箒「…………」
箒「……帰るか」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:12:28.94 ID:HuCDVKv10
――翌日・休日の早朝――
――IS学園寮・箒の部屋――
コン コン
一夏「箒、起きてるか?」
箒「……!? 一夏か?」
箒「なんだ? こんな朝早く?」
一夏「……? 何って……朝稽古する約束していただろう?」
箒「それは……そうだが」
箒「お前は、休日の朝稽古には乗り気じゃなかったじゃないか……」
一夏「……? 何言ってるんだよ」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:13:00.69 ID:HuCDVKv10
一夏「お前との大切な、二人の時間をないがしろにするわけ無いだろ?」
箒「!!??」 ///
箒「なっ、何を言ってるんだ! 朝っぱらから!」 ///
一夏(……? 箒……今日は、元気がいいな?)
一夏「悪い、起きているのならいいんだ。 先に道場に行ってるからな」
箒「あ、ああ……」 ///
箒「…………」 ///
箒(い、いったい、どうしたんだ? 一夏の奴……) ///
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:13:54.40 ID:HuCDVKv10
――IS学園・道場――
パンッ! パパンッ! パンッ!
箒「はあっ!」 パシンッ!!
一夏「ぐうっ!」
スルッ……バッ(面をとった音)
箒「……まだまだ、脇が甘いぞ、一夏?」 フフン
一夏「!?」
一夏(今、笑った……!?)
箒「? どうした? 一夏?」
一夏「! い、いや、何でもない……」
箒「?」
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:14:37.05 ID:HuCDVKv10
一夏「……箒」
箒「なんだ?」
一夏「そ、その……何か、いい事でもあったのか?」
箒「……? いや、特にないが?」
一夏「そ、そうか……」
箒「……?」
一夏(……どういう事だろう?)
一夏(アレ以来……笑顔を見せた事なんて、一度も無かったのに……)
一夏(………………)
一夏(強いて言うなら……付き合い始めた頃の箒みたいだ)
一夏(………………)
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:15:17.08 ID:HuCDVKv10
一夏「……箒、そういえばこの後、予定はあるか?」
箒「普通に部活動だが?」
一夏(……!? 部活動!?)
一夏(…………)
一夏(やっぱり……おかしい)
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:16:35.31 ID:HuCDVKv10
箒「一夏?」
一夏「……ああ、すまん」
一夏「もしヒマなら……デートでもどうかと思ってな」
箒「…………」
箒「はあっ!?」 ///
一夏「……ほ、箒?」
箒「い、今、何と言ったのだ!? デートと言ったか!?」 ///
一夏「お、おう……」
箒「デ、デートというのは、あ、あれか? こ、恋人同士がするアレの事か!?」 ///
箒「実は出・糸でした! なんてオチじゃないのか!?」 ///
一夏「……なんだよ、その意味不明なオチは? というか、それ以外の何があるんだよ?」
箒「…………」 ///
一夏「……? 箒……さん?」
箒「…………行く」 ///
箒「絶対、行く!!」 ///
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:17:15.58 ID:HuCDVKv10
――午前中――
――ショッピングモール――
箒「…………」 ///
一夏「……箒?」
箒「な、なんでもない……」 ///
箒(……いったい、何なんだ? わ、私は緊張で い、今にも押し潰れそうなのに) ///
箒(一夏め……ずい分と、慣れている感じじゃないか……) ///
一夏(こりゃ、いよいよもって、初めの頃の箒だな) クス
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:17:46.22 ID:HuCDVKv10
一夏「さて、どこに行こうか?」
箒「そ、そうだな……」 ///
箒「…………」 ウ~ン……///
箒「と、とりあえず、服が、み、見たいかな……」 ///
一夏「よし、服な」
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:18:31.22 ID:HuCDVKv10
――ショッピングモール・洋服売り場――
一夏「箒、これなんて似合いそうじゃないか?」
箒「私は、丈の長いスカートは好きじゃない……」
一夏「……あ、そうだったな。 動きにくいから駄目なんだっけ……」
箒「……?」
箒(あれ? どうして……その事を知っている?)
箒(無意識に話していた……か?)
