安価とコンマで異世界転生!その12

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1 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/26(土) 18:52:37.00 ID:zpNkn2bb0
~前回までのあらすじ~
異世界に転生した男は仲間を募り、
世界を救うことを目標に行動する
仲間が突如救世主や魔王の力に目覚めたり、
彼も多くの神を奉ずる教団を創立したりしているが、実際に神の奇跡を代行することができる
ある魔王の仕事を受けて帝国領に突入した男は、紆余曲折の果てに勇者から魔神を信奉する教団の主導権を譲られる
複雑な事情を抱えた関係者や教徒と向き合う一方で、
男は教団の主神である白狼の神から課された修行に耐えることとなる

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1745661156
2 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/26(土) 18:57:41.07 ID:zpNkn2bb0
雷撃の轟音がやや遠ざかり、
ノイズのようになにかの声が聞こえ始める
途切れ途切れなため、
苦痛と合わさって不明瞭でしかなかったそれが、
だんだんとはっきりとしてくる


白狼「もう限界か?」

男「が……がががっ……!」


>>下1……聞こえてきた声
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/04/26(土) 21:47:04.09 ID:zsC7UgEi0
『白狼。今少し加減してやったらどうだ?』
4 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/27(日) 01:55:32.32 ID:YTAOsXYY0
??『白狼。今少し加減してやったらどうだ?』


と、白狼のものよりは優しい声が聞こえた
明瞭でない視界でも、
そこには見えるものなどいないことは分かるが、
確かに声が聞こえるのだった


男「誰……っ!でっ……!」

白狼「……ほう」


男がその声を聞いたことを察したか、
白狼はこれまでで一番満足そうに微笑んで、
雷撃を打ち切った
5 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/27(日) 20:06:51.45 ID:fRCH4/9VO
すみません遅れました


男「はぁーっ……はぁ……!」


未だ痺れの残る四肢をゆっくりと動かし、
どうにか男は立ち上がった


白狼「貴様にも聞こえたか」

男「いっ……今の声は……?」

白狼「>>下1だ」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/04/27(日) 22:46:01.38 ID:phu2v7M00
私とは違う神の御使。ケツァルコアトルだ
7 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/28(月) 02:10:16.86 ID:EmpJefC80
白狼「私とは違う神の御使。ケツァルコアトルだ」

男「そ、そうですか……」

白狼「感じてみろ」


そう言葉を投げかけられる
ここにケツァルコアトルがいるのだ、
という意味と理解するのに男は数秒を要した


男「……っ……」
8 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/28(月) 02:13:18.06 ID:EmpJefC80
雷撃がなければ、より集中することができる
地獄の中で見いだした極限の感覚を、
全力で再現しにいくことができるのだ


白狼「感じたか?」


次第に、雷だけでなく風も逆巻いていることを感じられるようになった
その中心に意識を凝らせば、
龍のような神がそこに姿を現した


男「あなたが……」

コアトル「目論見は、為ったようだな」
9 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/28(月) 02:55:19.20 ID:EmpJefC80
本日はここまでです
ありがとうございました
10 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/28(月) 19:26:01.42 ID:4Pd3Q+abO
白狼「加減などせずとも、こうして上手くいく。先代の託した男だからな」

コアトル「乱暴にすぎるような気もしするが……よかろう」

男「これが、修行の成果なんですね」


これまでは感じられなかった、
気配のようなものを男は感じ取ることができるようになっていた


白狼「いかにも。隠れんとする神々や、小さく消え入りそうな神であっても、それを知覚できるだけの感覚を貴様は身に付けた」
11 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/29(火) 02:13:34.58 ID:EsbLkpyl0
男「なるほど……」

白狼「だが、これではまだ不完全だ。分かるな?」

男「神々の声を聞けるようにはなりましたが……行使には関係していませんね」

白狼「そうだ。そこでこやつの出番というわけよ」


白狼は顎をくいと動かして、
ケツァルコアトルを指した


コアトル「面倒だな」

白狼「だが、我は叩きつける以外に力の使い道を知らぬでな」
12 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/29(火) 03:27:49.63 ID:EsbLkpyl0
本日はここまでです
ありがとうございました
13 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/29(火) 19:05:08.74 ID:EsbLkpyl0
男「どうにかお願いできませんか?」


男がケツァルコアトルに頼み込むと、
彼は眉間に皺を寄せて軽く唸り、
それから口を開いた


コアトル「仕方ないな」

男「ありがとうございます」

白狼「こいつも暇しているからな」
14 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/29(火) 23:45:02.01 ID:EsbLkpyl0
コアトル「ふん……白狼よりは穏便に済ませてやる。いくぞ」


彼はそう言うと、男に向かって風の刃を飛ばした
どうにか避けることはできる速度だ


男「おおっ!?」

コアトル「避けてどうする。今貴様がすべきことは、これを相殺することだ……はぁっ!」
15 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/29(火) 23:47:20.14 ID:EsbLkpyl0
男「ぐぅっ!」


どうしたらいいのかも分からず、
刃をその身で受けてしまう男


白狼「使え、神の力をな」

男「神の力を……?」

コアトル「ふんっ、そら!」

男「そ、そうか!」


男は飛んでくる風の刃に向けて、
強く意識を集中させ始める
16 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/29(火) 23:58:26.63 ID:EsbLkpyl0
本日はここまでです
ありがとうございました
17 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/04/30(水) 19:29:08.39 ID:4f2DC9Ff0
白狼「理解したか」

男「そりゃあああっ!」


がむしゃらに叫び、イメージを集中させる
すると、向かってくるものと同じような刃が現れ、
見事相殺に成功したのだった


コアトル「……うむ、成功だ」

男「はぁっ……はぁ……」
18 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/01(木) 01:00:18.48 ID:+U0Sqx4r0
コアトル「貴様ができたことであり、そしてこれから上達させていかなければならないこと……それは二つ」

白狼「神が望むと望まざるにかかわらずその力を引き出すこと。そして、それを効率的に使うことだ」


男は、目の前にいるコアトルの力を適合体質によって強引にトレースし、
不恰好ながらもそれを行使したのだった


男「わ……分かりました……」

コアトル「呑み込みが早くて助かるな」
19 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/01(木) 03:27:24.42 ID:+U0Sqx4r0
本日はここまでです
ありがとうございました
20 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/01(木) 19:24:53.96 ID:+U0Sqx4r0
しかし、そこで男は精神の限界を迎えた
神の世界とのコネクションが強引に断ち切られ、
現実世界へと帰還させられる


男「ぐおぉぉ……」

気弱少女「わっ……!?どうしたんですか?」


熱心に祈っていたはずの男が突如苦しみ出したので、
隣にいた彼女もひどく驚いた
21 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/01(木) 20:37:28.89 ID:+U0Sqx4r0
男「な、なんでもない……心配してくれてありがとう」

