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古の力と四人の戦士 -
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1 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:27:30.02 ID:mp+YKvgk0
昔々、まだ精霊が人間と共にあった時代。
大陸は、四つの国に分かれていました。
火の国、水の国、風の国、土の国からなる四つの国。
この四つの国には、どんな宝石よりも光り輝く美しい石が。
それは、精霊の石と呼ばれていました。
この石は、精霊から人間へ友情の証として渡された物。
精霊の石は、人間に様々な恵みを与えました。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1394555249
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八幡「新はまち劇場」【俺ガイル】Part9 @ 2025/04/21(月) 05:10:50.99 ID:8KOXlMrgO
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阿笠「殺人事件になるとは思わなかったぞい」 @ 2025/04/21(月) 04:00:57.46 ID:8IQxzJsXO
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冬馬「765プロに遊びに来たぜ」 @ 2025/04/19(土) 18:26:15.50 ID:J9+mQPsT0
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(安価&コンマ)優しい兵士の・・・(機動戦士ガンダム) @ 2025/04/18(金) 01:16:30.83 ID:eReQ3Qmr0
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嫁宣言して嫁AAにお断りされなければ結婚 8月32日に突入するかものA雑スレ @ 2025/04/16(水) 19:21:22.64 ID:mdf008YO0
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阿笠「天丼を注文したのにカツ丼が来たぞい」 @ 2025/04/15(火) 03:32:51.17 ID:wEqqnIYDO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1744655571/
2 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:29:36.04 ID:mp+YKvgk0
精霊の石のお陰で、人間の暮らしはみるみるうちに豊かに。
人間は毎朝精霊の石に手を合わせ、感謝しました。
そして年に一度、精霊への感謝を込めて、国を挙げてお祭りをしました。
ですが、生活が豊かになっていくにつれ、人間達は、感謝の心を忘れてしまったのです。
そしていつの間にか、年に一度のお祭りも、なくなってしまいました。
人間の愚かさに精霊達は悲しみ、心を閉ざしてしまいます。
すると、たちまち精霊の石から光が失われ、空は真っ暗闇に包まれてしまいました。
人間は何とか許してもらおうと精霊にお願いしましたが、許してはもらえませんでした。
3 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:30:23.45 ID:mp+YKvgk0
精霊達は、ほんの少しの間、人間達におしおきしようと考えていたのです。
4 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:32:18.63 ID:mp+YKvgk0
しかし、そのほんの少しが、さらなる悲しみを生んでしまいます。
なんと、罪を擦り付け合い、これまで仲の良かった四つの国が戦争を始めてしまったのです。
精霊達はなんとか戦争を止めようと、精霊の石に光を戻し、空から暗闇を払いました。
しかし何ということでしょう。戦争は終わるどころか、より激しさを増していったのです。
人間は、精霊の石の力を使った兵器まで作ってしまいます。
精霊達は、何度も何度も戦争を止めるように訴えかけましたが、人間は聞いてくれません。
ーーこのままでは人間が滅びてしまう。
5 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:33:30.39 ID:mp+YKvgk0
その時、火、水、風、土。
それぞれの国から一人、勇気ある若者が立ち上がりました。
精霊達は、この四人に特別な力を与えました。
一人は火を、一人は水を、一人は風を、一人は土を操る力。
精霊達は、この四人に、戦争を終わらせてくれるように頼んだのです。
四人の若者は力を合わせ、戦争を終わらせる為に
ーーー戦いました。
6 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:34:43.47 ID:mp+YKvgk0
ですが、いくら戦っても、兵器を壊しても、戦争は終わりません。
人間は、何かに取り憑かれたように戦争を続けるのです。
四人の若者は、精霊にたずねました。
ーーなぜ人々は怒ったままなのか、と。
精霊達は、原因をつきとめる為に、国中を飛び回りました。
7 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/12(水) 01:34:49.73 ID:QgqJCrtQo
期待
8 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:35:55.11 ID:mp+YKvgk0
精霊達は、四つの国の王様をそそのかす悪者を見つけ出しました。
その悪者は、自分を暗闇の妖精だと言いました。
とても強い力を持つ、邪悪な妖精です。
四人の若者達は、精霊と協力して、暗闇の妖精に挑みました。
しかし、いくら頑張っても、暗闇の妖精に太刀打ちできません。
ーーこのままでは負けてしまう。
ーー明るい未来をつくる若者達が、しんでしまう。
9 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:37:57.53 ID:mp+YKvgk0
それを避ける為に、精霊達は、四人の若者達に自分達の力。
その全てを与えます。
自分達の、いのちとひきかえに…
全ての力を託された若者達は、その力を使い、暗闇の妖精を打ち倒しました。
すると、人々から怒りの心は消え去り、戦争は徐々に収まっていきました。
各国をめぐり、残る混乱を鎮めた四人の若者達は、それぞれの国に戻り、復興を始めました。
後にこの四人は、火の王様、水の王様、風の王様、土の王様。
と、呼ばれるようになりました。
10 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:39:13.51 ID:mp+YKvgk0
四人の王様は手を取り合い、人々の為に、国の為に、生涯掛けて尽くしました。
なにより、自分達に力を与え、人間に恵みを与え、いのちをかけて救ってくれた精霊達を想い。
この悲しい出来事を忘れないように
やさしい精霊達を忘れないように
人々に、何度も何度もこの物語を聞かせました。
11 :
>>1
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:43:33.88 ID:mp+YKvgk0
主人公達のみ名前あり。きっと厨二。
12 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:51:36.79 ID:mp+YKvgk0
ー火の国・灯火の里ー
「またその話し? もう一万回くらい聞いたよ」
爺様「何度でも話す。忘れて貰っては困るからの」
「ははっ、大丈夫だって。忘れたくても、忘れられそうにないから」
爺様「カルよ、信じるか?」
カル「えっ、精霊とか暗闇の妖精を?」
爺様「そうじゃ、儂が語った事を信じるか」
カル「……正直、信じられない」
カル「だって精霊も、精霊の石なんて物も、存在しないし」
13 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:53:07.86 ID:mp+YKvgk0
爺様「まあそうじゃろうな。無い物を信じろと言っても無理がある」
カル「でも嘘じゃない。と思う」
爺様「ほう。何故、そう思うんじゃ」
カル「えーっと、爺ちゃんの目は、何て言うか……嘘を言ってないから」
爺様「ははっ、そうかそうか。まあ今はそれでよい。今日の稽古はこれで終いにしよう」
カル「なあ爺ちゃん。もしかして何かあった?」
爺様「いんや? 別に何も無いぞ。それより儂、今日は肉が食べたい気分」
14 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:53:48.52 ID:mp+YKvgk0
カル「全く……分かったよ。じゃあ、今から山に行ってくる」
爺様「気を付けて行くんじゃぞ」
カル「大丈夫だって、すぐ帰って来る。俺も腹減ってるし」
ガラッ…パタン
爺様「カルも十七か。時が経つのは、本当に早いもんじゃ」
15 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 01:57:53.43 ID:mp+YKvgk0
ーー灯火山
カル「……ごめんなさい。ありがとう」
獲物には手を合わせて謝る。その後は、感謝する。
これは爺ちゃんに教わった。
狩りの仕方、山の歩き方、武術剣術、さっきの昔話も、全部。
爺ちゃんは灯火の里の長で、道場の師範。
随分昔に、里を賊から救ったらしい。
色んな国を旅してたらしいけど、村の人達に武術指南を頼まれて、何だかんだあって今に至る。
16 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:00:20.38 ID:mp+YKvgk0
今じゃ灯火の里は、武術剣術の里なんて呼ばれてる。
爺ちゃんに会う為に武芸者が来たりするんだ。
最近は飽きたとか面倒だとか言って、兄弟弟子達に任せてるけど……
武芸者、武芸者か。
そういえば今日来たっけ、強そうな人だったな。
わざわざこんな里に来るくらいだから、余程強くなりたいんだろうな。
それとも、戦うのが好きなのか。
確かに武術剣術の稽古は楽しいけど、戦うのは、好きになれそうにない。
17 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:01:46.37 ID:mp+YKvgk0
カル「あっ、そういえば今年で十七か……」
爺ちゃんには、感謝してもしきれない。
早くに両親を亡くした俺を引き取って、今まで育ててくれた。
いや『くれた』じゃない。
今も育ててくれてるし、色々教えてくれる。皆が言うけど、凄く強くて、優しい人なんだ。
いつか、恩返ししたいな。
そんでもって、爺ちゃんみたいな、優しくて強い人になりたい。
カル「とりあえず、出来る事からしないと……ん?」
ポツッ…ポツッ……ポツポツポツッ
カル「うわっ、雨だ。さっきまであんなに天気良かったのに」
18 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:04:21.49 ID:mp+YKvgk0
ーー灯火の里
カル「あぁー、すっごい疲れた」
あれから急に雨が強くなるから、随分時間が掛かっちゃったよ。
爺ちゃん、先にご飯食べてたりしてないよな。案外子供っぽいし、心配だ。
カル「まっ、その時は仕方無いか。よっこいせ」
……あれ。何だろ、随分静かだな。山に行く時は皆居たのに。
雨が降ってきたから、家に入ったのか? いや、そうだとしても、何か里の様子が変だ。
妙な、寒気がする。
19 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:06:44.47 ID:mp+YKvgk0
ザァァァァッ
カル「何だろ、この感じ。ん? 何だろ」
それを見つけた瞬間。何とも言えない、凄く嫌な感じがした。
近寄ってみると、どうやらそれは、黒い氷。のような物で出来てる。
そしてその氷柱の中には、人が氷漬けにされていた。
その近くにあった氷柱にも、そのすぐ側の氷柱にも。里の皆が、氷漬けにされていた。
くそっ、何が何だか分からない。一体何が起きたんだ。
カル「何だよ、何だよこれ。人が凍るなんて」
20 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:07:51.83 ID:mp+YKvgk0
『ぜあぁぁっ!!』
21 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:09:02.35 ID:mp+YKvgk0
カル「っ、爺ちゃん!?」
今の声、何かと戦ってる?
そいつが皆を凍らせた?
駄目だ、考えても全然分からない。
とにかく、急いで家に向かわないと!!
22 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:10:13.08 ID:mp+YKvgk0
※※※※
爺様「ぬぅ……」
武芸者「なる程、確かに素晴らしい。これが、精霊の力」
爺様「それは精霊の力などでは無い。今からでも間に合う、その黒水晶の首飾りを壊すんじゃ」
武芸者「ふん、何を言い出すかと思えば……」
武芸者「こんな力を、人を超える力を、そう簡単に手放すはずが無いだろう」
爺様「馬鹿者めが……その力は、お主を滅ぼすぞ」
23 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:11:52.31 ID:mp+YKvgk0
武芸者「脅しのつもりか、下らん」
爺様「……ならば、仕方無し」
応えてくれるか、否か。
応えてくれたとして、この老いた体が保つかどうか分からん。
長引けば、里の皆をも巻き込んでしまうじゃろう。
何としても、一撃で終わらせなければ。
まだ伝えねばらなん事があると言うのに、目覚めが早過ぎる。
24 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:13:21.22 ID:mp+YKvgk0
武芸者「な、何だその炎は!! まさか貴様も!?」
爺様「答える義理は無い」
炎よ、応えてくれたか。
奴を葬れるだけでいい。力を、貸してくれ。
武芸者「くっ、老いぼれがぁ!!」
爺様「ぜあぁぁっ!!」
25 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:14:37.06 ID:mp+YKvgk0
※※※※
ザァァァァッ…
爺様「ぐっ、流石に……きっついのぉ」
カル「爺ちゃん、大丈夫!? さっきの炎は!? 誰が」
爺様「カル……まずは落ち着け。話しはそれからじゃ」
カル「わ、分かった!!」
爺様「安心せい、儂は大丈夫じゃ。里はどうなっとる?」
カル「そ、それが、皆が黒い氷の中に閉じ込められてて、何が何だか」
26 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:17:18.16 ID:mp+YKvgk0
爺様「……そうか」
カル「爺ちゃん?」
『死ねぇ!!』
爺様「何っ、まだ生きとったのか!! くっ、拙い!!」
カル「えっ…」
いきなり得体の知れない化け物が現れたと思ったら
雨は氷の槍に変わって、次の瞬間、その全てが、降り注いだ。
俺を庇った爺ちゃんに、全て……
27 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:19:25.47 ID:mp+YKvgk0
カル「爺ちゃん? 爺ちゃん!!」
爺様「ごふっ、怪我は……無いか?」
カル「俺は大丈夫。でも、爺ちゃんが!!」
氷の槍の所為で、血だらけだ。
それに爺ちゃんの体が、燃えてる。のか?
爺様「儂は、もう保たん。よいか、今から話す事を……ぐぬっ」
カル「爺ちゃん、体が!!」
28 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/12(水) 02:21:07.74 ID:mp+YKvgk0
爺様「聞くんじゃ。よいか、奴は暗闇の妖精の力。その一片を使っておる」
カル「暗闇の妖精? 昔話しの?」
爺様「奴を倒す術が一つだけある。じゃがこの通り、儂にはもう戦う力が無い」
爺様「何も伝えられんで済まん。理解出来んじゃろうが」
カル「分かった。俺が、戦う」
爺様「!!」
29 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:22:40.65 ID:mp+YKvgk0
カル「あいつを倒さなきゃダメだって事は、俺にも分かる。だから、戦うよ」
爺様「(!! 知らん内に、こんな顔をするように……)」
爺様「仲間を捜せ、黒水晶を壊せ、心を、曇らせてはならんぞ」
カル「えっ」
爺様「時間じゃ、カル」
炎が、俺を包んだ。
熱いはずなのに、不思議と熱くない。
優しくて、強い炎。
30 :
>>1
[sagesaga]:2014/03/12(水) 02:23:28.98 ID:mp+YKvgk0
つづく
31 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/12(水) 07:18:52.07 ID:XRMGGTJVo
おつ
32 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/12(水) 09:44:16.94 ID:TQ7J5V1+0
乙。名前は火戦士とかでよくないか
33 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 12:29:19.57 ID:toV8CGDU0
※※※
ザァァァァッ
カル「爺ちゃん……」
武芸者「別れは済んだか?」
カル「……何故、こんな事を?」
武芸者「誰よりも強くなる為、それだけだ」
カル「人の姿を失っても手に入れたかったのが、その力なのか?」
武芸者「それだけの価値がある。究極の強さ、力とは、人を超えた先にあると知った」
カル「そんなのは、強さじゃない」
34 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 12:32:05.56 ID:toV8CGDU0
武芸者「だが事実、貴様の祖父を殺した。俺が勝った!!」
武芸者「貴様も俺に殺される。祖父と、同じようにな!!」
ピシッ…パキパキッ
カル「(氷の槍……来るっ)」
武芸者「死ねぇ!!」
ドガガガガッ
カル「ぐっ!!」ガクッ
35 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 12:37:14.89 ID:toV8CGDU0
武芸者「口先だけか、つまらん」
カル「(何とか致命傷は避けれた……)」
カル「(でも、このままじゃ殺される。どうにか、しないと)」
武芸者「てっきり貴様も、祖父のように炎を使うのかと思ったが、違ったようだな」
カル「(炎? さっきのあれは、爺ちゃんが出した炎だったのか?)」
武芸者「これで終わりだ」
ピシッ…パキパキッ
カル「(俺にも炎が使えるのか? でも人間が炎を出すなんて……)」
36 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 12:38:43.23 ID:toV8CGDU0
カル「(駄目だ、分からない。今出来る事を、やるしかないっ)」ダッ
武芸者「何っ!?」
カル「うおぉぉっ!!」ググッ
バキッ…
武芸者「……そんな拳が効くと思ったか? 愚かだな」
カル「(だよなぁ。でも、分かった)」
武芸者「何を笑っている。この距離では躱せんぞ」ガシッ
37 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 12:43:00.54 ID:toV8CGDU0
カル「(今、ほんの少しだけ拳に炎が宿った。理屈は全然分からないけど、倒すぞって思ったら炎が出た)」
武芸者「串刺しにしてやる」
ピシッ…パキパキッ
カル「(こんな危険な奴を、野放しには出来ない!!)」
ゴオォォォッ…
カル「えっ!?」
武芸者「氷が!! き、貴様ッ!! 隠していたのか!!」
カル「(そんなつもり全く無いけど、この炎なら、倒せる!!)」
カル「おりゃあああ!!!」グッ
38 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/12(水) 12:44:10.94 ID:toV8CGDU0
つづく
39 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/12(水) 15:21:18.71 ID:UYv8DN000
期待
40 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/12(水) 18:47:37.32 ID:5e+xHj6u0
カル=ス?
41 :
>>1
[saga]:2014/03/12(水) 20:42:05.18 ID:nU/TFUtC0
武芸者「ぐっ」ガクン
カル「(効いてる!! 拳が氷の鎧を突き抜けた。よしっ、このまま畳み掛ければ、畳み掛ければ……)」
武芸者「甘いッ!!」ヒュッ
グサグサッ
カル「がっ!! ぐっうぅ…」ドサッ
武芸者「馬鹿が。情けや躊躇いなど、殺してくれと言っているようなものだ」
カル「(躊躇うに決まってる。誰かを殺すなんて、俺には……)」
42 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 20:44:01.34 ID:nU/TFUtC0
武芸者「俺は躊躇いは無く、お前を殺せる」グイッ
カル「(俺には、こんな風に戦えない。こんな風には……)」
武芸者「ふん、腑抜けが。死ぬがいい」
死ぬ? 死んだらどうなる。俺が死んだら、誰がコイツを倒す?
此処で終わらせないと、沢山の人が、コイツに殺される……
カル「嫌だ!!」ゴォッ
ドガッ
武芸者「……往生際の悪い。殺す覚悟も無い小僧に、何が出来る」
43 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 20:45:45.96 ID:nU/TFUtC0
決めなきゃ駄目だ。
倒さなきゃ駄目なんだ。
話して分かる相手じゃない。戦うしか方法は無い。
殺すなんて嫌だ。
殺されるのだって嫌だ。
皆を助ける為とか、救う為とか言ったって……
結局、殺す事に変わりない。
ーー爺ちゃんなら、どうするんだろう。
爺ちゃんなら逃げるか? 迷うか?
44 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 20:47:23.84 ID:nU/TFUtC0
カル「……逃げない。辛くたって、逃げずに戦うはずだ!!」ググッ
武芸者「立ち上がったところで何が、なっ!?」
カル「……炎が」
さっき出た炎よりも、ずっと凄いのが分かる。
何だか、炎が懐いてるような不思議な感じ。
ちょっとは、認めてくれたのか?
……力を持つって、強いって、大変なんだな。
やっぱり、爺ちゃんは凄いな。
カル「もう、大丈夫」ザッ
45 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 20:49:03.35 ID:nU/TFUtC0
武芸者「(な、何だあの炎は!? 祖父とは比べ物にならん)」
武芸者「(声が、出せん……圧し潰されるようだ)」
カル「行くぞ」ダッ
武芸者「ぬっ、ぐうぅ……動、けぇ!!」ググッ
パキパキッ…
氷の槍!! さっきより数が多い。
駄目だ。止まったら負ける。走れ!!
炎を、脚に集中するんだ。
46 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 20:50:07.07 ID:nU/TFUtC0
武芸者「喰らえぇ!!!」
ドガガガガッ
構うな。
纏った炎が、全て掻き消してくれる。
このまま、跳べっ!!
カル「おりゃあああっ!!」ダンッ
武芸者「馬鹿なっ!?」
ドッ!! ゴォォォォ……
47 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 20:52:42.76 ID:nU/TFUtC0
武芸者「ぬっ、ぐうぅ……」ヨロッ
爺ちゃんに言われた通り、鎧胸部にあった黒水晶を蹴り砕いた。
確実に効いてる。けど、まだ足りないのか?
ビシッ…ビシッビシッビシッ
武芸者「ぬっ、ぐがあぁぁぁッ!!」
ガシャ…ガシャガシャ……
カル「体が、崩れた? うっ…」ガクッ
踏ん張れ。
倒れるのは、里の皆を助けた後だ。
きっとこの炎なら、あの黒い氷も溶かせる。
48 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/12(水) 20:54:17.13 ID:nU/TFUtC0
次回「旅立ち」
49 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 23:38:51.10 ID:nU/TFUtC0
※※※
ーー爺様の屋敷・朝
カル「んー、ん? うわぁっ!!」ビクッ
婆様「なんじゃ、失礼な奴じゃな」
カル「なんだババ様か、びっくりしたぁ」
婆様「どうじゃ、まだ体は痛むか?」
カル「まだあちこち痛いけど、大丈夫。じゃない!!」
婆様「うっさいのぉ。なんじゃ急に大声出しおって」
カル「里の皆は? 他の皆は大丈夫!?」
50 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 23:40:47.55 ID:nU/TFUtC0
婆様「大丈夫じゃ、安心せい」
カル「そっか、良かった」
婆様「皆、お主に感謝しとるよ。ほれ、見てみぃ」バサッ
カル「これ、花飾り?」
婆様「何か出来る事は無いかと、皆が祈りを込めて作った物じゃ」
カル「こんなに沢山……そっか。うん、凄く嬉しいよ。後でお礼言わないと」
婆様「そうしてやれ、何せ三日間寝っぱなしじゃったからの」
51 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 23:42:19.15 ID:nU/TFUtC0
カル「えっ、俺そんなに寝てたの!?」
婆様「うむ、まるで死んだように寝とった」
カル「そっか……」
婆様「………」
あんなに戦ったの、初めてだしな。
とにかく、皆が無事で良かった。
氷を溶かした後の記憶が無いから、心配だったんだよな。
52 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 23:44:09.62 ID:nU/TFUtC0
婆様「カルよ……爺様は、やはり亡くなられたのか」
カル「……うん。氷の怪物から、俺を庇って」
婆様「そうか、薄々分かってはいたが、そうか…寂しくなるの」
カル「あのっ、ババ様」
婆様「ん、なんじゃ?」
カル「俺、旅に出る。爺ちゃんが死に際に言ったんだ」
婆様「また急な話しじゃな。なんと言われた? 話してみよ」
53 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 23:45:27.18 ID:nU/TFUtC0
カル「仲間を探せ、黒水晶を壊せ。あの力は、暗闇の妖精の一欠片」
婆様「ふーむ、暗闇の妖精か。随分と古い話しじゃな」
婆様「今回の件は、それが関係しとるんか?」
カル「詳しくは分からない。でもきっと関係ある」
婆様「仲間とは、里を襲った者の仲間か?」
カル「うーん、多分違うと思う。俺の仲間を探せ。って事じゃないかな」
54 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 23:46:24.49 ID:nU/TFUtC0
婆様「ふーむ、わしゃ何とも言えんが。その為に旅に出ると?」
カル「うん。他にも色々知らなきゃ駄目だと思うし」
婆様「田舎者の一人旅は危険じゃぞ、お供はいらんのか?」
カル「大丈夫。だってさ、あの時の怪物って一欠片に過ぎないわけだろ?」
カル「だから、出来るだけ多くの人に里の守りを固めて欲しいんだ」
婆様「(男は変わるものよのぉ。あの一日で、どれだけの経験をしたのやら)」
婆様「うーむ……」
55 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 23:47:12.45 ID:nU/TFUtC0
婆様「皆の者、カルはこう申しとるが、どうじゃ?」
56 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/12(水) 23:48:51.00 ID:nU/TFUtC0
ガラッ
『カル様、皆を救っていただき、誠にありがとうございます』
『あの一大事、此処だけには留まらぬかもしれんわけか』
『傷を負いながらも我々を救うべく奔走するお姿、一生忘れません』
『里は我々にお任せを』
カル「はっ、えっ!? 皆いつから居たの!?」
婆様「ずっと居ったよ。三日三晩、な」
皆、疲れてるはずなのに、ずっと居てくれたんだ。
お祈りまでしてくれて、本当にありがとう。
57 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sagesaga]:2014/03/12(水) 23:49:32.22 ID:nU/TFUtC0
つづく
58 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/13(木) 00:00:22.35 ID:6kX+nldyo
おつとう
59 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 01:58:48.65 ID:vuux6/zt0
※※※
俺は、里の皆が凍っている間に起きた事を全て話した。
炎を使えるようになった事とか、色々。
その後、爺ちゃんの葬儀が始まった。
里の皆が泣いてたけど、俺は泣けなかった。
思えばあの時、爺ちゃんが消えて炎になって俺を包んだ。
あの炎が、俺に炎の力を与えたんだと思う。
爺ちゃんは、俺の中で生きてるんじゃないか? そう思った。
ーーそう思いたい。
60 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 02:00:08.95 ID:vuux6/zt0
葬儀を終えた後、ババ様が
「今日は疲れたじゃろ。無理せず休んだ方がええ」
「急いてはいかん」
「準備はきちんとせんといかんぞ? 渡さにゃならん物もあるでな」
って言うから、明日出発する事にした。
里から出た事なんてほとんど無いから、ちょっとだけ不安だ。
爺ちゃんも旅してたって言うから、本当は楽しみでもある。
61 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 02:01:54.12 ID:vuux6/zt0
※※※※
ーー翌朝
カル「渡したい物って、これ?」
婆様「灯火の里一番の着物じゃ、動き易いし目立つぞぉ。じゃから、これ着てけ」
カル「白地に赤の刺繍って、派手過ぎじゃないかな」
婆様「何を言う。都の人間は、そんくらい派手なもん着とるらしいぞ?」
カル「そうなの? まあ、着物の方が着慣れてるし、落ち着くけどさ」
婆様「ええから、早よう着てみぃ」
カル「分かった。ちょっと着替えてくる」
62 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 02:04:11.87 ID:vuux6/zt0
ガラッ…パタン
カル「(はぁ。あんなぐいぐい来られたら、着ないわけにはいかないよな)」
パサッ…ギュッ
こ、これは……派手過ぎる。
あぁなる程、柄が炎なんだ。
高そうな着物だなぁ。いや絶対高い。
家一軒建てれたりするんじゃないか?