箒(……まあいいか)
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:19:10.92 ID:HuCDVKv10
箒「一夏、これとこれ、どっちが良さそうだ?」
一夏「そうだな……そっちの空色のブラウスかな?」
箒「ほう……こっちの緑のトレーナーは、似合わないか?」
一夏「いや、そんな事は無いと思う。 強いて言えば、ってだけだから」 ニコ
箒「そ、そうか……」 ///
一夏「両方とも試着してみろよ。 俺が見てやるから」 ニコ
箒「う、うむ。 そ、それじゃあ……」 ///
シャッ…… ゴソゴソ…… シャッ……
箒「……どうだ?」 ///
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:20:00.42 ID:HuCDVKv10
一夏「うん、ブラウス、いい感じだ」
箒「うん、私も良いと思う」 ///
箒「よし、着替える、ちょっと待っててくれ……」
シャッ…… ゴソゴソ…… シャッ……
箒「今度は、どうだ?」
一夏「おう、似合ってるぞ。 でも、やっぱり俺は、ブラウスの方が好きかな」
箒「そうか……」
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:21:03.71 ID:HuCDVKv10
箒(私は……こっちの方が好きなんだけどな)
一夏「箒は、トレーナーの方が 気に入ってるのか?」
箒「えっ?」
一夏「あくまで俺の意見だから。 それにさっきも言ったけど」
一夏「強いて言えば、ってだけだし。 両方とも良く似合ってるぞ?」 ニコ
箒「そ、そうか……」 ///
箒(ど、どうするかな) ///
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:21:56.14 ID:HuCDVKv10
一夏「結局、両方買ったのか」
箒「ああ、こういうのは一期一会だからな……」
箒「せっかく気に入ったのだし、思い切った」 クス
一夏「良いと思うぞ」 クス
アハハ……
一夏「さて、少し早いけど、昼にするか?」
箒「うむ、そうだな」
一夏「どこで、何を食うかな……?」
箒「ふむ……うどんは、どうだろう?」
一夏「そうだな、軽いものがいいな」
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:22:39.00 ID:HuCDVKv10
――昼前――
――ショッピングモール内レストラン――
箒「天ぷらうどんを」
一夏「俺は、かき揚げの天ぷらうどんを」
カシコマリマシター
箒「今日は……ありがとうな、一夏」
一夏「ふふ、どういたしまして」 クス
一夏「俺も箒が喜んでくれて……うれしいよ」 ニコ
箒「……っ」 ドキ///
箒「…………」 ///
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:23:20.30 ID:HuCDVKv10
箒(……なんだろう) ///
箒(本当に付き合っているみたいだ……) ///
箒(…………) ///
箒(……あ)
箒(もしかして、あの電話ボックス!?)
箒(ほ、本物だったのか……!?)
箒(…………)
箒(じゃあ……この一夏は)
箒(私に……ぞっこん、なの……か?) ///
箒(…………) ///
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:23:58.16 ID:HuCDVKv10
箒「……なあ、一夏」
一夏「ん?」
箒「その……私達は、つ、付き合っているんだよな?」
一夏(……!)
一夏「ああ、もちろん」 ニコ
箒「そ……そうだよな、う、うん」 ///
箒(や、やっぱり!) ///
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:24:26.06 ID:HuCDVKv10
一夏(……箒)
一夏(もしかして……)
一夏(記憶を無くした!?)
一夏(…………)
一夏(……だとしたら)
一夏(その方が……箒の為かもしれない)
一夏(…………)
一夏(とにかく、今は様子を見よう……)
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:25:09.04 ID:HuCDVKv10
アリガトウ ゴザイマシター
箒「うむ、美味かった」
一夏「ああ、一心地ついたな」
一夏「箒、この後はどうする? 映画でも見るか?」
箒「う、うむ。 それで構わないぞ?」
一夏「よし、シネコンに行こう」
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:26:00.90 ID:HuCDVKv10
――シネマ・コンプレックス――
一夏「どれどれ……アクション物に、ヒューマンドラマ……」
一夏「戦争物に、恋愛物……どれにする?」
箒「一夏に任せる。 ……私は、そういう物に疎いから」
箒「私が見ても 楽しめそうな映画を選んでくれないか?」
一夏「そうか……それじゃあ……」
一夏「これにするかな」
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:26:55.24 ID:HuCDVKv10
―――――――――――
箒「アクション物か」
一夏「おう、面白いって評判だ」
箒「ふふ、楽しみだな」
一夏「ああ」
一夏(…………)
一夏(やっぱり、覚えてないんだな……)
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:27:27.25 ID:HuCDVKv10
ソンナ……ボクニ、ボクニ! ナニガ デキルッテ、イウンダヨ!!
オマエハエラバレタ……ソレヲウケイレロ!!
箒「…………」
一夏「…………」
イヤダ……イヤダ! ドウシテ、ボクバカリ コンナメニ!
サイノウガアルカラダ! オオクノニンゲンハ、ソレヲノゾミナガラ
サワルコトスラ ユルサレナイ! ソレハ、オウノシカクナノダ!!
箒「…………」
一夏「…………」
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:28:05.86 ID:HuCDVKv10
オネガイ……イキテ…………。 アタシノ……ゼンブ、アゲルカラ……
……ドウシテ…………ドウシテ、コンナコトニ!
ゴメン……ボクガ……ボクガ、マチガッテタ……
箒「…………」 グスッ…
一夏「…………」
ボクガ、ゼンブアツメル。 ニクシミモ、カナシミモ、ナニモカモ!
ボクガ、オウニナル!!
箒「…………」
一夏「…………」
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:28:51.57 ID:HuCDVKv10
イヤダ! モウボクハ、アキラメナイ! カノウセイガナンダ!
ウオオオオオオオオオッ!!
箒「…………」 ハラハラ
一夏「…………」
コレデ……イインダヨネ。 コレガ、キミノノゾンダ
セカイ ナンダカラ……
箒「…………」
一夏「…………」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:29:34.76 ID:HuCDVKv10
箒「なんだ! あの主人公は!」 プンプン!
一夏「ハハハ……」
箒「ヘタレで意気地なしで……なすがまま行動していたくせに」
箒「ここぞという時に、徹底して逃げ出してばかりいた!」
箒「ここまで腹の立つ主人公は、初めてだ!」 プンプン!