気弱少女「顔色が大変悪いですが……」

男「少し腹を痛めたのさ、気にするな……」


彼はそう言って、一旦教会の外に出た
深呼吸して空を見上げれば、太陽は頂点にいた

>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.少年と話す
9.気弱少女と話す
10.神に祈る
11.自由安価
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/01(木) 20:45:16.26 ID:t/Gso1Ng0
9
23 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/02(金) 02:23:49.14 ID:v6L9IXG00
男は新鮮な空気を吸ってリラックスし、
多少安らいだ状態で再び教会に戻った


気弱少女「あ……大丈夫でしたか……?」

男「心配はいらないさ、それより……」

気弱少女「どうかなさいましたか?」

男「お目通ししてきたよ、ここの神様に」


そう告げると、彼女は目を見開いたが、
一体どうして驚いたのか、彼には分からなかった
24 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/02(金) 02:50:38.32 ID:v6L9IXG00
本日はここまでです
ありがとうございました
25 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/02(金) 19:20:59.78 ID:v6L9IXG00
気弱少女「どうでしたか……?」

男「ひどい目に遭った……でも、得るものは確かにあったよ」


意識を集中すれば、
今までには感じられなかったものを森羅万象の中に感じることができるようになったのだ


気弱少女「よかったです、その……怖いお方ですから」

男「全くだよ、はぁ……本当に死ぬかと思った」
26 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/03(土) 01:28:20.58 ID:Yq3Lm9Ye0
教会に備えつけられている長椅子に、
ため息をつきながら男は腰かけた


気弱少女「それで、どのように言われたのですか?」

男「俺はまだまだ未熟者らしい、気長に精進するよ」

気弱少女「男さんが?」

男「極端な話、自立した精神と十分な力があれば、神様を拝まずとも生きていける」
27 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/03(土) 01:33:36.21 ID:Yq3Lm9Ye0
気弱少女「……そうかもしれませんね」

男「だが、少なくとも俺はそうじゃない。弱いし、誰かを頼りたい」

気弱少女「私もそうですよ」

男「君ほど純真でもないさ」


そう男が言うと、彼女は黙り込んでしまった
しばらく逡巡するような素振りを見せたあと、
気弱少女は決心したように口を開く
28 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/03(土) 02:54:23.58 ID:Yq3Lm9Ye0
本日はここまでです
ありがとうございました
29 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/03(土) 18:27:26.17 ID:Yq3Lm9Ye0
気弱少女「みんな、そう言います。私に会った人は、みんな。神様だってそうです」


ただ儚く、庇護すべき対象であるかのように見えていた彼女
しかし、
今の彼女からはどこか恐ろしいものすら感じる


男「……え?」

気弱少女「なんですか、純真って。純粋って……それが偉いんですか……!?」

男「それは……」

気弱少女「私は……弱いです!……愚かで……非力で……なにも守れやしません……!それを……勝手に正当化しないで下さい!」
30 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/04(日) 02:07:10.78 ID:AuO18+F60
男「……ごめん」

気弱少女「……はぁっ……はぁ……すみません……こんな……」


爆発した自分の感情に、
気弱少女本人も驚きを隠せていない


男「俺は、君の抱えているものに気付いてやれなかった」

気弱少女「気にしないで下さい……今のは……」

男「なら、今度は俺が……君を鍛えようか?」
31 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/04(日) 02:10:10.22 ID:AuO18+F60
本日はここまでです
ありがとうございました
32 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/04(日) 19:36:35.31 ID:AuO18+F60
気弱少女「えっ?」

男「まぁ、本当はうちにもっと適任がいるんだけど……みんなそれぞれ、やりたいこともあるだろうし」

気弱少女「いいんですか?」

男「あぁ、強くなりたいんでしょ?」

気弱少女「はい……」

男「じゃあまずは>>下1からだ!」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/04(日) 20:50:35.54 ID:mGEiBf270
精神修行
34 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/05(月) 02:24:02.60 ID:TJWeRmpb0
男「じゃあまずは精神修行からだ!」

気弱少女「精神……ですか?」

男「ぶっちゃけ、メンタルが一番大事」

気弱少女「そうでしょうか……?」


彼女にとってその説明は、
いまいち呑み込み難かったようだ


男「体鍛えるのなんて、トレーナーがついてるかどうかぐらいしか違いはなくて……結局、沢山動くのが大切」
35 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/05(月) 02:27:34.22 ID:TJWeRmpb0
気弱少女「そうですか」

男「そして、それを続けるためには、やはりメンタルが大事なんだ!集中を続けなければ、運動も疎かになる」

気弱少女「なるほど……?」

男「なんでも大切なのは量と質だ。そして、精神修行は鍛練における『質』を担保してくれる……さぁ、精神修行だ」


そう言って男は笑い、教会にあった儀礼用のナイフを気弱少女に渡した


気弱少女「これを、どうすれば?」

男「そいつで、俺を刺せっ!」
36 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/05(月) 02:35:15.13 ID:TJWeRmpb0
本日はここまでです
ありがとうございました
37 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/05(月) 19:27:57.40 ID:6wIv4Dw0O
気弱少女「ええぇぇっ!?」

男「嫌だろう?」

気弱少女「はい……!」

男「普通だったら、もっと度胸試しみたいなことをするべきなんだが……君は優しすぎるので、とりあえずこれでいい」

気弱少女「……どうして、こんなこと……」

男「たとえ力を手に入れたとしても、誰かを傷つけることができなければダメだ。最後には保護するとしても、一時的には傷つける覚悟がなければ戦うことはできない」
38 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/06(火) 03:15:38.16 ID:sbRQziuR0
気弱少女「それでも、私は……」

男「……やるんだ」

気弱少女「っ……!」

男「来い!」

気弱少女「……っわぁぁぁぁっ!!」


彼女は悲痛な表情のまま、
ナイフを持って男の体へと突貫した
39 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/06(火) 03:31:23.94 ID:sbRQziuR0
本日はここまでです
ありがとうございました
40 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/06(火) 19:03:47.03 ID:sbRQziuR0
男「そうだ!」


気弱少女はなるべく男の顔を見ないようにしながら、
ナイフを持った腕を先に出して走る


気弱少女「!」


そして、その刃は確かに彼に突き刺さった
肉を引き裂く感触を、彼女は初めて味わったのだ


>>下1……刺された男の傷
1.かすり傷
2.それなりの手傷
3.そこそこ重傷
4.なぜかノーダメージ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/06(火) 19:33:38.20 ID:PqvVoJyi0
4
42 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/07(水) 01:55:27.10 ID:1FRBDuuX0
男「……あれ?」


だが、血は流れなかった
どうしたことかと男が傷口を覗き込めば、
確かに深々とそのナイフは刺さっている


気弱少女「……な、なぁんだ……おもちゃのナイフとすり替えていたんですね……」

男「い、いや……これ本物なんだけどなぁ」
43 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/07(水) 01:57:29.77 ID:1FRBDuuX0
彼女はそのナイフを腹から離す
男は服をめくって傷口を再び見たが、
やはり血は出ていなかった
だが、少しだけ肌の色合いが違うような気もした