生地の肌触りが違うし、着心地も良い。お金、出さなくていいのかな……
高価な物だからか、身が引き締まるな。
63 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 02:05:19.18 ID:vuux6/zt0
ガラッ…
カル「どうかな?」
婆様「ほぉ、男っぷりが上がったの。それ着てりゃあ、おなごがほいほい寄ってくるわ」
カル「ははっ、まさか。婆様、そろそろ行くよ。墓参りも済ませたし」
婆様「そうか……ん? そりゃ爺様の剣かえ?」
カル「うん。炎の使い方、まだ分かんないし」
婆様「そうかそうか。どれ、ちょっと腰に差してみ」
カル「よいしょっと。これで大丈夫?」
64 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 02:07:07.85 ID:vuux6/zt0
婆様「ほほっ、この村来た時の爺様にそっくりじゃ」
カル「ははっ、ありがとう。嬉しいよ」
婆様「カル……気を付けて、行くんじゃぞ」
カル「婆様、そんな顔しないでよ。俺なら大丈夫だから」
婆様「(爺様にも、この姿見せてやりたかった……逞しくなったの)」
婆様「さっさと終わらせて、早よう帰って来い。皆で、お前の帰りを待っとるよ」
カル「色々ありがとう!! じゃあ、行って来ます!!」
65 :
>>1
[sagesaga]:2014/03/13(木) 02:09:25.45 ID:vuux6/zt0
次回「田舎者」
66 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/13(木) 02:46:18.27 ID:6kX+nldyo
おつ
67 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/13(木) 05:56:50.71 ID:j5jFljEVO
おつ
68 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 13:52:00.83 ID:s7PDFtbl0
※※※※
カル「あの、そろそろ解放してくれないかな?」
女盗賊「うっさい間抜け。今から荷を開けるから黙ってて」チャキ
カル「……はい、分かりました」
さっきまで気分良く白月(馬)を走らせてたのに、今や縄で縛られて変な所に…
洞窟の中みたいだけど。この人の隠れ家、みたいなものなのかな。
旅の一番最初に出逢ったのがこんな人だなんて、何て幸先悪い。
白月、大丈夫かな。
69 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 13:53:45.91 ID:s7PDFtbl0
女盗賊「金目の物は無いわけ!?」
カル「お金ならあるけど、少ししか無いよ?」
女盗賊「じゃあ荷は!? この食糧だけじゃないわよね!?」
カル「今調べただろ? 荷はそれだけだよ」
女盗賊「じ、じゃあ、お宝的な物は!?」
カル「だからそんなの無いって。あの、そろそろ縄解いてくれない?」
女盗賊「畜生、ハズレかよぉ…」
カル「(全然聞いてない)」
70 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 13:55:22.30 ID:s7PDFtbl0
女盗賊「こんなんじゃ、もうどうしようも……」ボソッ
カル「え? 何か困ってるの? 俺で良かったら相談乗るけど」
女盗賊「うっさい間抜け!!」ヒュッ
カル「痛っ、ちょっ、石投げないで!!」
女盗賊「高そうな着物を着て、白馬になんて乗ってるから期待したのに!!」
カル「えぇ…そんな事言われたって」
女盗賊「うあー、もうっ!!」ダンッダンッ
71 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 14:09:45.27 ID:s7PDFtbl0
カル「大人っぽいのに、駄々をこねる子供みたいだな……」
女盗賊「あ? 何か言ったか?」
カル「いえっ、何も言ってません。それより馬は?」
女盗賊「馬なら外に置いてるよ。あの馬は金になりそうだし」
カル「…………」
まあ、白月が無事で良かった。
と言うか、間抜けなのか、俺。
道でうずくまってる人がいた。
だから馬を降りて「大丈夫ですか?」って声を掛けたんだ。
そしたら、いきなり変な匂いする袋を投げつけられて。
目が覚めたら、これだ。
72 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 14:11:57.86 ID:s7PDFtbl0
……まあ確かに、騙された俺が間抜けなだけかもしれないけどさ。
人を見た目で判断しちゃ駄目だよ。うん。
でも、何でこんな事するんだろ?
女盗賊「他に、他に何か方法は……」イライラ
カル「怒っても良いこと無いよ? 少し落ち着い」
女盗賊「 うっさい!! 」
きっと事情があるんだろうけど…
この調子じゃ、話してくれなそうに無いな。
73 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage saga]:2014/03/13(木) 14:13:01.38 ID:s7PDFtbl0
つづく
74 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/13(木) 14:33:04.04 ID:Bd7lAZha0
女盗賊は月に一度のアレかアレだな
75 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/13(木) 18:39:12.90 ID:7HM7jsxu0
乙、続きに期待
76 :
>>1
[saga]:2014/03/13(木) 19:47:57.65 ID:tRfvCdjr0
※※※
カル「落ち着いた?」
女盗賊「……あんたさぁ、何でそんなに冷静でいられるわけ?」
カル「いや、何でかな?」
女盗賊「知るかバカ。あぁ、殺されるぅ…とか思わないわけ」
カル「だって殺さないでしょ?」
女盗賊「…………」
カル「殺すつもりだったら、あの時殺されてただろうし」
77 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 19:49:33.20 ID:tRfvCdjr0
女盗賊「騙されたのに平気な顔して、変な奴」
カル「そうかな? 困ってる人がいたら助けるだろ?」
女盗賊「オマケにお人好し。で、田舎者」
カル「田舎者? 俺が?」
女盗賊「あんた以外に誰がいるわけ?」
カル「おっかしいな。都じゃ皆こんな格好してるって、ババ様が言ってたのに」
女盗賊「今時っつーか、今も昔も、そんな派手な格好してる奴いねーよ」
78 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 19:51:35.12 ID:tRfvCdjr0
カル「そ、そうなの?」
女盗賊「そういう間違った認識が、如何にも田舎者っぽい」
カル「(ババ様……まあ、俺は気に入ってるし、いいけどさ)」
女盗賊「もういいよ」
カル「え?」
女盗賊「縄、もう解けたんでしょ? もう、行っていいよ」
79 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 19:53:09.26 ID:tRfvCdjr0
カル「気付いてたんだ」
女盗賊「当然でしょ。ほらっ、さっさと行きなよ」
カル「……あのさ」
女盗賊「なに?」
カル「こうして出逢ったのも何かの縁だし、話してくれないかな」
女盗賊「………」
カル「俺には、どうしても君が悪い人には見えないんだ」
80 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 19:55:05.65 ID:tRfvCdjr0
女盗賊「聞いてどうするわけ?」
カル「うーん。それは、聞いてから考えるよ、うん」
女盗賊「ぷっ、あははっ、なにそれ。はぁ全く、本当に変な奴」
うん。やっぱり女の人は笑ってる顔が一番いい。
女盗賊「あたし、恩返ししたいんだ」
カル「恩返し?」
女盗賊「そ、恩返し。昔……って言っても、最近なんだけどさ」
81 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 19:57:52.24 ID:tRfvCdjr0
女盗賊「ちょっとしたヘマした所を、お人好しのバカ神父に助けられたんだ」
カル「そ、そうなんだ」
女盗賊「その神父は教会で孤児達と一緒に暮らして、面倒見てるんだ」
カル「へぇ、格好いい人だね」
女盗賊「ああ、あたしとは全然違う。真面目で、真っ当な人間だよ」
女盗賊「でもそんな真面目に生きてる奴が、病で倒れちまったんだ」
カル「………」
82 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 19:59:12.88 ID:tRfvCdjr0
女盗賊「治療には、かなり金が掛かる」
カル「じゃあ君は、その為にお金を?」
女盗賊「まっ、そういうこと」
カル「(嘘吐いてるようには、見えないな)」
女盗賊「……こんな事したって、あいつは喜ばないんだろうけど」
カル「治療には幾ら掛かる?」
女盗賊「んー、百万くらいじゃねーかな。腹を開くって言ってたし」
83 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 20:01:32.82 ID:tRfvCdjr0
カル「そっか……」
女盗賊「これで話しはお終い。ほらっ、もう行きなって」
カル「そのくらいなら、何とか出来る」
女盗賊「はぁ!? あんたにそんな金無いだろ、何バカなこと言ってんだ」
カル「いや、大丈夫だよ。取り敢えず、神父さんがいる町に案内してくれないかな」
女盗賊「その話し、嘘じゃねえだろうな? 何か企んでるんじゃ」
カル「……それはこっちの台詞だよ」
84 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage saga]:2014/03/13(木) 20:02:48.50 ID:tRfvCdjr0
つづく
85 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/13(木) 20:29:08.50 ID:FuELQGN+0
おもろい、続き待っとるよ
86 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 22:05:31.46 ID:tRfvCdjr0
※※※※
ーー篝火の町
ガヤガヤ…
女盗賊「あんたの馬、やっぱり速いわ。まさか馬売る気?」
愛馬を売るなんて信じられない。
みたいな顔で俺を見てるけどさ、白月、売ろうとしてたよね。
カル「違う違う。売るのはこれだよ」
女盗賊「その派手な着物? 確かに高そうだけど」
カル「まあ、鑑定して貰えば分かるよ。呉服屋はどこにある?」
女盗賊「……あのさ、今更だけど本当にいいわけ?」
87 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 22:07:04.72 ID:tRfvCdjr0
カル「いいって、何が?」
女盗賊「何がって、知らない奴にここまでするなんてさ……」
カル「大丈夫。俺は、したい事をしてるだけだから」
女盗賊「まさか、あたしの体が目当て?」
カル「えっ、何で?」
女盗賊「こんなに良くしてやったんだから、体で払え。ゲヘヘ…的な」
カル「ははっ、ないない。絶対無い」
女盗賊「………」イラッ
88 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 22:08:24.31 ID:tRfvCdjr0
カル「大体、人を眠らせて、縄で縛る女の人なんて誰が」
女盗賊「あ?」
カル「いやほら……人には、その、好みがあるから」
女盗賊「ああ」
カル「縛られて喜ぶ奇特な人も、いると思うし……」
女盗賊「………」
カル「呉服屋、行きましょうか」
女盗賊「さっさと付いて来い、変態」スタスタ
カル「なんで!?」
89 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 22:09:57.15 ID:tRfvCdjr0
※※※※
ーー篝火呉服店
店主「こ、これは凄いッ!! お客さんッ!! これを何処でッ!?」
カル「灯火の里です」
店主「やはりそうでしたかッ!!」
女盗賊「(声、デカっ)」
店主「いやはやッ!! まさかッ!! これ程の品に出会える日が来るとはッッ!!」
カル「あの、少々汚れてしまいましたが、幾らで売れます?」
店主「売って下さるんですかッ!? これならッ!! 一千万出しますよッ!!」
90 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 22:11:43.21 ID:tRfvCdjr0
女盗賊「いっ、一千万!? そんなにすんの!?」
店主「もっと大きな呉服屋ならばッ!! 数倍の値段を提示されても買うでしょうなあッ!!」
店主「それだけのおッ!! 価値がありますよッ!! ええッ!!」
カル「じゃあ、お願いします」
店主「喜んでッ!! 替えの着物は、こちらで用意しますのでッ!!」
カル「分かりました」
店主「少々ッ!! お待ち下さいッ!!」
女盗賊「あ、あんた、本当にいいわけ? 大事な物なんじゃ」
カル「ババ様には申し訳無いけど、聞いたからには放っておけないし」
91 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/13(木) 22:16:38.24 ID:tRfvCdjr0
女盗賊「もっかい聞くけどさ、どうして?」
カル「んー、尊敬してる人が、そういう人だからかな」
女盗賊「(尊敬する人、か)」
カル「その人ならこうするだろうし。着物一つで人が助かるなら、安いもんだよ」
カル「それにほら、何て言うか……あれだよ」
カル「一つの物は二つに分けて、大きい方を相手にあげなさい。ってやつだよ」
女盗賊「それとこれとは、話しが違うっつーの。そんなんじゃ、詐欺師に騙されるよ、あんた」
カル「大丈夫。それに、君は騙してないだろ?」ニコッ
女盗賊「(こんなバカなお人好し、あいつの他にもいたんだ……)」
店主「準備、出来ましたぁッッ!! 此方へどうぞッ!!」
カル「あ、はい」
92 :
>>1
[sage saga]:2014/03/13(木) 22:19:22.21 ID:tRfvCdjr0
次回「治癒」
93 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 01:11:45.48 ID:mCu1KgJi0
※※※※
ーー篝火教会
カラーン…カラーン……
女盗賊「着いたぞ。此処だ」
カル「…………」
女盗賊「どうした?」
女盗賊「その着物の所為か、浪人が懺悔しに行くみたいに見えるぞ」
カル「あ、いや。思ったより立派だったから。って言うか懺悔って……」
女盗賊「まあ外見はな。内装はボロいけど」
カル「……そうなんだ。で、神父さんはどこに?」
女盗賊「さっき昼の鐘が鳴ったから、今はチビ達と一緒に、聖堂で飯食ってるはずだ」
94 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 01:14:07.04 ID:mCu1KgJi0
カル「あの、今更だけどさ」
女盗賊「なんだ?」
カル「いきなり知らない人が来てさ」
女盗賊「ん? おうっ」
カル「いきなりお金渡されたらさ」
女盗賊「…………」
カル「受け取って、くれるかな」
女盗賊「行こうか」スタスタ
カル「(かなり不安だけど、やれるだけやってみよう)」
95 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 01:16:03.85 ID:mCu1KgJi0
※※※※
神父「お気持ちは嬉しいですが、そんな大金、受け取れません」
女盗賊「そんな事言わないで受け取れって、盗んだ金じゃないし!!」
神父「そういう問題ではありません」
カル「(そりゃそうだよな……)」
女盗賊「こんなバカみたいに良い奴、二度と現れないぞ!!」
カル「(酷い言われようだ。確かに馬鹿かもしれないけど)」
女盗賊「それに、チビ達はあんたがいなけりゃ生きてけない」
96 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 01:18:27.33 ID:mCu1KgJi0
神父「…………」
女盗賊「だから、頼む。受け取ってくれよ……」グスッ
神父「……すいません。それでも受け取れません」
神父「既に後任の者は決まっております。子供達には、上手く伝えるつもりです」
女盗賊「っ!! バカッ!! もう勝手にしろ!!」ダッ
神父「…っ、すいません。貴方も、お引き取り下さい」ガタッ
チリン…
カル「ちょっと待って下さい」
97 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 01:20:01.21 ID:mCu1KgJi0
神父「まだ何か?」
カル「神父さん、その首飾りはどこで?」
神父「これですか? これは、子供達が露天商から頂いた物らしいです」
神父「子供達から初めての贈り物なので、身に付けているんですよ」
カル「……あの、倒れたのは最近ですよね?」
神父「ええ、そうですが」
カル「具合が悪くなったのって、それを貰った時からなんじゃないですか」
98 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 01:25:36.59 ID:mCu1KgJi0
神父「!! 確かに時期は合致しますが、ただの偶然です」
カル「偶然じゃ無いかもしれません」
神父「何を根拠にそんな事を、失礼ではありませんか?」
カル「怒るのも分かります。ごめんなさい……」
カル「確かに根拠は無いです。でも倒れた原因が、その首飾りかもしれないんです」
神父「(……何だ。この青年から、何か不思議な温かさを感じる。心なしか、体が軽い)」
カル「神父さん、少しだけ俺の話しを聞いてくれませんか」
神父「分かりました。では此方へ。お話しは、私の部屋で聞きましょう」
99 :
>>1
[sage saga]:2014/03/14(金) 01:27:20.27 ID:mCu1KgJi0
つづく
100 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/14(金) 01:28:57.71 ID:/Xm8zOBZo
店主正直だなあ
101 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/14(金) 12:07:13.29 ID:n8hycDqq0
おつ、店主強そうだな
102 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 13:01:01.81 ID:RdN9bzOs0
※※※※
ーー神父の部屋
神父「黒水晶に氷の怪物、暗闇の妖精。ですか……」
カル「それに、あの時と同じような感覚がしたんです」
神父「あの時?」
カル「はい。氷の怪物と対峙した時の、嫌な感じです」
神父「この首飾りから、ですか」チリン
カル「……はい」
神父「ですが私に、そんな力は使えませんよ?」
カル「そう、そこなんですよ!!」
103 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 13:02:00.78 ID:RdN9bzOs0
神父「えっ、何がです?」
カル「嫌な感じは確かにするんですけど、神父さんはアイツとは違う」
神父「は、はぁ」
カル「神父さん、悪い人じゃないし」
神父「(ふっ、素直な青年だ。あの子が頼ったのも分かる気がする)」
カル「あの、何か変わったな。って事ありませんか?」
神父「変化。ですか」
104 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 13:03:32.46 ID:RdN9bzOs0
カル「何でもいいんです、何か以前と違うとか」
神父「……思い当たる事なら、あります」
カル「それはどんな?」
神父「この事は、他言無用でお願いします」
カル「はい。約束します」
神父「子供達を見ていると、湧き上がってくるのです」
カル「湧き上がる?」
105 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 13:04:29.26 ID:RdN9bzOs0
神父「ええ。何と言えば良いのか、憎しみや怒りのような。黒いものです」
カル「(黒いもの……)」
神父「後任者を立てたのは、病が原因などでは無いのです」
カル「え?」
神父「その感情が日に日に強くなり、それが、子供達に向けらている」
神父「私が守るべき子供達なのに!! それなのに、私は……」グッ
カル「(神父さん……)」
106 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 13:06:03.59 ID:RdN9bzOs0
神父「体が悪いのもありますが、私には、それが怖ろしくて……」
カル「だから、後任者を決めた」
神父「ええそうです。ですから、私にはもう神父など」
カル「大丈夫です。神父さんなら、絶対大丈夫です」
神父「何故、そう言えるんです?」
カル「これは俺の想像なんですけど……」
カル「神父さんが良い人だから、苦しんでるんじゃないかって思うんです」
107 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 13:08:37.99 ID:RdN9bzOs0
カル「その黒水晶は強い力を与える物。だけど、神父さんはそんな力を望んでない」
カル「神父さんの心が拒否してるんです。だから悪影響しか及ぼさない」
神父「ふふっ、貴方は純粋な人ですね」
カル「女盗賊さんには馬鹿って言われましたけどね……」
神父「ですが、同時に本当は聡い方でもある。一体、何を考えているんです?」
カル「その首飾り、少しの間預からせてくれませんか?」
108 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 13:10:48.00 ID:RdN9bzOs0
神父「……分かりました。いいでしょう」スッ
カル「後、空いてる部屋貸して貰えますか!?」
神父「え、ええ、どうぞ」
カル「じゃあ、待ってて下さい!! 絶対、壊したりしませんから!!」
ガチャ バタンッ
神父「(本当に、不思議な青年だ。人を惹き付ける何かを持っている)」
神父「清らかな心を、持っているのだろうな」
109 :
>>1
[sage saga]:2014/03/14(金) 13:12:12.76 ID:RdN9bzOs0
つづく
110 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 14:50:55.60 ID:RdN9bzOs0
※※※※
篝火教会・空き部屋
カル「…………」
この黒水晶が人の思いに応える物で、持ち主に力を与えるとしたら。
どんな『思い』に応える?
力への欲求。
ーー憎しみや怒りのような、黒いものです。
カル「そういえば黒かったな、あの氷。暗闇の妖精、力の一欠片……」
そういう感情を力にするのか?
あの時戦った氷の怪物。
ババ様の話しによれば、あれは里に来た武芸者で間違い無い。
111 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 14:51:26.17 ID:RdN9bzOs0
ーーそれだけの価値がある。
ーー究極の強さ、力とは、人を超えた先にあると知った。
あの武芸者は、力を求めていた。
人じゃ無くなっても、後悔してる様子は一切無かった。
じゃあ単純に、力を求める者に力を与える物なのか。
でも結果的には、人を壊す。
力を求めない人にも、害を為す。
112 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 14:52:36.65 ID:RdN9bzOs0
カル「誰がこんな物をばらまいてるんだ。何が目的で……」
教会の子供達に聞いたら、露天商にタダで貰った。と言っていた。
どんな人物かと聞いたら、皆バラバラの答え。
俺と同い歳くらいの男、可愛いお姉ちゃん、おばさん、お爺ちゃん。
こんな風に、皆が別々の人物を口にした。
カル「……まっ、今は置いておこう」
113 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 14:58:15.21 ID:RdN9bzOs0
今すべきは、この黒水晶の首飾りを、壊さずに何とかすること。
爺ちゃんには壊せって言われた。
けど神父さんにとって大事な物だし、絶対に壊したくない。
カル「この中に入ってる何か。それだけを壊せばいい……」
俺が触っても大丈夫だった。多少、気分悪いけど。
って事は、そこまで敏感な物じゃない。
この黒水晶の首飾りは、力を与えるか、人体に害を為す。
危険を察知したり、知性みたいな物は無い。
カル「問題は、どうやって壊すか。だよな」
114 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 15:00:07.30 ID:RdN9bzOs0
ちょっと調べてみよう。
うん。黒水晶の中は、まあ当然黒い。
……んっ!? 今、なんか動いたぞ。何て言うか、真っ黒い蛭みたいだ。
この中で生きてる。のか?