一夏「最後は、頑張っていたじゃないか」
箒「むっ……確かにそうだが……」
箒「それにしたって幼馴染の扱いが、あんまりじゃないか!」 プンプン!
箒「主人公の気持ちを知りながら、健気に尽くしていたのに……」
箒「あんな最後は、酷すぎる!」 プンプン!
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:30:20.09 ID:HuCDVKv10
一夏「ああ、それについては反論できないな」
一夏「生き延びて欲しかったキャラが、全部死んでしまったし……」
箒「まったくだ!」
箒「生き延びたのはビッチに、裏切り者に……」
箒「とにかく、主人公を利用したか、ひどい目に合わせた連中ばかりだ!」 プンプン!
一夏「いくら主人公が覚醒して、心が広くなったと言っても」
一夏「あれは寛容になりすぎだよな……」
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:30:55.90 ID:HuCDVKv10
箒「まったく……どうしてくれるんだ、一夏!」
箒「私は、気分が悪くなったぞ!」 イライラ
一夏「ハハ……すまん。 評判なんて当てにならないな」
一夏「じゃあ……体を動かして、うさを晴らすか?」
箒「ふむ……それには賛成だ」
一夏「よし、ボウリングなんてどうだろう?」
箒「うむ! いいぞ!」
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:31:45.96 ID:HuCDVKv10
――午後――
――ショッピングモール内・ボウリング場――
ゴロ ゴロ ゴロ ゴロ…… ガッコーン!
一夏「くあっ! 取り切れなかったか……!」
箒「惜しかったな」 クスッ
一夏「これで150にも届かないな……」
箒「なかなかの成績じゃないか」
一夏「箒は、180オーバー確定だろ……」
箒「ふふん♪」
一夏「くっ……!」
一夏「箒! もう一回! もう一回、勝負だ!」
箒「ああ、構わんぞ?」 クスッ
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:32:19.92 ID:HuCDVKv10
箒「では……」 スッ…
一夏「箒!」
箒「? なんだ?」
一夏「愛してる……」 キリッ☆
箒「!!?」 ドキッ///
箒「なななな、何を、突然!?」 ///
一夏「ほら、早く、投げろよ?」
箒「くっ……!」 ///
箒「……ふんっ!」 ゴロ ゴロ ゴロ ゴロ…
箒「ああ……」 ガター…
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:32:49.94 ID:HuCDVKv10
箒「一夏! 貴様、ずるいぞ!」 ///
一夏「なんでだよ?」 クスクス
箒「! あ、あんな事を、こ、公衆の面前で言うなんて!」 ///
一夏「おう、それはすまなかった」
一夏「ぜひ、仕返ししてくれ?」 ニコ
箒「!?」 ///
箒「くっ……よ、よし、やってやる!」 ///
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:33:46.97 ID:HuCDVKv10
一夏(……ふふふ、できるかな?)
一夏「…………」 スッ…
箒「! ……あ、あいっ……あいし……」 シドロ モドロッ///
一夏「……!?」 ゴロ ゴロ ゴロ ゴロ…
一夏「あ……」 ガター…
箒「!」
箒「そら! 見たことか!」 フフン!
一夏「…………」
一夏(顔を真っ赤にして必死な箒……可愛いすぎる) ///
一夏(反則だろ、こんなの……) ///
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:34:38.39 ID:HuCDVKv10
―――――――――――
箒「どうだ! 三戦全勝!」 ドヤ!
一夏「……負けました。 完敗です……」 クスン…
一夏「おまけに肩は、痛いし……」 シクシク…
箒「情けない……普段から鍛えていないからだ」
一夏「ごもっともでございます……」
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:35:16.99 ID:HuCDVKv10
箒「……もう、夕方か。 日が落ちるのが早くなって来たな」
一夏「そうだな」
一夏「…………」
一夏「箒、良かったら……少し歩かないか?」
箒「……!」
箒「……う、うむ、構わないぞ、私は」 ///
一夏「そうか……」 クスッ
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:35:55.86 ID:HuCDVKv10
――ひとけのない公園――
一夏「おっ、ベンチがある。 座ろうぜ?」
箒「……あ、ああ」 ///
箒(こ、こ、これは! も……もしかして……) ///
箒(ふ、雰囲気もあるし、や、やっぱり……) ///
箒(こ、心の準備がっ……!) ///
一夏「……箒?」
箒「!? ……す、すまない。 ……なんでもない」 ソソクサ……ストン///
一夏「…………」
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:36:39.64 ID:HuCDVKv10
一夏「箒、今日は、ありがとうな」
箒「い、いや……こっちこそ。 私も楽しかった」 ///
一夏「映画は、ミスったけどな……」 クスッ…
箒「…………」
箒「ふふ……確かに」 クスッ
一夏「…………」
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:37:07.93 ID:HuCDVKv10
……言葉は、無かった。
私の右隣に座る一夏は、私の肩に手をやり、そっと自分の方へ抱き寄せる。
手馴れている感じがした。
私の緊張は、限界を突破していて……ブルブルと無様に体を震わせていた。
そんな私を察してか、一夏は急がなかった。
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:37:37.62 ID:HuCDVKv10