気弱少女「……どうしたんですか?」

男「その、なんだ」

気弱少女「はい?」

男「君には、もしかしたら神様と仲良くできる以上のとんでもない力があるかもしれない!」

気弱少女「えぇ……っ!?」
44 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/07(水) 02:00:37.02 ID:1FRBDuuX0
本日はここまでです
ありがとうございました
45 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/07(水) 19:50:29.93 ID:1FRBDuuX0
男「多分、確かに君は俺を傷付けた」

気弱少女「はい……」

男「だが、これは……治っている状態だと思う」

気弱少女「えっ?」

男「君は自分で俺のはらわたをえぐり、自分で治療したんだ」

気弱少女「そんなっ……私、魔法なんて使えませんよ?」
46 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/08(木) 00:51:17.12 ID:dVDqkRQ10
ただただ困惑する気弱少女だったが、
そのようにしたとしか考えられなかった


男「もしかしたら、君は戦うことはできないのかもしれないな」

気弱少女「そんな……」

男「……だが!それよりも価値がある力が君にはある……!今は鬱陶しく思うかもしれないけど、どうかそれを誇りにしてくれ」

気弱少女「……はい」
47 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/08(木) 02:22:29.07 ID:dVDqkRQ10
男「むしろ、そっちを鍛えたほうがいいかもしれないな」

気弱少女「どのようにすればよいのでしょうか」

男「分からない……うちに回復魔法が得意なやつはいないからな」

気弱少女「そうですか……」


結局どうしたらいいのか分からず、
気弱少女は己の無力をまたも恨んだ


男「念のため、炎魔と突き合わせてみるか」

気弱少女「あの方ですか」

男「回復というか、再生なんだけど……なにか掴めるかもしれない」
48 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/08(木) 02:24:34.11 ID:dVDqkRQ10
本日はここまでです
ありがとうございました
49 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/08(木) 18:34:20.49 ID:dVDqkRQ10
男は炎魔を探すため、外に出た


気弱少女「どこにいるのでしょうか……?」

男「うーん、まだあいつの行動パターンは把握できてないんだよな」

気弱少女「そうなんですね」

男「自由だし、飛べるからね」


男たちは教会の周りを歩き回り、
森の中も探索して炎魔の姿を探し、
ついに彼女を発見した


>>下1……炎魔はなにをしていた?
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/08(木) 19:18:16.10 ID:+TU6d5V/0
底なし沼にはまっておぼれそうだった
51 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/08(木) 20:26:12.66 ID:dVDqkRQ10
炎魔「うぉぶぶぶぶぶぶ!!!」


突如炎魔の絶叫が聞こえ、
駆けつけるとそこには沼があった


気弱少女「ここは……!」

男「炎魔!?どこだ!?」

炎魔「んん!んん!」

気弱少女「下です、ここは底なし沼なんです!」


ずっと辺りと上を見回していた男だったが、
気弱少女に言われて足元を確認する
52 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/08(木) 23:20:26.65 ID:dVDqkRQ10
そこには沼に脚を取られてもがき、
だんだんと沈みつつある炎魔がいた


男「お、おい炎魔!」

炎魔「んん!」

気弱少女「待って下さいっ……」

男「なっ……ああ!」


だが、炎魔を助けようと躍起になった男もまた、
底なし沼にはまってしまう
53 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/08(木) 23:23:30.63 ID:dVDqkRQ10
気弱少女「そんな!どうしたら……」

男「今か……今、やるしかない!」


溺れる炎魔、慌てる気弱少女
男はこの場をどうにか切り抜けるため、
精神を研ぎ澄ませていた


気弱少女「わ、私……どうすればっ」

男「祈れ!」


先ほど神々に教わったことを、
早速男は生かすつもりでいた
54 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/09(金) 00:59:45.38 ID:NQ+vTI6y0
本日はここまでです
ありがとうございました
55 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/09(金) 19:34:34.54 ID:NQ+vTI6y0
沈みゆく恐怖の中で、
その感覚はより鋭敏になっていく


炎魔「んんん……」

男「見えた!」

気弱少女「えっ!?」


うっすらと、沼の中にその姿を見た
彼は必死にそれへと助けを求める


男「沼の神よ!我々を助けてください!」

沼の神「>>下1」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/09(金) 21:17:49.95 ID:328pVmuZO
ごはんくれるならいいよ
57 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/10(土) 01:07:25.80 ID:tZZpc8jR0
沼の神「ごはんくれるならいいよ」

男「分かりましたっ!」


男は即座にバッグを漁り、
中から牛スライムとそのケースを見つけた
男はその体の一部を引きちぎって、
沼の神に投げつけた


沼の神「お肉だ!」


それが牛スライムにかぶりつくのと同時に、
沼にハマっていた炎魔と男は弾き出されるようにして解放された
58 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/10(土) 21:49:46.20 ID:tZZpc8jR0
すみません遅れました


炎魔「ひぃ、ひぃ……死ぬかと思いました」

男「あれだな、死ねないから閉じ込められたら永遠に苦しむやつだ」

炎魔「怖いこと言わないでください!」

気弱少女「……な、なにがあったんですか?」

男「沼の神様に捧げ物をして助けていただいた」
59 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/10(土) 21:53:24.14 ID:tZZpc8jR0
気弱少女「……すごいですね」

男「それより、泥で全身がべちょべちょだ……泉がどこにあるか分かったする?」

気弱少女「あっちです……」

男「ありがとう。じゃあ炎魔と離しててくれ」


男は、身を清め服を洗うためにその場を去った
残されたのは炎魔と気弱少女だけである
実際には沼の神も近くにいるが、
二人には感知できない
60 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/11(日) 03:57:27.13 ID:hsl+9LYH0
炎魔「話……?」


炎魔は不思議そうな顔をしている
未だ、彼女も泥まみれである


気弱少女「えっと、それより……炎魔さんもお体をすすいだほうがよろしいのでは?」

炎魔「あ、大丈夫大丈夫」


爽やかに応えると、彼女は全身を力強く燃やした
泥が渇きひびのような模様が見えた次の瞬間、
それも不死鳥の炎に飲み込まれて、
きれいなままの肉体が再び現れる
61 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/11(日) 03:59:37.83 ID:hsl+9LYH0
本日はここまでです
ありがとうございました
62 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/11(日) 19:44:40.69 ID:hsl+9LYH0
気弱少女「すごい……!」

炎魔「ふふん、私にかかればこんなものです……それで、なんの話があるの?」

気弱少女「えっと、実は私……傷つけたものを再生してしまう体質があるようなんです」

炎魔「えっ!?すごい!」

気弱少女「それが炎魔さんの再生に似ているので……もしかしたら、なにか分かるんじゃないかと思って聞きにきたんです」
63 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/12(月) 02:45:19.53 ID:IMP1wRXI0
彼女がそう自信なさげに告げると、
炎魔は笑顔で回答した