じゃあこの黒い蛭が、武芸者に力を与えてたモノ。
そして、神父さんを苦しめてるモノなのか。
カル「だとしたら、この黒い蛭さえ退治出来れば……ただの首飾りに戻るはず」
115 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 15:01:41.40 ID:RdN9bzOs0
外部からじゃ無理だ。壊れる。
だったら、内側からやるしかない。
……やれるか?
カル「いや、やってやる。絶対に成功させる」
まずは、手のひらに炎を呼び出す。
呼び出し方なんて分からないけど、とにかく呼び出す。
カル「…………」グッ
116 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 15:05:12.69 ID:RdN9bzOs0
ーー助けたいんだ。
力って、戦う為だけにあるわけじゃない筈だ。
誰かを守る為にだって、力は必要なんだ。
だから、頼む。力を貸してくれ。
カル「……!! よっしゃ、出た!!」
これを何度か繰り返して、火力を調整。強弱のコツを掴む。
掌にしか出してないのに、滅茶苦茶疲れるな。でも、出来た。
後は、この黒水晶の首飾りを持って……
カル「黒水晶の内側に、炎を!!」
117 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage saga]:2014/03/14(金) 15:06:56.03 ID:RdN9bzOs0
次回「消失」
118 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/14(金) 15:51:35.15 ID:n8hycDqq0
縺翫▽縺翫▽
119 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:13:49.16 ID:RdN9bzOs0
※※※※
篝火教会・神父の部屋
コンコンッ
神父「はい」
カル『俺です。入っていいですか?』
神父「ええ、どうぞ」
ガチャ…バタン
神父「早かったですね。何か分かりましたか?」
カル「色々分かりました。首飾り、ありがとうございます」スッ
神父「あの、これは?」
カル「すいません……」
120 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:15:18.94 ID:RdN9bzOs0
神父「綺麗な赤ですね。一体何が?」
カル「黒水晶の中には、黒い蛭のような奴がいました」
神父「黒い、蛭……」
カル「それを内部から燃やしたんです」
神父「そんな事、どうやって?」
カル「言ってませんでしたっけ。俺、炎を使えるんですよ」
神父「聞いていませんよ……」
カル「ははっ、すいません。とにかく、炎で蛭を燃やしたら」
神父「黒水晶の色が、赤に変わったと?」
121 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:16:53.45 ID:RdN9bzOs0
カル「はい。俺もびっくりしました」
神父「(暗闇の妖精、炎使い……まさか!!)」
カル「もう嫌な感覚はしないし、身に付けても大丈夫だと思います」
神父「……そうですか」
カル「あの、やっぱり駄目でした? 色変わっちゃったし」
神父「いえいえ、そんな事はありません。ありがとうございます」チャラ
カル「おぉ、ちょっと派手になっちゃいましたけど、似合ってますよ」
122 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:17:49.57 ID:RdN9bzOs0
神父「そうですか? ありがとうございます」
ヂリッ…カッ!!
カル「首飾りが光った!? なにが!?」
神父「うっ…」ドタッ
カル「神父さん!! 大丈夫ですか!?」
神父「え、ええ。一瞬、くらっときただけです」
カル「……やっぱり、お金は受け取ってくれませんか?」
123 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:19:30.14 ID:RdN9bzOs0
神父「それは、出来ません。それに」
カル「ど、どうしました?」
神父「どうやら、病は失せたようですから」
カル「えっ?」
神父「嘘ではありませんよ?」
カル「そんな、病気が急に治るわけ」
神父「炎を司る者」
124 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:25:55.95 ID:RdN9bzOs0
カル「は、はい?」
神父「汝、その身に浄火を宿し闇を照らし、穢れを焼き尽くすであろう」
カル「あの、それは?」
神父「暗闇の妖精と戦った四人の戦士の物語。その一文です」
カル「へぇ、何か格好いいですね」
神父「ふふっ、これは貴方の事ですよ」
カル「へ? 俺が、炎を司る者?」
125 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:27:17.80 ID:RdN9bzOs0
神父「ええ、私にはそう思えてなりません」
神父「事実、私の中の穢れ。この場合は病ですね。それが消えた」
カル「そんな凄い炎なら、神父さんまで燃えちゃうんじゃ?」
神父「ええ、私自身が穢れ。そう判断されれば、消し炭になっていたでしょうね」
カル「……あの、体は本当に大丈夫なんですか?」
神父「勿論。先程まで体中を刺すような痛みも、今では綺麗さっぱり無くなりました」
神父「憑き物が落ちた。正にそんな心地です」
126 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:29:39.13 ID:RdN9bzOs0
カル「何だか良く分からないですけど、病気が治ったなら良かったです」
神父「貴方の方こそ大丈夫ですか? 随分お疲れのようですが」
カル「黒い蛭を燃やすのに炎をかなり使っちゃって……」
カル「それに病気治ったって聞いて安心した所為か、どっと疲れました」
神父「空き部屋で良ければ自由にお使い下さい。私には、これくらいしか」
カル「いやいや十分ですよ!! それに、俺が勝手にやった事ですから」
神父「……本当に、ありがとうございます」
127 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:30:28.82 ID:RdN9bzOs0
カル「お礼なんていいですって。それより、あの子達に元気な顔見せてあげて下さい」
神父「(こんな心優しい青年が、過酷な戦いに身を投じるのか……)」
カル「どうしました?」
神父「いえ、力を宿したのが貴方のような人物で良かった」
神父「そう思う反面、何故貴方のような人物に力を授けたのか。そう思っていました」
神父「戦いなど、辛いだけでしょうに」
カル「殴ったりするのは確かに嫌ですけど、それしかないなら、やるしかないですよ」
128 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:33:36.71 ID:RdN9bzOs0
カル「強いって、そういう事だと思うんです。投げ出さないって言うか、逃げないって言うか……」
神父「(この瞳。やはり、なるべくしてなったのかもしれない)」
神父「……今更ですが、お名前は?」
カル「あれ、言ってませんでしたっけ? 俺はカルです。カル・アドゥル」
神父「カルさん、良ければ泊まっていってくれませんか。子供達も喜びますので」
カル「そういう事なら是非!! 俺、女盗賊さん呼んできます」
神父「え?」
カル「きっと喜びますよ? さっき子供達と一緒にいましたから、すぐに連れて来ます!!」ダッ
ガチャ バタン
神父「ふふっ、全く忙しい人だ」
129 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:35:42.66 ID:RdN9bzOs0
ドンッ…
『痛っ、ちゃんと前見て走れ!! バカ!!』
カル「すいません。ってあれ、女盗賊さん!? なんで」
神父「どうしました? 一体何の騒ぎです?」
女盗賊「町の広場に、火を吐く化け物が出たんだ!! だから避難しろって伝えに来たんだよ!!」
神父「火を吐く、化け物?」
女盗賊「ああそうだよ。嘘臭いから見に行ったら町は大騒ぎで、兵士が化け物と戦ってた……」
女盗賊「とにかく!! あんなのに勝てっこない。チビ達を連れて早く逃げないと」
カル「神父さん。俺、行って来ます!!」ダッ
130 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 21:42:31.56 ID:RdN9bzOs0
女盗賊「バカっ、死ぬ気!? あんたに何が出来るわけ!?」
カル『大丈夫!! なんとかしてみせる!!』
女盗賊「行っちまった…あんな化け物、絶対倒せるわけない」
神父「我々は、我々の出来る事をしましょう。子供達の避難が優先です」
女盗賊「あいつを見殺しにする気かよ!? あたしも行く!!」ダッ
ガシッ…
神父「待ちなさい!!」
女盗賊「離せよっ!!」
神父「離しません!! カルさんにはカルさんの、我々には我々のやるべき事があるのです!!」
女盗賊「っ、何だよ…それ」
神父「(カルさん。どうか、ご無事で)」
131 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 22:14:15.20 ID:RdN9bzOs0
※※※※
篝火の町・広場
カル「もう、此処には居ないのか?」
露店が全て燃やされてる。
それに、炎が黒い。
黒水晶を身に付けた人間の仕業なのか、それとも他の何かが?
くそっ、酷い臭いだ。
所々に見える黒い塊は、死体で間違い無い。自我があるとしたら、武芸者とは質が違う。
奴は、民を殺しはしなかった。
だがこれをした奴は、そんなの関係無しだ。
132 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 22:18:07.21 ID:RdN9bzOs0
早く見つけないと、被害者が増え続ける。
カル「どこに居る……?」
何だ? 地面が揺れてる。地震か?
いや違う。何かが向かって来てる……
あれが炎を吐く化け物か。武芸者とは、形態が全然違う。
人の面影が全く無い。四つ脚で疾駆する姿は正に獣だ。
炎獣「ゴアァァァッ!!」
カル「っ、何て声だ……」
133 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/14(金) 22:20:00.66 ID:RdN9bzOs0
元が、猪か何かなのか?
黒水晶で変化するのは、人間だけじゃない?
一体どうやって……
くそっ、分からない事だらけだ。
とにかく、これ以上被害が拡大する前に倒さないと。
カル「……あれ?」
炎獣「ブオァァッ!!」ダダッ
ズドンッ
カル「がっは…」ドサッ
何でだ!? 何が起きた!?
ーー何で、炎が出ないんだ!?
134 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/14(金) 22:24:16.09 ID:RdN9bzOs0
次回「意地」
135 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 01:36:10.93 ID:ha7ZXO8F0
カル「ぐっ、うぅ」ググッ
戦う術が無い。
炎が使えないなら、どうすればいいんだ?
普通に戦ったって、恐らく通じない。
武芸者の時だって、炎を使ってようやく倒せたんだ。
唯一、望みがあるとすれば……
炎獣「ブオァァッ!!」ダダッ
カル「っ!!」
136 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 01:37:50.77 ID:ha7ZXO8F0
突進が速い。
さっきの突進をまともに喰らったせいか、まだ視界が定まらない。
あの突進、後何度躱せるか分からない。
カル「どうにか、しないと」
黒水晶は、背中に刺さっていた。
誰かが刺した。あれは、人為的に変化させられたんだ。
まだ時間が経っていないのか、黒水晶のツタは、猪の全身には達して無い。
どうにか、背中に乗れれば……
137 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 01:39:22.40 ID:ha7ZXO8F0
炎獣「ブルルルッ」
俺を狙ってくれるのは嬉しいけど、戦う力が無い。
何度も試したけど、やっぱり炎が出る気配は無かった。
炎獣「ブルッブルルッ!!」ザッザッ
カル「(次が来る。なにか、何かないのか……)」
炎獣「ブルオォォッ!!」
カル「(っ、駄目だ。避けきれないっ)」
ドガッ…
138 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 01:40:27.36 ID:ha7ZXO8F0
カル「うぅっ」ズリッ
何だか衝撃が軽かったような……
助かったのか?
待て、さっきの突進とは全く感覚が違った。
奴の突進なら、間違い無く死んでたはずた。
何かに、違う何かに突き飛ばされたんだ。
でも、一体誰が……
カル「うぅ!? なっ、やめ」
139 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 01:41:39.21 ID:ha7ZXO8F0
顔、舐められてる。
この臭い。人間じゃあ無いよな。
だったら、何だ。
まさか……
カル「白月か!!」ガバッ
白月「ブルッブルルッ」ペロペロッ
カル「よしよし、もう大丈夫だ。放っといてゴメンな」
140 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 01:43:22.34 ID:ha7ZXO8F0
ごめんな白月。
今はお前と戯れてる暇は無いんだ。
戦えないないなら、戦えないなりに何かやるしかない。
カル「…………」
そうだ。白月で引き付けて、町を出ればいい。
そうすれば、被害拡大は防げる。
カル「白月、頼む」
白月「ブルルッ……」スリスリ
カル「ありがとう。じゃあ、行こう」タンッ
141 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 01:45:11.25 ID:ha7ZXO8F0
まずは、奴の周囲を走って挑発する。
剣で斬りつけるってのもありだな。
取り敢えず、意識を完全にこっちに向けてくれればそれでいい。
カル「行くぞ、白月」ポンッ
白月「ブルッ…」カカッ
そうだ。円を描くようにゆっくり。
それから速度を上げて、一気に近付く。よしっ、いける。
一度、馬上から黒水晶を狙って斬りつけてみよう。
怒ってくれればいいけど。
142 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 01:47:49.04 ID:ha7ZXO8F0
カル「ぜりゃっ!!」
ガギンッ…
炎獣「ブッギャアアアッ!!」
効いてる?
まだ黒水晶との繋がりが甘いのか?
これなら、剣でもいけるかもしれない。
それにしても、町中はまずい。あの調子なら、絶対に追ってくるはずだ。
それに外に出れば、もっとやりやすくなる。
カル「こっちだ!! 来いっ!!」
炎獣「ブルッ…ブルオォォッ!!」ダダッ
143 :
>>1
:2014/03/15(土) 01:48:53.53 ID:ha7ZXO8F0
つづく
144 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/15(土) 02:46:23.06 ID:W8Am9vxPo
おつ
145 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/15(土) 07:05:14.38 ID:eVTLgjcDO
乙
暗闇の精霊サイドや化け物達の中から
主人公側につくキャラとか出す予定はありますか?
146 :
>>1
[sage]:2014/03/15(土) 13:39:41.10 ID:FFv3KdCn0
のび太、おばあちゃんの思い出 これ見て大変な事になってるから夕方に投下。
>>145
ちゃんとした『仲間』になるか分かんないです。
147 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 15:58:46.67 ID:FFv3KdCn0
※※※※
カル「くっ、速い」
炎獣「ブガアァッ!!」ズドドッ
草原におびき寄せたのはいい。
でも、距離が近過ぎる。これ以上は引き離せない
白月だから、まだ距離を保っていられるんだ。
並の馬なら、とっくに追い付かれて吹っ飛ばされてる。
このままじゃ、じきにやられる。いくら白月だって、長くは保たない。
得体の知れない化け物に追われてるんだ。
急激に疲労する事だって、十分にありえる。
炎獣「フゴッ!!」
148 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 16:04:06.50 ID:FFv3KdCn0
カル「止まった? 何を……」
炎獣「ゴアァァッ!!」グアッ
カル「炎か!? 走れっ、白月!!」ガッ
ゴオォォォ…
カル「っ、熱風が…」
何て火力だ。範囲も凄まじい。
仮に炎を使えていたとしても、勝てたかどうか。
あれを何度もやられたら、逃げ場か無くなる。
最悪、草原一帯が燃える。
149 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 16:05:27.80 ID:FFv3KdCn0
白月「フーッ…フーッ」
カル「白月……」
恐怖に耐えて走っただけでも、かなり消耗した筈だ。
挙げ句、炎なんて吐かれたら尚更だろう。
今もこうして俺を乗せていられる事自体、白月が強い証拠だ。
でも、白月もそろそろ限界だ。
一か八か、やってみるしかない。
150 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/15(土) 16:07:28.08 ID:FFv3KdCn0
カル「もう一度、走れるか?」
白月「フーッ…フーッ…ブルルッ!!」
カル「ありがとう。じゃあ、行こう!!」ガッ
真っ正面から突っ込んで、ぎりぎりの所で曲がる。
横並びになった瞬間が勝負だ。
炎獣「ブルッ…ブルオォォ!!」ダダッ
カル「やっぱり向かって来たか…」
151 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 16:09:08.60 ID:FFv3KdCn0
カル「今だ。白月っ!!」グッ
よしっ、何とか躱せた。重要なのは、次の動作。
白月の背に立って、跳ぶ。
そして猪の背に刺さった黒水晶を、掴む。
カル「くっ、おおおおっ!!」バッ
ガシッ…
カル「何とか、なった……うぉ!?」グラッ
炎獣「ブギィィィッ!!」
カル「そりゃ、暴れるっ、よな!!」ガシッ
152 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 16:11:04.96 ID:FFv3KdCn0
炎獣「ブルオォォ!!」ダダッ
カル「ぐっ、振り落とされ…て」
グサッ…
カル「たまるか!!」
炎獣「フギャアアアア!!」
……短刀、持ってて良かった。
お陰で、さっきよりは、ちょっとだけ楽になった。
後は、この黒水晶を引き抜くだけだ。
片手じゃ難しいけど、やるしかない。
153 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 16:12:25.67 ID:FFv3KdCn0
カル「ぐぬぬっ!! 思ったより、深いっ」ググッ
炎獣「ブッ…ガアァァァ!!」ゴッ
カル「ぐっ、あぁぁっ!!」
コイツ、炎を吐くだけじゃない。
体に炎を纏わせる事も出来たのか!!
熱が、上がってる。早く抜かないと、焼かれる。
カル「なっ、蔦が伸びた!?」
154 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 16:14:19.04 ID:FFv3KdCn0
何でだ? さっきまでは、何の動き無かったのに。
伸びたのは炎を纏ってからだ。それから、蔦が急速に伸びた。
まさか、力を使った所為で黒水晶が反応した?
だから蔦の侵蝕が早まってるのか。
カル「うっ…」
蔦が、体に巻き付いてきた。俺ごと覆うつもりか。
でも、お陰で体が固定された。
これなら、いける。
155 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 16:15:47.73 ID:FFv3KdCn0
カル「もう、少しだ」
くそっ、さっきより熱いぞ。腹が燃えてるのが分かる。
それに胸、腕、太腿、右頬……
頭が、重い。息が苦しい、どうにかなりそうだ。
だけど、もう少しで、抜ける。
カル「諦めて、たまるか」ググッ
ズッ…ズズズッ
カル「…け…ろ。抜けろっ、抜けろおぉぉ!!」
156 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/15(土) 16:16:45.33 ID:FFv3KdCn0
つづく
157 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/15(土) 16:19:54.59 ID:W8Am9vxPo
おつ
158 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 20:13:23.71 ID:FFv3KdCn0
炎獣「ブ…ガ…」グラッ
カル「とっ、取れた」ドサッ
炎獣「ガッ…ブガッ……」ドスン
カル「まだ、生きてるのか」
繋がりが甘いから、死なずに済んだのか?