一夏の肩に頭を載せ……私は、どこともなく虚空を眺めていた。
一夏の呼吸音が聞こえる。 一夏の体温を感じる。 一夏の匂いがする……。
私は……いつしか、安心していた。
ころあい、と見たのか。 一夏が、私の名を呼んだ。
私は……ゆっくりと一夏の方へ顔を向けると、彼の顔を見ながら
静かに目を閉じた。
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:38:36.79 ID:HuCDVKv10
……それは、聞いていたのとは、少し違っていると思った。
「甘酸っぱい味」なんてものじゃない。
もっと……優しくて、体中が溶けそうになる様な……そんな「感覚」しかない。
適当な言葉が、思いつかない。
一夏の感情すら、そこから流れてくるような気がした……。
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:39:13.90 ID:HuCDVKv10
箒「…………」 ///
一夏「…………」 ///
箒「…………」 ///
一夏「…………箒」 ///
箒「…………」 ///
一夏「……箒?」
箒「!? ……な、なんだ?」 ///
一夏「大丈夫か?」 クスッ
箒「う、うむ。 こ、これぐらいなんでもない」 ///
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:39:59.96 ID:HuCDVKv10
一夏「…………」
一夏「箒、聞きたい事があるんだけど……」
箒「? なんだ?」
一夏「違っていたら謝るけど」
一夏「もしかしたら……記憶を無くしているんじゃないのか?」
箒「!?」
箒「…………どうして、そう思う?」
一夏「今日の箒、いつもと違っていたからな……」
一夏「確信したのは、一度見た映画を何の疑問もなく見た時」
箒「…………」
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:40:38.34 ID:HuCDVKv10
箒(私は、記憶を無くしたわけではないが……)
箒(私の事情を説明するのも手間だな)
箒(…………)
箒(よし、ここは話を合わせよう)
箒「……そうか。 バレていたのか」
箒「私は、相変わらず隠し事が下手だな……」
一夏「ふふ、言えてる」
一夏「今のキスも、初めて、と言ってる様だったしな」 クス
箒「なっ!?」 ///
一夏「ハハハ……」
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:41:17.47 ID:HuCDVKv10
一夏「まあ、冗談はこれくらいにして、だな」
一夏「……箒」
箒「うん?」
一夏「無くした記憶を、取り戻したいと思うか?」
箒「……?」
箒「それは……そうだろう? 普通」
一夏「…………」
一夏「………だよな」
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:41:47.01 ID:HuCDVKv10
一夏「でもな……箒。 あえて言う」
一夏「止めておくんだ……」
箒「!?」
箒「……なぜだ?」
一夏「…………」
一夏「お前にとって……辛い事だからだ」
箒「…………」
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:42:17.11 ID:HuCDVKv10
一夏「きっと……」
一夏「これから先、疑問に思う事がたくさんあるだろう」
一夏「誰かが居ないとか、ここが違う、とかな……」
一夏「でも、それらすべてを無視するんだ」
一夏「…………」
一夏「頼む……」
箒「………………」
箒(いったい……何があったんだ?)
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:45:50.22 ID:HuCDVKv10
――翌日の朝――
――IS学園・1組教室――
箒「……………………」
箒(居ない……)
箒(セシリアが、ラウラが、シャルロットが……)
箒(…………)
箒(しかし……シャルロットの席には人が居るが)
箒(セシリアとラウラの席は、空席のまま……)
箒(…………)
箒(一夏の話し方から推測すると……)
箒(…………嫌な予感しかしない)
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:46:33.54 ID:HuCDVKv10
――昼休み――
――食堂――
箒「…………」 モグモグ…
箒(気のせいか……)
箒(クラスの皆も 私に対して、よそよそしい感じがした)
箒(…………)
箒(……私は、何かしたのだろうか)
一夏「……箒」
箒「……!」
箒「一夏……」
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:47:42.86 ID:HuCDVKv10
一夏「…………」
一夏「つ、次の授業、なんだっけ?」
箒「…………」
箒「……現国だ、一夏」
箒「それに、私は大丈夫だ。 心配するな」 ニコ
一夏「そ、そうか……」
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:48:28.07 ID:HuCDVKv10
――数日後・放課後――
――IS学園・図書室――
箒(………………)
箒(……とは言うものの、やはり気になる)
箒(一夏は、あから様に話題をそらそうとするし……)
箒(合同授業の際に分かったが)
箒(鈴と千冬さんまで居ないなんて……)
箒(………………)
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:49:26.79 ID:HuCDVKv10
箒(図書室の端末からなら……行けるだろうか?) ピピ……ピ……ピ……ピ……
箒(…………) ピ……ピ……ピピ……ピ
箒(……!!)
箒(アクセスできた……!)
箒(……全学園生徒の名簿!)
箒()
箒(抹消!?)