炎魔「私には分からないですね!」

気弱少女「そんな気はしてました……」

炎魔「でも、気になりますね……魔力で回復しているのか、特殊な力で回復しているかは確かめたいところですかねー」

気弱少女「というと?」

炎魔「魔力ってすぐ枯れるんだよ、でも私の再生能力は知る限り枯れたりしない」

気弱少女「あの力が有限かということですか?」

炎魔「そう。誰かを癒すことにその能力を使いたいとき、どこまで自分が無茶できるのかは分からないとね」
64 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/12(月) 04:24:17.60 ID:IMP1wRXI0
本日はここまでです
ありがとうございました
65 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/12(月) 19:37:16.58 ID:IMP1wRXI0
気弱少女「そうかもしれませんね……でも、どうやったら分かるんでしょう?」

炎魔「まぁ、大抵のことは氷魔さんが知ってるよ」

気弱少女「すごい信頼感ですね」

炎魔「冒険者としては一番リスペクトしてるからね。じゃ、会いに行こうか」


二人はその場を離れ、
氷魔のいる場所へ歩き出した


>>下1……氷魔はなにをしていた?
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/12(月) 21:19:11.23 ID:SMQBPGmD0
川で魚釣りしていた
67 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/13(火) 02:31:59.59 ID:eiqjNcoe0
気弱少女「ここにいるんですか?」

炎魔「そのはずですが……氷魔さーん!」

氷魔「……んっ……!?」


そこは清流であった
氷魔はどこで用意したのか、
釣具を使ってそこで魚釣りを楽しんでいたのだ


気弱少女「あわわ……」
68 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/13(火) 02:34:28.91 ID:eiqjNcoe0
とてつもなく集中していた氷魔は炎魔の大声に驚き、
体から魔力を洩らしてしまった
川の一部が凍りついているのだ


炎魔「わかさぎ釣りですか?」

氷魔「……そんなわけないでしょう……一体どうしたんですか……?」

気弱少女「あっ、えっと……気になることがあって」

氷魔「……なにか……重要そうな雰囲気ですね……」
69 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/13(火) 02:41:08.44 ID:eiqjNcoe0
本日はここまでです
ありがとうございました
70 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/13(火) 18:15:24.29 ID:eiqjNcoe0
ややうんざりした表情の氷魔だったが、
気弱少女の様子を見て真剣な雰囲気を纏った


炎魔「実は気弱少女ちゃん、誰かを傷つけても再生させちゃうらしいんですよ」

氷魔「……どういうことですか……?」

気弱少女「ナイフで刺した場所が……ナイフを引き抜いた瞬間には綺麗に治ってるんです」

氷魔「……すごい力ですね……」
71 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/14(水) 00:51:54.74 ID:95bJBJ+n0
不思議そうな顔をして、彼女は釣竿を近くに置いた
そして、気弱少女の近くまで歩み寄る


気弱少女「ど、どうしましたか?」

氷魔「……今のところ……魔力は感じませんね……」

炎魔「そう、それなんですよ!この力が私のものみたいな感じなのか、魔法なのか!それを確めたいんです」

氷魔「……魔法じゃないような気がしますが……無詠唱で回復なんて……夢物語ですよ……」
72 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/14(水) 00:56:04.89 ID:95bJBJ+n0
本日はここまでです
ありがとうございました
73 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/14(水) 19:18:41.64 ID:YPZ+ssDvO
気弱少女「そうですか……」

氷魔「……やってみなければ……分かりませんがね……」


彼女はまだ息のある魚を取り出した
さばくための小刀を気弱少女に手渡し、
それに刺すよう促す


炎魔「人間じゃないから、ちょっとだけ気分が楽ですね!」

気弱少女「え、えぇ……じゃあ失礼して……」
74 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/14(水) 21:02:08.75 ID:95bJBJ+n0
氷魔「……どうぞ……」

気弱少女「えいっ……!」


彼女はナイフで魚を突き刺し、
そしてそれをすぐに引き抜いた
男にしてみせたように、その傷は塞がっている


炎魔「どうですか!?魔力感じましたか!?」

氷魔「>>下1」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/14(水) 22:38:36.33 ID:clR+Rlq00
全く感じませんね
76 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/15(木) 01:54:19.39 ID:PmUSazyK0
氷魔「全く感じませんね」

気弱少女「そうですか」

炎魔「なんなんでしょう、この能力?」

氷魔「……仮説はありますが……理論立てて説明できる分野の話ではありません……あるいは……」


と言って彼女は考え込んでしまった
ひどく難しそうな顔をしている
77 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/15(木) 01:57:50.98 ID:PmUSazyK0
本日はここまでです
ありがとうございました
78 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/15(木) 19:56:31.46 ID:PmUSazyK0
男「ふぃー……」


所変わって男のいる泉
たまたま道中で会ったやる気に洗濯魔法で服まで洗ってもらっていたところである


やる気「底なし沼なんてあるんすねー」

男「ほんとビビったよ」

やる気「でも俺っちは底なし沼から抜けるレクチャーも受けたことがあるっすよ」

男「野戦するもんな……」
79 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/16(金) 01:47:01.81 ID:rc+h3FRD0
やる気「まず、懇切丁寧に抜け出し方を説明されたっす」

男「へぇ」

やる気「横になって掴めそうな場所を探せってことなんすけど……まぁ入念に説明されたっすね」

男「そんなに底なし沼で死ぬやつが多いのか?」

やる気「いや、その後俺っちとか同期が一人ずつ底なし沼にぶち込まれるからっす」

男「え……?」
80 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/16(金) 01:52:35.66 ID:rc+h3FRD0
本日はここまでです
ありがとうございました
81 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/16(金) 18:47:21.59 ID:jXkbJthpO
衝撃的な話の尽きない彼に、
男はいつも驚かされてばかりだった


やる気「もう夕方っすね」


彼にとって今日は、
夕方までが長かったような気がした
いつもよりゆっくりとした気分で一日を過ごしたからであろう


>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.少年と話す
9.気弱少女と話す
10.神に祈る
11.自由安価
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/16(金) 18:52:04.17 ID:gNrmJs620
5
83 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/17(土) 02:23:41.36 ID:3xYfTJeL0
男はその場を離れると、森を駆ける影を見つけた
木々の間を飛び回るそれは、
だんだんと彼に近づいてくる


怪盗「こっちでした!」

男「おおっと……」


男の後ろにある木から、
枝に足をかけてぶら下がった怪盗が声をかけてくる
84 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/17(土) 02:27:27.33 ID:3xYfTJeL0
怪盗「私の動きを追おうとは、百年早いですよ?」

男「流石に速いな……で、なにしてたんだ?」

怪盗「よっと」


彼女は幹の窪みに置いていた籠を持ち、
そのまま下に降りてくる


男「果実か」

怪盗「夕飯で使うらしいので、運動がてら集めてたんですよ」


そこには色とりどりの実が入っていた
この森でどれも採られたものだろうが、
かなりの量がある
85 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/17(土) 02:35:02.88 ID:3xYfTJeL0
本日はここまでです
ありがとうございました
86 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/17(土) 19:36:34.08 ID:3xYfTJeL0
男「……これ、ちゃんと食べられるやつなんだろうか?」