いやそれより、黒水晶を取り除いたのはいいけど、今の俺じゃあ、これを壊せない。
炎が、もう使えないとしたら……
もしそうなら、早く仲間を見つけなきゃならないな。
159 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 20:14:52.12 ID:FFv3KdCn0
後は町に戻って黒水晶の存在を知らせて、色々説明しないと。
そしてその情報を、国王に伝えて貰えれば……
そうすれば、神父さんみたいな被害に遭う人も減る。
こんな危険な物、誰の手にも渡しちゃ駄目だ。
人。まして動物さえも苦しめる物は、あっちゃ駄目なんだ。
カル「…白月、いるか?」
白月「ブルッ…」ペロペロッ
カル「無理させて、ごめんな」ポンッ
160 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 20:17:33.32 ID:FFv3KdCn0
目が霞む。っていうか、右目が見えない。
着物は勿論、密着していた部分は、炎でかなりやられた。
火傷、酷い事になってるだろうな。
全く。旅の初日だっていうのに、随分と散々な目に遭ったもんだ。
カル「……それは、俺だけじゃないか」
篝火の町は、その多くが破壊されて、人も亡くなった。
町を守ろうとした兵士。
逃げ遅れた人、きっと訳も分からない内に死んだ人だっているだろう。
161 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 20:19:58.58 ID:FFv3KdCn0
カル「…………」
今頃きっと、消火作業や怪我人の手当てで大変だろうな。
炎獣「ブ…ガッ…」
……この猪が町を壊し、人をころしたのは確かだ。
でも、そうさせた奴は別にいる。
そいつを止めない限り、黒水晶による被害が無くなる事はないだろう。
だから早く町に戻って、俺が知っている事、今回の事件の原因を説明しないと。
早く行かなきゃならないのに、体が動かない。
162 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 20:21:42.60 ID:FFv3KdCn0
カル「やっぱり駄目だ。自力じゃ立てそうに」
白月「ブルルッ!! ヒヒーン!!」
カル「白月? どうした?」
『見つけた!!』
カル「えっ、誰…」
「っ、酷い火傷……おいっ、しっかりしろ!!」
カル「この声、女盗賊さん?」
163 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 20:22:52.60 ID:FFv3KdCn0
女盗賊「うっさい喋んな。今から町に運ぶ」グイッ
カル「あ、はい」
助けに来てくれたのか。
人を眠らせて、金品強奪を企ててた人とは思えない行動だ。
やっぱり、本当は優しい人なんだ。
女盗賊「あんたの馬、借りるよ。ちゃんと掴まりな」
164 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 20:23:54.01 ID:FFv3KdCn0
女盗賊「じゃっ、行くよ」ガッ
カル「……………」
ガガッ…ガガッ
カル「あのっ、女盗賊さん」
女盗賊「喋んなって言ったろ。それよりあんた、随分無茶したね」
女盗賊「火傷、かなり酷いよ。見てるこっちが、痛くなるくらいに…」
カル「それより、町はどうですか?」
女盗賊「……火は大分収まった。死んだ奴は、大半が兵士だったよ」
165 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 20:26:31.34 ID:FFv3KdCn0
女盗賊「怪我人はかなりいるけど、あんた程じゃないよ」
カル「そうですか…良かった……」
女盗賊「ちっともよくねーよ、バカっ。あいつも、かなり心配してたぞ」
カル「す、すいません」
女盗賊「でも」
カル「……?」
女盗賊「あんたがいなきゃ、もっと沢山の人が死んでた」
166 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 20:29:54.03 ID:FFv3KdCn0
カル「……………」
女盗賊「な、なんだよ」
カル「あっ、いや。誰も死なないのが、一番良いのになって……」
女盗賊「……疲れてんだろ。少し、休め」
カル「女盗賊さん」
女盗賊「なんだよ」
カル「助けてくれて、ありがとう」
女盗賊「(っ、それはこっちの台詞だっつーの、お人好し田舎バカ)」
女盗賊「……こっちこそ、ありがとよ」
167 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/15(土) 20:31:29.36 ID:FFv3KdCn0
次回「戦士の休息」
168 :
>>1
[sage]:2014/03/15(土) 21:18:40.01 ID:mQzlX8W40
次回「戦士の休息」
169 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 23:14:43.78 ID:IQAimfpE0
※※※※
篝火の町・広場
娘「あっ、シスターさん」
女盗賊「あ? なんだ…すか?」
娘「カル様の具合はどうですか?」
女盗賊「あいつなら、まだ目を覚まさねー。ですよ?」
娘「あのっ、これ」サッ
女盗賊「なにこれ」
娘「カル様に、渡して下さい」タタッ
女盗賊「めんどくせーな、自分で渡せ…って、いねーし」
170 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 23:15:53.13 ID:IQAimfpE0
ーー商店街
おばちゃん「あら、シスターさん」
女盗賊「ようっ、こんにちは」
おばちゃん「あの子、まだ目を覚まさないの?」
女盗賊「ああ。ぐーすか寝てやがる…ますよ」
おばちゃん「心配だわねぇ、早くお礼したいわぁ」
女盗賊「目が覚めたら、教えてやるよ」
おばちゃん「そうだ、これ持っていきな」ドサッ
女盗賊「いいのか? 食い物少ねーのに」
171 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 23:17:40.39 ID:IQAimfpE0
おばちゃん「いいのいいの。お医者さんの手伝いで疲れてるでしょ?」
おばちゃん「家の旦那も、世話になったからね」
女盗賊「おうっ、ありがとな」
スタスタ…
おじさん「お、教会の姉ちゃん」
女盗賊「あ? なんか用か?」
おじさん「あの坊主、まだ目ぇ覚まさねぇのか?」
女盗賊「まだ寝てるよ。峠は越したから大丈夫だけどな」
おじさん「目ぇ覚めたらよ、ウチの店にメシ食べに来い。って言っといてくれや」
女盗賊「おう、ちゃんと言っとく」
スタスタ…
172 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/15(土) 23:19:50.84 ID:IQAimfpE0
店主「あのッ!!」
女盗賊「んだよ!!」
店主「カルさんはッ、大丈夫ですかッ!?」
女盗賊「峠は越したから大丈夫だよ!!」
店主「そうですかッ!!」
女盗賊「じゃあな…」
店主「ちょっと待って下さいッッ!!」
173 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/15(土) 23:25:28.61 ID:IQAimfpE0
女盗賊「うっせーな!! なんだよ!?」
店主「この着物ッ、お返ししますッ!!」
女盗賊「それ、あいつの……良いのかよ? 高値で買い取ったのに」
店主「彼は、町を救ってくれた。多くの命を救ってくれた」
女盗賊「……そうだな」
店主「私には、こんな事しか出来ません。目が覚めたら、これを渡して下さい」スッ
女盗賊「分かったよ。あ、あのさっ、あんたから受け取った金は手付かずなんだ」
女盗賊「だから、後で返しに来る。あいつなら、そうするだろうし」
174 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/15(土) 23:32:44.02 ID:IQAimfpE0
店主「いえ、結構です」
女盗賊「えっ、なんでだよ」
店主「商売を再開すれば、すぐに取り戻せますから」ニコッ
女盗賊「そうかい、じゃあな」
店主「ちょっと待って下さい」
女盗賊「ん? どうした?」
店主「出来ればッ!! 返して頂けると助かりますッ!!」
女盗賊「じゃあ最初からそう言え!! 変な見栄張るんじゃねーよ!!」
店主「すいませんッ!!」
女盗賊「じゃあな」
店主「はいッ!! では失礼ッ!!」ザッ
スタスタ…
女盗賊「……………」ピタッ
女盗賊「あのハゲ……普通に喋れんじゃねーか!!」
175 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/15(土) 23:33:56.15 ID:IQAimfpE0
つづく
176 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/16(日) 03:04:49.76 ID:EBSQiY9ko
わろた
177 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 03:36:16.65 ID:Qdox9Nvg0
※※※※
篝火教会・空き部屋
カル「すぅ…すぅ…」
医師「あの不良娘をよく更正出来たな」
医師「言葉遣いは相変わらずだが、今じゃシスターなんて呼ばれてるぜ?」
神父「元々ああいう子なんです。私は何もしていませんよ」
医師「若い娘を誑かすなんて、悪い神父もいたもんだ」
神父「…………」
178 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 03:37:50.58 ID:Qdox9Nvg0
医師「冗談だ。そんな目で睨むな」
神父「それより、今日で五日目です。彼の容態はどうですか?」
医師「何度も言っただろ?」
医師「峠は越えた。後は目が覚めるのを待つだけだ」
神父「右目はどうですか?」
医師「網膜は完全に治癒してる。全く、馬鹿げた回復力だよ」
神父「では…」
179 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 03:38:48.57 ID:Qdox9Nvg0
医師「ああ、起きる頃には視力は戻ってるだろうよ」
神父「医師。他にも怪我人がいる中、ありがとうございます」
医師「気にするな。それに、俺は消毒くらいしかしていない」
神父「そうなのですか?」
医師「ああ。運ばれてきた時は、正直諦めていたんだがな」
神父「私はその時、教会に居ましたので。そんなに酷かったのですか?」
医師「酷いなんてもんじゃない。焼け爛れた死体かと思ったよ」
180 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 03:40:20.10 ID:Qdox9Nvg0
カル「すぅ…すぅ」
医師「……仮に治療したとして、回復する見込みは殆ど無かった」
医師「それがどうだ? たった五日でここまで回復してる」
神父「私の話し、信じて下さいましたか?」
医師「精霊の加護、か。こんなものを見せられれば、信じざるを得ないわな」
神父「彼が居なければ、町は壊滅的な状態になっていたでしょう」
カル「白月…が…飛ん…でる…」
181 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 03:41:56.23 ID:Qdox9Nvg0
医師「なあ、本当にコイツが化け物を倒したのか?」
神父「ふふ、まだあどけなさが残る青年ですが、間違い無いでしょう」
医師「あんな火傷を負った癖に、幸せそうな顔して寝ていやがる」
神父「彼は、そういう人なんですよ」
医師「話しは変わるが、町を襲った化け物。あれは猪らしいな」
神父「ええ、あの子に聞きました」
医師「その猪だが、まだ見つかってないそうだ」
182 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 03:44:40.01 ID:Qdox9Nvg0
神父「……もう町には来ないと思いますが」
医師「コイツが持っていた黒水晶、それが猪を凶暴化させた。そう言ったな」
神父「ええ、貴方は何かを感じませんでしたか?」
医師「確かに言いようのない何かを感じた。心身に害を為すだって事は分かる」
医師「だがな、それを信じる奴がいるか?」
神父「…それは」
医師「俺はお前と付き合いが長い……」
医師「だから、荒唐無稽な話しを最後まで聞いた」
183 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 03:49:07.10 ID:Qdox9Nvg0
医師「だが他の奴なら、お前の頭を疑うぞ?」
医師「ましてあの猪を擁護するような発言は、他の奴の前では絶対にするな」
医師「例え凶暴化していたのが真実だとしても、あの猪に殺された者がいる」
医師「これは、事実だ」
神父「大丈夫です。それは、分かっていますから…」
医師「そうか、ならいい」
カル「…爺…ちゃん……」
神父「何にせよ。彼が目覚めるのを待つしかないでしょう」
184 :
>>1
:2014/03/16(日) 03:50:06.95 ID:Qdox9Nvg0
つづく
185 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/16(日) 11:10:57.80 ID:twisrZ5W0
乙ッ!
186 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 16:32:44.87 ID:HWtom0gt0
医師「まっ、コイツならもう大丈夫だ。じきに目を覚ますさ」
神父「そうですか。ありがとうございました」
医師「礼はいいよ。それじゃあ俺は、普通の怪我人の治療に戻るとするよ」
神父「また手伝える事があれば、何でも言って下さい」
医師「いや、大分落ち着いてきてるから問題無い」
医師「それに、聖堂を貸してくれただけでも十分だ。子供達も、手伝ってくれてるしな」
カル「すぅ…すぅ…」
医師「ふっ、じゃあな」
神父「ええ、貴方も体には気を付けて下さいよ?」
187 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 16:37:20.20 ID:HWtom0gt0
医師「そうは言っても、休む暇が無いんでな。んじゃ、またな」
神父「ええ、また」
ガチャ…バタン
カル「すぅ…すぅ」
医師「カルさん。せめて今は、ゆっくり休んで下さい……」
コンコンッ…
女盗賊『入るよ?』
神父「あ、はい。どうぞ」
ガチャ…バタン
188 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 16:39:04.09 ID:HWtom0gt0
神父「お帰りなさい」
女盗賊「なんだよ、まだ起きてねーのか」
神父「きっと疲れが溜まっているんです。気長に待ちましょう」
カル「そんなの…おとこわり…だ」
女盗賊「……お断りだろうが、バカ」
女盗賊「つーかさ、医者も大変なんだな、廊下走ってったよ」
神父「近隣の町からも医者は来ていますが、それでも足りないのでしょう」
189 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 16:41:01.19 ID:HWtom0gt0
女盗賊「瓦礫の撤去にも、時間がかかりそうだった」
神父「……そうですか」
女盗賊「それでも、被害は少ない方だよ」
カル「べ…すとを…つくせ」
女盗賊「それも、こいつのお陰だな」
神父「ええ、そうですね。ところで、その荷物は何です?」
女盗賊「言っとくけど、盗んだんじゃねーからな」
190 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 16:42:10.63 ID:HWtom0gt0
神父「ふふ、分かっていますよ」
女盗賊「町の皆が、こいつにやってくれってさ」ドッサリ
神父「そ、そうですか。凄い量ですね」
女盗賊「持ってくるの大変だったんだぞ」
神父「……女盗賊さん」
女盗賊「な、なんだよ。急にかしこまって」
神父「怪我人の搬送や手当て、ありがとうございました。それに子供達の世話まで」
191 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 16:43:26.11 ID:HWtom0gt0
女盗賊「あっ…べ、別にいいよ」
女盗賊「あたしがしたいから、しただけだし」
神父「それでも、ですよ」ニコッ
女盗賊「あっ、あのさ」
神父「何です?」
女盗賊「これからも、ここにいて良いか?」
神父「えっ?」
女盗賊「ほ、ほらっ、あんた一人じゃチビ達の相手は辛いだろ?」
192 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 16:44:11.02 ID:HWtom0gt0
女盗賊「だから、その……」
神父「私からも、頼みがあります」
女盗賊「な、なんだよ?」
神父「良ければ、此処に居て下さい。貴方がいると、その、私も嬉しいですから」
女盗賊「そっ、そうか。し、仕方ねー奴だな」
女盗賊「じゃあそういう事だから、これからよろしくな」
神父「えっ、ええ、此方こそ」
193 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/16(日) 16:50:10.10 ID:HWtom0gt0
女盗賊「つーかお前、後任者の話しはどうなった?」
神父「大丈夫です。なんとか取り下げて貰いましたから」
女盗賊「そうか、よかった……」
神父「病気も、治りましっ」
グイッ…ギュッ
女盗賊「おい。どこにも行くなよ?」
神父「あっ、う、いやその……はい」
ギュッ…
女盗賊「あっ…」
神父「私は、何処にも行きません」
カル「(……神父さん、女盗賊さん。良かったですね)」
カル「(とりあえず、もう少し寝ようかな)」
194 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/16(日) 16:51:32.46 ID:HWtom0gt0
次回「帰還」
195 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/16(日) 17:17:47.16 ID:twisrZ5W0
カルの寝言はTRICKかwww
196 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/16(日) 18:51:50.49 ID:HGwS5u1y0
乙
いいですなぁ
197 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/17(月) 02:01:03.87 ID:O+njhckWo
おつ
198 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:29:43.62 ID:EHaIykqL0
※※※※
篝火教会・空き部屋
カル「んーっ、寝たなぁ」
あ、夜になってる。月が真ん丸だ。
神父さんや女盗賊さんは、もう休んでるのかな。
カル「痛っ…」
やっぱり、まだ所々痛む。
だけど、どういうわけか、右目が見える。
全然見えなかった筈なのに。
199 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:30:47.48 ID:EHaIykqL0
カル「……火傷も、治ってる。何でだ?」
何日寝てたんだろ? 俺の体は、どうなってる?
何だか、ちょっと怖いな。
カル「まっ、考えたって仕方無いか」
そう言えば、俺は炎の事とか何にも知らないな。
あ、神父さんなら、何か知ってるかもしれない。
でも夜も遅いし、明日にした方が良いよな。
寝てたら悪いし。
200 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:31:29.69 ID:EHaIykqL0
カル「………………」
駄目だ。
目が冴えて寝れそうに無い。
少し、外でも歩いてこようかな。
町の様子も気になる。
どうせ布団に入ってても、色々考えるだけだ。
カル「あれ? この着物」
これ、呉服屋に売った筈なのに、なんで此処に?
何だろ、他にも色々置いてある。
201 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:32:07.53 ID:EHaIykqL0
果物、花飾り、手紙。
後は折り鶴に……似顔絵?
これ、子供達が書いてくれたのか。
うわぁ、めちゃくちゃ嬉しい。明日、お礼言わなきゃな。
カル「さて、着替えるか」
お、やっぱり着心地が違うな。
呉服屋の店主さんにも、会いに行かないとな。
202 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:33:02.71 ID:EHaIykqL0
※※※※※
篝火の町・広場
カル「広場が、一番酷いな」
着替えを済ませて部屋を出ると、聖堂には沢山の人がいた。
しんと静まり返っていて、皆は寝ているようだった。
きっと、住まいを失った人や、傷を負った人達だろう。
教会の子供達は、聖堂の一画で寄り添って寝ていた。
その中には、親を失ったであろう子供も……
カル「傷付いたのは、町だけじゃない」
203 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:33:55.64 ID:EHaIykqL0
家が直って、町並みが蘇っても、失われた命だけは、戻らない。
爺ちゃん……爺ちゃんに会いたい。
ーー泣き声を言うな。お前がするべき事はなんじゃ?
とか言われそうだけど、やっぱり悲しいよ。
もっと色々な話しを、聞きたかった。
カル「仲間か。どこにいるんだろうな……」
スタスタ…
カル「お、いたいた」
白月「ブルッ…ブルルッ」
204 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:35:42.70 ID:EHaIykqL0
カル「よしよし、元気だったか?」ポンッ
白月「ブルッ…」スリスリ
カル「あの時、お前がいたから何とか出来たんだ」
カル「本当にありがとう」ナデナデ
白月「ブルルッ…」
カル「月明かりもあるし。少しだけ外走るか」タンッ
カカッ…カカッ…
205 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:36:51.19 ID:EHaIykqL0
兵士「あ、おい。こんな夜更けに何処へ行く」
カル「あっ、すいません。目が冴えて、何だか眠れなくて」
兵士「ん? もしかして、君がカルか?」
カル「あれ、何で名前を?」
兵士「町は君の話題で持ちきりだ。知らない者などいないさ」
カル「そうなんですか? 何だか照れますね」
206 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:37:39.97 ID:EHaIykqL0
兵士「ふっ、目が覚めたようで何よりだ。皆が心配しているよ」
カル「今は皆寝てますから、朝になったら顔出します」
兵士「そうか。ところで、体は大丈夫なのかい?」
カル「はい。もう大丈夫です」
兵士「(まさかこんな爽やかな青年だったとはな……もっと猛々しい男かと思っていた)」
カル「どうしました?」
兵士「あぁ、想像と違ったものでな。ところで、何処へ行くつもりだい?」
207 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:38:50.28 ID:EHaIykqL0
カル「ちょっと外を見て来ようかなって。駄目、ですかね?」
兵士「ああ、駄目だ」
カル「うっ…すぐに帰って来ますから。お願いします」
兵士「そんな顔しても駄目」
兵士「君に何かあったら何を言われるか分からない」
カル「じゃあ五分、五分で帰って来ますから」
兵士「……五分だな」
カル「はいっ、五分です」