箒(…………)
箒(全員……在籍を抹消されている)
箒(…………)
箒(一夏……)
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:50:28.33 ID:HuCDVKv10
――夕方――
――IS学園寮・一夏の部屋――
コン コン
一夏「は~い」 ガチャ…
一夏「!」
箒「…… 一夏」
一夏「箒……」
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:51:16.01 ID:HuCDVKv10
―――――――――――
一夏「……ほら、お茶」
箒「……ありがとう、一夏」 ズズッ…
箒「……ふう」
一夏「…………」
一夏「……それで? 何の用かな?」
箒「…………」
箒「……わかっているのだろう?」
一夏「…………」
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:52:28.40 ID:HuCDVKv10
箒「一夏……お前が私の為を思って」
箒「過去を探るな、と言ってくれた事は感謝している」
一夏「…………」
箒「でも……やはり気になって仕方ないんだ」
箒「…………」
箒「頼む」
箒「教えてくれ、頼む……!」
一夏「…………」
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:53:39.89 ID:HuCDVKv10
一夏「……酷い状態だったんだ」
箒「……え?」
一夏「あの時以来、箒は目に見えて元気が無くなっていった……」
一夏「食事もほとんど取らなかったし、いつも泣き腫らしていた」
一夏「……代われるものなら、俺が代わってやりたかった」
箒「…………」
一夏「それでも最近は少しずつ持ち直して、良くなっていると思ってた」
一夏「……そんな時」
一夏「お前は、記憶を無くして、劇的に元気になっていたんだ」
一夏「……嬉しかった」
箒「…………」
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:55:13.66 ID:HuCDVKv10
一夏「だから……俺は怖い」
一夏「また元の様に、生気を失う事になるんじゃないかって……」
一夏「出来るなら、あんな箒は……もう見たくない」
箒「…………」
一夏「今からでも遅くない。 考え直してくれないだろうか?」
箒「…………」
一夏「…………」
箒「一夏……」
箒「余程……恐ろしい事、なのだろうな……」
箒「私にとって……」
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:56:27.24 ID:HuCDVKv10
箒「……でも、一夏が居てくれるのだろう?」
一夏「……!」
箒「それなら……きっと私は大丈夫だ」
一夏「…………」
箒「一夏が迷惑に感じるのなら……諦める」
一夏「…………っ」
箒「…………」
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:57:24.26 ID:HuCDVKv10
一夏「…………」
一夏「わかった……」
箒「……!」
一夏「どこから話すかな……」
一夏「…………」
一夏「まず、シャルロットから始めるか」
箒「…………」
一夏「シャルロットが、女の子だったのに男装して転入して来た事は」
一夏「覚えているだろうか?」
箒「ああ……」
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 22:58:39.39 ID:HuCDVKv10
一夏「……俺は、彼女に同情しつつも 産業スパイである事実を見過ごせず」
一夏「千冬姉に相談して……できるだけ穏便に強制送還してもらった」
箒「…………」
箒(この一夏は、IS学園特記事項を使わなかったのか……)
一夏「……そして」
一夏「ラウラの事件が起こった」
箒「……転校初日に一夏を平手打ちしてたな」
一夏「そうだったな」
一夏「理由は分からずじまいだけど……ラウラは俺を嫌っていた」
一夏「……いや、憎んでいた」
箒「…………」
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:00:17.32 ID:HuCDVKv10
一夏「ある日、鈴とセシリアが、ラウラに一方的にヤられていた」
一夏「俺は二人を助けに入ったけど……」
一夏「逆にコテンパンにされてしまう」
箒(……私の方はあの時、シャルロットも助けに入ったな)
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:01:25.69 ID:HuCDVKv10
一夏「はっきり言って、殺されると思った」
一夏「……そこに、千冬姉が助けに入ってくれたんだ」
箒「…………」
一夏「だが……ラウラは、何かに火が付いていた」
一夏「尊敬しているはずの千冬姉の制止を振り切って、俺に止めを刺そうとした」
箒「…………」
一夏「もちろん千冬姉はラウラを止めた。 力ずくでな」
一夏「だけど……ラウラは暴走してしまう」
箒「…………」
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:02:23.39 ID:HuCDVKv10
一夏「千冬姉は、それをも切り伏せたけど……」
一夏「あいつは……ラウラは、何度も立ち上がっては、俺を殺そうとした」
一夏「そして、千冬姉もラウラが立ち上がる度に 切り伏せ続けた……」
箒「…………」
一夏「どのくらい時間が経ったのか……」
一夏「突然……ラウラは、パタリと倒れた」
箒「…………」
一夏「……ラウラは死んでいた」
一夏「直接の死因は、折れた肋骨が肺に刺さった事による、窒息死だそうだが……」
一夏「体中の骨が何十箇所も折れていて……酷い状態だったらしい」
一夏「千冬姉がラウラを救おうとして、何度も峰打ちを繰り返したせいだとか……」
箒「…………」
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:03:24.82 ID:HuCDVKv10
箒「……千冬さんが学園に居ないのは、そのせいか?」
一夏「いや、違う……」
一夏「ラウラの事は、『事故』として処理されたから」
一夏「表向きは、お咎めなしだった……」
一夏「もっとも……本人は相当ショックを受けていたけどな」
箒「…………」
一夏「……さて、ここから いよいよ佳境に入る」
箒(……! ここから、だと!?)