怪盗「禁域の食べ物じゃないんですから、多分大丈夫だと思いますよ?」

男「それもそうか」


そう男が納得すると、
彼女は果実のうち一つを差し出した


怪盗「食べます?」

男「小腹も空いたし、いただこうかな」


>>下1……果実の味
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/17(土) 19:40:10.38 ID:hJvJmRqI0
滅茶苦茶甘い
88 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/18(日) 02:46:01.14 ID:tNNb0Y2C0
男は自然な動作でそれにかぶりついた
一拍置いて、それからどんどん表情が険しくなっていく


怪盗「どうしたの?」

男「……あっっっまい!」

怪盗「へぇ、これ甘いんだー」

男「ヤバいなこれ、甘すぎる」

怪盗「そんなに?」

男「あぁ、甘いのが好きな人は……:うん……?」
89 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/18(日) 03:01:23.96 ID:tNNb0Y2C0
本日はここまでです
ありがとうございました
90 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/18(日) 19:40:09.19 ID:tNNb0Y2C0
怪盗「どうしました?」


男はしばらく考えこんだ後、あることに気付いた


男「これ、異邦人たちの街で食べた……あのお粥に似てる」


サイケデリック粥のことを思い出したのだった
その強烈すぎる甘みは、確かにそれと似ていた
91 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/19(月) 19:45:47.97 ID:ZszaLTEX0
怪盗「ということは、この果物から作られてたんですね、あの食べ物」

男「うん……中華には大丈夫なのか確認したほうがいいな」


男は齧ったままのその果物を全部食べきった
一度粥で舌が慣れているので、
次に食べるときには耐性が多少できていたのか


怪盗「そうですね、食べるのは私たちだけじゃないですから」
92 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/20(火) 01:11:00.71 ID:8aiVqZvg0
男「ほんじゃ行くかね」

怪盗「ほいー」


男は怪盗が持っていた籠を持ち、
二人で教会へと帰っていくのだった


中華「あっ、お帰り!」


彼は教会の外にいた
まだ教会の中では料理ができる状態ではないのか、
と二人は思った
93 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/20(火) 01:21:24.18 ID:8aiVqZvg0
本日はここまでです
ありがとうございました
94 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/20(火) 19:43:51.71 ID:8aiVqZvg0
男「中華、この果物すっげぇ甘いけど大丈夫なのか?」

中華「うん、どうにかこれを抑えて甘だれを作るんだ」

怪盗「相当薄めないとヤバそうですが……」


彼はそれらをいくつか取り出して、
即席の調理台の上に置いた
95 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/21(水) 02:17:31.81 ID:RR723IJj0
中華「まさしくその通りでね……ちょっと手伝ってくれるかい?」

男「もちろん構わないが、教徒のみんなは?」

中華「厨房にいるよ」

怪盗「……?」

男「どうして中華は外にいるんだ?」

中華「スペースが結局の所足りなくて。結局一部の調理は外でやることになったんだよね」
96 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/21(水) 02:18:57.67 ID:RR723IJj0
男「なるほどなぁ」

中華「よし、とりあえず果物をすりおろす所から始めよう。色んな果物があるから、ちゃんと種別ごとに分けて置いてね」

怪盗「了解っ!」


怪盗は応答するや否や、
もの凄い速度ですりおろし始めた
中華たちが石を削って作った即席のすりおろし器だが、使い心地は悪くなさそうだ


男「俺も負けていられないな!」
97 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/21(水) 02:22:05.99 ID:RR723IJj0
本日はここまでです
ありがとうございました
98 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/21(水) 19:46:36.86 ID:RR723IJj0
中華「て、丁寧にやってね……?」


不安そうな彼をよそに、
二人は凄まじい勢いでこなしていく


怪盗「手に果汁の匂いが付いてきたーっ」

男「俺もだ、トロピカルハンドになってきた」

中華「ふふっ……僕もよく、手に香辛料の匂いが染み付いて取れなくなることがあるよ」
99 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/22(木) 01:59:56.85 ID:guG7Ypoz0
それから数十分ほどして、
三人は全ての果実をすりおろしきった


怪盗「手ぇぱんぱんですよ……」

男「そうだな……」

中華「力みすぎだね……こればっかりは数をこなさないとダメだけど」

怪盗「なんでも、できるようになったら適度に脱力しながらやれるようにしないといけませんからね」

男「怪盗のスリなんかは力みすぎても気付かれるだろうしなぁ」
100 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/22(木) 02:22:14.82 ID:guG7Ypoz0
本日はここまでです
ありがとうございました
101 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/22(木) 19:08:42.61 ID:guG7Ypoz0
中華「それじゃあ、次のステップに移ろうか」


すりおろされた後のフルーツを整理しながら、
中華はフルーツごとにボウルへと入れていった


怪盗「っていうか……そもそも、なに作ってるんですか?今日」

中華「あぁ、このフルーツに関しては>>下1だよ」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/22(木) 22:04:43.29 ID:DN83jedM0
ドリンクとスイーツをメインにして見ようと思うんだ
103 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/23(金) 01:46:39.49 ID:oMqbVLly0
中華「ドリンクとスイーツをメインにして見ようと思うんだ」

男「へぇー……珍しいアプローチだね?」

怪盗「確かに、中華料理じゃまずありえないことですし」

中華「まさしくその通りだよ、でもそういうのもできるようにすべきな気がしたんだ」

男「これかな?」


男は、あの異常に甘いフルーツのすりおろしが入ったボウルを持ち上げてみせた
104 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/23(金) 01:49:23.71 ID:oMqbVLly0
中華「そう。あの街でまったく自分の常識にない料理を食べて……自分の世界をもっと広げたいと思ったんだ」

怪盗「ってことは、中華料理以外も極める感じ?」

中華「うぅん……あくまで僕が極めるのは中華料理だけのつもりだよ」

男「その道を歩むために、必要な知識や技能に過ぎないって感じかな」

中華「そんなとこ。ただ勉強するだけでもいいけど、折角料理ができるんだから実践しないとね!」
105 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/23(金) 01:57:43.16 ID:oMqbVLly0
本日はここまでです
ありがとうございました
106 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/23(金) 19:52:46.26 ID:KZ5SYpIkO
怪盗「なんて立派なんでしょう……」

男「あぁ……俺も精進しないとな」

中華「そんな大げさな話じゃないって……もう。それより、もう二人に手伝える工程はないからわざわざここに残らなくてもいいよ」

怪盗「そうなんですね、じゃあご飯までぶらついてましょう」


そして、男もまた一旦彼の元を離れるのだった


>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.少年と話す
9.気弱少女と話す
10.神に祈る
11.自由安価
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/23(金) 20:04:58.12 ID:CViDRTiu0
8
108 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/24(土) 00:38:02.07 ID:vg5iDxIc0
男が教会の内部に戻ると、
椅子に座っている少年がいた