208 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:40:42.38 ID:EHaIykqL0
兵士「はぁ…分かったよ」
カル「いいんですか?」
兵士「行くなら早く行ってこい。だが、五分で帰って来なければ……」
カル「こっ、来なければ?」
兵士「町中は大騒ぎ。それから、君の捜索が始まるだろう」
カル「えっ」
兵士「じゃあ、今から数えるからな」
カル「い、行って来ますっ」ガッ
ガガッ…ガガガッ…
兵士「……まるで子供だな」
209 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:42:09.21 ID:EHaIykqL0
※※※※※
ーー草原
カル「……こっちからだ」
町を出る前から感じていた気配が、強くなってきた。
何かが、俺を呼んでる。そんな気がする。
黒水晶の時のような、嫌な感じはしない。気のせい、なのか。
カル「この辺のはず、なんだけどな」
やっぱり気のせいか?
210 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 02:43:24.55 ID:EHaIykqL0
早いとこ帰らないと兵士さんも心配するし、帰るか。
カル「また今度走ろうな」
白月「ブルッ………」
白月もまだ満足してなさそうだけど仕方無い。我慢しよう。
本当に捜索が開始されたら大変だし。
白月「ブルッ…ブルルッ!!」
カル「どうした!?」
あれは、町を襲った……
211 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:45:02.51 ID:EHaIykqL0
月明かりで照らされた猪の体は、傷だらけだった。
体には、まだ蔦が絡まっている。あれが猪を傷付けてるのか?
黒水晶を取り除いても、蔦は消えなかったのか。
炎獣「ブゴ…」
歩くたびに、膝を突きそうだ。いつ倒れてもおかしくない。
こいつが、妙な気配の正体? まさか、また町を襲うつもりだったのか?
いや、敵意は感じない。
212 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:46:02.14 ID:EHaIykqL0
炎獣「ブガッ…」ドスン
カル「何で、こんな所に……白月、ちょっと待っててくれ」タンッ
ずっと俺の目を見つめてる。
本当に、こいつが呼んでいたのか。
戦う力はなさそうだけど、油断は出来ない。
まだ炎を使えるのか試して無いけど、今なら、剣で何とか出来る。
『お前の手で、終わらせて欲しい』
213 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 02:47:20.40 ID:EHaIykqL0
カル「猪が、喋った…」
炎獣『喋ってはいない。お前の心に、語り掛けている』
カル「……信じられない」
炎獣『ならば、今から起きて見せよう』ググッ
カル「ほ、本当に立ち上がった…信じるしか、なさそうだ」
炎獣『それは助かる』
カル「でも、何で俺に」
214 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:48:12.93 ID:EHaIykqL0
炎獣『お前は、救ってくれた』
炎獣『後一つ。他の人間に討たれるのは我慢ならん』
カル「……俺も、一つ聞きたい事がある」
炎獣『何だ』
カル「化け物に変えたのは、誰なんだ?」
炎獣『それが、分からんのだ。気付けば、暴れていた』
カル「そっか……」
215 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:49:32.90 ID:EHaIykqL0
炎獣『お前が止めなければ、町を破壊し尽くしていた。礼を言う』
カル「お礼なんて、いいよ」
炎獣『頼む。お前の手で、止めを刺してくれ』
カル「……分かった」チャキ
炎獣『お前のような勇敢な人間に出逢えて、良かった』
炎獣『さあ、やってくれ』
カル「……っ!!」
ザンッ……ボッ…ゴォォォ…
216 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:50:14.47 ID:EHaIykqL0
カル「炎が出た!? 失ったわけじゃなかったのか?」
手を伝って剣から発した炎は、あっと言う間に猪を包み込んだ。
どす黒い蔦は、一緒にして焼失。
巨大な炎は、猪の姿を模しているように見えた。
カル「な、何なんだ?」
燃え盛る炎はやがて収束。
炎は、完全に猪の姿を取った。
217 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 02:51:38.25 ID:EHaIykqL0
それはゆっくりと、俺に近付いて来る。
怖ろしさは全く感じない。
それは気高く、神聖な獣。
視線が重なった次の瞬間、炎は渦となった。
カル「うわっ!!」
そしてその直後。
俺の両脚に、巻き付くようにして吸収された。
カル「な、何だったんだ、今の……」
218 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 02:56:47.49 ID:EHaIykqL0
次回「知識」
219 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 12:29:07.81 ID:EHaIykqL0
※※※※
篝火の町
兵士「……五分。だったよな」
カル「すいません。いやー、ちょっと色々ありまして」
兵士「ちょっと色々って何だ」
カル「えーっと、知り合い? と話してました」
兵士「なる程なる程。それで? その知り合いは一緒じゃないのか?」
カル「それが、挨拶しか出来なかったんですよ」
兵士「ほぉー」
カル「で、知り合いから聞いた話しなんですけど」
兵士「(雰囲気が変わった? 何故そんな顔を……)」
220 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 12:32:34.71 ID:EHaIykqL0
※※※※
篝火の町
兵士「……五分。だったよな」
カル「すいません。いやー、ちょっと色々ありまして」
兵士「ちょっと色々って何だ」
カル「えーっと、知り合い? と話してました」
兵士「なる程なる程。それで? その知り合いは一緒じゃないのか?」
カル「それが、挨拶くらいしか出来なくて」
兵士「ほぉー」
カル「あの、知り合いから聞いた話しなんですけど」
兵士「(雰囲気が変わった? 何故そんな顔を……)」
221 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 12:34:24.64 ID:EHaIykqL0
カル「あの火を吐く化け…猪の亡骸を見つけたって」
兵士「なに!! それは本当か!? 嘘じゃないだろうな」
兵士「近隣の町の兵士と協力して捜索しても、見つからなかったんだぞ?」
カル「嘘じゃないですよ。さっき、亡骸を燃やしましたから」
兵士「燃やしただって? この短時間でか」
カル「あの、兵士さん。俺の掌を、見て下さい」
…ボォォォ
兵士「なっ!?」
カル「……これで、燃やしました」
222 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 12:35:10.34 ID:EHaIykqL0
兵士「その炎は何だ。奇術、ではないよな」
カル「炎を司る者」
兵士「なに?」
カル「神父さんは、俺をそう言ってました」
兵士「精霊と四人の戦士。昔話しの、あれか?」
カル「はい。何で使えるかは全然分からないですけど、そうらしいです」
兵士「待て、何だか頭が痛くなってきた」
223 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 12:36:01.63 ID:EHaIykqL0
カル「そんなに考えなくても」
兵士「あのなぁ…お前は、分からない事が怖く無いのか?」
カル「んーっ、ちょっとは不安ですけど、大丈夫です」
カル「それより兵士さん。疲れてませんか?」
兵士「あ、ああ。この町の兵士の殆どが、化け物にやられたからな」
兵士「あの化け物がまた来るとも限らんし、ずっと見張り通しだった」
カル「じゃあ、代わります。兵士さんは休んで下さい」
224 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 12:37:03.31 ID:EHaIykqL0
兵士「は?」
カル「どうせ眠れないんで。俺は、夜が明けたら教会に戻ります」
カル「その時まで戻ってくれれば」
兵士「馬鹿野郎、お前だって起きたばかりだろうが。そんな事させられるか」クラッ
ガシッ
兵士「す、済まないな。だが任せるわけには」
カル「無理しちゃ駄目ですよ。俺なら、大丈夫ですから」
兵士「……分かった。何かあったら、すぐに呼ぶんだぞ。いいな?」
225 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/17(月) 12:45:53.81 ID:EHaIykqL0
カル「はい、任せて下さい。白月もいるし、なっ?」
白月「ブルッ!!」
兵士「(着物も性格も、本当におかしな奴だ……)」
カル「……?」
兵士「(おかしな奴だが、皆に好かれているのも、分かる気がする)」
兵士「なるべく早く戻る」
カル「ゆっくり休んで下さい。じゃあ、また明日」
兵士「はぁ…ああ、また明日な」ザッ
カル「(町の皆も、つかれてるんだろうな)」
カル「明日から、何か手伝わないと」
226 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 12:46:25.94 ID:EHaIykqL0
つづく
227 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/17(月) 16:48:26.93 ID:784xEPRWo
おつ
228 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 16:49:10.35 ID:hoz7iigW0
この分だと仲間加入はまだ先っぽいな。
楽しみにしてる
229 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/17(月) 16:50:15.61 ID:hoz7iigW0
すまん
230 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 22:22:13.72 ID:qxkiWw0v0
※※※※
カル「ふっ!!」
剣を振るのなんて、随分久しぶりな気がする。
あれから、まだそんなに時間は経ってないのに……
色々、あったからな。いや、ありすぎたくらいだ。
誰かと戦うとかじゃなく、思うままに体を動かすのは、やっぱりいい。
ーー里の皆は、元気かな。
カル「ふーっ、よし。良い感じだ」
白月「ブルッ…」コツン
231 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 22:23:23.31 ID:qxkiWw0v0
カル「ん? どうした?」
あ、いつの間にか、空が白んでる。
夢中になってたから、全然気付かなかった。
カル「一緒に見ようか」
白月「ブルルッ」
もうすぐ日が昇って、夜が明ける。
……兵士さんの様子からしても、町の皆も疲れてるんだろうな。
何か出来る事があれば、やらなきゃ。
232 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 22:26:05.74 ID:qxkiWw0v0
カル「……暗闇の妖精は、何が目的なんだろう」
それを確かめる為にも、精霊について知らなきゃ駄目だよな。
仲間がいれば、そりゃ頼もしいだろうけど、俺が足を引っ張ってちゃあ意味ないし。
カル「おっ、日の出だ。綺麗だなぁ」
まあ焦っても仕方が無いし、少しずつ進んで行くしかないか。
色々手伝いたいけど、この町に長居は出来ない。
暗闇の妖精を倒さない限り、こんな事が起きる。
他の場所にも奴等が現れたら……
233 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 22:27:17.78 ID:qxkiWw0v0
兵士「どうした? 難しい顔して」
カル「えっ? あ、兵士さん。おはようございます!!」
兵士「あ、ああ。おはよう」
カル「どうです? 眠れました?」
兵士「お陰様でな。どうだ?」
カル「はい?」
234 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 22:28:08.45 ID:qxkiWw0v0
兵士「この町だよ」
カル「好きですよ。町並みも、住んでる人達も全部」
兵士「俺もこの町が好きだ。だから、守りたいと思ってる」
カル「あのっ、すいません。俺がもう少し早く」
兵士「違う。俺が言いたいのは、そういう事じゃない」
カル「えっ」
兵士「お前は、何の為に戦ったんだ? この町の人間でも無いのに」
カル「…………」
235 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 22:29:19.24 ID:qxkiWw0v0
兵士「いや、済まない。そういうつもりじゃあ無いんだ」
兵士「何だか、少し気になってな」
カル「……多分、戦うのが嫌いだからだと思います」
兵士「なに? 戦うのが嫌いなら、何故戦う」
兵士「炎の力を得た責任からか?」
カル「うーん、何て言うのかな」
カル「嫌いな事だから、人に任せちゃいけない気がするんです」
236 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 22:30:59.09 ID:qxkiWw0v0
兵士「…………」
カル「それに、爺ちゃんに『俺が戦う』って言っちゃいましたから」
カル「その為に村を出たんだし。最後まで、やるつもりです」
兵士「……そうか」
カル「あっ、そろそろ教会に戻ります。白月の事、頼みます」ダッ
兵士「(最後まで、か。全く、呆れるほどに……)」
兵士「呆れるほどに、いい奴だよ。お前は……」
237 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/17(月) 22:31:48.93 ID:qxkiWw0v0
つづく
238 :
>>1
[sage]:2014/03/17(月) 22:34:25.77 ID:qxkiWw0v0
仲間はもう少し先になると思います。
239 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/17(月) 22:39:25.72 ID:pE+iBH7gO
おつ
240 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/18(火) 01:22:56.14 ID:tJbU6x+Wo
おつ
241 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 02:00:23.30 ID:LPTK/Z8D0
※※※※※
篝火教会
カル「あ、神父さん。おはようございます」
神父「はぁ…カルさん、一体何処へ行っていたのですか?」
カル「あ、いや。夜更けに目が覚めて、それで眠れなくて散歩に」
神父「それなら何故声を掛けて下さらなかったです?」
カル「寝てたら悪かなーと……」
神父「全く貴方は……子供達も女盗賊さんも心配しています」
カル「えっ、みんな早起きなんですね」
神父「……それより、カルさん」
カル「分かってます。黒水晶の事ですよね?」
242 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 02:01:56.13 ID:LPTK/Z8D0
神父「ええ。今は私の部屋に保管してあります」
カル「じゃあ、早速壊さないと。あの、神父さん」
神父「何でしょう?」
カル「黒水晶を壊したら、精霊の事で聞きたい事があるんですけど、大丈夫ですか」
神父「ええ、分かりました。私が知り得る範囲で良ければ、ですが」
カル「お願いします」
神父「では、中へ入りましょう」
243 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 02:03:12.40 ID:LPTK/Z8D0
※※※※※
神父の部屋
カル「じゃあ、早速やってみます」
ボォォォ…ビシッ…バキィン
カル「よし。あの、神父さん。何か異常はありまんでした?」
神父「ええ。触らない限り影響は無いものと見ていいでしょうね」
カル「でも、危険な物には変わりない」
神父「そうですね。ですが、まさか動物にまで黒水晶を使うとは……」
カル「俺もびっくりしましたよ。急に炎が出なくなっちゃうし」
神父「……今、何と仰いました?」
カル「いや、炎が出なかったんですよ。ちっとも、少しも、一切」
244 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:04:09.61 ID:LPTK/Z8D0
神父「で、では貴方は生身で戦ったと!?」
カル「対峙してから気付いたんで……すいません」
神父「何て無茶な事を……」
カル「でもまあ、白月がいたんで、何とか勝てました」
神父「まさか生身で戦っていたとは……」
神父「ですが重度の火傷。そう聞いた時から、おかしいとは思ってはいたんです」
カル「何をですか?」
神父「言いましたよね。貴方は、炎を司る者だと」
245 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:04:48.99 ID:LPTK/Z8D0
カル「はい。浄火を何とかって」
神父「そうです。穢れを焼き払うとも言いました」
カル「ああ、そう言えばそうですね」
神父「それは炎すら、例外では無いのですよ」
カル「えっ、それって炎が炎を焼くって事ですか?」
神父「それは分かりません。ですが……」
ゴソゴソ…
カル「……?」
246 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:06:09.62 ID:LPTK/Z8D0
神父「確か……ありました。この一文ですね」
神父「汝、清らかなる心あらば、黒き炎もまた、浄火とならん」
カル「えーっと、それってどういう意味ですか?」
神父「貴方の心が清らかであれば、黒い炎すら浄火に変わる」
神父「と言ったところでしょうか。この本によれば、ですが」
カル「なる程。じゃあ、あの猪の炎も自分の炎に出来た」
神父「そういう事になります」
247 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:07:17.70 ID:LPTK/Z8D0
カル「あの、質問があるんですけど」
神父「何でしょう?」
カル「俺と戦った武芸者は、雨を氷に変えて攻撃してきました」
神父「その理由は簡単です」
神父「それぞれ四つの力を司る者は、それを自由に出来る」
カル「なら奴は、水を、変化させた?」
神父「そうかもしれません」
神父「もしくは、そういった方法でしか攻撃出来なかったか」
248 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:09:12.62 ID:LPTK/Z8D0
カル「だったら俺は」
神父「ええ。貴方は、そこに存在する全ての炎を意のままに出来る。という事です」
カル「そんなに凄い力だったんですね……」
神父「確かに凄まじい力です。扱う者すら怖れる程でしょう」
カル「………」
神父「きっと、彼等は強い精神を持っていたのでしょうね」
カル「!! そうか、だから爺ちゃんは、心を曇らせるなって言ったのか」
神父「どうしました?」
249 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:10:40.78 ID:LPTK/Z8D0
カル「あっ、いや。何でもないです」
神父「……?」
カル「確かにそれを知っていたら、苦戦せずに済んだかもしれないです」
カル「でもあの時は、どんなに呼んでも炎は出なかった」
神父「……それなんですが、一つ心当たりがあります」
カル「えっ」
神父「カルさん。貴方は黒水晶の首飾り、その中の黒蛭を焼いた」
250 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:11:45.77 ID:LPTK/Z8D0
カル「あぁ、そういえば。色、赤くなっちゃいましたね」
神父「そこです」
カル「えっ?」
神父「貴方は首飾りを浄化したと同時に、ある物を生み出したのですよ」
カル「生み出した? 何をですか?」
神父「精霊石です」
カル「ははっ、そんなまさか」
神父「私は本気です」
251 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:13:27.63 ID:LPTK/Z8D0
カル「神父さん?」
神父「精霊石は、様々な恩恵をもたらす物」
カル「(そういえば、爺ちゃんの聞かせてくれた昔話しに、そんなのがあったな)」
神父「事実。これを身に付けた直後に、私の病は失せた」
神父「貴方は、これを生み出したが故に、一時的に力を失ったのです……」
神父「私は、貴方に詫びなければなりません」
カル「いいじゃないですか」
252 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 02:14:32.86 ID:LPTK/Z8D0
神父「えっ」
カル「だって、神父さんの病気は治ったんですから。ねっ?」
神父「(全く……本当にこの人には敵いませんね)
神父「(まだ短い付き合いだというのに、何度その笑顔に救われたことか)」
カル「だから、俺は大丈夫です」
神父「カルさん、ありがとうございます」
253 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:17:11.74 ID:LPTK/Z8D0
カル「いやいや、俺も色々教えて貰って助かってますから」
神父「……カルさん。後一つ、それと同じく証明された事があります」
カル「証明?」
神父「貴方が、真に、炎を司る者だという事です」
カル「いや、まあ。確かに炎は使えますけど」
神父「いいですか? 貴方が生み出したのは、精霊石です」
カル「あ、はい」
神父「精霊石は、精霊が人間に友情の証として授けた物」
254 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 02:22:08.76 ID:LPTK/Z8D0
神父「つまり、精霊にしか生み出す事は出来ない」
カル「あの、俺は人間ですけど……」
神父「四戦士の昔話しはご存知でしたよね?」
カル「ああ、はい。爺ちゃんに何度も聞かされましたから」
神父「その昔話しには、こうあります」
神父「精霊は四人の若者に、自らの力、その全てを与えた」
神父「いのちと、ひきかえに、と」
カル「あぁ!! 知ってます知ってます!!」
神父「それにより、四人の若者は、精霊と同等」
神父「もしくは、それ以上の存在になったと考えられます」
神父「恐らく貴方は、その力を授かった」
255 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 02:23:11.41 ID:LPTK/Z8D0
つづく
256 :
>>1
[sage]:2014/03/18(火) 02:33:21.23 ID:eSXziCIK0
髢馴&縺医◆
257 :
>>1
[sage]:2014/03/18(火) 02:34:32.10 ID:eSXziCIK0
間違えた。文字化けしてるし
258 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 02:36:54.59 ID:eSXziCIK0
次回「自覚」
259 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/18(火) 02:38:15.60 ID:eSXziCIK0
説明長くてごめん