一夏「……覚悟はいいか?」
箒「……あ、ああ」
一夏「よし……」
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:04:34.79 ID:HuCDVKv10
一夏「ラウラの事件の後……」
一夏「福音事件が発生した」
一夏「覚えているか? 箒?」
箒「臨海学校の時だったな」
一夏「そうだ……」
一夏「当初の作戦は、俺と箒で福音を仕留める手はずだった」
一夏「ふふ……俺も箒も、息巻いていたっけ……」
箒「…………」
一夏「でも……俺のドジのせいで、俺は死にかけてしまった」
箒「……お前は、悪くない」
箒「私の方こそ、専用機を与えられて……浮かれていた」
一夏「…………」
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:05:54.75 ID:HuCDVKv10
一夏「……ここから先は、お前から聞いた話だ」
箒「う、うむ」
一夏「お前は、先の戦いで負傷した俺のかたきを打つため」
一夏「千冬姉に無断で、しかもたった一人で福音に向かおうとした」
箒「……!?」
箒(あの時……私は、一夏の傍にいる事も、何かをする事も出来ずにいたはず……)
一夏「……そんな時、二人の協力者が現れた」
一夏「鈴とセシリアだ……」
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:07:02.27 ID:HuCDVKv10
一夏「二人は、こう言ったそうだ」
鈴「別にあんたの為じゃない」
鈴「あんたが死ぬと、一夏が悲しむ……それが嫌なだけよ」
セシリア「それに……ドイツの代表候補生から救っていただいた御恩を」
セシリア「わたくし達は、一夏さんにお返ししていませんしね」
箒「……!!」
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:07:44.70 ID:HuCDVKv10
一夏「……お前は、心から二人に感謝したそうだ」
一夏「…………」
一夏「…………でも」
一夏「それが……」
箒「…………」
一夏「二人の……最期の言葉になった……」
箒「!!!!!!!!」
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:08:29.74 ID:HuCDVKv10
一夏「福音との戦いは熾烈を極め……」
一夏「二人共シールドエネルギーが尽きかけていたのに」
一夏「上空1000m付近で戦い続け……」
箒「…………」
一夏「ISが強制解除され……そのまま落下……」
箒「……!!!!」
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:09:50.40 ID:HuCDVKv10
一夏「俺が白式の力で怪我を治し、駆けつけた時に見たものは」
一夏「箒が半狂乱になって戦っている姿だった……」
箒「…………」
一夏「その時、俺は状況がよく分かっていなかったので」
一夏「とにかく箒をなだめて、目の前の敵を殲滅させる事に集中させた……」
一夏「事の真相を知ったのは……福音を倒した後だった」
箒「…………」
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:12:04.82 ID:HuCDVKv10
一夏「その直後、俺たちは学園の教師部隊と共に、二人を捜索したけど」
一夏「鈴は遺体で見つかり……セシリアは……行方不明のまま」
一夏「死亡認定された……」
箒「……そう……だったのか」
一夏「……大丈夫か? 箒?」
箒「………………」
箒「……ショックを受けている」
一夏「……そうか」
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:12:50.00 ID:HuCDVKv10
一夏「本当は謹慎と減俸処分で済むはずだったんだけど……」
一夏「千冬姉は、その責任を取って辞職した」
箒「……!」
一夏「まわりは、俺を含めて、みんな止めたけどな……」
一夏「千冬姉の決意は、硬かった」
箒「………………」
一夏「……これですべてだ」
箒「………………」
箒(……きっと、こっちの私は)
箒(とてつもない自責の念に囚われたのだろうな……)
箒(…………)
箒(一夏が話したがらなかったわけだ……)
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:14:37.23 ID:HuCDVKv10
箒「…………」
箒「一夏」
一夏「うん?」
箒「ありがとう。 真実を話してくれて」
一夏「…………」
箒「……だけど」
箒「もしかしたら……また私は、迷ってしまうかもしれない」
箒「だから、頼まれてくれないだろうか?」
一夏「! ……うん」
箒「……その時は」
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:15:21.68 ID:HuCDVKv10
箒「優しく……抱きしめて欲しい」 ///
一夏「…………」
ガバッ…
箒「!!!???!?!!?」 ///
一夏「ああ……! わかった……!」
箒(こ、こら、い、今は……違っ……) アタフタ///
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:16:08.09 ID:HuCDVKv10
一夏「……箒、覚えているか? 教室で再会した時の事を」
箒「えっ?」
一夏「俺……びっくりしたよ」
一夏「幼馴染の箒が、こんなに綺麗になっていた……」
箒「……!!!」 ///
一夏「ふふ、そういえば、男女なのに同室にされてお互いびっくりしたよな?」
箒「……う、うむ」 ///
一夏「最初は身構えていたけど……昔の話や、近況報告で盛り上がって」
一夏「いつの間にか打ち解けていた……」
箒(……そこは、違うな)
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:17:31.27 ID:HuCDVKv10
一夏「再開して数日だったけど……俺、思い切ってお前に告白したら」
一夏「OKがもらえて信じられないくらい嬉しかった……」