男「よっ」

少年「……あぁ」

男「元気ないな、どうした?」

少年「あいつさ、ものを治す力を持ってるらしいじゃん」

男「……気弱少女のことか」
109 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/24(土) 00:49:20.77 ID:vg5iDxIc0
少年「正直さ、羨ましいよな」

男「……どうだろう」

少年「羨ましくないのか?」

男「これまで俺は、なにかを傷つけることでしたいことを成してきたし、これからもきっとそうだから」

少年「……それでいいのかよ?」

男「……正直なところ、心苦しいな。でも、俺は俺にできることをするしかないも思ってる」
110 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/24(土) 01:33:21.54 ID:vg5iDxIc0
本日はここまでです
ありがとうございました
111 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/24(土) 19:36:15.68 ID:Dt6k9fLlO
少年「綺麗事だな」

男「それを貫くのが一番難しいことぐらい分かってるだろう?」

少年「俺には……人を傷つけることしかできない。それが俺の力だから」

男「後天的に与えられた力に振り回されちゃいけないぞ」

少年「お前になにが分かるっ!」


男の隣を火柱が掠めた
知られたくないことを知っている、
そんな人間に自分の苦しみをえぐられる辛さは想像だにできないだろう
112 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/24(土) 23:57:16.97 ID:vg5iDxIc0
男「……教会を燃やす気か?」

少年「それも悪くないかもな……」

男「お前、本気で言ってるのか?」

少年「村一つ焼いたんだ、今さら……っ!」


男は少年に掴みかかり、一発殴った


男「バカ野郎っ!ここが気弱少女にとってどれだけ大切な場所か分かってるのか!?」

少年「どいつもこいつもあいつの話ばっかり……!」

男「違う!彼女が……あの子が、誰よりも君のことを信じているんだぞ!?」
113 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/24(土) 23:58:21.24 ID:vg5iDxIc0
本日はここまでです
ありがとうございました
114 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/25(日) 19:35:52.78 ID:WFMMZhbw0
少年「……だからなんだってんだよ!」


今度はきちんと男を狙って火柱が伸びたが、
彼はちゃんとそれを見切って躱した


男「……お前がそんなことをしたら悲しむ。きっと、お前にも……あいつしかいない。お互い、本当に心を許せるのは……」

少年「………………」

男「……だが、お前がお前の意志で、その力を使って破壊の限りを尽くすというのなら……俺はその意志を止めることなどできない。どうしたいかは、結局……お前が決めることだ」

少年「>>下1」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/25(日) 19:59:52.21 ID:+cIVAf130
あいつを護れるに相応しい人間になりたい
116 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/26(月) 03:09:32.58 ID:p8ma5B2l0
少年「あいつを護れるに相応しい人間になりたい」


彼も本心では気弱少女のことを大切だと思っている
むしろ、その想いは男や集ってきた教徒たちよりも大きいはずである


男「……そう思えたなら、それで充分だろ」


そう言って、男は彼の頭を撫でた
117 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/26(月) 03:29:51.37 ID:p8ma5B2l0
少年「……こんな俺でも、強くなれば……誰かを守れるのかな」

男「あぁ、もちろんそうだ。断言できるぞ」


危うく燃やされそうだった男
冷や汗が引いてきたところで教会の椅子にどっかりと座った


少年「ふぅん」

男「俺は強い仲間にめちゃくちゃ守ってもらってるからな」
118 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/26(月) 04:44:48.76 ID:p8ma5B2l0
本日はここまでです
ありがとうございました
119 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/26(月) 19:32:35.53 ID:p8ma5B2l0
少年「……今の話は、内緒にしてくれよ」

男「約束できないなぁ、俺は口が軽いから」

少年「なにぃ!?」

男「気弱少女が不安そうにしてたら、今のこと話しちゃうかも」

少年「一番知られたくない相手なんだが……!?」

男「でも、一番知るべき相手でもあるぞ。まぁ……よっぽどのことがなければ話さんよ」
120 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/27(火) 01:08:53.73 ID:hnZevf8G0
少年「頼むぞマジで……」

男「はは……そろそろ夕飯だ、食べに行こうぜ!」

少年「そうだな、久しぶりに能力使って腹が減っちまった」


二人は教会の扉を開けると、
外では既に夕飯の準備が始まっていた
教会の中にある厨房から外に料理を運び出すにあたって、
二人がやりあっているホールを経由されなかったのは幸運だっただろう
121 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/27(火) 01:11:03.61 ID:hnZevf8G0
本日はここまでです
ありがとうございました
122 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/27(火) 19:52:17.15 ID:hnZevf8G0
中華「ちょうどいい所に来たね、これから夕飯だよ」


彼はやってきた二人に向かってそう声をかける
急造されたテーブルが運び込まれていたようで、
そこにいくつもの料理が並んでいる
本人がドリンクやデザートをいじっていたことからも予想されたことであるが、やはりメインディッシュは彼の作ではなかった


男「こっちは中華が作ったわけじゃないのか」
123 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/28(水) 02:14:47.74 ID:YDleJI4w0
中華「そうだね、まぁドリンクとかの製作以外にも理由はあるんだけど」


彼は楽しそうに微笑んだ


男「へぇ、なにか狙いが?」

中華「教徒のみんながどういう食文化をしていて、どういう料理を作っているのか知りたくてね……」


男が彼の口元から目元に視線を向けると、
その眼はギラついていた
124 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/28(水) 02:18:17.90 ID:YDleJI4w0
男「筋金入りだな」

中華「褒め言葉として受け取っておくよ」


いつもと違うジャンルに挑戦したり、
他人の料理をじっくり分析したり
中華はより貪欲さを増している


氷魔「……そろそろいただきたいですね……」

やる気「確かに腹減ったっすねー」


誰かが夕食開始の音頭を取るべき状態になっていた
125 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/28(水) 02:25:51.16 ID:YDleJI4w0
本日はここまでです
ありがとうございました
126 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/28(水) 18:59:23.08 ID:d8cWWbvnO
男「じゃ、俺が行くかな!」


男は教会の屋根によじ登り、声を張り上げる


ぶりっ子「わざわざそんなとこ行かなくても……」

男「これから夕食だ!みんな席に着いたな!?」

怪盗「はーい!」

男「そんじゃ、いただきまー______」
127 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/29(木) 01:34:55.21 ID:AU5tvOB40
男が『す』と言い終えた瞬間、
雷光が晴れているはずの空を駆け巡った