260 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/18(火) 03:56:22.39 ID:aRUJIPt+o
説明的なのもいいもんだ
261 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/18(火) 17:42:00.41 ID:iY1+4tud0
今日は来ないのか
262 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/18(火) 23:14:08.17 ID:iQhTsQu8o
面白いね
263 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 23:30:07.63 ID:T7kFKtob0
カル「多分、それは違います」
神父「失った視力が蘇り、死に至る火傷が五日で治癒しているんですよ?」
神父「これを精霊の加護と言わずに」
カル「ちょっ、神父さん。落ち着いて下さい」
神父「あっ。も、申し訳ありません」
カル「違うって言ったのは、そういう事じゃないんです」
カル「この力については、神父さんの言う通りだと思いますから」
神父「…? では、一体何が違うと?」
カル「『受け継いだ』って言う方が正しい気がして」
神父「……受け継いだ」
264 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 23:30:45.28 ID:T7kFKtob0
カル「はい。あの時、爺ちゃんが炎になったんです」
カル「その炎は、俺を優しく包んで、溶け込んだ……ような気がします」
神父「(っ、そうだった。カルさんは、お祖父様を……)」
神父「すいません。貴方の気も知らず、嬉々として語ってしまって」
カル「えっ? 謝る事なんて無いですよ」
神父「いやしかし」
カル「だって俺、凄く嬉しいですから」
神父「苦しくは、無いのですか? 私が言うのも……変な話しですが」
265 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 23:33:38.52 ID:T7kFKtob0
カル「ははっ、苦しいなんて言ったら爺ちゃんに叱られますよ」
カル「確かに色々な事が分かって、少し混乱してます。だけど……」
神父「……?」
カル「簡単な話し。爺ちゃんは俺の中に存在してて、もの凄い力を与えてくれるんですよね?」
神父「ま、まあ。そういう事になります」
カル「それが嬉しいんです」
カル「だから俺、これからは、もっと頑張れる気がします」
神父「(っ、辛い筈だ。苦しい筈だ。それなのに、彼は決して笑顔を絶やさない)」
266 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 23:35:25.00 ID:T7kFKtob0
神父「私も嬉しいです」
カル「えっ? 何がですか?」
神父「貴方のような人と出逢えた事が、ですよ」
カル「そうですか? いやー、面と向かって言われると照れますね」
神父「(炎を使えなくとも、彼には強い意志がある。だから猪と戦えたのだろう)」
神父「(そして、笑顔という……人を幸せにする力がある)」
カル「あっ、そうだった」
神父「どうしました?」
267 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 23:37:19.38 ID:T7kFKtob0
カル「その本に、暗闇の妖精について何か書いてませんか?」
カル「どんな奴だとか。それと、食い止める方法とか」
神父「……ではまず、暗闇の妖精が生まれた理由からですが」
神父「精霊達は人間への罰として、精霊石の力を封じた」
カル「はい。その所為で、空は真っ暗になるんですよね?」
神父「ええそうです」
神父「暗闇の妖精は、その時に生まれたのではないか、と記されています」
268 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 23:38:20.64 ID:T7kFKtob0
カル「じゃあ、精霊石の力を封じなかったら……」
神父「もしくは、人間が精霊達への感謝を忘れなければ……」
カル「暗闇の妖精が生まれる事は、無かった」
神父「そうなります」
カル「何だか寂しい話しですね」
神父「自分達の力だけで生きている。そう思ったのかもしれません」
神父「精霊が存在していた時代は、現在よりも遥かに発達していたようです」
269 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 23:41:33.16 ID:T7kFKtob0
カル「(兵器だか何だかを造っちゃうくらいだもんな……)」
カル「(どんな世界だったんだろう? ちょっと気になるけど、今はいいや)」
神父「カルさん?」
カル「あっ、すいません。続けて下さい」
神父「暗闇の妖精も、精霊と同じように凄まじい力を使えたようです」
カル「それは、どんな力ですか?」
神父「黒き雷や黒き炎などの禍々しい力、他にも様々ありますが……」
270 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/18(火) 23:43:05.08 ID:T7kFKtob0
神父「真に恐ろしいのは、人々の暗部を増長させる事です」
カル「だから戦っても戦っても、戦争が終わらなかった」
神父「ええ。その力は、暗闇の妖精を討つまで続いたようです」
カル「……倒す方法とかって、書いてありますか?」
神父「倒す術に関しては、四人が協力して倒した……」
神父「としか、記されていません」
カル「(だったら、早く仲間を探さないと……)」
271 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 23:44:18.42 ID:T7kFKtob0
カル「(でも、この町の人達はどうする? 何もせずに立ち去るのか?)」
神父「カルさん、これを」スッ
カル「えっ? それって子供達に貰った大事な物なんじゃ」
神父「この首飾りは、今や『精霊石』です。貴方が持っていた方が」
カル「精霊石。あぁ、そうか!!」
神父「ど、どうしました?」
カル「それ、神父さんが持ってて下さい」
272 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 23:46:37.42 ID:T7kFKtob0
カル「精霊石には、色々な力があるんですよね?」
神父「えっ、はい。そうですが」
カル「病気を治したんだったら、怪我だって治せる筈です」
神父「確かに可能でしょうが、私に扱えるかどうか……」
カル「大丈夫ですよ。神父さんの方が、俺より詳しいし」
神父「あの、何故そう断言出来るか聞いても?」
カル「神父さんがいい人だからです」
273 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/18(火) 23:55:32.98 ID:T7kFKtob0
神父「はぁ…それでは答えになっていませんよ……」
カル「ははっ、確かにそうですね。でも一応、作った本人ですから」
神父「では、私が使えない場合はお渡しします。それで宜しいですね?」
カル「はい。そんな事にはならないと思いますけど」ニコッ
神父「では早速試してみます。かなり気が引けますが……」
カル「神父さんなら絶対使えますよ。俺、外のベンチで待ってますから」
神父「分かりました。では、また」
ガチャ…パタン
カル「んーっ、何だか疲れた。こういうの、慣れてないからなぁ」
カル「よしっ、俺も行こう」
カル「(神父さんと話したら、町の人に挨拶して……)」
ガチャ…パタン
カル「(この町を、発つ)」
274 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 00:00:56.02 ID:WiqPJgSA0
次回「決断」
275 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:37:04.36 ID:C2b1xgsV0
※※※※※
篝火教会
カル「(色々分かったのはいいけど、奴等がどこに出るのか分からない)」
カル「(どうしても、後手になっちゃうんだよなぁ……)」
カル「未然に防げれば、それが一番良いんだけど」
ズズズズズ……
カル「(何だ? 地面が盛り上がって……)」
ボゴンッ
カル「岩?」
ゴゴゴゴッ
カル「っ!! 来るっ!!」チャキ
バゴッ…パラパラ
少女「やっほう」ニカッ
276 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:37:30.26 ID:C2b1xgsV0
※※※※※
篝火教会
カル「(色々分かったのはいいけど、奴等がどこに出るのか分からない)」
カル「(どうしても、後手になっちゃうんだよなぁ……)」
カル「未然に防げれば、それが一番良いんだけど」
ズズズズズ……
カル「(何だ? 地面が盛り上がって……)」
ボゴンッ
カル「岩?」
ゴゴゴゴッ
カル「っ!! 来るっ!!」チャキ
バゴッ…パラパラ
少女「やっほう」ニカッ
277 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:41:21.26 ID:C2b1xgsV0
カル「……は?」
少女「やっと着いたー!!」
カル「(なんか、小麦肌の健康的な子が岩から出てきた)」
カル「(黒水晶は無いし、嫌な気配も無い……)」
少女「どうした? ソニャのことじろじろ見て」
278 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:42:27.76 ID:C2b1xgsV0
カル「あの、君は誰?」
ソニャ「えっ!? ソニャのこと分かんないか?」
カル「ごめん。全然分かんない……」
ソニャ「えぇー、ソニャは分かる。オマエの仲間だ。土、土が使える!!」
カル「へー、こんな小さいのに」ポンッ
ソニャ「へへ、偉いだろ?」
279 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:43:22.70 ID:C2b1xgsV0
カル「(……子供がいたら、こんな気持ちになるのかな)」
カル「…っていうか、本当に土の力を使えるの?」
ソニャ「今見たろ? 信じないか?」
カル「いや、突然の事だったから」
ソニャ「びっくりした?」
カル「あ、うん。凄いびっくりしたよ」
ソニャ「あははっ、そっか」
280 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:45:18.22 ID:C2b1xgsV0
カル「…………」
ソニャ「…………」ニコニコ
カル「えーっと、君はどうやって力を?」
ソニャ「ん?」
カル「力を受け継いだんじゃないの?」
ソニャ「分かんないけど、気付いたら使えた」
カル「気付いたら……」
281 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:47:21.07 ID:C2b1xgsV0
ソニャ「うん。なんか、水を使う悪いヤツが森に来た」
カル「水か……」
ソニャ「そいつ、すっごく嫌な奴で、追い出そうとしたら」
カル「したら?」
ソニャ「土とか木が守ってくれて、それから、ぶっ飛ばした」
カル「その人はどうなった?」
ソニャ「ぐだけちった」
カル「……あの、聞いてもいい?」
282 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:49:18.36 ID:C2b1xgsV0
ソニャ「いいぞ? なんでも聞け」
カル「何で俺の居場所が分かったの?」
ソニャ「土から、ぶわっ!! て伝わってきた」
カル「な、何が?」
ソニャ「いい奴がいるのはこっち。って」
カル「(そんな簡単に分かるものなのか? 俺には、何も感じなかったけどな)」
神父「カルさん、お待たせしました。おや? その子は?」
283 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:50:18.89 ID:C2b1xgsV0
ソニャ「いいぞ? なんでも聞け」
カル「何で俺の居場所が分かったの?」
ソニャ「土から、ぶわっ!! て伝わってきた」
カル「な、何が?」
ソニャ「いい奴がいるのはこっち。って」
カル「(そんな簡単に分かるものなのか? 俺には、何も感じなかったけどな)」
神父「カルさん、お待たせしました。おや? その子は?」
284 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 18:53:13.50 ID:C2b1xgsV0
つづく
285 :
>>1
[sage]:2014/03/19(水) 18:56:25.59 ID:C2b1xgsV0
なんか分かんないけど被った。ごめん。
286 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/19(水) 20:21:35.01 ID:F3fuyv06O
おつ
仲間の方からくるのか
287 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:02:04.10 ID:C2b1xgsV0
※※※※
篝火教会・空き部屋
ソニャ「むにゃ…」
神父「この子の話しからすると、土の国から来たようですね」
カル「……森に住む民族で、森を守る為に戦った」
神父「そのようです。しかし、詳しい経緯は分かりませんでした」
神父「ですが、暗闇の妖精や精霊。そういった知識はあるようです」
カル「実際、俺より詳しかったです。もしかしたら、そういう部族なのかな」
神父「先程の会話からして、精霊への信仰心が強いようでした」
神父「服装もかなり独特なものですし、恐らくそうなのでしょう」
288 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:09:02.60 ID:C2b1xgsV0
ソニャ「…月牙…て…すぅ」
カル「神父さん、やっぱりこの子が?」
神父「地を司る者に間違い無いでしょう」
カル「……証明する為だけに、一瞬で俺の像を造り出しましたからね」
神父「力の使い方に慣れているようです。しかし、幼い」
カル「…………」
神父「カルさん?」
289 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:10:54.14 ID:C2b1xgsV0
カル「神父さんは精霊石を使えたんですよね?」
神父「確かに扱うことは出来ました。物が物だけに、素直には喜べませんが」
カル「それ、よろしくお願いします。町に役立てて下さい」
神父「……本当に私で良いのですか? 国王のような御方に渡した方が良いのでは?」
カル「んー、その方が皆の為になるなら、そうすると思います」
神父「分かりました。でしたら、その時までお預かりします」
カル「お願いします。じゃあ、俺は行きます」
290 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:13:05.66 ID:C2b1xgsV0
神父「この子を、置いて行くつもりですか?」
カル「ん? はぁ、出来ればそうしたかったんですけど」チラッ
ソニャ「!!…すぅすぅ…」ピクッ
カル「どうやら、そうも行かないみたいです」
神父「ふふっ。外見は幼くとも、彼女は戦士です」
神父「貴方の探していた仲間には違いないと、私はそう思いますが?」
ソニャ「…ソウダソウダ…すぅすぅ…」ニコニコ
カル「戦士、か。ソニャ、無理しない? 辛かったらちゃんと言う?」
ソニャ「無理しない!! ちゃんと言う!!」ガバッ
ソニャ「絶対、カルと一緒に行く!!」
291 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:16:17.24 ID:C2b1xgsV0
※※※※※
篝火の町
神父「もう夕方です。発つのは明日でも良かったのではありませんか?」
カル「折角仲間が来てくれたんだし、今日発ちます」
ソニャ『カル、早く行こーよー!! 白月も待ってるよー!!』
カル「ちょっと待って!!」
神父「(出逢って数時間、最早兄妹のようだ……)」
カル「それに、他の場所も気になります」
カル「国の対応がまだ無いって事は、黒水晶の被害が国王の耳に届いて無いんだと思います」
292 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:18:22.26 ID:C2b1xgsV0
神父「では、都を目指すと?」
カル「直接伝えれば対応も早まるし、他国の状況も聞きたいので」
神父「なる程。では、お気を付けて」
カル「はい。短い間でしたけど、沢山お世話になりました」
カル「本当にありがとうございす」
神父「此方こそ、町を救って頂きありがとうございます」
神父「町の皆を代表して、お礼申し上げます」
293 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:19:07.44 ID:C2b1xgsV0
カル「呉服屋さんや、食堂のおじさん、果物くれたおばさん」
カル「それと、編み物くれた女の子に、また来ますって言って下さい」
神父「ふふっ。はい、必ず」
カル「じゃあ、行ってきます」
神父「あっ、ちょっとお待ち下さい。これを」スッ
カル「手紙? これは……」
神父「子供達からです。お兄さんに遊んでもらったお礼。だそうですよ?」
294 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:21:42.78 ID:C2b1xgsV0
カル「うわっ、絶対大事にします。それより…その」
神父「あの子達なら、私が責任を持って育てます」
神父「まだ心を開いてはくれませんが『大丈夫です』」
カル「!! 頑張って下さい。俺、絶対また来ますから!!」
神父「ええ、お待ちしてます」
ソニャ『カル、まだかー!? 日が暮れちゃうぞー!!』
カル「ああそうだった。神父さん」
295 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:24:48.47 ID:C2b1xgsV0
神父「はい? 何でしょう?」
カル「女盗賊さんと、末永くお幸せに」ニコッ
神父「えっ、はっ? な、何故それを」
カル「!! じ、じゃあ、またいつか!! 白月、急ぐぞ!!」ダッ
ソニャ『じゃあねー!!』
神父「お気を付けて!! しかし、一体何に怯えて…」クルッ
女盗賊「あ、あ、あんの野郎。あの時起きてやがったな!!」
神父「まっ、まあまあ、いいじゃないですか」
女盗賊「うっさい!!」
296 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/19(水) 22:29:29.28 ID:C2b1xgsV0
次回「田舎者と野人」
297 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 01:47:20.43 ID:XA0nOz300
※※※※※
草原
カカッ…カカッ…
ソニャ「おー、白月は速いなー!!」
白月「ブルルッ!!」ガガッ
カル「ははっ、だろ? 里で一番の馬なんだ」
ソニャ「へー、カルは何てとこに住んでた?」
カル「灯火の里って所。自然が沢山あっていい所だよ」
ソニャ「じゃあ、狩りとかするか?」
298 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 01:50:05.71 ID:XA0nOz300
カル「うん。山菜採りとかもするかな」
ソニャ「おー、気が合うな。ソニャも森で狩りするぞ?」
ソニャ「みんなに巧いって言われる!! 凄いだろ?」
カル「よしっ、じゃあ今後一緒に狩りするか?」
ソニャ「するっ!! 約束だぞ? 絶対な?」
カル「ははっ、うん。って言うか、ソニャ」
ソニャ「なんだ?」
299 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 01:51:34.55 ID:XA0nOz300
カル「何で俺の所に来たんだ? 他の二人の居場所は分からない?」
ソニャ「んー、一番はっきりしてたのがカルだった」
カル「はっきり?」
ソニャ「うん。一番優しくて、凄く暖かい感じがした。それにな?」
カル「どうした?」
ソニャ「族長が『火を頼れ』って言ったんだ」
ソニャ「だから、一生懸命暖かいの探した」
カル「ん? 何で族長さんは火を頼れって言ったの?」
300 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 01:54:55.07 ID:XA0nOz300
ソニャ「昔、炎使いが来て助けてくれたんだって。だからじゃないかなー」
カル「その時の炎使いは、どんな人だったの? ちょっと気になる」
ソニャ「剣術武術は得意だったけど、狩りがド下手だったって言ってた!!」
ソニャ「だから助けて貰ったお礼に、わざわざ族長が教えてあげたんだって」
カル「何だか……うん。言い話しだね。あのさ、ソニャの部族は何て言う部族なの?」
ソニャ「ガウリ族!! みんなガウリ付く」
カル「じゃあ、ソニャ・ガウリ?」
301 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 01:56:06.23 ID:XA0nOz300
ソニャ「うんっ、カルはガウリか?」
カル「違う違う。俺はカル・アドゥルっていうんだ」
ソニャ「お揃いと違ったかー」
カル「ははっ、ごめんな?」
ソニャ「あっ、そう言えば!! 族長は炎使いを好きになったんだー」
カル「えっ? 族長って女の人なの!?」
ソニャ「昔っから族長は女だぞ? 一番強い女が族長になれるんだ」
302 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 01:57:29.27 ID:XA0nOz300
カル「じゃあ、その炎使いは強かったんだ?」
ソニャ「うんっ。今でも言うよ?」
ソニャ「『あの男こそ、我が夫に相応しかった』とかって」
カル「凄いな」
ソニャ「顔真っ赤にして言うんだ。もう婆ちゃんなのに」
カル「そんなに? まだ好きなのかな」
ソニャ「うん。結婚してない」
カル「へ、へー。そ、それは凄いな……」
303 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 01:59:40.60 ID:XA0nOz300
ソニャ「だから、ソニャは頼まれたんだ」ウン
カル「族長に? どんな頼み?」
ソニャ「炎使いをとりこにしろって言われたー」
カル「……意味、分かる?」
ソニャ「あははっ、全然わかんねー」
カル「(こんな子供に何てことを言うんだ。まあ、冗談だろうけど……)」
カル「(冗談。だよな?)」
ソニャ「なあ、次の町まだかー?」
304 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 02:01:24.65 ID:XA0nOz300
カル「もう少しで着くと思うよ。どうした?」
ソニャ「腹減った!! 眠いっ!!」
カル「ははっ、そっかそっか。俺も腹減ったけど、もう少しだけ我慢しような?」
ソニャ「……うん、分かった」
カル「やっぱり疲れた? ずっと移動してたんだもんな?」
ソニャ「ぬぅ、眠…い」
カル「(寝ちゃったのか。疲れてるか。なんて、そりゃあ疲れてるよな……)」
ソニャ「(カル、優しい。あったけー)」ギュッ
305 :
>>1
:2014/03/20(木) 02:02:28.24 ID:XA0nOz300
つづく
306 :
>>1
[sage]:2014/03/20(木) 02:10:56.34 ID:XA0nOz300
都に着くまで結構掛かるかもしれない。
307 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/20(木) 02:38:36.53 ID:mV9mH2uF0
乙乙ソニャ可愛い(ry
炎使いってまさか?