箒(……そ、そんな早い段階で!?) ///
一夏「…………でも」
箒「……?」
一夏「千冬姉もそうだけど……箒も俺を……」
一夏「『守るべき者』と認識していた」
箒「……!?」
箒「そ、そんな事は無い!!」
一夏「……絶対に無いか?」
箒「ああ!」
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:18:44.16 ID:HuCDVKv10
一夏「そうか……」
一夏「気のせいなら謝るけど」
一夏「箒が……俺を頼ってくれた事は、あるか?」
箒「……え?」
一夏「そりゃデートとか、一緒に過ごした事は、たくさんあるけど……」
一夏「俺が箒に『何か』を頼られた事は一度もなかった」
一夏「勉強も、ISも、料理も……何一つな」
箒「…………」
箒(……そう言われてみると……確かに……)
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:20:05.75 ID:HuCDVKv10
一夏「もちろん、ただのわがままかもしれない」
一夏「頑張って、実力をつけて、それからだ、とも思った」
一夏「しかし……現実は待ってくれなかった」
一夏「福音の時も、その後の箒も……俺は、守る事が出来なかった……!」
箒「一夏……」
一夏「……だけど」
一夏「今、箒は、俺に頼み事をしてくれた……!」
箒「……!」
一夏「俺は……嬉しい、箒……」 グスッ…
一夏「俺を……初めて……頼ってくれた……!」 ギュッ…
箒「…………」
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:20:55.41 ID:HuCDVKv10
一夏「どんどん頼ってくれ、箒」
一夏「どこまで役に立てるか、分からないけど……」
一夏「お前が笑ってくれるなら……」
一夏「どんな重みも、辛さも、痛みも……俺が背負うから」
一夏「背負ってみせるから……!」
箒「一夏……」
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:21:30.26 ID:HuCDVKv10
箒(……伝わる)
箒(伝わってくる)
箒(一夏の……気持ちが……想いが……)
箒(…………)
箒(とても……暖かい……)
箒(…………)
箒(……いや)
箒(この一夏の想いを受けるべきなのは……)
箒(……私では無い)
箒(…………)
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:22:07.78 ID:HuCDVKv10
――夜――
――IS学園寮・箒の部屋――
箒(…………) カリカリ……
箒(…………) カリカリ……
箒(…………ふむ)
箒(……こんなものか)
箒(…………)
箒(読んでくれるといいが……)
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:22:59.05 ID:HuCDVKv10
――深夜――
――IS学園裏・雑木林奥――
箒「…………」 ザッ ザッ
箒「……確か、この辺り」 ザッ ザッ
箒「……!」
箒「あった……!」
箒「…………」
カチャン……キィ……パタン……
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:23:48.39 ID:HuCDVKv10
私は、電話ボックスに入ると、受話器を取ろうとした。
箒(…………)
箒(……どうして私は、もっと早く こうしなかったのだろう?)
箒(…………)
箒(好奇心に負けた……)
箒(人の性……)
箒(いや……業、と言うべきか……)
箒(…………)
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:24:51.43 ID:HuCDVKv10
私は、止めていた手を動かして受話器を取った。
箒「…………」
箒「元の世界に……もどれ!」
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリンッ!!
箒「…………」
キィ……パタン
箒「紅椿!」 スウウウウウウンッ!
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:25:40.89 ID:HuCDVKv10
私は、ISを起動すると電話ボックスを持ち上げ、湖の中央まで運び
それを思い切り放り投げた。
箒「カラワレ! アマヅキ!」 ズバァ! ズバァ!
ボウンッ!!
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:26:28.62 ID:HuCDVKv10
砕け散る電話ボックス……。 それは、静かに湖面へ消えていった。
箒「…………」
箒(これでいい)
箒(あれは、在ってはいけないものだ……)
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:27:16.33 ID:HuCDVKv10
――翌日の朝――
――IS学園・1組教室――
箒「おはよう!」
一夏「! ……お、おう! おはよう!」
セシリア「お、おはようございます、箒さん」
シャル「おはよう、箒」
ラウラ「おはよう」
一同(珍しい……箒(さん)から挨拶してきた……)
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:27:58.59 ID:HuCDVKv10
――休み時間――
――IS学園・1組教室――
箒「……あ、一夏」
一夏「ん? どうした?」
箒「少し頼みがあるのだが……」
一夏「? なんだ?」
箒「なに、大した事じゃない」 クスッ
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:28:43.73 ID:HuCDVKv10
箒「職員室にこのプリントを届けてくれと 山田先生に頼まれていたのだが」
箒「代わりに届けてくれないだろうか?」
一夏「なんだ、そんな事か。 いいぜ、お安い御用だ」 ニコ
箒「すまないな、恩に着る」 ニコ
一夏「いいって事さ」 クスッ
セシリア(むむ……なんですの?)