狙撃少女「っ!?」


次の瞬間、男はその雷撃に打ちすえられ、
黒焦げになって屋根から放り出された


男「げほっ……げほ……なんだよ、ちょっとぐらい屋根に登ってもいいじゃないすか……」

炎魔「大丈夫ですか!?」

男「おお、大丈夫だ。ちょっとだけ雷に耐性が付いたみたいでな、向かうも分かってやってると思うぞ」
128 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/29(木) 02:25:24.36 ID:AU5tvOB40
本日はここまでです
ありがとうございました
129 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/29(木) 18:29:29.71 ID:AU5tvOB40
なんだか締まらない音頭となったが、
三々五々夕食を摂り始めた


少年「口封じになるかと思ったんだが」

男「はっはっは、まだ死ねんよ」


男はそう言って自分の席に着いた
今日の夕食は教徒たちが作ったものであり、
メインディッシュは>>下1だ
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/05/29(木) 19:39:32.85 ID:vabTKpcq0
ブイヤベース
131 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/30(金) 00:46:26.84 ID:iwrt4Ixp0
出されたのはブイヤベースだった
魚介の豊潤な香りが、
口内に入れる前から既に漂ってきている


中華「なるほど……ブイヤベースか……」

氷魔「……すごい集中力ですね……」


神妙な顔で彼はブイヤベースを口に運んでいく
魚を丁寧に口に放り込み、低く唸っている
132 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/30(金) 01:01:29.33 ID:iwrt4Ixp0
本日はここまでです
ありがとうございました
133 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/30(金) 20:05:05.68 ID:eUxxBcxPO
すみません遅れました


やる気「どうすか?」

中華「……むむ……」


彼はそれからスプーンでスープを掬って飲み始める
確かめるように何度も口に運ぶ


ぶりっ子「すごい集中してますねぇ……」
134 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/30(金) 23:57:52.28 ID:iwrt4Ixp0
何度か頷いたのち、彼は小さく呟いた


中華「うまい……」

怪盗「よかったですね~」

中華「……うまいっ!!」


今度は感動のあまり椅子から立ち上がり、
そう叫んだのだった


狙撃少女「なんで二回も……?」
135 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/31(土) 00:16:34.92 ID:pS0e4LiR0
少年「当たり前だけどさ、なにかを作ろうと思うやつって……よっぽどそれが好きなんだよな」

男「中華はその中でもちょっと特別かも」

炎魔「そんなに美味しいんでしょうか」


中華の様子に感化され、
どんどん食欲の湧いてきた一行は、
次々にブイヤベースを食べ始める


氷魔「……あ……本当に美味しいです……舌がじんわりと幸せになるような味がします……」
136 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/31(土) 01:36:54.40 ID:pS0e4LiR0
本日はここまでです
ありがとうございました
137 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/05/31(土) 19:15:00.18 ID:pS0e4LiR0
やる気「そういや、こんな森の中でどうやって魚料理なんて作ったんすかね?」

氷魔「……私たちが釣りました……」

ぶりっ子「へぇー……」

炎魔「だから魚釣りしてたんですね」

氷魔「……そんなところです……」

怪盗「確かに、冷凍できる人がいればがんがん釣れますしね」
138 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/01(日) 01:22:57.15 ID:CLQXlB/70
わいわいがやがやと、
教徒たちも男たちも色々と話しながらメインディッシュを平らげた


中華「じゃ、デザートの時間だよー」


彼は予め用意していた、
フルーツを加工したデザートを運んできた
それから金属の容器に入れられていたジュースを、
一つ一つ木製のコップに注いでいく
139 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/01(日) 01:33:21.82 ID:CLQXlB/70
本日はここまでです
ありがとうございました
140 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/01(日) 19:26:15.36 ID:CLQXlB/70
狙撃少女「シャーベット状になっていますね」

炎魔「すっごく甘い匂いがします!」


大根おろしのようなデザートも、
コップに入ったドリンクも、
いずれも非常に甘い香りを放っている


少年「食べてみるか……」


彼はデザートを優しくフォークで突き刺し、
ゆっくりと口内へと運んだ


男「味はどうだ?」

少年「>>下1」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/06/01(日) 19:45:00.91 ID:6V8nqEX90
悪くは無い…ただ、もう少し甘みを抑えられそうな気がする
142 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/02(月) 02:21:06.13 ID:fW46pXTR0
少年「悪くは無い…ただ、もう少し甘みを抑えられそうな気がする」


彼はしゃぷしゃぷと咀嚼し、そう述べた


男「まぁ、元の果実が相当だからな」

中華「なるほど……よし、他の手を試してみるよ」

少年「一応言っておくけど、俺は甘党じゃない。他の人の意見も聞いたほうがいい」
143 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/02(月) 02:29:09.64 ID:fW46pXTR0
ぶりっ子「そうですねぇ、私はいくら甘くてもいいですしぃ」

氷魔「……ぶりっ子さんは……ちょっと規格外すぎますね……」


そう冗談めかして話しつつも、
氷魔は本当にシャーベットにしてしまったデザートを一部ドリンクに溶かし、
スプーンで混ぜて飲んだ


やる気「すげぇ食べ方してるっすね」
144 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/02(月) 02:53:13.69 ID:fW46pXTR0
本日はここまでです
ありがとうございました
145 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/02(月) 18:57:48.95 ID:MgHhmzBMO
怪盗「これはこれでいいと思いますよぉ」

男「そうだな、中華料理屋を出すにしても、こういうのを置いておくと結構頼まれそうだ」

中華「……そうかなぁ?」

男「あぁ、自信あるぞ」


男は回想しながら答える
彼がまだ元の世界にいた頃、
メインは中華系の料理だがデザートが充実している店に通っていたことを思い出したのだ
146 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/03(火) 01:51:48.17 ID:1r2qktuC0
狙撃少女「いっぺんには頼みませんよね?」

男「あぁ、そうだ。一旦メインの料理を食べてもらって、それからデザートを食べるかどうかを委ねる形だな」

中華「はぁなるほど……」

男「でもアレだな。大衆店のやり方だから、本格中華でまっすぐ売っていきたいならまた別だ」

中華「僕としては、色んな人に食べて欲しいと思ってるよ」


この世界においては、
多くの地域で中華料理はマイナーである
147 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/03(火) 02:04:18.96 ID:1r2qktuC0
本日はここまでです
ありがとうございました
148 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/03(火) 19:28:06.83 ID:1r2qktuC0
あれこれと話しながら、一行は夕食を終えた
それぞれが緩やかに後片付けを行い、
賑やかだった教会前もおとなしくなりつつある


男「いい夜だなぁ……」

狙撃少女「えぇ、昔行ったキャンプの夜を思い出します」


まだ寝るまでには時間がある

>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.少年と話す
9.気弱少女と話す
10.神に祈る
11.自由安価
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/06/03(火) 19:46:29.34 ID:RxB9hhMJ0
9
150 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/04(水) 01:04:15.23 ID:n4U8Z6e00
気弱少女「えいえいおー……」


教会の脇の森から声が聞こえた男は、
ふとそちらに足を運んだ
そこにいたのは、
一人でなにか口走っている気弱少女であった


男「……なにしてるんだ?」

気弱少女「へっ!?」

男「な、なんだよ……」
151 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/04(水) 01:07:01.40 ID:n4U8Z6e00
彼女はかつてなく慌てた顔をして、男の方に振り返った