308 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:17:29.37 ID:/8lX5RKk0
※※※※※
炎陽の街
カル「やっと着いた。白月、お疲れ様」ポン
白月「ブルルッ……」
カル「しっかし、もう真っ暗だ。ソニャは……」
ソニャ「…んやっ…すぅ…すぅ…」
カル「寝てるか。やっぱり、相当疲れてたんだな」
カル「よし、まずは白月を預けないと……」
カカッ…カカッ…
309 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:20:45.03 ID:/8lX5RKk0
※※※※※※
カル「じゃあ、白月をよろしくお願いします」
お婆さん「こんなボロ小屋で良いのかい? もっと上等な厩舎があっただろうに」
カル「いやー、どういうわけか白月が嫌がっちゃって」
お婆さん「あらあら、こんなに大人しくて良い子なのにねえ」ナデ
白月「ブルッ……」スリスリ
カル「あのっ、お代」
お婆さん「ほほっ、お代なんて要らないよ」
310 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:23:49.42 ID:/8lX5RKk0
カル「えっ、でも」
お婆さん「ただ、この街に長く居るようなら……」ポン
白月「ブルルッ…」
お婆さん「この子が寂しがらないように、顔を見せに来なさいよ?」
カル「は、はいっ。ありがとうございますっ!!」
お婆さん「なあに、気にせんでいいよ」
お婆さん「それより、そんな大声出しちゃあ」
カル「あっ、そうだった……」
311 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:26:29.01 ID:/8lX5RKk0
ソニャ「んー…すぅすぅ」ギュッ
お婆さん「そのお嬢ちゃんは、妹さんかい? 可愛いねえ」
カル「いやっ、はい。まあ、そんなもんです」
お婆さん「まだ小さいねえ、大事にするんだよ?」ニコッ
カル「はいっ。じゃあ、お願いします」
お婆さん「(あんなに素直で礼儀正しい子、久しぶりに見たねえ……)」
312 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:28:15.85 ID:/8lX5RKk0
※※※※※
カル「宿屋はここで最後か。来るのが遅かったからな」
カル「でも、見るからに高級そうな宿屋だな……」
街並みも、篝火の町とは全然違う。
お洒落っていうか、建物も殆ど石造りだ。
いやー、凄いもんだな。
通りを歩く人も、何だか全然違って見える。これが都会か。
何だか落ち着かないな……
313 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:30:07.69 ID:/8lX5RKk0
お洒落だし頑丈そうだ。
けど、やっぱり木造の方が俺は好きだな。
都会って、みんなこんな雰囲気なのか? 都は、これよりも凄いのか?
何だか、都に行くのが怖くなってきた。
ソニャ「すぅ…すぅ…ぬー」
カル「まっ、いいや。取り敢えず部屋が空いてるか聞こう」
ガチャ…パタン
カル「うわっ、凄い。目が、チカチカする」
ソニャ「うー…んわっ!? どこだ!?」
314 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:31:47.46 ID:/8lX5RKk0
カル「あっ、起きちゃったか」
従業員「当ホテルへ、ようこそ」
カル「ほてる?」
従業員「ええ、ホテルですが?」
カル「ここ、宿屋じゃないんですか?」
ソニャ「ほてるってなんだ? 何でこんなに眩しくしてる?」
……クス…クスクス
カル「……?」
315 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:32:53.25 ID:/8lX5RKk0
『ぷっ、宿屋。ですって』
『今時着物なんて、恥ずかしくないのかしら』
ザワザワ…
『汚い格好だな。よく来れたものだ』
『背中の子なんて泥だらけじゃない』
『こっちは食事中だってのに……』
『何してんだ? 早く追い出せ』
316 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:34:13.52 ID:/8lX5RKk0
ソニャ「なんだ!! ソニャ達、悪いことしたか!?」
カル「怒っちゃ駄目だ。な?」
ソニャ「だってアイツ等、ソニャとカルを笑ったぞ? 嫌じゃないのか?」
カル「ソニャ」
ソニャ「うっ、わ、分かった。我慢する」
従業員「す、済みませんが、部屋は全て埋まっていまして……」
カル「……そうですか、ありがとうございました」
317 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:35:28.09 ID:/8lX5RKk0
従業員「あ、あのっ」
カル「はい?」
従業員「申し訳ありません」ペコッ
カル「大丈夫です。気にしなくていいですよ」
従業員「……っ」
ソニャ「(カルだって嫌なはずなのに。アイツ等、嫌いだ)」ギュウッ
318 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:37:14.82 ID:/8lX5RKk0
『とっとと出てけ、田舎者』
『大体、あんな格好で金持ってんのか?』
『おい。あの娘の服、見てみろ。山育ちかっつーの』
『あははっ、笑わせないでよ。もうっ』
キャハハハ…アハハ…
ソニャ「っ!! ガウリを馬鹿にした奴は誰だ!!」バッ
カル「ソニャ、駄目だ!!」ガシッ
319 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:37:55.63 ID:/8lX5RKk0
ソニャ「カルっ、はなせっ!!」
カル「気にしちゃ駄目だ。行こう、ソニャ」
ソニャ「嫌だ!! ガウリを馬鹿にする奴は、絶対許さない!!」
『おぉー怖い、まるで野獣だな』
『あんなのと一緒に泊まるなんて、考えらんない』
『さっさとつまみ出せ!!』
従業員「み、皆様!! 落ち着いて」
320 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:39:12.83 ID:/8lX5RKk0
カル「 黙れ!! 」
…ビクッ……シーン
カル「望み通り出て行く。でも」
ソニャ「(カル、怖い顔してる。さっきまで、笑ってたのに……)」
カル「これ以上、仲間を侮辱するのは許さない」
『けっ、格好付けやがって」
『あははっ、許さない。だってさ』
カル「あなた達の服装が、いくら綺麗でも……」
321 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:43:08.75 ID:/8lX5RKk0
カル「人の大事な物を平気で馬鹿にして、笑い物にする」
カル「そんな、あなた達の心が……」
カル「俺には、醜く見える」
従業員「!!」
『ふんっ、さっさと出て行け』
『貧乏人が、何を偉そうに』
『全く、彼奴等の所為で料理が冷めちゃったよ』
カル「……ソニャ、もう行こう」スッ
ソニャ「あっ…うんっ!! ソニャは外でも大丈夫だ!!」ギュッ
322 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 20:52:13.57 ID:/8lX5RKk0
次回「強者」
323 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 22:10:21.26 ID:/8lX5RKk0
※※※※※
スタスタ…
カル「ソニャ、我慢してくれてありがとう」
ソニャ「腹立つけどなっ!! すっごくすっごく腹立つけど……」
カル「ん、どうした?」
ソニャ「カルが怒ってくれたから、許してやった。とくべつになっ!!」
カル「そっか、特別か。頑張ったな」
ソニャ「まーな。でも、族長がこの話し聞いたら…」
カル「ど、どうなるんだ?」
324 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 22:12:14.32 ID:/8lX5RKk0
ソニャ「族長なら、くびを持って来いって言うだろう」
ソニャ「きっと、おそらく…なっ?」ニコッ
カル「そ、そんなに怖い部族なのか?」
ソニャ「家族をいじめたり、馬鹿にされたら、ほーふくする」
ソニャ「そうしないと、他の奴等がつけあがるからな」
カル「(縄張り争いみたいなものなのか? 家族、家族か……)」
ソニャ「どーした?」
325 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 22:13:15.10 ID:/8lX5RKk0
カル「俺も、爺ちゃんを馬鹿にされたら怒るだろうな。って思ってさ」
ソニャ「爺ちゃん? 父ちゃん母ちゃんは? 後、婆ちゃんは?」
カル「両親は小さい頃に死んじゃったんだ」
ソニャ「…………」
カル「育ててくれた爺ちゃんも…」
ソニャ「カルっ、上を見ろ!!」
カル「えっ!?」
326 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 22:14:54.75 ID:/8lX5RKk0
ソニャ「いいから見ろ!!」バシッ
カル「わ、分かった!!」
ソニャ「よし。今から、いいこと教えてやる」
カル「良い事?」
ソニャ「いいか? 空には何が見える?」
カル「月と星?」
ソニャ「星は、死んだ人のタマシイなんだ」
ソニャ「タマシイは星になって、空でずーっと光ってる」
327 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 22:17:15.09 ID:/8lX5RKk0
カル「魂の光。か」
ソニャ「それで、星になったタマシイは、家族を見守ってる」
カル「!!」
ソニャ「だから、カルの父ちゃんも母ちゃんも爺ちゃんも……」
ソニャ「みーんな」グイッ
カル「うわっ!?」
ソニャ「みーんな、カルを見てるぞ?」ニコッ
カル「そっか……ありがとう。ソニャ」
328 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 22:18:36.78 ID:/8lX5RKk0
ソニャ「へへっ、カルは知らなかったかー」
カル「うん。初めて聞いた」
ソニャ「もしかして、ソニャは物知りだったか?」
カル「ははっ、そうかもな」
ソニャ「……元気、出たか?」
カル「大丈夫。ソニャのお陰で、めちゃくちゃ元気になったから」ニコッ
ソニャ「よし、元気出たなら早く外に行こう」
329 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 22:23:44.44 ID:/8lX5RKk0
カル「えっ、ご飯食べないのか? 店なら沢山あったけど」
ソニャ「ふんっ、どうせさっきみたいな奴等がいるに決まってる!!」
カル「(あぁ、あの後じゃ嫌だよなぁ)」
カル「(出来れば、美味しい料理を一緒に食べたかったけど……これじゃ無理だな)」
ソニャ「早く外にでる。そして、狩りをする」
カル「今からか!? 疲れてるんだろ?」
ソニャ「疲れてる。疲れてるが、ソニャは餓えている……」グー
カル「はぁ…じゃあ、食べ物買って」
紳士「君達。少し宜しいかな?」
330 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/20(木) 22:24:54.23 ID:/8lX5RKk0
つづく
331 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:06:56.75 ID:Yvt6C3yU0
※※※※※
ソニャ「よろしくない。それにオマエ、ほてるにいたな?」
紳士「ああ、確かに居た。私の名は紳士。君達を見ていたんだ」
紳士「しかし、声を掛ける機会を逃してしまってね」
カル「あのっ、俺達に何の用ですか?」
紳士「とても興味が湧いた。単純に、君達と話しがしたくなった」
ソニャ「また笑いにきたか!? 次は許さないぞ!!」
カル「ソニャ、少し落ち着け。なっ?」
332 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:07:57.11 ID:Yvt6C3yU0
※※※※※
ソニャ「よろしくない。それにオマエ、ほてるにいたな?」
紳士「ああ、確かに居た。私の名は紳士。君達を見ていたんだ」
紳士「しかし、声を掛ける機会を逃してしまってね」
カル「あのっ、俺達に何の用ですか?」
紳士「とても興味が湧いた。単純に、君達と話しがしたくなった」
ソニャ「また笑いにきたか!? 次は許さないぞ!!」
カル「ソニャ、少し落ち着け。なっ?」
333 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:09:52.58 ID:Yvt6C3yU0
ソニャ「……少しだけな」
紳士「私は、決して君達を馬鹿にしに来たわけでは無い」
紳士「カル君。だったかな?」
カル「はい」
紳士「君の言葉が胸に刺さった。君達は、美しい心を持っているね」
ソニャ「あたま大丈夫か?」
334 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:11:15.10 ID:Yvt6C3yU0
カル「ソニャ、この人は大丈夫。ちょっと変だけど」
紳士「ふっ、それに素直だ」
カル「あ、すいません」
紳士「いいさ。実は私も、あの宿泊客達が気に入らない」
ソニャ「ほぅ、気が合うな」
紳士「カル君の言う通り。いくら着飾っても、美しくない」
335 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:12:19.50 ID:Yvt6C3yU0
紳士「確かに服装は大事だが、やはり大切なのは内面だ」
カル「……俺達に、何をさせたいんですか?」
紳士「ふむ、君は察しがいいな。一つ、頼みたい」
ソニャ「なんだ? ソニャは腹が減って大変なんだ。さっさと言え」
紳士「君達には、是非、あのホテルに泊まって欲しい」
カル「無理ですよ。見ていたんでしょ?」
ソニャ「カル、行こう?」
336 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:13:29.59 ID:Yvt6C3yU0
ソニャ「カル。アイツはもう駄目だ。あたまが、やられている……な?」
カル「こら。あの、もう行きます」
紳士「少し時間をくれれば、豪華な料理が食べ放題なんだが……」
ソニャ「くわしく話せ」
カル「(紳士さんか。悪い人じゃなさそうだけど……)」
カル「分かりました」
紳士「では、来たまえ」
337 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:14:45.76 ID:Yvt6C3yU0
※※※※※
カル「あの、ここは何の店ですか?」
ソニャ「ほてる、行かないのか?」
紳士「ホテルに行くのは、この店で準備した後だよ」
カル・ソニャ「準備?」
紳士「ああ、準備だ。さあ、中に入ろう」
ガチャ…パタン…
女店主「いらっしゃいま…あ、貴方は!!」
紳士「しーっ、今は客として来ている」
338 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:15:59.81 ID:Yvt6C3yU0
女店主「すぅ…はぁ…」
ソニャ「あの女、どうしたんだ?」
カル「さ、さあ…」
女店主「ふぅ。お客様、何をお求めでしょうか?」
紳士「突然で悪いが、この二人に似合う服を見立てて欲しい」
紳士「それと、髪を整えて欲しい」
女店主「畏まりました。では、お二人共此方へどうぞ」
339 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:17:09.32 ID:Yvt6C3yU0
カル「えっ、ちょっと」
ソニャ「なにをする?」
女店主「お着替えするだけです。皆も手伝って頂戴」
ゾロゾロ…
『『『はい!!』』』
カル「な、なんだ?」
ソニャ「あははっ、くすぐったい!! やめろー!!」バタバタ
340 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:19:01.79 ID:Yvt6C3yU0
※※※※※
『『『出来ました』』』
女店主「ご苦労様。皆戻っていいわよ」
カル「な、なんか、窮屈だな」
ソニャ「なんだこれ、ひらひらしている」
紳士「カル君が着ているのはスーツと言う」
カル「すーつ? 何だかぴっちりした服ですね。肩が凝りそうです」
紳士「ふむ、実に似合っている。結わえた髪もね」
341 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:20:13.04 ID:Yvt6C3yU0
ソニャ「なー、ソニャのはなんて服だ?」
紳士「ソニャ君が着ているのは、ドレスという」
紳士「やはり女性は化けるものだな……」
紳士「数年経てば、世の男が放って置かないだろう」
ソニャ「どれす、か。なんか、わーってなるな、これは」モジモジ
紳士「少しだけ我慢したまえ」
ソニャ「やぶきてーけど、我慢してやる」
342 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:21:17.13 ID:Yvt6C3yU0
カル「(紳士さんが凄い人なのは何となく分かるけど、一体……)」
紳士「女店主、無茶を聞いてくれてありがとう」
女店主「いえ、またのお越しをお待ちしております」
紳士「では、失礼する」
ガチャ…パタン……
カル「紳士さん、何でここまで?」
ソニャ「うぬぬっ…」モジモジ
343 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:22:53.85 ID:Yvt6C3yU0
紳士「如何に美しい宝石を持ち、如何に素晴らしい服を着ても……」
紳士「何かが変わる事は無い。と、私は思う」
カル「それはどういう?」
紳士「高価な物を身に纏っていれば、優れた人間になったと勘違いする者もいる」
紳士「あのホテルの宿泊客が、それだ」
カル「…………」
紳士「一方。田舎者だ野獣だと言われても、ホテルを去る君達は堂々としていた」
344 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:24:42.48 ID:Yvt6C3yU0
紳士「そう。君達は、恥じる必要など一切無かった」
カル「でも、泊めては貰えませでした」
紳士「……近頃、ああいった宿泊施設が流行っているんだが」
紳士「あんな宿泊客がいるお陰で、一般の方々は泊まりたくても泊まれないのだよ」
カル「それは、知りませんでした……」
ソニャ「くぬー、うぅ」モジモジ
紳士「これから、様々な分野に新しい時代が訪れるだろう」
345 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:26:10.63 ID:Yvt6C3yU0
カル「(このスーツとか、靴とか言う履き物も、俺は知らなかった)」
カル「(新しい時代か。人も、変わるのかな……)」
紳士「皆、必死なのかもしれない。時代に、取り残されない為に」
カル「えっ、そんなの、着たい物着ればいいじゃないですか」
カル「皆が同じ服を着る必要なんてないでしょう?」
ソニャ「カルの言う通りだ。こんなの、ソニャは嫌いだぞ」プルプル
紳士「そろそろホテルに着く」
紳士「ソニャ君、それまでは破かないでくれたまえ」
346 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:27:33.39 ID:Yvt6C3yU0
カル「あのっ紳士さん、これを」スッ
紳士「代金は要らない。私が好きでやった事だ」
カル「受け取って下さい。これは、俺がしたくてしてることです」
カル「それに、色々と勉強になりましたから」ニコッ
紳士「ふむ、なる程。では、有り難く頂戴しよう」
紳士「だがこれでは、私が受け取ってばかりな気がするな」
カル「えっ、スーツとか靴とかドレスとか、沢山貰いましたよ」
347 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:29:18.49 ID:Yvt6C3yU0
紳士「いや、少し違う」
紳士「君達のような人に出逢えた事が、何より嬉しいのだよ」
ソニャ「やっぱりコイツ、あたまが……」
カル「こら、そういう事は言っちゃ駄目だ」
紳士「ふっ。だから、まだ足りない気がしてね」
カル「も、もう十分ですよ」
紳士「では、これを」スッ
カル「これは、封筒?」
348 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]:2014/03/21(金) 02:32:25.54 ID:Yvt6C3yU0
紳士「その中には魔法の紙が入っている」
紳士「それを、ホテルの従業員に渡してくれたまえ」
カル「は、はあ」
ソニャ「着いたぞ!! 本当に腹一杯食えるんだろうな!?」
紳士「それは保証する」
紳士「出来れば一緒に入りたいのだが、君達だけで行きたまえ」
カル「……ソニャ、行こう」
ソニャ「うんっ。たくさん食うぞー!!」ギュッ
ガチャ…パタン
紳士「どうやら、もう気付かれたらしい。出来れば勧誘したかったが…」
紳士「いくら口説いても、決して首を縦には振らなかっただろうな」
349 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 02:34:19.49 ID:Yvt6C3yU0
次回「二人の夜」
350 :
>>1
[sage saga]:2014/03/21(金) 02:42:41.65 ID:Yvt6C3yU0
思ったより長くなりそう。
351 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/21(金) 07:18:26.01 ID:i4y34xqMO
おつ
おもしろい
352 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/21(金) 16:34:31.74 ID:oaqHYE7G0
乙。ソニャいい子だな
353 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/21(金) 17:21:51.27 ID:wqq/cYdio
おつ
354 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:40:41.21 ID:lda8vo2U0
※※※※※
カル「(入ったものの、本当に大丈夫なのか? 着替えて髪整えただけなのに)」
ソニャ「おーい、従業員って奴はどこだ?」
カル「(まっ、成るようになるか)」
従業員「当ホテルへようこそ…?」
カル「あ、さっきはどうも」ペコッ
ソニャ「腹が減っている」グー
355 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:41:44.95 ID:lda8vo2U0
ザワザワ…
『お、おい。あれ』
『まさか、さっきの小汚いガキ共か?』
『ねえ、もしかしてあのドレス』
『女店主さんの!? いや、そんなまさか』
『あのスーツも、そう簡単に手が出せる物じゃないわ』
『何者だ。あの二人……』
356 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:43:07.15 ID:lda8vo2U0
従業員「(この二人、確かにさっきの二人だよな? 気付かなかった)」
ソニャ「カル、そんなのいいから。早く早く」グイグイ
カル「あの、この封筒を渡せばいいと言われたんですけど」スッ
従業員「は、はいっ。えーと…!!」
カル「やっぱり、泊まれませんか?」
従業員「先程は、大変失礼致しました!!」
カル「へっ? いやいや、別にいいですよ」チラッ
『『『 うっ… 』』』ビクッ
357 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:44:35.26 ID:lda8vo2U0
カル「事情は、何となく分かりましたから」
ソニャ「いいから早く食わせろ。そしたら許してやる」
従業員「いやまさか、お二人が総支配人の友人だったとは……」
『『『 なっ!? 』』』ザワザワ
カル「総支配人?」
ソニャ「アイツ、そんなに凄いか?」
358 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:46:20.86 ID:lda8vo2U0
従業員「え、ええ。このホテル含め、国内外のホテルを……」
カル「(規模が違った。でも、不思議な人だったなぁ)」
ソニャ「ふーん。よくわかんねーな」
従業員「お二人の荷物は後で届くようなので、ご安心下さい」
従業員「わたくしが、お部屋に御案内致します」
ソニャ「そんなのは後でいい。ソニャは、腹が減って……」グー
359 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:46:57.25 ID:lda8vo2U0
カル「ソニャ、もう少し我慢しよう。すぐに食べれるから、な?」
ソニャ「……ちょーっとだけな?」
従業員「あ、あの。如何なさいますか?」
カル「出来れば、ご飯を先に食べたいです」
従業員「はい、畏まりました。では、此方へ」
360 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:47:44.46 ID:lda8vo2U0
※※※※※
従業員「では、少々お待ち下さい」
ソニャ「まだ待たせる作戦か……」
カル「ははっ、大丈夫大丈夫」
カル「ちょっと待てば、凄く美味しい料理が食べれるから」
ソニャ「ずっと前からそれ言ってるけど、まだ食べれてないっ!!」
ソニャ「カルは腹減ってないか!? 我慢できるか!?」
カル「……いいか、ソニャ。怒ると余計に腹が減るんだぞ?」
361 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:50:19.43 ID:lda8vo2U0
ソニャ「ぬー、それは知っている」
ソニャ「ソニャは物知りだから知っているが……」
カル「だからこんな時は、どんな料理が来るか考えよう?」
カル「そうすれば、少しは気が紛れるよ」
ソニャ「……いちりあるな。カルはどんなの考えた?」
カル「俺は、鹿とかじゃないかな。って思う」
362 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:51:13.49 ID:lda8vo2U0
カル「ソニャは、何が思い浮かんだ?」
ソニャ「クマ。きっとそうに違いない」ウン
カル「熊か。昔、爺ちゃんと里の皆で食べたなぁ」
ソニャ「クマ、二匹」
カル「二頭も!?」
ソニャ「だって、アイツは沢山って言ったぞ?」
従業員「お待たせ致しました」
363 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:52:28.08 ID:lda8vo2U0
※※※※※
カル「……………」モグモグ
ソニャ「……………」モグモグ
ソニャ「カル、あのな?」
カル「うん、分かる。分かるけど……」
カル「それは、あれだよ。俺達が食べ慣れてないからだ」
ソニャ「あんまし美味しくないな?」
カル「(言っちゃったよ……)」
364 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:53:15.65 ID:lda8vo2U0
『(この料理で物足りないだと!?)』
『(あの二人、普段どんな料理を食べてるんだ……)』
365 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:55:54.97 ID:lda8vo2U0
カル「お、お肉は美味しいだろ?」
ソニャ「まー、そこそこだなー」
カル「俺の肉あげるから。ほら」スッ
ソニャ「うん……」パクッ
カル「ソニャ、ごめん」
ソニャ「…? なんでカルがあやまる?」
カル「あの時、街を出た方が良かったかな。って思ってさ」
366 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:56:41.45 ID:lda8vo2U0
ソニャ「食い物はいまいちだが、ソニャは嬉しい」
ソニャ「変な服着たり、変な食い物食べたり。な?」ニコッ
カル「そっか、そりゃ良かった」
ソニャ「それにな?」
カル「うん?」
ソニャ「カルは優しい。おんぶしてくれたし、今も肉くれた」
ソニャ「だから、カルはなーんにも悪くない」
367 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:57:22.92 ID:lda8vo2U0
カル「ははっ、ありがとう、ソニャ」
ソニャ「うんっ。じゃあソニャも、カルにありがとうだな」ニコッ
カル「……あっ、そういえば」
ソニャ「どーした?」モグモグ
カル「ソニャって箸使えるんだな。びっくりしたよ」
カル「このフォークとかの使い方は、俺も分からないけどさ」
ソニャ「あー、これは族長から教わった」
368 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 21:59:32.35 ID:lda8vo2U0
カル「族長から?」
ソニャ「うん。でも族長は炎使いから教わったって」
ソニャ「それまでは手掴みだったみたいだ。けど、今は箸を使う」
カル「何で族長は使い方教わったの? 覚えるの面倒だろうに」
ソニャ「『何とかして、振り向いて欲しかった』んだって」
カル「……頑張ったんだね、族長さん」
ソニャ「でも炎使いは行っちゃったんだ」
カル「だから今でも、すっごく悔しそうにしている」モグモグ
カル「(……一途な女性、なのかな?)」
369 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 22:33:55.53 ID:lda8vo2U0
※※※※※
従業員「此方の部屋になります。では、ごゆっくりお休み下さい」
ガチャ…パタン
カル「うわっ、凄いな。こんなの見たこと無い」
ソニャ「カル、そんなことより、ソニャはこれ脱ぎたい」
カル「ははっ、実は俺もだ。羽織るやつあるし、着替えよう」
ソニャ「うっ、ぬー、脱げない。カル、脱がしてくれ」
カル「分かった。なる程、背中に留め具があるのか……」
370 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 22:35:24.32 ID:lda8vo2U0
カル「ソニャ、髪持ち上げて? 引っ掛かると痛いから」
ソニャ「ん、分かった」
プチッ…プチッ…プチッ
カル「よし、出来た」
ソニャ「やっと脱げたか……後はこれも」
カル「それは一人で脱げるか?」
ソニャ「ぬっ、くぬっ…ダメだ……」
371 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 22:36:25.75 ID:lda8vo2U0
カル「仕方無い。うわっ、何だこれ」
ソニャ「どーした?」
カル「外し方が、かなり面倒そうだ……」
ソニャ「だろ? これのせいで胸がきついんだ」
カル「ちょっと待ってて。よし、段々分かってきたぞ」
ソニャ「なー、まだか?」ソワソワ
カル「もう少し……」
372 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 22:39:21.33 ID:lda8vo2U0
カル「あっ、そうか。横にずらせば」
パチンッ
カル「よしっ、外れた」
ソニャ「はぁ助かった。ありがとな?」
カル「あの白いふわふわ、ちゃんと羽織るんだぞ?」
ソニャ「うんっ」
カル「じゃあ俺、向こうの部屋で着替えてくる」
ソニャ「分かったー……んっ…」モジモジ
ソニャ「……下のやつも脱ごう。なんかもそもそしてダメだ」
373 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/21(金) 22:40:08.24 ID:lda8vo2U0
つづく
374 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/21(金) 22:52:06.62 ID:oaqHYE7G0
これは…たまらんな
375 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:19:57.37 ID:/9a3Xx100
※※※※※
カル「(あー、やっと脱げる。やっぱり着物が一番いい)」
カル「(着物が届くまでは、この白いやつ着ておこう)」
ソニャ「カル、着替えたか?」
カル「あ、うん。着替え終わったよ」
ソニャ「やっぱしなんか変だな?」
カル「ん? 何が?」
ソニャ「夜なのに明るいし、寝るとこもないし」
376 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:20:36.08 ID:/9a3Xx100
カル「明るいのは電気ってやつだよ」
カル「大きな街とか都は、夜も明るいって聞いた」
ソニャ「カミナリ様か?」
カル「まあ、そんな感じ。仕組みは全然分かんないけど」
ソニャ「なんか、落ち着かないな?」
カル「ははっ、そうだね。俺も落ち着かない」
カル「ちなみに、寝るのはここ」
ボフボフッ
377 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:21:35.02 ID:/9a3Xx100
ソニャ「なんだそれ?」
カル「ベッド。って言うんだって。ソニャはどうやって寝てた?」
ソニャ「毛皮の上で寝てた」
カル「(思ってた以上に原始的な暮らしだ。完全な自給自足の生活か)」
カル「取り敢えず、ちょっと横になってみたら?」
ソニャ「う、うん」
ポフッ
378 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:22:49.08 ID:/9a3Xx100
カル「どう? 寝れそう?」
ソニャ「わるくないな。カルも来い」
カル「えっ? ベッドは二つあるし、一人で寝るよ」
ソニャ「……実は、ここだけの話し」
カル「ん?」
ソニャ「一人じゃ寝れそうにない。落ち着かなくて」
カル「……そっか、じゃあ一緒に寝よう」
379 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:23:44.60 ID:/9a3Xx100
ソニャ「いいのか?」
カル「いいのかって、一緒じゃないと寝れそうにないんだろ?」
カル「凄い部屋だけど。こんな部屋じゃ、俺だって落ち着かないよ」
ソニャ「……そうか、わかった」
カル「…? それよりソニャ」
ソニャ「な、なんだ?」
カル「従業員さんに聞いたんだけど、風呂があるんだって」
380 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:24:43.77 ID:/9a3Xx100
ソニャ「あー、体洗うとこな? それは知ってる」
ソニャ「で、どこにある?」
カル「それが……」
ソニャ「なんだ? しんこくな顔して」
カル「この部屋の中にあるらしいんだ」
ソニャ「ふっ、ウソだな」
ソニャ「川もないのに、どうやって水を出す?」
カル「温泉からお湯を引っ張ってるらしいけど、詳しくは分かんないな」
381 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:26:02.51 ID:/9a3Xx100
カル「気になるし、折角だから入って来る」
カル「何日も風呂に入ってないし」
ソニャ「そうか、気をつけてな?」
カル「ははっ、うん。じゃあ入って来る」
ガチャ…パタン
ソニャ「……………」ポツン
ソニャ「………………」ソワソワ
カル『ぎゃあぁぁぁ!!!!』
ソニャ「っ、カル!!」ダッ
382 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:28:08.36 ID:/9a3Xx100
※※※※※
カル「説明では、これを捻ると」グイッ
バッシャアアアア!!
カル「ぎゃあぁぁぁ!!」
ガラッ
ソニャ「どーした!? 大丈夫か!?」
カル「冷たっ!!」グイッ
ピタッ…
ソニャ「お、おい。カル、大丈夫か?」
383 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:30:43.28 ID:/9a3Xx100
カル「あ、ソニャ。俺なら大丈夫」
カル「いきなり冷たいのが出たから、びっくりしただ……け」
ソニャ「どーした?」
カル「さ、流石に恥ずかしいから、早く閉めてくれないかな」
ソニャ「なにが恥ずかしい?」
ソニャ「カルだって、ソニャの肌を見ただろ?」
カル「肌と素っ裸じゃえらい違いだ。全く違う」
カル「だからほらっ、早く閉めて。な?」
384 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:32:53.86 ID:/9a3Xx100
ソニャ「やっぱしソニャも入っていいか?」
カル「は!? 流石にそれは」
ソニャ「頭がかゆい。ソニャは、カルに洗って欲しい」
カル「(まだ出逢って一日目。いや、日数は関係無い)」
カル「(女の子と風呂に入る。ってことが問題なんだ)」
カル「(いくらソニャが小さい女の子でも、恥ずかしいものは恥ずかしい)」
ソニャ「入るぞー?」
カル「……………」
385 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 01:34:04.83 ID:/9a3Xx100
カル「(まあ、そういう自覚は無いだろうし。さっさと済ませよう)」
カル「髪は洗う。でも、あんまり見ないように」
ソニャ「なんでだ? 一緒寝るんなら、見たっていいだろ?」
カル「えっ?」
ソニャ「一緒に寝るなら体きれいにしろって、族長から言われた」
ソニャ「それが男女のれーぎだと、ソニャはそう聞いたが?」
カル「……お風呂上がったら、少し話そうな」
386 :
>>1
:2014/03/22(土) 01:36:35.64 ID:/9a3Xx100
次回「子供」
387 :
>>1
[sage]:2014/03/22(土) 01:38:57.20 ID:/9a3Xx100
話し進むの遅いけど、ご勘弁。
388 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/22(土) 05:06:09.03 ID:27KQX4Gdo
おつ、気にならないよ
389 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/22(土) 22:08:04.38 ID:hvMcxUz7O
おつ
390 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 22:40:23.12 ID:n0mOE8ZR0
※※※※※
ソニャ「…くぅ…くぅ…ぬー」
カル「まだ子供、だもんな……」
泣き疲れたのか、ソニャは眠ってしまった。
何で泣いてしまったかというと。
故郷と家族を思い、寂しくなったからだ。
カル「我慢。してたんだな」
391 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 22:43:07.25 ID:n0mOE8ZR0
※※※※※
ソニャ「…くぅ…くぅ…ぬー」
カル「まだ子供、だもんな……」
泣き疲れたのか、ソニャは眠ってしまった。
何で泣いてしまったかというと。
故郷と家族を思い、寂しくなったからだ。
カル「我慢、してたんだな」
392 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 22:44:46.14 ID:n0mOE8ZR0
恥ずかしいし、女の子の裸を見るなんて当然慣れてない。
だから、さっさと髪を洗って風呂から上がろう。
そう思って、ソニャの髪を洗い始めた時。
ソニャが泣き出したんだ。
俺は素っ裸の恥ずかしさなんて忘れて、そのわけを聞いた。
どうやら、お母さんに髪を洗ってもらった事を思い出したらしい。
ソニャの小さな体が、震えていた。
393 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 22:46:12.89 ID:n0mOE8ZR0
だけど、決して俺には涙を見せなかった。
ーーガウリの女はみんな強い。だから、泣いちゃダメなんだ
ソニャはガウリを、家族を大事に思っている。
きっと、気高く誇り高い部族なんだろう。
風呂を上がると、ソニャはすっかり笑顔に戻っていた。
その後、従業員さんが来て、俺達の服と荷物を持ってきてくれた。
394 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 22:48:04.52 ID:n0mOE8ZR0
それから、調子が戻って元気なったソニャに、色々教えた。
男女が一緒にお風呂入るのは、夫婦くらいだ。
とか、色々。
すると、ソニャにも教えられた。
何とガウリの人達は、一緒に川に入り、体を洗うらしい。
一緒とは言ったけど
女性が入っている時は、男性が辺りを見張る。
男性が入っている時は、女性が辺りを見張るようだ。
395 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 22:49:23.13 ID:n0mOE8ZR0
ーー恥ずかしくないの?
と聞いたら。
ーー見慣れてるから平気だが?