ラウラ(そこはかとなく)
シャル(いい雰囲気……)
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:29:32.23 ID:HuCDVKv10
箒「……なあ、みんな」
シャル「……!?」
セシリア「は、はい、なんでしょうか?」
ラウラ「何か用か? 箒?」
箒「まあ、用……というか、お昼なんだが」
箒「たまには一夏抜きで……」
箒「私達だけで、食べないか?」
シャ・セシ・ラウ「???」
箒「鈴には、私から声を掛けておく」 ニコ
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:30:22.72 ID:HuCDVKv10
――昼休み――
――屋上――
箒「すまないな、急に誘って……」
シャル「ううん、別に構わないよ?」
鈴「ま、たまには、いいんじゃない?」
鈴(ちょっと驚いたけどね……)
セシリア「そういえば、こうやって女の子だけで集まるのは、初めてかもしれませんわね」
ラウラ「いつも一夏中心で行動していたしな……」
ラウラ「それで? いったいどうしたのだ?」
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:31:44.91 ID:HuCDVKv10
箒「う、うむ……」
箒「…………実は、な」
シャル「うん?」
箒「……恐ろしい夢を見た」
ラウラ「ほう?」
箒「その夢の中での一夏は、私にぞっこんでな……」
セシリア「……どこが恐ろしい夢ですの?」
鈴「うらやましい夢、見てんじゃないわよ……」
箒「それだけですめば……そうだったんだけどな」 クスッ…
シャル「……と言うと?」
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:32:35.80 ID:HuCDVKv10
箒「結論から言うと……」
箒「ここにいる全員と、千冬さんがいなかった」
セシリア「……!?」
箒「ある者は、強制送還され」
シャル(……ボク?)
箒「ある者は、暴走で命を落とし」
ラウラ(……私の事か?)
箒「残りは……福音との戦いで戦死していた」
鈴「……なんか……リアルね」
箒「ああ……本当にリアルだった。 だから……目を覚ました時」
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:33:24.84 ID:HuCDVKv10
箒「心から、夢で良かったと……私は思った」
セシ・シャ・ラウ・鈴「………………」
箒「…………」
箒「……どうして、そんな夢を見たのか、わからないが」
箒「みんなと話がしたくなってな……」
箒「わざわざ来てもらった、というわけだ」
鈴「…………」
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:34:17.94 ID:HuCDVKv10
鈴「コメントに困るわね……」
シャル「そう? ボクは嬉しく思ったけど」 ニコ
セシリア「わたくしもですわ」 クスッ
ラウラ「私は、鈴と同意見だ……」
箒「ふふ……さ、私のくだらない夢の話は、これで終わりだ」
箒「これからの事を話さないか?」
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:35:03.12 ID:HuCDVKv10
鈴「これからの事?」
箒「そうだ。 例えば……みんなでボウリングとかどうだ?」
箒「もちろん一夏も誘って」 ニコ
セシリア「まあ! それはナイスアイデアですわ! 箒さん!」 キラキラ
シャル「うん、いいね! それ!」
ラウラ「……ボウリング? 地質調査でもするのか?」
鈴「ラウラ……お約束のボケはいいから……」
箒「ハハハ……」
96 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:35:43.48 ID:HuCDVKv10
こうして……私の不可思議な体験は、幕を閉じた。
まるで本当に夢だったかの様に……。
しかし、そうではない事を示す証拠が手元に残っていた。
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:36:47.41 ID:HuCDVKv10
――夜――
――IS学園寮・箒の部屋――
箒(あの時買ったブラウスとトレーナー……)
箒(なぜ……?)
箒(…………)
箒(……考えても無駄だな)
箒(そして……)
箒(あの手紙は無い)
箒(…………)
箒(……読んでくれただろうか?)
箒(向こうの私……)
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:38:28.99 ID:HuCDVKv10
篠ノ之 箒へ
お前は、一人では無い。
お前には、一夏が居てくれている。
過去の過ちに囚われて、今を生きる自分を殺しても……
一夏をも巻き込んで悲しいだけだ。
抱え込むな。 吐き出せ。 一夏は、お前の苦しみを受け止めてくれる。
一人では辛い事も、二人でなら重みは半分になる。
恐れるな。 幸せになる事を。 お前が不幸になる事を一夏は望まない。
一夏の幸せは、望む事は、お前が幸せになる事なのだから。
もう一人の 篠ノ之 箒 より
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:39:11.29 ID:HuCDVKv10
箒(……身勝手な事を書いたかな)
箒(だが)
箒(偽る事のない、私の本心だ……)
箒(……どうか……幸せに)
箒(………………)
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:39:55.49 ID:HuCDVKv10
箒(さて……)
箒(私の方は前途多難だな……) フウ…
箒(…………)
箒(でも……)
箒(いつか、こっちの一夏と あ、あんなキスを……) ///
箒(~~~~~~~!!) ジタバタ ジタバタ ///
箒(………………) ///
箒(……よし!) ///
箒(ボウリングには、あのブラウスを着て) ///
箒(気合を入れるぞ!) ///
おしまい
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/05/18(土) 23:41:02.31 ID:HuCDVKv10
箒編でした。
102 :
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[sage]:2013/05/18(土) 23:43:10.97 ID:rQEfpwNX0
激しく乙。
このワンサマーはいいワンサマー。
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga sage]:2013/05/19(日) 00:46:07.45 ID:3gcbVeSZ0
乙
>>101
他の人もあるってこと?だったら凄く嬉しい
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/19(日) 05:44:11.65 ID:UYBpM2aQo
どうしてもブラウスとトレーナーが気になってしまうwwwwwwwwww
そして、デートなのにうどんwwwwww
ダッセェwwww
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/19(日) 15:18:32.48 ID:yQiSc5Fso
乙です
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sagesaga]:2013/05/19(日) 23:27:37.64 ID:rLk4qdGc0
リンク
【改訂版】シャル「もしも一夏が、ボクにぞっこんだったら!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368927435/
47.73 KB
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