気弱少女「あ、その……聞いてました?」

男「いや、なんか言ってるなとは思ってたけど……内容までは」

気弱少女「はぁー……よかったです」

男「……女の子だし、秘密ぐらいはあるか」
152 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/04(水) 01:22:14.41 ID:n4U8Z6e00
本日はここまでです
ありがとうございました
153 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/04(水) 19:45:15.43 ID:n4U8Z6e00
気弱少女「……なんか、おじさんみたいですね」

男「ぐっ」


その言葉はしかとその心を抉った
まだ若いつもりでいる彼にとって、
その言葉は凶器なのだ


気弱少女「ふふっ……」

男「まだ脂っこいもの食えるし……」
154 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/05(木) 00:53:50.74 ID:v3h+Qx6G0
気弱少女「……なんだか、隠し事をするのがばからしくなっちゃいました」

男「へぇ?」

気弱少女「私、みんなのために頑張りたいなって思えるようになりました」

男「元からじゃないのか?」

気弱少女「頼られたら……あるいは、それが使命なら私はそうしますよ……でも、それじゃいけないと思ったんです」

男「自分の意志で、ということか」
155 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/05(木) 02:10:13.82 ID:v3h+Qx6G0
本日はここまでです
ありがとうございました
156 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/05(木) 19:48:43.81 ID:v3h+Qx6G0
気弱少女「はい!私……これまで色んなことがありすぎて、自分についてよく考える時間がありませんでした」

男「そうだな、その年頃にはよくそういうことを考えるべきだ」

気弱少女「ずっとおじさんモードですね……」

男「君には人をそうさせる魔力のようなものがあるんだよ……」

気弱少女「……まぁいいです。それで、私……目標ができたんです」

男「目標?」


そう男が聞けば、彼女は優しく微笑んだ


気弱少女「>>下1」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/06/05(木) 20:04:52.86 ID:9Wy4FjavO
身寄りの無い子供たちが自分の道を見つける手助けをする為に、孤児院や学校を作りたいです
158 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/06(金) 00:55:32.08 ID:Umrmv9vO0
気弱少女「身寄りの無い子供たちが自分の道を見つける手助けをする為に、孤児院や学校を作りたいです」

男「……いい夢だなぁ」


しみじみ男は感じ入った
運命に翻弄された彼女らしい夢である


気弱少女「そうでしょうか」

男「あぁ!ぶりっ子や狙撃少女なんかは泣いちゃうかもしれないな」
159 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/06(金) 02:20:18.84 ID:Umrmv9vO0
気弱少女「そんなにですか……?」

男「あぁ。……それなら、もっと教会のリフォーム手伝えばよかったなぁ」

気弱少女「あんまりべたべた教会いじってると、また雷に打たれてしまうかもしれませんよ」

男「はは……アレ、マジで痛いんだよね」


ご飯を食べているときも暫くびりびりしていたのを彼は思い起こす
実は、金属製のフォークに手を付けたときも彼に帯電したままの電気が静電気のようにフォークに飛び出して痛みを覚えていたりしたのだ
160 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/06(金) 02:22:34.82 ID:Umrmv9vO0
本日はここまでです
ありがとうございました
161 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/06(金) 21:03:57.68 ID:Umrmv9vO0
すみません遅れました


気弱少女「それじゃあ、そろそろ寝ましょうか」

男「あぁ、そういえば君は朝が早くて夜も早いタイプだったね」

気弱少女「やることが多いと、どんどん遅くなっていきますよね」

男「あぁ、お陰で昔は……」

気弱少女「どうしました?」

男「いや、なんでもない」
162 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/07(土) 01:26:16.33 ID:H4WymkTu0
それからみんなはキャンプをするなり、
教会の椅子で眠るなり、
思い思いの方法で夜を明かした


~翌日・陰週火曜日~


炎魔「んぁ……」


木にひっかかった状態で彼女は目覚めた
寝相は悪いがどうにか大空に飛び立たずに住んだようだった
163 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/07(土) 19:59:11.93 ID:H4WymkTu0
すみません寝落ちしました


それから一行と教徒たちは再び教会に集まった
男は彼らに問いかける


男「俺たちについてくる決心はついたか?」


教徒たちは顔を見合わせ、
この前のようにそのうち一人が歩み出る


教徒「>>下1」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/06/07(土) 20:46:50.40 ID:Xml6CoA/0
はいついていきます
165 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/08(日) 01:33:41.48 ID:uJJHKYD80
教徒「はいついていきます」


多くの教徒たちはもう決意を固めたようだった


中華「なら、行こうか」

氷魔「……はい……」


氷魔は教会から地下に繋がっているハッチを開いた
男たちが梯子を降りていき、
次いで教徒たちも降りていく
166 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/08(日) 01:35:57.59 ID:uJJHKYD80
やる気「じゃ、真っ直ぐ進むっすよ!」


一行は大所帯で地下を進んでいく
こんな場所があることは、
教徒たちもほとんどが知らなかったようだ


ぶりっ子「こんな大所帯で戻ってきたら、あの魔王さんなんて言うんでしょうねぇ?」

怪盗「……あんまりぞろぞろ連れていかないほうが賢明かもしれませんね。そこまで狭量な方ではないと思いますけど」
167 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/08(日) 01:38:41.02 ID:uJJHKYD80
本日はここまでです
ありがとうございました
168 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/08(日) 19:56:33.99 ID:uJJHKYD80
それからしばらく歩いて、
一行はあの花畑へと戻ってきたのだった


気弱少女「きれい……!」

少年「なんだ、ここ……!?」

狙撃少女「魔王の居城ですよ。あそこに宮殿が見えるでしょう?」


彼女はそれを指し示したが、
にわかには信じがたいようだった
この美しき花畑を統べるものが、
魔王であるなどとは考えづらかったのだろう
169 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/09(月) 02:36:36.13 ID:hdhgHNHP0
炎魔「実は、あそこに住んでいるオネエ魔王さんに頼まれて私たちは帝国領にいたんですよ」

男「そう。届けなきゃならないもんがあってね……で、それが終わったから報告しに行くんだ」


一行はひたすら花畑の道を歩き、
その宮殿へと近づいていく
どこかから見られているような感覚を多くの人は感じており、そわそわしている
170 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/09(月) 03:01:54.28 ID:hdhgHNHP0
本日はここまでです
ありがとうございました
171 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2025/06/09(月) 20:52:58.55 ID:hdhgHNHP0
すみません遅れました


それから一行は宮殿の前へとたどり着いた
ドリアードが何人かで警備をしている


中華「ここから先は、僕らだけで行こうか」

氷魔「……そうですね……」

ぶりっ子「みなさん!絶対にここの花畑を荒らしたり花をむしったりしないでくださいねぇ!」

怪盗「これだけの支配領域のある魔王の怒りは買いたくないですからね」
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