……と、返された。
こっちは慣れてないから、どうか勘弁して欲しい。
だけど、ガウリではそれが当たり前の事なんだろう。
改めて、育った場所が違うんだな。と思った。
396 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 22:51:14.94 ID:n0mOE8ZR0
後、一緒に寝るなら体を綺麗にしろ。
これは族長から吹き込まれたもの。
説明するのに、かなり時間が掛かった。
まだ小さい子に、なんて事を教えるんだ。
と思ったけど……
それは、族長なりに考えがあったらしい。
ーー愛する男と夜を共にするのなら
ーー床に入る前に、必ず身を清めなさい
という、大人の話しだ。
397 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 22:53:50.21 ID:n0mOE8ZR0
ソニャ「くぅ…くぅ」
カル「はぁ…」
それが正しい事だとしても、この子に教えるのは早過ぎる。
一体、族長さんは何を考えてるんだ。
ソニャには、男女について色々質問された。
その話しは、なんとか誤魔化すことに成功した。
その後、明かりを消して一緒にベッドに入ったんだけど……
また、泣き出した。
398 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 22:55:49.28 ID:n0mOE8ZR0
温もりが、色んな事を思い出させたのかもしれない。
背を向けて涙を流しながら。
ソニャは、俺の手を取り、頭に乗せた。
どうやら、落ち着くまで撫でて欲しいみたいだ。
それからしばらく撫で続けると、ソニャは眠ってしまった。
ソニャの寝顔を見ていたら……
ーー暗闇の妖精を倒すまで
ーー俺が、この子を守っていかなければ
と、今更ながら思った。
399 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 23:00:23.69 ID:n0mOE8ZR0
※※※※※
ソニャ「……カル、いるか?」モゾモゾ
カル「起きちゃったか。大丈夫、ここにいるから」
ソニャ「……うん」
カル「明日から、頑張ろう」
ソニャ「大丈夫だ。ソニャ、実は頑張り屋だから」ギュッ
カル「ははっ、そっか。頑張り屋か」
カル「あのさ。いつか、見せてくれないかな」
ソニャ「……?」
400 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 23:03:12.51 ID:n0mOE8ZR0
カル「ソニャが育った場所とか、ガウリのみんなとか」ポンッ
カル「(族長は怖そうだけど、炎使いの話しとか色々聞きたい)」
ソニャ「あっ…うんっ」
カル「きっと、綺麗な場所なんだろうなぁ」
ソニャ「絶対連れてってやる。約束だ!!」ギュッ
カル「いっ、痛い痛い。大丈夫、離れないから、ちょっと緩めて」
ソニャ「んーっ、カルは温かいな」ムギュ
カル「はぁ…もう寝たいから。な?」
401 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 23:07:43.41 ID:n0mOE8ZR0
ソニャ「ソニャは、このまま寝たいんだが、ダメか?」
カル「それはいいけど、もうちょっと緩めてくれない?」
カル「その代わり腕枕するから、布団から頭出して。な?」
ソニャ「むー、腕枕ならしょうがないな」モゾモゾ
ソニャ「今日のところは、この辺で止めておこう」
カル「助かった……じゃあ、お休み」
402 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/22(土) 23:12:44.73 ID:n0mOE8ZR0
ソニャ「おやすみっ」ギュッ
カル「ちょっ、強い強いっ」
ソニャ「(優しくて温かくて……やっぱし優しい)」
カル「(こんな可愛い娘を旅立たせて、ソニャの両親も心配してるだろうなぁ)」
カル「……すぅ…すぅ」
ソニャ「もう寝ちゃったか?」ツンッ
カル「…ふー…すぅ…」
ソニャ「カルに逢えて、ソニャは本当に嬉しいぞ?」
ソニャ「……ソニャも、寝よう…」モゾモゾ
ソニャ「……くぅ…くぅ」ギュッ
403 :
>>1
:2014/03/22(土) 23:22:27.37 ID:n0mOE8ZR0
次回「噂」
404 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:26:50.19 ID:LhSqSSAB0
※※※※※
炎陽の街・大通り
カル「武器屋はどこだろう?」
ソニャ「はぁー、ごちゃごちゃしてるなー」
スタスタ…
目覚めてすぐに身支度を済ませた俺達は、ホテルを後にした。
そう言えば、従業員さんから四角くて硬い紙を貰った。
確か、カードとかいうやつだ。
他のホテルに泊まる時に使うと、役に立つ。らしい……
今は、ソニャの武器を買う為、武器屋を探している。
405 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:27:59.45 ID:LhSqSSAB0
カル「ソニャってさ」
ソニャ「んー?」
カル「どんな武器使うんだ?」
ソニャ「斧。斧を使う」
ソニャ「実は弓と短刀も使えるが、ソニャは斧の方がいい」
カル「斧? 振れるのか?」
ソニャ「重いなら、振り回される。軽いなら、振る」
406 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:29:11.66 ID:LhSqSSAB0
カル「斧の重さに身を任せるってことか?」
ソニャ「まーな。だが、重いと何回も振れない……」
カル「じゃあ、軽いのを買おう」
ソニャ「小さいのなら、二つがいい。止め刺す時、楽だから」
カル「……なる程、分かった」
カル「まだ店は見つかってないけど……」
ソニャ「探すの、めんどくせーな?」
407 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:30:45.16 ID:LhSqSSAB0
カル「そうだなぁ。建物も多いし、道もぐちゃぐちゃだ」
カル「はぐれると大変だし、手繋ぐか」
ソニャ「うん」ギュッ
スタスタ…
カル「あっ、ここだ」
ソニャ「他のとこと違うな?」
カル「売ってるだけじゃなく、造ってるんだろうな」
408 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:32:21.02 ID:LhSqSSAB0
カル「煙出てるし。ほら、煙突があるの見えるか?」
ソニャ「おー、本当だ」
カル「気に入ったのが無いなら違う店に行く。だからちゃんと言うんだぞ?」
ソニャ「だきょうは、しない」
カル「ははっ、そっかそっか」
ソニャ「よし、行くぞ。カル」
カル「はいはい」
ガチャ…パタン
409 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:33:29.23 ID:LhSqSSAB0
武器屋「……いらっしゃい」
カル「おはようございます」
ソニャ「おはよー」
武器屋「あ? ああ、おはよう」
カル「斧を探してるんですが、ありますか?」
ソニャ「頑丈なヤツな」
武器屋「斧ならこっちだ。来い」
410 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:35:02.00 ID:LhSqSSAB0
ズラリ
カル「凄い数だ。ソニャ、どれがいい?」
ソニャ「うーん。これと、これだ」
カル「小型の斧か。でも、他のより刃が厚いな」
ソニャ「そこが気に入った」
カル「振れるか?」
ソニャ「ふんっ…」ブンッ
カル「へー、凄いな」
411 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:36:19.23 ID:LhSqSSAB0
ソニャ「これは持つとこもいい。な?」ブンッ
武器屋「……………」
カル「よし、じゃあそれにしよう」
ソニャ「カル、大丈夫か?」
カル「お金ならまだあるし、大丈夫」
ソニャ「それもだが、カルはなんか要らないか?」
カル「あぁそうだ。短刀が駄目になったんだった」
412 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:37:36.93 ID:LhSqSSAB0
武器屋「短刀はこっちだ」
カル「あ、はい。ありがとうございます」
ソニャ「クマみたいだな?」
武器屋「…………」ジロッ
カル「こらっ。あの、すいません」
ソニャ「悪気はなかった……ごめんな?」
武器屋「いい。よく言われる」
413 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:39:22.30 ID:LhSqSSAB0
ソニャ「ほぅ、中々いいヤツだな」
カル「(言葉遣いも教えよう……)」
武器屋「ここが短刀だ」
ズラリ
カル「……あっ、これ」スッ
ソニャ「それ、いいやつな」
カル「ソニャもそう思う?」
414 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:40:40.74 ID:LhSqSSAB0
ソニャ「柔らかそうで、いい」
武器屋「……………」
カル「ソニャにも一つ買おう。この店のは凄い」
ソニャ「ガウリのみんなの分もほしいな」
カル「それは、今度な」
ソニャ「わかった」
武器屋「お前達は、何者だ」
武器屋「まだ子供なのに、何故武器を買う」
415 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:42:36.88 ID:LhSqSSAB0
ソニャ「悪いヤツを倒す」
武器屋「子供二人でか?」
ソニャ「馬鹿にするな。ソニャはガウリだ。子供じゃない」
カル「ソニャ、馬鹿にしてるわけじゃないよ」
ソニャ「むっ、そうなのか?」
武器屋「子供二人が武器を買う。気になるだろう」
カル「あの、俺も聞きたい事があるんですけど」
416 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:44:45.89 ID:LhSqSSAB0
武器屋「何だ?」
カル「こんなに良質の物が揃っているのに…」
カル「なんでお客さんがいないんですか?」
カル「兵士や武芸者なら放って置かないんじゃ」
武器屋「……………」
カル「あっ、すいません」
ソニャ「や、やる気か?」
武器屋「売らないからだ」
417 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:46:20.21 ID:LhSqSSAB0
カル「えっ?」
武器屋「俺は、俺が選んだ奴にしか売らない」
武器屋「お前達も、軍に志願するのか?」
ソニャ「なんだそれ?」
カル「いや、しませんけど。何でですか?」
武器屋「この前、お前ぐらいのガキ共が来てな」
武器屋「近々戦争が起きると言っていた」
カル「戦争?」
418 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:48:30.98 ID:LhSqSSAB0
武器屋「どうせ単なる噂だろうがな」
武器屋「勿論、そのガキ共には売らなかった」
カル「あの、その話しを聞かせてくれませんか?」
武器屋「……火の王が戦を始めるらしい。兵士を集めている」
武器屋「これだけだ」
カル「……そうですか」
ソニャ「なー、ソニャ達には売ってくれないか?」
武器屋「お前達は、それを何に使う?」
カル「人では無いモノ。悪を討つ為に使います」
419 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:49:56.58 ID:LhSqSSAB0
ソニャ「ウソじゃないぞ?」
武器屋「……その四つでいいのか?」
カル「は、はい」
武器屋「五万だ」
カル「えっ!? 安く見ても十五万はしますよ?」
武器屋「俺が五万と言ってるなら、それでいいだろう」
ソニャ「いいのか?」
武器屋「いい。買うのか、買わないのか」
カル「か、買います」スッ
420 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:51:15.67 ID:LhSqSSAB0
武器屋「丁度だな。おい、これも持って行け」ドサッ
ソニャ「おー、斧入れるやつか」
武器屋「腰に巻いて行け」
ソニャ「わかった。カル、早く早く」
カル「はいはい、今着けるよ」
カチャカチャ…
ソニャ「よし、いい感じだな」ウン
カル「あの」
421 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 01:53:30.97 ID:LhSqSSAB0
武器屋「何だ? まだ何か買うのか?」
カル「いえ、ありがとうございました」
武器屋「用が済んだらさっさと行け」
ソニャ「ありがとなー」
カル「(戦争。噂だとしても、急いだ方が良さそうだな)」
ガチャ…パタン
武器屋「ガキの癖に、俺の造った物だけを選んだ」
武器屋「目も、そこらの兵士や自称武芸者共とは違う」
武器屋「変な奴等だ……」
422 :
>>1
:2014/03/23(日) 01:55:47.55 ID:LhSqSSAB0
次回「黒の群れ」
423 :
>>1
[sage]:2014/03/23(日) 01:57:04.74 ID:LhSqSSAB0
ようやく都に行きます。
424 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/23(日) 03:31:34.16 ID:0nGzR88wo
おつ、いいぶきやだったのね
425 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/23(日) 11:12:56.15 ID:fm0NXuaz0
乙。続き楽しみにしてる。
426 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:27:13.18 ID:pU/C2KAG0
※※※※※
カル「さっきの話しが本当だとしたら大変だ。急ごう」
ソニャ「戦か?」
カル「国と国が戦う、大きな戦かもしれない」
ソニャ「なんだか、嫌な感じするな?」
カル「ああ、単なる噂や何かだと良いんだけど」
ソニャ「ところで、どこに行く?」
カル「この国で一番大きい場所。王様のいる都に行く」
カル「すぐに王様に会うのは難しい。だから、都の人に話しを聞く」
427 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:28:49.27 ID:pU/C2KAG0
ソニャ「……暗闇の妖精のしわざ。カルは、そう考えてるか?」
カル「ソニャの方が詳しいだろうけど、王を唆していたのは暗闇の妖精だ」
カル「もし戦争が本当なら、その可能性は高いと思う」
ソニャ「そっか。でも他の仲間はいないぞ、どーする?」
カル「今は、俺達の出来る事をしよう。仲間は、その後だ」
カル「戦争が噂だとしても、黒水晶の存在を王様に伝えなきゃならない」
ソニャ「そうだな。うん、わかった」
タタタッ…
428 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:29:39.42 ID:pU/C2KAG0
※※※※※
お婆さん「あらあら、そうかい。もう発つのかい」
ソニャ「ちょっと忙しくなってな」
お婆さん「そうなの、小さいのに大変だねえ」
カル「お婆さん。白月を預かってくれて、ありがとうございました」
ソニャ「ありがとな?」
お婆さん「ほほっ、いいよいいよ」
お婆さん「またこの街に来たら、顔を見せておくれ」
429 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:30:32.23 ID:pU/C2KAG0
カル「はい。必ずまた来ます」タッ
ソニャ「約束な」タンッ
白月「ブルルッ…」
お婆さん「気を付けて行くんだよ?」
カル「お婆さんも、お元気で」
ソニャ「元気でな? 転んだりするな?」
お婆さん「はいはい。またね、お嬢ちゃん」
430 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:31:37.94 ID:pU/C2KAG0
カル「……白月、行くぞ」ガッ
白月「ブルルッ!!」
ソニャ「婆ちゃん、またなー!!」
ガガッ…ガガッ…
お婆さん「しっかりしたお兄さんに、素直な妹さん。いいもんだねえ」
お婆さん「あら? そういやあ、名前聞くの忘れちまった」
お婆さん「……神様仏様。二人の旅が、どうか無事でありますように……」
431 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:33:03.77 ID:pU/C2KAG0
※※※※※※
都への街道
ガガッ…ガガッ…
カル「ソニャ、何か嫌な感じがしないか?」
ソニャ「するけど、アレと違うな」
カル「アレって、黒水晶のことか?」
ソニャ「うん。アレより、なんていうか……」
カル「気持ち悪い?」
ソニャ「それだ。なんか、どろどろしてる感じ」
432 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:34:33.60 ID:pU/C2KAG0
カル「どこにいるとか、数とか分かる?」
ソニャ「ぬー、ちょっと待て」
カル「どうだ?」
ソニャ「ダメだ。ぐちゃぐちゃに混ざってて、わかんねー」
ソニャ「森に来たヤツは、粒みたいな感じだったけど、泥みたいだ」
カル「……泥」
ソニャ「うん。それが、どんどん近付いてくる」
カル「ソニャ、約束覚えてるか?」
433 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:36:15.43 ID:pU/C2KAG0
ソニャ「うん。無理しない、辛いなら言う」
カル「守れる?」
ソニャ「ソニャは、約束は破らないぞ?」
カル「分かってる。確認しただけだよ」
ソニャ「……?」
カル「(この先に何かがいるのは、間違い無い)」
カル「(でも何だ? 以前戦ったモノとは違う。何かが、欠けてる)」
434 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:36:54.94 ID:pU/C2KAG0
ガガッ…ガガッ
ソニャ「っ、カルっ!! あれ見ろ!!」
カル「白月っ、止まれ!!」
白月「ブルルッ!!」ガガッ
遠方に見えたのは、黒い鎧を纏った兵士・騎士の隊列。
頭の先から足の先まで、全てが黒い鎧で被われている。
あんな異様な兵士は、一度足りとも見たことが無い。
あんな造りの鎧も、見たことが無い。
435 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:37:45.67 ID:pU/C2KAG0
カル「何なんだ……あれ」
ソニャ「カル。林にかくれて様子を見よう。なんか、変だ」
カル「うん。その方が良さそうだ」
それすら分からないけど、これ以上は近付かない方がいい。
俺達は、一旦街道から外れて林に身を隠した。
436 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:38:44.41 ID:pU/C2KAG0
ザッザッザッザッ……
437 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:39:51.20 ID:pU/C2KAG0
ソニャ「カル、あれはなんだ?」
カル「分からない。あんな兵士は見たことが無いよ」
陽を浴びて輝く黒の軍勢は、途轍もない威圧感を撒き散らしている。
まるで、これから戦が始まるような。張り詰めた空気。
カル「あの兵士達は、炎陽を目指してるのか?」
ソニャ「……カル、アイツ等を行かせちゃダメだ」
438 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:40:46.95 ID:pU/C2KAG0
カル「確かに不気味だけど、あの兵」
ソニャ「違う。アイツ等は、戦士でもヒトでもない」
ソニャ「アレは多分、黒水晶で出来てる。アイツ等、全部だ」
ソニャ「だからソニャは、ぐちゃぐちゃに感じた」
カル「そんな…」
ソニャ「アイツ等がなにをするのかは、わかんねー」
ソニャ「でも、絶対に行かせちゃダメだ。必ず災いをふりまく」
439 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:42:12.00 ID:pU/C2KAG0
カル「ソニャ」
ソニャ「なんだ?」
カル「あの兵隊全員が黒水晶。それは間違い無いんだな」
ソニャ「絶対間違いない。あれは、ソニャ達の敵だ」
カル「………………」
まだ何も分からないけど、あれが嫌なモノなのは確かだ。
ソニャの言う通りの存在なら、絶対に見過ごせない。
しかもあの兵隊、都の方から来てる。
もしかしたら、最悪の事態になっているかもしれない。
440 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:42:47.87 ID:pU/C2KAG0
ソニャ「カル、急がないと」
カル「………………」
ソニャ「カル。もしかして、ソニャを信じてないか?」
カル「いや、ソニャを信じる。ちょっと考えてただけだよ」
カル「……白月はここにいてくれ。何かあったら、頼む」
白月「ブルルッ…」
441 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 20:43:55.37 ID:pU/C2KAG0
カル「いいかソニャ、まずは俺が行く」
カル「ソニャはその隙に、奴等の後ろに回り込んで欲しい」
ソニャ「一緒に行きたいが、我慢する」
カル「ははっ、うん。ありがとう」
カル「じゃあ、奴等が俺に攻撃を仕掛けたら、頼む」ポンッ
ソニャ「んっ…カル?」
カル「俺は大丈夫。じゃあ、行ってくる」
……タタタッ
442 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:27:19.90 ID:pU/C2KAG0
カル「貴方達は、火の国の兵士ですか?」
『『浄火よ。捜したぞ』』
カル「……ソニャの言う通り、やっぱり違うみたいだな」
黒鎧の兵。
……胸の中央に、黒水晶が埋め込まれてある。
あれを破壊すれば、砕け散る筈だ。
何だ? 黒鎧の隙間から何かが蠢き出てる。
アレも、黒水晶の力なのか。
443 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:28:37.66 ID:pU/C2KAG0
黒鎧『『忌まわしい精霊よ』』
カル「……来い」
黒鎧『『死ぬがいい』』
カル「っ!! やっぱり、力を使えるのか」
風と水の力。
同時に二つの力を相手にしなきゃならないのは辛いな。
でも、これぐらいなら。
押し戻せる。
444 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:29:53.91 ID:pU/C2KAG0
カル「おりゃああああっ!!」
黒鎧『『これは、中々』』
カル「(よし、行ける)」
敵の総数は軽く見ても七十以上。
黒鎧胸部の黒水晶を破壊すれば、勝てる。
でも油断しちゃ駄目だ。
絶えず炎を纏っていないと、やられる。
カル「街には、行かせない」ヒュッ
黒鎧『『な…に…』』ピシッ
ガシャガシャガシャ…
445 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:31:42.54 ID:pU/C2KAG0
猪の時みたいに、力を使えなくなったら、奴等には勝てない。
出来るだけ剣で破壊して、それだけは防がないと。
カル「巨岩の拳……」
あれが、ソニャの力。
奥の黒鎧が跳ね上がった。あれなら、一気に片付けられるだろう。
でも、こっちの黒鎧は俺が倒さないと駄目だ。
ソニャの力が保っている内に、何とか突破しないと。
カル「っ、何だ? 足が…」
黒泥『姿無くとも影はあり』
446 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:32:58.36 ID:pU/C2KAG0
くそっ、この黒泥は、鎧とは別の何かか?
だから、黒水晶を壊しても独立して動ける?
なら、黒水晶を壊しても、この黒泥を何とかしない限り……
カル「ソニャ、聞こえるか!!」
ソニャ『聞こえる!!』
カル「今すぐ鎧の残骸から離れろ!! 鎧は入れ物に過ぎない!!」
カル「鎧の中から溢れ出した泥を、土で固めるんだ!!」
ソニャ『わかった!! やってみる!!』
447 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:35:19.62 ID:pU/C2KAG0
黒泥『『お前はどうする』』
カル「っ、燃えろおぉぉ!!」
ゴオォォォッ
あの黒泥、触れた場所から力を奪うのか。
脚に、力が入らない。
神父さんの言っていた通り、何て禍々しい力だ。
こんなのが、街に行ったら。
篝火の町や灯火の里へ行ったら……
嫌だ。それだけは、絶対にさせない。
448 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:37:53.23 ID:pU/C2KAG0
でも、この黒泥相手に力を温存して戦うのは無理だ。
一気に焼き尽くさないと、呑み込まれる。
辺りに飛び散った黒泥が集まって来てる……
だったら、力が空っぽになるまで、やるしかない。
それにソニャだって、いつまで保つか分からないんだ。
ソニャ『カルっ!! 固めたヤツは斧でも壊せる!!』
449 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:40:02.88 ID:pU/C2KAG0
カル「分かった!! 今から行く!! 少し耐えてくれ!!」
ソニャの声、かなり疲れてる。
早く行かないと拙い。黒泥は燃えるのに時間が掛かる。
くそっ、どうする?
黒鎧『どうした。行かないのか』
カル「行くよ。ソニャは、俺が守る」
何とかしないっ、な、何だ!?
脚が熱い。何かが、巻き付いてくるみないな感じだ。
カル「っ…これは、具足か?」
450 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:42:10.93 ID:pU/C2KAG0
それに、猪を模した炎。
力が漲る。脚が、燃えるみたいだ。
でもこんなの、一体どこから出て来たんだ……
ーーお前のような、勇敢な人間に出逢えて良かった
あの時の、脚に巻き付いた炎が力を貸してくれてるのか?
カル「よし、だったら……」
黒鎧『なんだ、それは』
451 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:43:53.27 ID:pU/C2KAG0
カル「今に、分かるさ」
炎を纏え、脚に集中しろ。
全ての力を使ってでも、ソニャの所まで突っ切るんだ。
今は、それだけを考えろ。
黒鎧『隙だらけだ』
カル「ぐっ…」ブシュッ
今は、耐えろ。
振り返るな。もう少し、もう少し溜めるんだ。
452 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:46:05.62 ID:pU/C2KAG0
カル「くっ、まだだ……」
この炎じゃ足りない。
黒鎧ごと、内側の黒泥を溶かせ。
それぐらいの炎じゃないと駄目なんだ。
頼む。助けたいんだ。
戦うって、決めたんだ。
失うのは、あんなのは、もう沢山だ。
黒鎧『切り裂け』
カル「ぐっ…邪魔だ!!」ダンッ
ドガガガガガッ…
黒鎧『『流石は浄…火』』ジリッ
ジュッ……シュゥゥゥゥ…
453 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:48:30.95 ID:pU/C2KAG0
ソニャ「(ちょっと調子に乗ったか? 力に頼り過ぎたな)」
ソニャ「(まだ、けっこう残ってるのに……?)」
ズガガガガッ…
カル「ソニャ、大丈夫か!?」
ソニャ「カル!! ソニャは平気だが……」
カル「力はどうだ? まだ行けるか?」
ソニャ「実のところ、ソニャはそろそろかもしれない……」
454 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:49:36.82 ID:pU/C2KAG0
黒鎧『『狙いは浄火。奴だ』』
ザッザッザッ……ジャキ…
カル「……ソニャ」
ソニャ「っ、嫌だ!! ガウリは逃げない!! 一緒に戦う!!」
カル「俺なら大丈夫」
ソニャ「大丈夫なわけない!! たくさん血が出てる!!」
カル「逃げろとは言わない。ただ、頼みがある」
ソニャ「……?」
455 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:50:53.07 ID:pU/C2KAG0
カル「ソニャには、他の仲間を見付けて欲しい」
ソニャ「そんなの、逃げると同じだ!! ソニャも戦う!!」
カル「こんな奴等、俺一人で十分だ。だから頼んでるんだ」
ソニャ「……カル、死ぬ気か?」
カル「ははっ、大丈夫。すぐに追い付くから。な?」ポンッ
ソニャ「……約束な? やぶらないか?」
カル「勿論!!」ニコッ
ソニャ「じゃあ、わかった……」
456 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:53:08.34 ID:pU/C2KAG0
カル「来いっ、白月!!」
ガガッガガッ
カル「ソニャを頼む。さあ、行くんだ」
白月「…ブルッ」
カル「行けっ!!」
ガガッガガッ…
ソニャ「カルっ!!」クルッ
ーー大丈夫。すぐに追い付くから
ソニャ「(ダメだ。ソニャは約束した。ソニャは、仲間を捜す)」
457 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:54:05.58 ID:pU/C2KAG0
ソニャ「(カルは死なない。大丈夫って、追い付くって言った……)」
ソニャ「白月。カル、笑ってたな? だから、大丈夫だよな?」
ソニャ「……ダメだ。やっぱり戻る!!」ガッ
ガガッ…ガガッ…
ソニャ「白月、戻ろうな? カルが、カルが死んじゃう」ポロポロ
ガガッ…ガガッ…ガガッ
ーー白月、ソニャを頼む
白月「ブルッ…ブルルッ!!」
458 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:56:29.49 ID:pU/C2KAG0
黒鎧『『別れは済んだか』』
カル「一つ聞かせてくれ。火の王はどうした?」
黒鎧『『考えている通り、王は我々を求めた』』
黒鎧『『今や、力の虜』』
黒鎧『『浄火は相変わらずよ』』
黒鎧『『王が求める戦が始まるであろう』』
カル「……暗闇の妖精。お前も、そこにいるのか」
459 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 22:58:56.61 ID:pU/C2KAG0
黒鎧『『どうだろうな』』
黒鎧『『我々は、何処にでもいる』』
黒鎧『『人あらば、影あり』』
黒鎧『『悪いが、話しは終わりだ』』
黒鎧『『厄介なモノは、早めに片付けないと』』
カル「……戦いたくない。か」
黒鎧『『何?』』
460 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 23:01:07.87 ID:pU/C2KAG0
カル「お前達と戦って気付いた。俺は甘かった」
カル「まだまだ、足りなかったんだ」
黒鎧『『……仕方無い』』
黒鎧『『逃げられはしない、か』』
黒鎧『『命は炎、浄火よ、死ぬ気か』』
カル「ああ、逃がしはしない」
カル「誰かを傷付けるのは、絶対に許さない」
カル「もう誰も、泣かせはしない」
461 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 23:03:59.62 ID:pU/C2KAG0
黒鎧『『偽善、独善』』
黒鎧『『綺麗事、言葉とは美しいものよ』』
カル「綺麗事か、確かにそうかもしれない」
黒鎧『『だが浄火よ。傷付けるのは、王だ』』
黒鎧『『王が望み、決めた事だ』』
黒鎧『『早まるな。浄火よ、我々と共に来い』』
カル「俺は人間だ。俺は、綺麗事の為に戦うよ」
カル「だから……」
462 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 23:05:03.62 ID:pU/C2KAG0
ーー俺の命と、燃えて逝け
463 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 23:11:47.74 ID:pU/C2KAG0
ーーーあぁ…貴方以外に、誰が暗闇を照らすというの?
464 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 23:12:35.03 ID:pU/C2KAG0
ーーー貴方以外に、誰が私を照らすというの?
465 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
:2014/03/23(日) 23:15:55.10 ID:pU/C2KAG0
戦士覚醒編 完
466 :
◆5l7a.r2Ghs
:2014/03/23(日) 23:19:57.24 ID:pU/C2KAG0
トリップ? ベストは尽くした。ありがとう。
467 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/23(日) 23:35:42.79 ID:rORmKaQDO
おつ
468 :
◆5l7a.r2Ghs
:2014/03/23(日) 23:48:08.99 ID:pU/C2KAG0
読んでる人いて本当に安心した。ありがとう……
469 :
◆5l7a.r2Ghs
[sage]:2014/03/24(月) 00:37:45.65 ID:buF6VSiQ0
途中で切れそうだから、続きは新しいの立てて書く。
470 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/24(月) 01:01:33.82 ID:4/4p/q8Eo
すげーおもしろい
471 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/24(月) 04:16:50.52 ID:DsYMrFhNo
誘導してね
472 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/24(月) 07:56:00.47 ID:TqndQHLZo
おつ誘導よろ
473 :
◆5l7a.r2Ghs
[sage]:2014/03/24(月) 15:08:15.20 ID:UEkT2CqF0
少し休みます。次のスレ立てるまで、ちょっと時間掛かるかも。
立てたら貼りますので。
474 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/26(水) 08:34:27.57 ID:A7qMQ3R7o
まってる
475 :
◆5l7a.r2Ghs
:2014/03/26(水) 22:00:27.70 ID:0Vc+WNj+0
次スレです。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395837197/
476 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/26(水) 22:27:44.83 ID:0Vc+WNj+0
次スレ立てたので依頼する。
477 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[sage]:2014/03/26(水) 22:35:47.11 ID:rQNH6E1nO
まってた
199.54 KB
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